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ストックBOX/backnumber

要人発言

r.matsushita |2017/01/20 8:01 am

 大統領選挙勝利後初のトランプ氏の記者会見が肩透かし気味の内容で、しかも「日本も名指しで非難」ということで、円高・日本株安という反応を見せたものの、すぐに立ち直って日経平均は1万9千円台回復となって一安心というところです。

 昨年前半の大幅下落は外国人売りによる需給悪がもたらした一時的な理解に苦しむ相場、その後の回復は日本の国力からすれば当然で、年末にかけては「トランプラリー」の恩恵も受けた、しかし、そのラリーも一段落、という局面でしょうから、当分の間は、日経平均1万9千円プラスマイナス500円くらいの範囲内の動きであれば何の不足もない、という状況なのでしょう。

 これから各企業の10-12月期決算の結果が出て来ます。円高で苦しめられたという局面からは脱していますから、そこそこいい数字が出て来るのではないかと予想されます。株価にネガティブなことにはならないのでは、と思います。

 トランプ氏については、ドイツには言及しないのかな、とか、ドル高にも無関心なのかな、と思っていたのですが、そんなことはなくて、やはりBMWを非難し、ドル高も行き過ぎれば問題、といった発言をして、個人的にはある種安心しました。

 それにしましても、今週はいつもよりも「要人発言」に注目させられた週でした。

・メイ英首相の「単一市場からの離脱方針」会見:いいとこ取りのブレグジットはあり得ないのでしょうから、メイ首相が単一市場から離脱、と明確な方針を述べたのは当然だったのでしょう。で、市場の反応は?と言いますと、事前の想定通りだったのでしょうか、一時的にポンド安はあったものの、日本株にはほとんど影響しなかったようです。昨年の国民投票時には日本株への予想外の大きな影響で驚いたのですが、外国人売りが縮小している今となれば、ブレグジットはどうころんでも日本株にはもうあまり影響しなくなったのでしょう。ただ、英国とEUという観点からは、スコットランドが英国から離脱する恐れも出て来たということでけっこう大変かもしれませんね。

・イエレン発言:影響力は、日本株と円ドル相場に対しては、イエレン氏の方がやはりメイ首相より大きかったように思いました。今後も継続的に利上げ方針、という発言だったと市場は見たようで、円安・ドル高方向に市場を動かしたようです。結果、日本株には上昇方向の力となった、ということのようです。FRBは別にトランプ氏の配下ではありませんので、金融政策は独自に実行するのでしょうが、トランプ氏が積極財政政策を取るとしますと、一方でFRBが金利を引き上げて行けば、ドル高になる公算大です。トランプ氏が過度のドル高を警戒するとしますと、大統領とFRBの関係はどうなるのだろう?といった感じは持ちました。

・ドラギ発言:とりあえずドラギ発言は「ハト派寄り」ということで、ユーロ売り・ドル買いの方向に相場を動かしたようです。ドル高は円安ですから、日本株高にやや貢献したという図式でしょうか。

 で、いよいよ今夜、真打のトランプ大統領就任演説、ということになるわけですが、報道によれば演説は20分ほど、ということのようで、案外相場にはほとんど影響しなかった、となるかもしれませんね。

 しかしながら、就任初日にいくつかの明確な決定(大統領令の形?)を出す、と言って来ているわけですから、株式相場・為替相場に大きな影響を及ぼす演説になるかもしれませんので最大限の注目をしておくことにしましょう。

平成29年1月20日 金曜日
証券アナリスト
松下律

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日米の個人投資家の歴史(過去を振り返って)

k.nakajima |2017/01/19 8:20 am

取引所再開後の昭和25年、日本の個人株主数は400万人前後と言われています。  同時期のアメリカは1250万人です。  日本はその後の高度成長と共に個人株主数は急増し、昭和38年には1800万人まで膨らみます。 所謂第一次証券ブームの時代です。 その後昭和40年の証券不況の影響もあり、個人株主数は1500〜2000万人の間を往来し続けるのですが、1985年のバブルの始まりから急増、バブル崩壊後も順調に拡大し2016年3月では4944万人まで一貫して拡大しています。  ただこの個人株主数は複数銘柄保有する個人を重複して計算しているため、実際の個人株主数は1700万人程度との見方もあります。

一方アメリカですが、1970年(昭和45年)に3000万人まで株主数が増加するものの、機関投資家現象が顕著になり個人株主は阻害されることになります。 1980年まで株主数が3000万人を大きく超える事は有りませんでした。 1971年にはナスダックの創設、手数料の自由化など株式市場への支援策があったにもかかわらず、NYダウは1965年―1982年の間600ドル〜1000ドルの往来相場を続けます。 所謂「株式の死」と呼ばれる時代です。 ベトナム戦争の後遺症、市場の法人化現象など個人をないがしろにしたツケを一貫して払う事になります。 その間に個人の金融資産に占める株式の比重は60年代の30%から15%まで低下しています。

1981年のレーガン大統領の登場、それに続く税の簡素化、売買益課税の相次ぐ減税などを通じ株式市場は息を吹きかえします。 其れと共に株主数は1990年には5000万人まで拡大、更に長期保有に対する優遇策、確定拠出型年金「401Kプラン」導入が大きな追い風になりました。 2000年にはITブームの流れにも乗り8000万人の大台を越えます。  こうした一連の流れは現在の日本にも極めて示唆に富んでいます 「脱法人化現象」「預金に偏重している個人金融資産の流動化=金融庁の基本政策」「2600万人が対象になる個人型の確定拠出年金 (IDECO)の導入」などが急がれているからです。 しかし此れだけでは個人が市場回帰するには不充分です。 1990年代にアメリカで個人株主が急増したのは、最終的に個人が企業の成長に確信を持ったからだと言われています。 アメリカ企業のROE(自己資本利益率)は1991年の10%から2000年には23%まで上昇しています。 これこそが今の日本企業に必要な個人投資家対策であり、最大のポイントと確信しています。
(中嶋)

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「課題先進国」にこそ新ビジネスが育つ

k.suzuki |2017/01/18 7:58 am

一年で最も寒いこの時期は、一年で最も夜明けが美しい季節でもあります。週に一度、始発電車に乗ってオフィスに向かう本日、夜明けの燭光を浴びることができました。それだけで「よし、今日もいっちょうやってやろう」という気分になります。単純なものです。

年が改まって企業からは例年、様々な新しい活動が活発に表明される時期ですが、今年は様子が違います。主に新聞紙面を通じて毎日の企業からのニュースフローを追いかけているのですが、今年はここまで具体的な企業の動きがあまり出てきません。やはり米国のトランプ新政権の出方をうかがっているのでしょう。それも仕方がありません。

1兆ドルの公共投資が投じられるとしても、理性的でまともな経営者であれば、向こう半年間はひとまず何もしないで様子を見ることに徹するのは無理からぬところです。長年取り組んできたTPPも環境規制も関税率も、あらゆるルールがゼロベースから見直されるとなれば、経営者としてはほとんど身動きが取れません。米国市場が世界最大のマーケットであることは今も昔も揺るぎない絶対の事実ですが、その入り口やアクセスが変わる可能性があります。

一時のドル高・円安も過ぎ去り、ユーフォリアの時期はひとまず消え去りました。あとには冷厳なビジネスマンの突きつける現実が残るだけです。足元には米国の好調な経済がしっかり存在しており、特段の信用リスクが高まっているわけでもないので、株式市場をはじめとするマーケット全体が大崩れすることはないでしょうが、当面は手控えムードが強まりそうな雲行きです。ただしそれは昨年の米国利上げから始まっていることです。

代わって浮上するのが日本の内需セクターです。中でも新しいサービスを提供する、新興市場の中・小型企業の分野です。老朽インフラ、耐震強化、電線地中化、膨張する社会保障費、働き手不足、介護士・保育士不足、年金財源など、先進国の中でも社会の抱える課題・問題の多い日本は「課題先進国」と呼ばれています。どれも難問ばかりですが、それらの課題をひとつずつ解決するたびに新しいマーケットの芽が出現します。

社会の不便や不満、困難はそのままニーズに直結します。「課題先進国・ニッポン」にこそ新ビジネスが育ちます。課題先進国は着想次第では、新しいマーケットが満載されたブルーオーシャンのサンクチュアリということにならないでしょうか。小型株物色に拍車がかかる所以です。
(スズカズ)

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「準備」

e.sakurai |2017/01/17 7:07 am

15日からスタートしたTBS日曜9時の東芝日曜劇場。
昨年の今頃は「下町ロケット」が話題でした。
今回はキムタク主演の「A LIFE〜愛しき人」。
宣伝文句は「ヒューマンラブストーリー」。
「愛、欲望、友情、嫉妬、プライドが渦巻く中、
ただ職人外科医として、決して諦めることなく、
不器用ながら一途に患者と向き合う
彼の生き様は、病院で働く人々に問いかけていく。
本当の医療とは何なのか・・・」。
あらすじはともかくとして第1回で記憶に残った心臓外科医の主人公の言葉。
「オペは準備を完璧にやってから臨む。
どんな方法で、どんなタイミングで、そしてあらゆるリスクを想定しておく。
オペはその結果で粛々と臨むだけ。
だから怖くはない」。
オペと言うのは主人公の仕事。
でも投資や株屋の世界でもこれは通用する筈。
準備もせずに株価に揺り動かされて衝動的な商いをするから「怖い」。
「どんな理由で。
どんなシナリオで。
そしてどんなリスクがあるのか」。
これを突き詰めないから「怖い」。
あらゆることを想定してから実行するのが株式投資だしトレード。
この原点を忘れて、右往左往するから「怖い」。
寝食を忘れる必要はないでしょうが、考え抜けるだけ考え抜くこと。
できれば頭の中だけでなく、手・口・耳・目を使って枝葉に分かれるシナリオを頭に叩き込むこと。
これは相当重要でしょう。
「想定の範囲」なんて軽い言葉でない本当の「想定」の多くは無駄になります。
でも捨てるシナリオだった時には生きることもアリ。
その結果の閃きであれば許容できるでしょう。
結果のシーンばかりを追いかけるから相場を見間違えるのかも知れません。
主人公の名前が「櫻井」というTBS金曜9時の「下剋上受験」よりは役に立つドラマでした。
火曜9時フジの草薙さん主演の「嘘の戦争」も結構面白いですが・・・。


今週はダヴォス会議。
スイスの高級スキーリゾート地で17日〜20日に開催されます。
世界経済フォーラム年次総会のこと。
参加者は約3000名。
世界の大手多国籍企業や指導者、経済人、メディア関係者、セレブが出席する予定。
今年は中国の習近平国家主席が中国の国家主席として初めて出席する予定。
世界の0.1%の超富裕層「グローバル・エリート」のための会議とも言われます。
議論のテーマは「俊敏で責任あるリーダーシップ」。
「中心となるのは既存の政治、社会経済システムに反対する民衆への対応策」とも。
米国のトランプ次期大統領の参加はない予定。
これは最終日と就任式が重なるという理由かも知れません。
ただ元ゴードマン・サックスのゲーリー・コーン次期米国家経済会議委員長は出席予定。
またオバマ政権からバイデン副大統領とケリー国務長官が出席予定。
一方過去7回出席したドイツのメルケル首相は欠席予定。
一つ大きな話題はおそらく「世界初の国際ブロックチェーン事業団体(GBBC)」でしょうか。
「幅広い容量と強力な基盤をもった組織が誕生することで、
より広範囲な普及活動が広がると期待」という声が聞かれる。
先週末のフィンテック関連の堅調さはここに由来しているのかも知れません。
もうひとつこの手の集会で興味深いのは「ビルダーバーグ会議」。
1954年に第1回がオランダのビルダーバーグ・ホテルで開催されました。
こちらは完全非公開。
万全な警備で関係者以外は入れない仕組み。
だから結構遠隔地で開催されるようです。
昨年開催されたホテルは標高1300メートルのチロリアン・アルプス。
ホテルの立ち入り禁止区域を設定。
潜入者は50 0ユーロの罰金または2週間の実刑が課されるとされます。
昨年議題になったものの一つは「キャシュレス化社会の実現の可能性」。
あるはAI・サイバーセキュリティなども。
意外なところにマーケットテーマはありそうです。

今朝のささやかな場況

NY市場は休場。
ロンドンFT100株価指数は15日ぶりの反落。
上海総合株価指数は5日続落。
225先物大証夜間取引は日中比10円安の19050円。
週末の上昇を打ち消す下落となった昨日。
ドル円の113円台を嫌気したとの解釈。
もっともブレグジットへの再認識やトランプ大統領の資質に対する懸念の再燃など外部材料に反応したともいえる。
NY休場を控えて東証1部の売買代金は2兆円割れ。
課題は昨日の安値19061円を割りこむかどうか。
その下に控える大納会安値18991円は絶対的死命線とも言えるだろう。
外部材料と企業決算の綱引きでどちらに軍配が上がるかが今後数週間の課題となる。
期待薄ながら上ではSQ値19182円の奪還が最大使命。
落ち着いている日経VIは19.06。
騒ぎ出した空売り比率は41%台。
この綱引きも継続しようか。
今日からダヴォスで繰り広げられる饗宴。
登場するブロックチェーンやAIの議題などに関連した材料で踊って幕間をつなぐ展開なのかも知れない。

《兜町ポエム》

「株の声」

株の声が聞きたくて
買いの音に耳澄ませ
売りの声が知りたくて
板の声を探してる

買えないそう思うほどに
買いたいが大きくなっていく
板の呟き出来値の囁き
株の声のように感じるんだ

目を閉じれば聞こえてくる
株のコロコロした行方
買いを出せば届きそうで今日も願ってる
株の声に乗せて

株の声が聞きたくて
買いの音に耳澄ませ
売りの声が知りたくて
株の声を探してる
「株ちゃん」

たとえ僕がおじいさんになっても
ここで売り買いしてる
株だけを想って

買いの声よ未来の声よ
売りの声よ明日の声よ
板の声よ出来値の声よ
株の声を乗せて行け
「届くといいね」

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期待外れ、ご用心

iwamoto |2017/01/16 7:45 am

 アイ・ハブ・ア・ドリーム…。米国では1月第3月曜日がキング牧師生誕祭。公民権運動に尽力し、1968年に暗殺されたマーティン・ルーサー・キング牧師の功績をたたえる日。この日、米国の取引所はお休みです。

そのキング牧師と公民権運動をともにした民主党のジョン・ルイス議員がロシアによるサイバー攻撃を理由に「トランプ氏は正当な大統領とは認められない」として20日の大統領就任式への欠席を表明しているとか。報道によると、少なくともとも10人の民主党議員が就任式に出席しない模様です。大規模な反対デモも計画されているようで、この日はかなりの混乱、波乱の幕開けとなることも警戒されます。

8年前のオバマ大統領の就任時には180万人と過去最多の人々が集まったそうです。あの、米国では初となる黒人大統領による就任式、私たちにも熱い感動を与えてくれました。今回の第45代大統領の就任式当日の人出はせいぜい90万人とか。国論の、価値観の、そして人種の「分断」が色濃く出る就任式となるかもしれません。

 今週号の「バロンズ」誌には、大統領選から就任、その後のパフォーマンスについて、面白い分析がありました。
 トランプ“大統領”の当選日から先週末までのダウ工業株のパフォーマンスは8.5%。これは19世紀後半以降に選出された大統領では2番目に高い記録だそうです。

 それを上回るのが第31代フーバー大統領で、「我々は貧困に対する最終的勝利に近づいている」と演説した1929年3月4日の就任式までにダウが21.8%上昇したものの、年末にかけて20.8%下落し、結局は大恐慌に突入。逆に、金融危機のなか、就任式までのパフォーマンスが17.4%マイナスと最悪だったオバマ大統領は2009年年末までに31.1%上昇(そして、ダウ過去最高値で政権移譲)…事前の期待があまり高いと、後が怖い、ということのようです。

 20日には、わが国でも通常国会が召集され、安倍首相の施政方針演説が行われます。このほど行われたメディアの調査によると、安倍内閣の支持率が61%と、13年11月以来の水準まで上昇したとか。ところが、その支持の理由は「安倍首相が頑張っている」といった随分と漠然とした要因のようです。いったい何を頑張っているのやら…空回りではないかと気になります。

 その他、17日に英国・メイ首相のEU離脱に関する演説、18日、19日にイエレン議長の講演会、19日にドラギ総裁記者会見。政治がらみのイベントが盛りだくさんの週となりそうです。(イワモト)

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保合圏

r.matsushita |2017/01/13 8:14 am

 昨年11月の米大統領選後の上昇相場(トランプ相場)で日経平均が3000円強上昇したわけですが、ようやくと言いますか、そろそろ高値圏での保ち合い局面に入った、というところなのでしょう。

 トランプ期待の振り子が反対側に今度は振れるという恐れがありますし、昨年の年初からの急落相場の記憶が残っていますので、ここから大幅に下げるのではないか、とちょっと怖い気もしますが、新興市場・中小型株が堅調ですし、おおむね1万9千円台の保ち合い圏入り(日経平均1万9千円割れとなれば、けっこう買いが入るだろう)となるのではないかという気がします。

 一昨日11日(日本時間では12日の早朝)に行われたトランプ次期大統領の記者会見は、日本株と円ドル相場を大きく変動させるかもしれない、ということで大きな注目イベントでしたが、現実にも相場を大きく変動させる結果となりました。(日本時間明け方近くでの変動でした。)

 記者会見で特に日本批判はなかったのですが、日本という名前は出てきましたし、アメリカファーストの貿易政策を貫くということで(ドル高をどこまでも容認するといったスタンスではなさそうだ、と)円高⇒日本株(先物)安、という反応になったのでしょう。

 トランプ次期大統領の政策によって日本株相場が決定的ダメージを受けるといったことは想定されませんが、今年大発会までのトランプ上昇相場(の少なくとも初期段階)は終了、といった感じですね。

 しかし、繰り返しながら、先週のブログでも書いたように、新興市場株、中小型株に買い(おそらくは個人中心の)が入っているらしいというのは心強いことです。

 日銀の金融政策頼みの上昇相場(アベノミクス上昇相場の第1波)の中心が大型株だったとして、あるいは、昨年末にかけてのトランプ相場による上昇が売り叩かれていた日本の大型優良株の値戻し中心だったとして、これからやって来る上昇相場をアベノミクス上昇相場の第2波、と期待するのであれば、1倍割れのPBRが1倍近辺にまで修正高、といった相場ではなく、将来の企業利益を期待してPBRが2倍、3倍、4倍と買われる銘柄が出て来る(それが行き過ぎれば株価バブルです)、といった相場を見たいものです。

 さいわいなことに、今3月期の企業業績は(最終利益で見れば)増益のようですし、来期についても、トランプ新大統領がドル高を警戒しようがしまいが、雇用増加のために積極財政政策を取って、同時に、金融政策はどちらかと言えば引き締め方向、というのであれば、基本的には円安方向にベクトルは向くはずですから、急激な円高によって日本企業が利益面で決定的ダメージを受ける恐れは小さそうです。来期の日本企業の業績は増益見込みになるのではないかと思います。

 企業業績の拡大を背景に、いわゆる業績相場となる可能性はけっこう強いのではないかと思われます。(そのためにも、安倍政権が要請している賃上げが今年ある程度以上の規模になることを期待したいところです。)

平成29年1月13日 金曜日
証券アナリスト
松下律

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トヨタの対米投資

k.nakajima |2017/01/12 8:16 am

トヨタ自動車が今後5年間で米国に100億ドル(約1兆1600億円)投資すると発表しました。  直前にトランプ大統領が、トヨタの2019年に予定しているメキシコでのカローラ生産工場の立ち上げに不快感を表明したことから、何か脅しに屈服したかの印象を与えたのは残念です。 北米はトヨタにとって世界販売の3割を占める最重点地域と位置付けされています。 それを裏付けるように、トヨタは米国で直接雇用で4万人の従業員を抱え、販売店など関連企業を含めると13.6万人の雇用に貢献しているとしています。

トヨタは2008年のリーマンショックまで拡大路線を急ぎ過ぎ、製造車種が100車種を越えるなど、結果的に固定費が大きくなっていました。 リーマンショックの結果販売が急減、固定費の重さが業績を直撃します。 こうした反省から導入されたのが「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)」です。 その目指す所は部品や車体の設計を可能な限り共通化し、開発、製造コストを削減し需給動向に左右されない体質を作る事に有りました。 これを遂行する技術集団としてトヨタ本体のみならず、デンソーやアイシン精機を含めたグループ全体から、立ち上げ期には1500人の技術者が集結したといわれています。 生産台数で世界一を競うフォルクス・ワーゲン(VW)には、世界規模で部品を一括供給出来る独ボッシュ社の存在がります。 一方トヨタは部品開発機能が分散しており、グループとしてこれを統一しコスト競争でVWに対抗する狙いがありました。 VWにとっての最重点地域は中国です。 一方トヨタにとってはTNGAを実践し、深堀するには最重要な米国になるのは当然の成り行きです。

こうして練られた対米投資戦略がトランプ発言で前倒しになった見るべきでしょう。  2016年の世界生産台数でトヨタはVWにトップの座を明け渡しています。 しかしVWの米国市場での存在感は殆どありません。 2017年のトップ争いをトヨタ=米国市場、VW=中国の観点で見ると興味が湧きます。 トヨタにとって米国市場は、これほど重要な意味を持ちます。 トランプ氏に関係なくトヨタの北米投資はなされたのです。
(中嶋)

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問題の本質はセキュリティです

k.suzuki |2017/01/11 7:59 am

大発会から1週間が経過しました。早いものですね。

日本の新年は大切な神事ですので、クリスマスを重視する諸外国とは少し事情が違っており、いろいろと縁起を担ぎます。中でも「1年の計は元旦にあり」と言いますように、元旦に起こったこと行ったことはその年を貫いてずっと後まで尾を引きます。

元旦の日本経済新聞には以下のような記事が掲載されました。

「サイバー防衛人材、毎年100人養成、経済産業省」

ネット空間におけるセキュリティに関する小さめの記事です。それによれば経済産業省は、来年度(2017年度)から電力やガスなどのインフラをサイバー攻撃から守るためのセキュリティ人材を毎年100人ずつ養成するそうです。装丁しているのはエネルギー会社や化学メーカー、製鉄会社などのインフラ系重厚長大産業からの出向社員で、入社5〜10年目の若手バリバリの人材を集めるそうです。

記事の中では欧米の事例が紹介されています。すでに海外では、発電所や製鉄所など社会インフラを狙うサイバー攻撃が急増しており、発電所やプラントの制御システムにコンピュータウイルスが侵入すると社会に大きな損害が発生しかねません。すでにドイツでは製鉄所がハックされて操業停止に追い込まれるなど深刻な被害が出ているそうです。

企業でもメールやサーバーへの対策は進めてきましたが、工場やインフラ系統などの制御系への対策はほとんど実施されておりません。日本ではようやく予算が下りて、経済産業省の音頭とりで4月から研修コースが始められます。企業サイドも一定額の費用を負担することになります。でも100人で足りるのでしょうか。

トレンドマイクロは2016年1月から11月までの11カ月間で、企業に対する「ランサム・ウエア」(企業内のデータを勝手に暗号化してしまい、元に戻すのに身代金を要求するウイルスソフト)被害件数が過去最高に達したことを明らかにしました。11か月間だけで前年の3倍以上にあたる2690件に達したそうです。コンピュータ犯罪は悪化の一途をたどっており、セキュリティの必要性はさらに一段と高まっています。

IoT、コネクティドカー、5G、ビットコイン、ネット通販など、企業も社会もサイバー空間を広げることに躍起になっていますが、それだけセキュリティが手薄になっている恐れもあります。「1年の計は元旦にあり」。この部分に社会の巨大なニーズが確実に存在します。
(スズカズ)

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「脚下照顧」

e.sakurai |2017/01/10 7:18 am

騒ぐのかどうかは別にして、昨年と違って平穏にスタートした酉年。
もちろん欧米アジアとアチコチに火種と懸念はあります。
しかし、その懸念を現実化させず、また現実化させても乗り越えて来たのが人知あふれる株式市場。
「騒がない、慌てない、諦めない」。
これは2017年も通用するでしょう。
「声の大きさにだまされない。数の多さに負けない」。
多数の声でなく、少数意見の方に正解があることが多いのが株式市場でもあります。

外に視点を向かせようとする動き。
足元を見ないようにする動き。
これに騙されることが多いのがマーケット。
ブレグジットが懸念されるイギリスの株価指数は昨日まで10日続伸で過去最高値を更新。
EUが揺れる欧州の株式はそれぞれ堅調。
昨年上昇率が大きかったのはロシアやブラジルだったという現実。
「あれが危ない、これが大変」。
確かに外のことを言っている方が間違いなく何か立派に聞こえます。
しかし・・・。
それが投資の役に立つのかどうかは別。
きっと「脚下照顧」という四文字熟語の意味をかみしめることが大切だと思います。。

つまらない議論をすれば・・・。
1989年高値の38915円。
半値で19457円だからこれはクリアした。
しかし半値戻しとなると38915円ー6994円(2008年10月)=31921円。
6994円+31921円÷2=22954円。
61.8%とか38.2%などと細かいことは気にはしなくても「半値戻りは全値戻り」の格言。
半値戻りは気にしたいものです。

株には売買タイミングと旬の時期があります。
どんなに良い株でも売られる時は売られます。
あるいはどんなに買われていても、信用規制など他力的な要素で天井を付けることがあります。
そしてそういう銘柄は多くの場合、人が見向きもしなくなった時に底をつけ反発しているもの。
要は復元力をどう見るかの問題なのでしょう。
株価の天底を見極めるなんて傲岸不遜なことは不可能なことは間違いない。
しかしおぼろげながらも人気集中は反落の先兵、人気離散は反発の先導車。
あるいは「早期警戒システム」は25日線からの5%かい離とか200日線からの20%かい離。
相場は上や下のトレンドに一方向に行き続けるものではないという真摯な理解こそが破滅からの救世主なのかも知れません。
要らぬ警戒ばかりが横行してきたのがこの30年の東京市場。
必要な警戒を怠らずにいらぬ皮算用を排除すれば相場も楽しくなるに違いありません。

元旦の日経1面トップ見出しは「『当たり前』もうない」。
サブ見出しは「逆境を成長の起点に」。
そして「30兆円覚醒、私たちの手に」。
この30兆円とは政府の成長戦略で計算された「IoT」などでの30兆円のこと。
つまり、GDP600兆円への道に示された方向性が登場したことになります。
始まった連載は「断絶(Disruption)を越えて」。
「瞬時に過去の成功体験を時代遅れにする断絶の波」。
「断絶がもたらす逆境でこそ、知恵が浮かぶ」。
「古い秩序や前例を壊す断絶の力」。
トヨタの「脱・ガソリン車」、三菱ケミカルの「脱・石油化学」。
正月から脳裏に残ったのは「脱」という字。
コアコンピュタンスからの脱却が企業成長の礎となるということ。
言い換えれば「選択と集中」から離脱した「拡張経営」の方向性。
中核となるのは07年を境に変化したデジタル社会の到来。
2017年のテーマとしてさらに登場するのでしょう。

【日経元旦朝刊のトップ見出し】

06年「強い日本の復活」
07年「富が目覚め経済まわす」
08年「沈む国と通貨の物語」
09年「危機が生む未来」
10年「成長へ眠る力引き出す」=基本テーマは変らない
11年「先例なき時代に立つ」
12年「開かれる知、つながる力」の意味=「C世代を駆け抜ける」。
・・・その「C」はComputer、Connected、Community、Change、Create。
13年「5割経済圏:アジアに跳ぶ」
14年「空恐ろしさを豊かさに」。
年始恒例の連載テーマ「リアルの逆襲」
15年「変えるのはあなた」
16年「目覚める40億人の力(インド俊英、続々頂点に)」
17年「当たり前』もうない(逆境を成長の起点に)」

飛べない鳥より飛ぶ鳥。
ニワトリやペンギンではなく、宙を舞うハトやカラスやスズメを探すことが重要。
場合に寄ってはインコなのかも知れません。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「初天神」                                       

貧乏長屋の熊五郎。
初天神なので、
早速お参りに行くと言うと・・・。
かみさんが、
「それならせがれの金坊を連れていってくれ」と。
熊が「口八丁手八丁の悪がきであれを買えこれを買えとうるさいのでいやだ」
と言い争っていると、当の金坊が顔を出した・
「家庭に波風が立つとよくないよ、君たち」

親を親とも思っていない。
いろんな弱みを全部こどもに知られているから、手も足も出ない。

梅田あたりを歩いているうちにどういう訳か金坊、株屋の前で立ち止まった。

そして「鉄買って、車買って」
と、始まった。

「両方とも高い」と突っぱねると
「じゃ、ボロ株買って」

店では株屋のお姉さんがニタニタしている。

「こんちくしょう。今日は休みだろ」
「冗談いっちゃいけません。今日はかき入れです。
どうぞ坊ちゃん、買ってもらいなさい」

二対一ではかなわない。

株価表を眺めながら「これか? こっちか?」
金坊の欲しい株を熊は品定めする。

金坊は相当ねだっているが熊はなかなか首を縦に振らない。。

いつの間にか金坊。
「おとっつぁんが迷っているから株価が上がっちまった」
「たいして上がってねえじゃねえか」
「いや欲しい値段でもう買えない」

そのうち金坊はソフトバンクやキーエンス、ファーストリテなどの値がさをねだり始めた。

いつまでたっても店頭でだだをこねるから熊は閉口。、
一番安いのを選ぼうとすると、
また金坊と株屋が結託。

「ETFやREITはいかがで?」

熊は横文字に弱いこともあって結局アレコレ買わされた。
帰りに一杯やろうと思っていた金を、全部はたかされてしまう。

金坊が大喜びで街を走ると、
酔っぱらいが叫んでいる。
「儲かった儲かった」。
金坊がもらった横文字の奴は下がっているので金坊は泣きだした。
「泣くんじゃねえ。おとっつぁんがついてら」

そのうち、今度はおやじが損に気がついて泣き顔になる。
金坊は「それ、あたいのおやじなんです。
勘弁してやってください。
おとっつぁん、泣くんじゃねえ。あたいがついてら」

おやじは意を決して先ほどの株屋に駆け込み、借金して値がさの株を夢中になって買った。
「あがった、あがったい。やっぱり値段が高えのはちがうな」
「それは、あたいの」
「うるせえな、あっちへ行ってろ」

金坊、泣き声になって
こんなことなら、おとっつぁん連れて来るんじゃなかった」
ジャンジャン。
(櫻井)。

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昨年と大違い

r.matsushita |2017/01/06 8:08 am

 大発会が大幅高だったということで、昨日の今年二日目の株式相場はやや利食い売りに押される展開ではありましたが、今年は少なくとも去年とは大違い、という感覚を市場参加者に植え付けることに成功したようです。

 日経平均、トピックスよりもマザーズ指数、ジャスダック平均の方が勢いが強い感じがして、このことも心強い印象です。

 日本を代表する優良株の株価がPBR1倍以下だったので、その割安が修正されて株価上昇、というのもありがたいことですが、比較的小型でPER、PBRの高い銘柄が、成長性や材料を囃して大きく上がる、という相場は市場により大きな活気をもたらすはずですから。

 一方で、これまで下がりっぱなしの感のあった金価格が上昇(ドル高にも関わらず)したり、急騰していたビットコイン価格が急反落、といったことも起きています。さらには、円ドル相場も円高方向に急反転しているようにも見えます。

 投機資金は依然として豊富で活発に動いているのだなということを思わせる動きです。

 いずれにしましても、一本調子で上昇する相場はないはずですから、うねりを伴いながら、今年は日経平均下値1万8千円以上、高値2万2〜3千円、となるような相場を期待したいものだと思っています。

 そして、さらには、中小型株の中から大相場となる銘柄が次々に出て来る、そんな相場も期待したいものです。

○○元年
 よく○○元年、といったフレーズでその年の目立つ傾向を表現したりします。昨年であれば、VR元年、とか、フィンテック元年、IoT元年、自動運転元年、といったことが言われたわけですが、そうしたフレーズに関連して、株式市場で個別銘柄や業種が大相場になったりするものです。

 ということで、今年はどんな○○元年なのか?と考えてみます。

・仮想通貨元年:これは実は、ビットコインなどを扱っている業者が言い出したフレーズです。MUFGコイン、みずほマネー、などといった仮想通貨が出てきますし、ブロックチェーン関連、AIと絡めて、本当に、仮想通貨元年、と言われるようになるかもしれませんね。

・iDeCo元年:これは事実としてはそのとおりです。ただ、個別銘柄の相場に結びつく可能性は小さいフレーズでしょうね。

・ペプチド医薬元年:これは、バイオ関連銘柄の大相場に結びつくかもしれません。わが国はおそらく核酸医薬ではあまり優位を持たないけれどもペプチド医薬の分野ではリーダーの一人でしょうから、関連銘柄は注目かもしれません。

・AI元年:これは確実にそのとおりで、株式相場への影響も大きいと思われます。事実、今年の最初の二日間の株式相場を見ましても、その雰囲気のある銘柄が大きく買われるといったことが起きているようです。AIそのものよりも、AIを使ってビジネスの効率化や拡大を図ることができるかどうかといった観点で見ておくのがよさそうな気がしています。 

・EU崩壊元年、ユーロ崩壊元年、中国バブル崩壊・・:いずれも不吉ですが、注視と注目を怠るわけにはいきません。

・バブルへGo!元年:トランプノミクスをレーガノミクスになぞらえるとすれば、今は1981年ということになります。1989年に至るわが国の大バブルの出発点辺りと見ることができるかもしれません。昔と違い今は時間の流れるテンポが速いでしょうから、10年かけて大バブル相場、ではなく、3年か4年で大バブル相場を示現するのかもしれません。としますと、今年から3年か4年、ちょうど東京オリンピックの頃に向けて、ということになるでしょうか。

2017年イベント予想(FT記者による)
1.リスボン条約第50条は、2017年3月末までに発動されるか―――イエス
2.ルペンはフランス大統領選に勝利するか―――ノー
3.メルケルは再選されるか―――イエス
4.イラン核合意は破たんするか―――ノー
5.トランプとプーチンはシリア問題で合意を結ぶかーーーイエス
6.ISは重要なグローバル武装勢力として粉砕されるか―――ノー
7.北朝鮮は核弾頭搭載ミサイルの発射実験を成功させるか―――ノー
8.中国は10%超の人民元下落を容認するか―――ノー
9.ベネズエラはデフォルトするか―――ノー
10.英国の年間成長率は2017年に1%を割り込むか―――ノー
11.2017年末時点で米国のFF金利は1.5%を超えているか―――ノー
12.原油価格は1バレル50ドルを超えて2017年を終えるか―――イエス
13.EUのインフレ率は年末までに1.5%以上になるかーーーノー
14.米アップルは2017年末に世界で最も時価総額の大きい会社か―――イエス
15.ウーバーは上場するか―――ノー
16.GSブランクファインCEOとJPモルガンのダイモンCEOは2017年に退任するか―――ノー

 FTの記者連ですから、われわれ日本人とは興味の方向がだいぶ違っているようですが、興味深いところもあるように思います。メルケルの再選成否、中国元の見通し、FF金利の水準などはわれわれも大いに注目しているところです。個人的には、メルケルは再選されるが、政策、特に移民政策を大幅に軌道修正せざるを得ない、中国政府は人民元下落対策に苦慮する、米金利の上昇ペースは予想より遅いだろう、と想定しています。

 それから、EU、ユーロの基盤がかなり揺らぐ(これまでも揺らいで来ているのですが)、その揺らぎがかなり鮮明になる年では、と思っています。(ユーロ安で欧州への観光客は増えるだろう、とも思っています。)
 
平成29年1月6日 金曜日
証券アナリスト
松下律

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2017年のキーワード

k.nakajima |2017/01/05 8:20 am

日経新聞元旦恒例の、経営者による新年を占うキーワードは大変興味のある結果でした。 「トランプ」「不確実性」「変化」がそのワードですが、共通するのは何が起こるかわからない不安がその背景に横たわっています。 各経営者のコメントを読みましたが、意外なのは「中国」という言葉が一切出てこなかったことです。 中国が政治的にも、経済的にも大きな問題を内包している事は既成事実化しています。 経営者から中国への懸念が示されないのはビジネス上の関係がある為慮ったか、実際懸念を抱いていないのか興味のあるところです。

個人的には中国の持つ危うさに常に大きな懸念を持ち、当ブログでもその問題点を角度を変えて何度も指摘してきました。 昨年12月21日のブログでも「中国からお金が逃げて行く」として中国からの資金逃避について述べ、その手段の一つとして「ビット・コイン」が使われていると指摘しました。 ビット・コインの取引の90%以上が中国の個人が占め、昨年のその時点でのビット・コインの価格は既に780ドル(2015年1月230ドル)と急騰していましたが、更に本日1月4日には1039.85ドルの高値を付けています。 資金逃避に何らかの規制が発動される前に資金逃避が加速しているのです。

トランプ政権の経済閣僚人事が出揃いましたが、対中国強硬派で固められています。 2015年4月にアメリカ財務為替報告で為替監視国として中国、ドイツ、日本、韓国、台湾の名前が挙がりましたが、2015年の対米黒字額は以下の通りです。

1.中国    3657億ドル
2.ドイツ    742億ドル
3.日本     686億ドル
4.韓国     260億ドル

中国が突出しておりアメリカの貿易赤字の45%が中国一国で占められています。中国に対する何らかの強硬手段が予想されます。
3日の夜のBS1の番組で「欲望の資本主義2017年」とした骨太の番組が放映されました。 世界各国の著名な学者、経済人へのインタビュイーのみの番組構成で、ほぼ全ての関係者が「不確実性」を挙げていたのは、日本のそれと同じです、その中で中国の不確実性が強く指摘されていたのが印象に残っています 。
(中嶋)

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大発会。2017年が始まりました!

k.suzuki |2017/01/04 7:58 am

新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

この年末年始、関東地方はこれ以上はないというほどのお天気に恵まれました。雲ひとつないお正月特有の澄んだ青空を見上げながら、2017年の世界の平和を祈りました。

というのは少し誇張が入っていますが、それでも家族の平和と健康を願いました。「おめでとう」と家族や知人・友人とごく普通に言い交わすことのできる年明けに、まずは素直に感謝したいと思います。昨年暮れまでに起きた世界の激震がそれほど大きかったということでしょう。

劇的な変動、激変が日常的になってしまった事実。緊迫感に満ちた日常が当たり前になってしまったことを意識してか、年明けの新聞各紙は「技術革新がもたらす明るい未来」をことさら強調するような、あまり負の側面には目を向けず、正の側面にあえて強く光を当てる紙面づくりになっていたように思いました。

出版界、言論界も今の世の中の変化の速度に追いついていけないような、報道の主軸はもはやはっきりとインターネットに移行してしまったような世の中です。

ただやはり書物派のひとりとして、速報性はインターネットやSNSには太刀打ちできないとしても、目の前で起こっている物事の背景や裏側をじっくりと考えるには、やはり分厚い書物に勝るものはないと確信しています。事前の予想がことごとく打ち砕かれる現実を目の当たりにしても、やはり予想を立てないわけにはいきません。

未来に向けた予想は、できれば明るくて希望に満ちたものでありたいものです。大ヒット中の映画「君の名は。」が投影している現代社会は、決して暗くて悲惨な未来を描いているわけではありません。そこに希望を見出すことができるはずです。

さて大発会です。ソフト化、サービス化の大波に乗った小型株相場はもう始まっています。
(スズカズ)

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2016年大納会

r.matsushita |2016/12/30 8:15 am

 大納会の日経平均が何十円か上下にずれたからと言って何か特別なことが起きるわけではありませんが、できれば終値が昨年の終値を上回って5年連続の年間上昇になってほしいものだという気はします。

2011年以降の大納会の日経平均終値
2011年  8455円
2012年 10395円
2013年 16281円
2014年 17450円
2015年 19033円
2016年 1????円

 さて、どうなりますか。時間外の225指数先物相場では一時1万9千円を割り込んでいますし、微妙なところです。

 日経新聞の報道によりますと、黒田日銀総裁は、「経済は良い方向とはっきり言える」と取材に対してこたえたとのことです。トランプ・ラリーの過程で起きた株高・円安で、日本経済が再び(なのか三度、四度なのか分かりませんが)デフレに舞い戻る可能性が弱まった、ということでこういう発言になっているのでしょう。

 日銀による、加速度的な金融緩和はもうやり様がなくなっているわけですが、それをやらなくても済みそうになりそうだ、ということで黒田氏はほっとしているのかもしれません。

 しかしながら、一般の認識はそれほど楽観的ではないように思います。来年の経済は「一進一退」というのが大方の経営者、勤労者の感覚でしょう。

 来年、欧州がどうなるか心配ですし、トランプ外交が中東情勢を混乱させるかもしれません。対中国で強硬に出るとすれば、東アジア情勢も懸念すべきかもしれません。中国の不良債権問題もどう進展するのか分からないでしょう。

 とはいえ、私は感覚として、日本はラッキーだ、と思っています。いろいろ懸念材料はあっても、いつの間にか日本に有利な情勢が出て来て何とかなってしまう、ということを繰り返して来ているように思えます。

 何もしないでラッキーはやって来ないわけですから、日本という国は様々な努力を不断にして来ているのでしょう。

 明治大正の投機家福沢桃介は、モルガン財閥の創始者が「アメリカの将来を信じない者は滅ぶ」と言ったということを引用して、「私は日本将来を信じない者は滅ぶと言いたい」と著書に書いています。100年も前のことで、その後わが国は大不況、日中戦争、太平洋戦争、敗戦、と大変な試練に見舞われたのですが、それでもいろいろやっている内に、世界第二位(今は第三位)の経済大国になり、何とか豊かさを享受できる(問題は常にあるものの)国になって来ました。まさに、日本の将来を信じないものは滅ぶ、と言って間違いでない歴史を刻んで来たのです。

 局面局面でいろいろなことを考え、対応しなければならないのですが、長い目で見れば「日本を信じる」というスタンスを崩す必要はないのではないか、そんな風に思います。
 
平成28年12月30日 金曜日
証券アナリスト
松下律

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枠組みが変わる

k.nakajima |2016/12/29 8:10 am

「申酉騒ぐ」の諺の通り想定外の出来事が相次いだ年でした。 何か大きな枠組みが変わりつつある前兆との予感があります。 その変化は日本にとっては良い方向で、日本経済の強さを確信できるものであり、従って株式市場には強気のスタンスを持ち得るものと確信しています。 以下にザックリと何故そう考えるのか、歴史的な背景から見たいと思います。 基本的な考え方は、明治維新を契機に世界に登場した日本が、それ以降ある大きなサイクルで上昇期、下降期を繰り返している点です。

(1)1868年(明治維新)〜1904年(日露戦争勝利) ▼下降期
明治維新後、富国強兵を旗印に国家予算の60%以上を軍備増強に使った結果、庶民の暮らしは厳しいものになります。 しかし日露戦争勝利は日本を世界の舞台に華々しく登場させます。

(2)1904年(日露戦争勝利)〜1936年(2・26事件) △上昇期
 金融恐慌、関東大震災など不幸な出来事を乗り越え、列強に仲間入り。
 大正モダニズムなど独自の文化を育む反面、国際連盟脱退など軍事国家へ突き進みます。その象徴的な出来事が2・26事件です。

(3)1936年(2・26事件) 〜1960年(池田内閣所得倍増政策) ▼下降期
 軍事国家の暴走から第二次世界大戦敗北、原爆被爆、国土焦土化からの日本再興です。 1959年、美智子妃が民間から嫁いだことから名実共に新時代の始まりです。 池田内閣の所得倍増政策が象徴的です。

(4)1960年(池田内閣所得倍増政策)〜1989年(バブル崩壊)△上昇期
 経済の高度成長期、 東京オリンピック、万博と日本が大きく輝きます。
 バブルを当たり前として日本が浮かれた時代です。1989年1月に昭和天皇が崩御、昭和の終わりはバブル崩壊でもありました。

(5)1989年(バブル崩壊)〜 ???   ▼下降期
 失われた20年? バブルの清算に国、企業、個人が忙殺されました。
 しかしアベノミクスによるデフレ脱却の兆し、株式市場の反転など下降期の終了を感じさせます。既に経過年数から見て新たな上昇期に入っている可能性があります。

 明治維新後、ほぼ30年プラス、マイナスのサイクルで、上昇、下降が繰り返されています。 56年〜60年のサイクルで上昇、下降を繰り返すコンドラチェフサイクルを思わせます。コンドラチェフは技術革新のサイクルともいわれますが、既にIOT、AI、車の自動運転など今までにない技術革新が始まっています。 日本がその流れに乗れない筈はない、いや既に乗っていると過去の大きなサイクルの流れから確信しています。
(中嶋)  

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出世株はどれだ? これだ!

k.suzuki |2016/12/28 7:56 am

本日は仕事納め、御用納め。今日の仕事が終わったらそのまま帰省する人、海外旅行に旅立つ人で、始発電車にもキャリーバッグを携えた人が大勢乗っています。

株式市場は今日を含めてあと3日間、年内の立会いが残っています。以前は仕事納めの28日が株式市場の大納会と一致していました。それが銀行の決済日に合わせて数年前から大納会が12月30日まで延びました。さほど商いも膨らまないのにマーケットを開けておく意味がどこにあるのか、とは毎年のように聞かれる兜町スズメのぼやきです。

この時期になってなお、東芝がとんでもない悪材料を公表するご時勢です。今年の株式市場を総括するにはまだ少し早い気もしますが、それでも勝手にまとめてしまいます。1年前と比べて上がった銘柄、下がった銘柄を列挙すると次のようになります。


【1年前と比べて上がった銘柄】

(1)日本ライフライン(7575)+276.4%
(2)安永(7271)+270.9%
(3)Hamee(3134)+255.1%
(4)イー・ガーディアン(6050)+234.9%
(5)リンク&モチベーション(2170)+231.7%
(6)ヤーマン(6630)+221.0%
(7)ブイ・テクノロジー(7717)+189.4%
(8)トランザクション(7818)+181.7%
(9)メディカル・データ・ビジョン(3902)+181.6%
(10)ヤマシンフィルタ(6240)+180.2%

病院経営あり、ネットセキュリティあり、美容家電あり、人事コンサルあり。こうして値上がりトップクラスの銘柄のラインナップを眺めていると、どの銘柄が何月に大きく動いたか、どのような材料で人気に火がついたのか、いずれもすぐに思い浮かびます。

こうしたリストを見ているだけで、日本経済は着実にソフト化、サービス化に向かっていることが浮かび上がります。世の中のトレンドがどこに向かっているのか、資金と付加価値がどこに集まっているのかが一目瞭然です。


【1年前と比べて下がった銘柄】

(1)クックバッド(2193)-59.6%
(2)コロプラ(3668)-57.8%
(3)エー・ピーカンパニー(3175)-51.8%
(4)U−NEXT(9418)-50.7%
(5)ライドオン・エクスプレス(6082)-50.1%
(6)ネクスト(2120)-47.0%
(7)IDOM(7599)-42.9%
(8)クミアイ化学(4996)-42.7%
(9)田淵電機(6624)-42.4%
(10)エスクリ(2196)-40.9%

スマホゲーム、料理レシピ投稿、宅配寿司、中古車、ウェディング。値下がりランキングの上位にもサービス産業のウエートが高まっていることがわかります。ただしこちらはいずれも、それまでの高い成長期待が剥落してしまった銘柄が大半を占めます。

慢性化する人手不足に加えて、円安と原油価格の反転により、この下期からは産業界のどの領域でもコスト上昇の圧力が高まってくるはずです。そのコスト上昇分を上回る成長をどこまで実現できるか。企業経営者に突きつけられた大きな課題です。

将来の展望がとりわけむずかしい世の中になっていますが、それでも企業家の目には「ピンチは絶対にチャンス」と映っていることでしょう。来たる酉年、2017年にはどんな出世株が現われるのでしょうか。今からワクワクどきどきします。来年も日本企業の活躍におおいに期待しております。
(スズカズ)

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「リアル版・掉尾の一振」

e.sakurai |2016/12/27 7:22 am

クリスマスを挟んできのうまで3日続落。
3日続落は7月22日〜7月26日以来というから結構意外感。
7月4日〜8日が4日続落。
当時の日経平均株価は15000円台。
そして4日続落のあとの6日続伸。
嵐の後に春風駘蕩の時期でした。
その前の4日続落は6月9日〜14日。
その後24日の今年最安値14864円に向かう直前でした。
4月25日〜5月6日のGWを挟んだ6日続落。
3月29日〜4月6日の7日続落は今年のワースト記録。
大発会から1月8日までの6日続落スタートだった2016年。
もうすぐ暮れようとしています。

日経平均株価の25日移動平均からのかい離はプラス3.3%まで低下。
海外の市場参加者も少ないようで東証1部の売買代金は2兆円割れ。
空売り比率は33.2%まで低下。
裁定買い残は1兆9103億円まで増加したとはいえスタート水準と考えたいところ。
日経平均採用銘柄のPERは16.47倍。
EPSは1177.70円まで復調してきました。
東証1部単純平均が2774.81円。
昨年末の3066.29円を越えられそうもないのが心残り。
因みに昨年末は12月22日に東証1部の売買代金が2兆円割れ。
25日(金)が1兆6049億円。
28日(月)1兆5433億円。
29日1兆7689円。
大納会1兆6505億円。
25日まで5日続落の後28・29・30日と3日続伸。
そう考えると今日はお休みして4日続落→3日続伸という方が気分的には良いかも知れません。

もっとも・・・。
戦後初の年初6日続落の年でも大納会最高値の可能性もまだある2016年。
市場の声は「気がかりなのは年初の動向。
大発会で日経平均株価は過去3年連続下落。
特に2016年は、中国経済の減速懸念で大発会としては過去2番目の下げ幅だった」。
「年初の波乱」への警戒感も聞かれるようになってきました。
一方で「来年1〜3月までは政策への『希望』は『恐れ』を上回る」というの見方もあります。
「出遅れ組の新たな買いと利益確定を狙う投資家とがせめぎ合う展開が続く」展開。
あと大納会まで4日立ち合い。
世間様の御用納めとは関係ない日々が続きます。

誕生日の翌日。
富士の裾野の154ヤードの崖越えのショートホール。
アイアンで軽く打ったボールは弧を描いてグリーンに着地
コロコロと転がってカップイン。
いわゆるホールインワン。
初体験でした。
カップインしているのにパターを持ってグリーンに向かうチグハグさ。
やりなれないことはやはり慣れないもの。
もっとも・・・。
誕生日の翌日だけに「今年は良いかも・・・」。
しかし、来週からは新年。
微妙な心理の「掉尾の一振」でした。
火曜前場は今年最終日。
良い酉年をお迎えください。
(櫻井)

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最強の5日間

iwamoto |2016/12/26 7:28 am

 クリスマスと有馬記念が終わって今年の暦も残り6日間。証券取引所での立会いは5日間となりました。

 私が調べたわけではありませんが、年末最後の5日間の日経平均騰落は1994年以降の22年間で19勝3敗という圧倒的に高い勝率(26日付け日本証券新聞より)を記録しているそうです。いわゆる「掉尾の一振」というわけです。

 この現象。参加者が少なくなって商いは細るものの、年末特有のポジション整理がクリスマス前で一巡し、むしろここから逆に「株を枕に…」型のしっかりした買い物が入りやすくなる−という需給関係から説明ができるでしょう。また、その年が良くても悪くても「来年に期待したい」という市場心理が働くのかもしれません。

 以前も書きましたが、12月26日は実質年間最強の「上昇特異日」(40勝14敗=勝率74.04%)。掉尾の一振への入り口、トランプラリーへの期待人気が持続する週の週明けとして、アノマリーを再演するかどうか注目しましょう。
 ただ、米国、カナダ、ドイツ、フランス、スペイン、英国、シンガポールなど多くの市場がクリスマスの振替休日で休場となります。

 先週の米国市場はダウ工業株が金曜日に3日ぶり反発。週を通じてはプラス。前週比0.5%高と7週連続のプラス。S&P500が0.3%高、NASDAQが0.5%高、ラッセル2000が0.5%高と、上昇率は小幅。「米国株には黄信号」とバロンズ誌にありました。

 ただ、米国にも「年末5日間の法則」があるようで、同誌には「1928年以降の歴史を振り返ると、S&P500指数は年末5営業日に平均1.14%上昇しており、それ以外の時期の平均値0.14%と比較すると十分に上昇している」という記録が紹介されています。

 また、(1)米司法省が住宅ローン担保証券の不正販売問題でドイツ銀行、クレディスイスと和解。(2)公的支援を申請した伊モンテ・パスキに対し、伊政府が救済を決定。EUも支持−と、懸念材料になっていた欧州銀行について、明るい材料が伝わっています。(イワモト)

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中国からお金が逃げて行く

k.nakajima |2016/12/22 8:27 am

中国の個人が年間に許されている外貨への両替は5万ドルです。 今までは本人のみならず親族の名前を使った外貨送金が許されていましたが、今年からは本人のみに厳しく規制されています。 そこで彼らが飛びついたのがビットコインです。 直近の報道では11月のビットコインの取引高は1億7471万ビットコイン(1ビットコイン=780ドルで約16兆円)と過去最高を記録しています。 そしてその90%が中国の個人が占めたというから驚きです。 今の所ビットコインには規制が掛かっていませんが、業者では一人当たり一日の送金上限を200ビットコインに止めているようですが、それでもドルにして15万ドル相当は簡単に送金できる事になります。 ビットコインの価格は大きく変動しますが、中国の個人に取ってはリスクを取っても資金を外に出すことを優先しているのです。 同じく海外で販売される外貨建ての積立型保険商品も、今の所規制が掛かっていないため個人の人気を集めているようです。

11月までの1年間でおよそ1兆ドルの資金が流出したと言われています。  サックリとその半分は中国企業の海外M&A、および個人の海外での爆買い、残り半分の5000億ドルは資金逃避と言われています。 こうした資金の流失は外貨準備の減少に直結しています。 2014年6月に過去最高の4兆ドルを誇った外貨準備も11月末には3兆0516億ドルまでおよそ1兆ドルの減少です。 これで5ヵ月連続の減少、且つ10月末比▼690億ドルの大幅なものです。 こうした状況から更なる外貨交換規制の可能性が高まっています。 年が明けると改めて5万ドルの外貨交換が出来るようになるため、規制強化を懸念する個人の外貨送金が1月から急増する可能性があります。 その結果1月の外貨準備が大台の3兆ドルを割り込む可能性が高まっています。 現在1ドル=6.95元で膠着している為替も、どこまで持ちこたえることが出来るか試される展開になります。 外貨準備3兆ドル割れ、対ドルで7元台に突入する為替を目の当たりにして個人の資金逃避が加速する恐れがあります。 2017年の不透明要因としてトランプ大統領の政策を指摘する声が多いのですが、より直接的に具現化するのは中国問題かも知れません。 朝令暮改的に変わる当局の規制に対して中国国民の対応は、何が何でも資金を海外に逃避させその規制の網から逃れることに尽きる様です。
(中嶋)

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2017年の相場展望(その1)

k.suzuki |2016/12/21 7:52 am

クリスマス休暇を前にして、12月20日(火)のNYダウ工業株30種平均が史上最高値を更新しました。「トランプラリー」が始まって以来、これで何度目の最高値更新なのか、もう数えられません。史上初の2万ドルの大台乗せが目前に迫っています。

2016年も大詰めを迎えておりますが、今年は本当に予想外のことが頻発しました。原油安、マイナス金利、英国のEU離脱、1回だけにとどまったFRBの利上げ、東京都知事選、豪雨・洪水・竜巻・干ばつの頻発、広島カープのリーグ優勝、そしてトランプ大統領の誕生。

悪いことばかりではありません。中国経済が思いのほか回復過程に入っていることも、世の中に流布していた大方の予想を裏切ることとなりました。そういえば、鹿島アントラーズのクラブW杯・決勝進出、レアル・マドリーを延長戦まで追い詰める、というビッグニュースまでありました。

日経平均も年末には1月の高値を更新し2万円の大台に迫っていますが、このような結果になったことを「当てた、外した」と議論してもさほど意味はありません。議論や予想の前提になる世の中の見通しをすべて外して、結果だけを議論してもあまり有意義な内容にはなりません。

来たる2017年。何が起こるのでしょうか。まったくわかりません。現在の株高、金利上昇の背景となっている「トランプノミクス」の全貌が明らかになるのはまだ1カ月以上も先のことです。今さらながら資源エネルギー価格の上昇もじわじわと気になってきました。

現時点においてひとつ思うことは、来たる新年も何かが決定される、何か新しいことが始まるという時は、いずれも今年と同じように「僅差で決まる」ことになるのでしょう。英国のEU離脱の投票結果が52対48のギリギリの差だったように、また米国の大統領選挙でも獲得した選挙人数と総得票数が逆転しているように、片方の陣営の一方が圧勝するという形は存在しないという現実です。

それだけ物事はこじれており、利害関係と世論の対立が拮抗している状態はこれからも世界的に続くことになります。そういう社会では意思決定の結果がどのように決定しても、常に不満がうずまいて満足は得られません。格差社会が深まると物事は前に進みにくくなります。そういう社会に1本の道筋を示し、活を入れたのがトランプラリーのようにも感じます。

まだ当分は揺れ続けそうですね。企業経営は確かにむずかしくなりますが、こういうときほど案外、意外なほどの成長企業が出てくるようにも思います。肝心な点は、確固たるリーダーシップです。2017年はひとにぎりの個別銘柄への選別物色がさらに加速するようにも思います。
(スズカズ)

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「アレコレ」

e.sakurai |2016/12/20 7:20 am

先週の日経朝刊「スクランブル」で見かけた見出しは「群れない投資のススメ」。
「コンセンサスに挑戦する投資家がいる。
足元の展開に懐疑的な一部投資家は、あえて時流に乗り遅れた不人気株をコツコツ拾う」。
群れない投資と言うのは言い得て妙でした。
興味深かったのはクレディスイスの分析。
機関投資家の保有が多い銘柄群(人気株)と少ない銘柄群(不人気株)。
運用リターンは不人気銘柄群で運用し続けた方が好成績だったそうです。
「相場が大きく上下に振れると活躍するのは不人気銘柄」とも・・・。
投資家の保有が少ない方が軟調局面でも投げ売りが限定的で下がりにくいという論理。
「直近の保有」とした方が良いのかも知れませんが、まあ そうでしょう。
一方で驚きをもたらす材料を契機に上がり始めることが多いしトランプ相場がまさにコレだという。
そこで新たに不人気になった高ROE・好業績銘柄をコツコツ拾う投資家もいるという話。
群れる群れないではなく「完全に正しい投資理論はない」ということ。
群れた投資は実はパフォーマンスが悪い筈。
必要なのは付和雷同せず自分の投資を貫くこと。
機関投資家というサラリーマン投資家には難しいのだろうが・・・。

個人投資家さんから頂戴したメール。

「チャンスは誰にでも一度は訪れ、そのチャンスを掴むも逃すも自分次第。
またそのチャンスをどこまで大きくできるかも自分自身にかかっています。
人間が成功する条件というのは、個性的なタレ ント(才能)、それを磨くためのハードワーク(努力)、
そして人知を超えたチャンス(運)。
チャンスが来たらやろう。
じゃなくてチャンスが来るためにやろう。
人は追い込まれないと深く考えないし、そういうプレッシャーの中でしか真の実力は養えません。
曖昧で答えのわからない状態というのは誰にとってもつらいものですが、
私はそういう局面こそ強くなるチャンスだと常に考えるようにしています。
一生迷ってろ…!そして失い続けるんだ・・・貴重な機会(チャンス)」。
ファンドマネージャなどよりもよほど蘊蓄があります。

もう一つ市場関係者さんの名言。

「テクニカルはマーケットの領域。
ファンダメンタルズは人間の領域。
人間もバカにしたものではありません。
テクニカルの転換をもたらすのは人間。
人間のトランプノミクス期待でトレンドが変わりました。
この世はシンプルです。
相場もシンプルです。
そうじゃなかったらウソ。
相場が強いのはウソてはなく現実。
トレンドが崩れるまでこの上げトレンドは続く」。

「倍返し」という視点は大和のレポート。
まずは日経平均。
17613円(4/25) →14864円(6/24)の押し幅▲2749円。
倍返しは20362円。
そしてNYダウ。
18351ドル(2015/5/19)→15370ドル(2015/8/24)の押し幅▲2981ドル。
倍返しは21332ドル。
NYダウと日経平均のアベノミクス相場以降の差は平均900ポイント程度と。
加えてNY市場の税と株価の関係を興味深く分析。
米投資雑誌バロンズの記事は「1月初めの相場に注意」。
「トランプ氏は所得税の最高税率を39.6%から33%に下げることを提案。
来年決定すれば1月に遡っての適用が期待される。
利食い売りは年明けの方が得になるかもしれないので、今は利食いが止まりやすい。
税率が下げられるかもし知れない現状。
1月1日以 降に売れば2018年4月の納税期限までキャピタルゲイン税の支払いを様子見できる。
今は強気の群集はポジションを減らさないだろう」。
つまり・・・。
「来年、個人は所得減税が行われる可能性があるので、来年になってから利食いを入れた方が得になる可能性大。
今は売りが止まっている」。
よって表題は「1月初めの相場に注意」。
バロンズの記事が米国内で広まる結果→減税とは関係がない機関投資家の動きを想像すると・・・。
「年初からの個人の売りを見越して先回りの売りを出す懸念」。
もっともその先には5月頃までの30兆円に及ぶ税還付の買いというユーフォリアもあるます。
「新債券王」の異名を持つダブルライン・キャピタルのガンドラック氏。
因み に09年創業のダブルラインの運用資産は1000億ドルを超えるという。
言っていることは・・・。
「トランプラリーはもうすぐ終息するだろう。
都合の良い解釈に市場は転じたが現実には財政支出の効果は当分先。
投資家は幻滅し市場は一進一退が続くだろう。
中低所得者は使うお金がない。
富裕層は反トランプが多く消費を増やす雰囲気ではない。
そして金利。
財政悪化を踏まえると今後5年で米10年債利回りは6%まで上昇するだろう。
ただトランプ政権当初の景気は期待外れの可能性大。
利上げには慎重になり1〜3月期は様子見だろう」。
ココまではポジショントークなのかも知れません。
その上で「トランプ政権で有望なのは金融株。
オバマ政権での金融 規制の見直しが想定される。
長期金利の上昇に伴う長短金利差の拡大が期待される」と。
正論と思えるのは以下のくだり。
「マイナス金利政策で金融機関の収益に打撃を与えれば実体景気は良くならない。
これがハッキリした。
欧州では長期金利がプラス圏に浮上し最悪期を脱した。
日本もそうすべきだ」。
蟷螂の斧のように孤軍で言ってきた「マイナス金利こそ悪の元凶」に援軍が登場した気がします。
「金利上昇→株安」のドグマに入った専門家が宗旨変えすることはないのでしょうか。

以下は今朝の場況。

「出遅れ物色」

週明けのNY株式市場はハイテク関連など出遅れ株中心の物色から反発の動き。
NYダウは一時19917ドルまで上昇。
過去最高値を更新する場面もあった。
もっとも2万ドル接近で上値も重い展開。
ロシアの駐トルコ大使銃撃事件やドイツでトラック暴走事件などを嫌気。
上昇幅を縮小したとの解釈も聞かれる。
「月曜恒例のM&A関連のニュースも少な目で狭いレンジ内での推移」というのが妥当なところか。
イエレンFRB議長の講演は「労働市場がここ10年近くでもっとも力強い状況になりつつある」で通過。
ほとんど話題にもなっていない。
SF映画「スター・ウォーズ」シリーズ初の派生作の観客動員が好調だったウォルト・ディズニーが上昇。
マイクロソフト、インテルベライゾンなども買われた。
「トランプ相場が続いており、2日続落する銘柄があれば、投資家は買いに走っている。
投資機会を探しているのだ」というのがNYの投資心理でもある。

「22日に期待」

残念ながら10日続伸とはならなかった昨日の東京株式市場。
「あと数円」で届かなかったのは、売り方の防御姿勢の高まりだったのだろうか。
あるいは「いいことばかりが続く訳はない」と言った悟りの展開だったのだろうか。
売買代金は2兆円割れとなっており物足りなさの残る動きだった。
日銀金融政策決定会合開催中だが話題にもならない。
年末は方向感がないながらも強いといういつもの動きに戻ったのかも知れない。
それでも新高値115銘柄は評価するべきだろう。
「一度水入りでリセット」とでも考えるべきだろう。
先週52週移動平均を26週移動平均が上抜けた。いわゆる長期のゴールデンクロス。
相場の風景は少し変わったと見て良かろう。
シカゴ225先物終値は大証日中比5円高の19375円。
明確な方向は出ていないが、昨日のような大幅安での終値ではない。
短期的には「週末22日株高の特異日のアノマリー」を待つ姿勢と考えたいところ。
(櫻井)

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強気相場まだ続く

iwamoto |2016/12/19 7:35 am

 2016年の取引、年内に残すのは本日を含めて9日となりました。皆さん、成果はいかがでしょうか。ここから慌てても大勢に影響はないと思いますが、兜町には「掉尾の一振」という言葉もありますから、最後のひと勝負に賭けるという選択もあるかもしれません。来週の月曜日、26日には過去40勝14負で勝率74.07%という、年間で最大の上昇確率を誇る「値上がり特異日」が控えていますから、今週の仕込み・来週初めの利食い−という作戦が可能かもしれません。

 とはいえ、市場の関心はもう2017年に移っています。

 今週号のバロンズ誌では、10人のストラテジストを対象にした調査を行っています。2017年末のS&P指数の予想は平均で2380。16日の終値に比べて5%の上昇が見込まれているそうです。意外に慎重な見方のようですが、過去7年間続いた上昇相場の後、それに「11月8日以来の5.5%上昇が2017年の城主分を先取りしている可能性がある」とか。注目セクターは金利上昇の恩恵を受ける金融が最大。その他、減税効果が期待できる一般消費財やヘルスケア、資本財など。「強気相場はまだ続く」とか。

 日本株についても、2017年末にかけてTOPIXが1800(16日終値比17%高)に押し上げられる可能性がある、とのモルガンスタンレーのストラテジストの見方を紹介しています。その上昇をけん引するのが外国人投資家の買い。注目銘柄は輸出株。そして、コーセー、ソニー、三井住友フィナンシャル−だそうです。

 注目すべきは中国株。政府がバブル抑制姿勢に動くなか、個人の資金が再び株式市場に向かうため、上海総合指数が40%上昇する−との超強気なストラテジストの見方が紹介されていました。(イワモト)

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日本株は強い、日本円は安い!

r.matsushita |2016/12/16 8:25 am

 一昨日は3円高、昨日は20円高、と小幅ながら日経平均は昨日までで8連騰、FRBの利上げ、NY株の反落、アジア株も総じて軟調、という中で、日本株のみ上昇、時間外の先物相場も堅調、ということで、いよいよ日本株は割安本格修正の上昇相場の様相です。

 アメリカ利上げが新興国経済にとって不安要因となる、というのは致し方ないところですが、わが日本株はさすがに「世界の景気敏感株」、アメリカ利上げ=アメリカ経済好調の証拠、ということで、日本経済と日本株には少しも懸念材料にならないようです。

 もちろんこれだけの急ピッチの上昇でテクニカル指標は軒並み過熱を示しているわけですから、近いうちに短期の調整局面が到来しても少しもおかしくないわけですが、もう日経平均1万5千円割れを心配する、などという状況にはならないで済みそうです。

 原油価格が上昇し、ゴムなどの資源価格も急騰、企業物価見通しもプラス、と、あれだけ心配された日本のデフレ状況再来が一気に消し飛びそうなのは、何とも面白いところです。

 現実の日本の経済情勢がさほど好転していないにも関わらず、まさに「期待に作用した」デフレ脱却ということになります。

 日銀が金融緩和しても払しょくしきれなかった日本の「デフレ懸念」が、今はまだ職に就いてもいないトランプという人物のふるまいだけで消し飛んでしまいそうに見えるのは、さすが大国アメリカの次期大統領ということでたいしたものです。

 トランプへの期待→世界の投機マネーに作用→仮需発生→原油・資源などの価格上昇、という流れが発生したということでしょう。(もちろん、米景気の堅調、OPECの減産合意、などもあって、ということですが。)

 今週の米金利引き上げで、これで今年末までの大きなイベントはほとんど出尽くしたように思います。願わくは、年末までに日経平均の数値がダウ平均を抜くこと、目先相場の反落はあっても、幅広い循環物色につながること、でしょうか。(日経平均に比べればジャスダック平均などはあまり上がっていないわけですし。)

 それから、期待だけに終わらずトランプ氏の政策(トラノミクス)が現実に成果をあげること、日本がトラノミクスをうまく活用できること、でしょうか。

 ただ、たぶん来年以降のことですが、日銀が今やっている「金利のコントロール=10年債利回りをゼロ近辺に釘付けする」が難しくなるかもしれない、という点は注意して見ておくべきだろうと思います。アメリカの金利が継続的に上昇して行くときに、日本への影響は為替相場の円安だけです、というわけには行かなくなる局面が出て来る可能性が強いからです。

 景気好転→金利上昇、であれば、それは「よい金利上昇」ですが、景気はさほど好転しないのに金利上昇となれば、それは「悪い金利上昇」になってしまい、景気拡大の足かせとなりかねません。わが国が名目GDP600兆円に向けて着実に歩を進めることが投資家の期待でしょうから、悪い金利上昇に陥らないよう願いたいところです。

平成28年12月16日
証券アナリスト
松下律

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アパートバブル

k.nakajima |2016/12/15 8:28 am

本日(12月14日)の日経新聞は、金融庁が銀行によるアパート融資の過熱を警戒、空室リスクに警鐘を鳴らしていると伝えています。 アパート建設の主役は団塊世代でその動機は相続税対策との説明です。 

2015年1月施行の税制改正相続における控除の算出が、従来の「基礎控除5000万円+法定相続人×1000万円」からそれぞれ3000万円、600万円に引き下げられ、これまでの6割程度に縮小されたことが背景に有ります。 それを補う為、より良い相続時の節税対策を求めてアパート建設に乗り出したのです。 資金は銀行融資でアパートといっても木造だけではなく、鉄筋コンクリート作りになると平均1億円程度の費用になり、全てを銀行借り入れに頼ります。 返済は賃貸料を当て、一般的には建設を請け負った業者が一定期間の賃貸収入を保証する様です。 又相続時の評価も土地は公示価格の80%程度、建物は建築費の50〜70%に割り引かれるようで、賃貸物件であれば割引率はさらに大きくなり、格好の節税対策として人気を集めているのです。

一方銀行からは、担保がしっかりしており、一軒当たりの融資額も相対的に大きく又貸出金利も1%程度と住宅ローンの0.6%より高いのが魅力です。 こうして借りてと貸し手の思惑が一致し、その結果2015年からアパート建設が首都圏中心に急増し、供給過剰状態から首都近郊県のアパートの空室率も30%を下回っていたものが34〜35%まで急増しています。  又建設業者の家賃保証も一定期間を過ぎると空室率に応じて引き下がることが一般的で、賃貸料で返済を賄えない事態も出てきています

更に2022年問題が追い打ちをかけます。 都市部に見られる生産緑地制度の終了です。 主に3大都市圏に農地を残す目的で1992年に制定されました。 生産緑地の指定を受けると、固定資産税の軽減や相続時の納税の猶予など優遇措置を受けられますが、農業を営むことが条件です。 指定から30年経過すると農家は自治体に農地の買い取りを請求できますが、自治体に余裕がない場合は地主は自ら売却、賃貸による土地活用を考えることになります。 3大都市圏には現在1万3000任寮源採价呂有りますが、このうちの80%が2022年に指定から30年を迎えます。 金融庁の目指す顧客本位の金融機関の行動原則に照らし合わせると、顧客に禍根を残すアパートバブル及び銀行の融資姿勢は見逃すことが出来ないのでしょう。
(中嶋)

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調査ファイルがいっぱいになったら売れ

k.suzuki |2016/12/14 7:45 am

NYダウ工業株がとうとう7日連続で史上最高値を更新しました。年初からの上昇率は+14%に達しており、先進国・新興国を合わせてもその上昇力は群を抜いています。大統領選挙から始まった「トランプラリー」は、ついにクリスマスラリーに変質しつつあります。

すべての変化は11月8日(火)に始まりました。ウォール街ではよく「ハロウインから感謝祭の間に株を買え」と言い交わします。晩秋の始まり、今年に関してはまさにその格言どおりの展開となりました。そして有名な「5月に売り抜けろ」に続いてゆくのです。


ウォール街の相場格言と言えば、もうひとつ有名なものに「調査ファイルがいっぱいになったら売れ」というものもあります。投資にリサーチは不可欠ですが、調べて調べて調べ尽くしたらそこは売り場だ、という教えです。

トランプ政権の閣僚人事は、最後まで残った国務長官のポストにレックス・ティラーソン氏の就任が決まりました。かなり難産だった様子ですが、これで1期目のオバマ政権と同様に、クリスマス休暇前までに重要閣僚人事のほぼすべてが決定したことになります。

ひょっとしたらこの事実こそが「調査ファイルがいっぱいになった」最初の事例なのかもしれません。しかし一方では、まだこんなのは序の口だとの意見も聞かれます。閣僚人事の大枠が定まっただけで、実際に政権がスタートしたわけではなく、調査ファイルの充足度合いで言えば、経済政策の部分はほとんどからっぽの状態のままです。

いったいいつまで現在のトランプラリーは続くのか、市場参加者はすっかり高所恐怖症に陥っています。実際に発表される大統領選挙後のアメリカのマクロ経済統計が驚くほど好調なものが多いだけに、株価の騰勢はまだしばらくは現在のまま続くとみておいた方が無難のようです。

年の瀬に際してアメリカという国の底の深さ、奥行きの広さを思い知らされました。いずれにしろ、トランプ新政権は従来の伝統的なアメリカの経済、外交政策を大幅に変更する気でいることは疑いの余地はありません。行く手を阻むものも多く、リスクも変動率も高まるでしょうが、それはそれで非常に興味深い世の中がやってきたものです。

今夜から明日にかけてはイエレン議長の記者会見ですね。他人事ではありませんが、しっかり目を見開いて新しい年と新しい政権の行方を見つめてゆきたいものです。
(スズカズ)

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「必ず外れるものならば・・・」

e.sakurai |2016/12/13 7:41 am

「前場の高値は昨夜の余韻、後場の高値は明日への序章」。
トランプラリー以降の株式市場の心理でしょう。
そして「チャンスを活かせなければピンチになる」。
野球でもラグビーでもターンオーバーやゲームの傾きはふとした瞬間に感じるもの。
ここで一気呵成に高値を取りに行かなければ、また「永遠と思えた低迷」に戻ってしまうもの。
点を取れるときには取っておくのがスポーツ。
これは株式投資でも一緒でしょう。
過熱感と踏み上げの競い合い。
どちらが勝つかで来年前半は決まってきます。

「戦略の失敗は戦術では補えず、戦術の失敗は作戦では補えない」。
ある先輩の言葉。
つまり現状認識に基づいた明確な目標が投資にも必要ということ。
曖昧模糊とした投資では儲からないということ。
あるいは「戦略を描く上で、最初から偶然性頼りの大儲けは構想すべきではない。
まずは、手堅く利益を積み重ねることを考える。
そして、最初に描いた構想がどうしても無理ならば、自分の稼げる範囲内の勝負を考える。
それもまた無理な場合には最終手段として大儲けを考える、という順序になる。
戦略は自分の置かれた状況に合わせ描くべきものである」。
かなり深いもの。
そもそも・・・。
相場の方向を当てることはかなり難しいもの。
だからといって相場の方向を外すことも同様に難しいもの。
「当たらない」のと一緒で「外れない」。
かならず外れるものならば話は簡単なのでしょう。

今日と明日は東京国際フォーラムで野村個人投資家フェア。
17時からヤマシンフィルタのブースで大喜利。
どうせなら学生時代に落研だった方がよかったかも・・・。

以下は今朝の場況。

「実質はマイナス感」

NYダウは」6日続伸で過去最高値更新。
OPEC加盟国とロシアなど非加盟国の減産合意を受け原油先物相場が上昇。
エネルギーセクターがけん引役となった。
ただゴールドマンやJPモルガンなど金融セクターは利益確定売りも散見。
「相場の重石となった」との解釈もある。
NASDAQ総合株価指数は7営業日ぶりに反落。
ソフトバンクグループらが設立する投資ファンドへの出資検討を報じられたアップルが下落。
フェイスブックやアマゾンなどネット関連株も下落した。
中小型株中心のラッセル2000指数は1.15%の大幅安。
ダウが20000ドル手前での「お預け」だったが中小型株は売り物を浴びたという格好だ。
一応FOMCを前に積極的姿勢は見送られたということだろう。
VIX(恐怖)指数は12.58まで急反発。
ドル円は116円12銭から114円85銭へ急落。
10年国債利回りは一時2.5%を超えていた。ダウ輸送株指数は大幅安。

「久々に日銀出動?」

昨年末高値を更新した昨日の東京株式市場。
日経平均は5日続伸。
売買代金は3兆3144円と3日連続の3兆円超え。
新高値は先週末の293→313銘柄に増加した。
気になるのは過熱感。
騰落レシオの151.97%、25日移動平均からのかい離はプラス6.11%。
「日足の罫線が3空」という指摘もある。
銀行・資源・商社などトランプ追い風セクターが軟調で食品などが堅調。
「物色セクター変化の兆し」という見方も登場した。
シカゴ225先物終値は大証比125円安の19065円。
もっともSQ値18867はまだ下にあり、対SQ値3連勝にはなろう。
前場は昨日海外市場の余韻、後場は明日への序章であるならば、大引け間際に期待というところだろうか。
久々に日銀のETF買いを見たい気がしないでもない。
(櫻井)。

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今年も残り14日。イベント盛りだくさんの週

iwamoto |2016/12/12 7:50 am

 12月第2週。2016年の相場も残り3週間となりました。特に今週は13日〜14日に米FOMC、14日に日銀短観発表、15〜16日に安倍・プーチン会談、15日に米トランプ次期大統領の記者会見…と重要日程が目白押し。いずれも2017年相場へ向けて影響度の大きなイベントになりそうです。

 日経平均は先週、一時は1万9000円回復。年初来高値更新となっていますが、海外時間でドル円が115円台に乗せてきた為替市場の動きを見ると、1万9000円台での展開に期待が高まることでしょう。OPECとロシアなど非加盟主要国の間で協調減産が合意に達したことも株式市場にとってはプラス材料。これは9日の米国株式市場も織り込んでない材料ですから、最初に日本株が消化することになります。

 さて、この時期になると、来年の話をしても”鬼が笑う”などとは言われないでしょうから、干支話です。以下に、過去5回の「酉年」相場の成績とその年の出来事を上げてみました。

 5回のうち4回上昇ですから勝率8割。これは「申」、「戌」、「亥」と並んで十二支の中でも最強年。5回の平均上昇率は15%ですから、これもまずまず(今年が1万9000円で終わるとすれば、15%上昇で2万1850円ということになります)。

 年間プラスだった(2)〜(5)の年に共通なのは海外からの日本株買いが話題になったり、実際に大量買いが流入したこと。1969年はまだ統計がありませんが、市場では海外からの日本株買いが話題になっていましたし、1981年は日経新聞が「サウジのソニー買い」を報道し、騒然となりました。1993年、2005年には1兆円規模での買い越しとなりました。では、2017年は…ということです。

 60年前の1957年のマイナスが気になりますが、株価の記録を調べてみると、この年は6月5日〜15日、12月28日〜58年1月14日に、日経平均がそれぞれ10日連騰を記録しています。この10連騰という記録はそれほどあるものではありません。この6月はこの年に高値を記録。翌年から「岩戸景気」相場へと上昇に転じます。いわば”つなぎ”の年でした。

<過去の酉年相場>
(1)1957年 ▲13.6%
・神武景気の反動調整期(なべ底不況 57年6月〜58年6月)、58年後半に景気底打ち「岩戸景気」(59〜61年)へ。
・第1次岸信介内閣成立、在日米地上軍撤退開始、岸・アイゼンハワー会談「日米新時代」
・ソ連「人工衛星スプートニク1号打ち上げ成功
・ソ連と米国「大陸間弾道弾ICBM」実験に成功
(2)1969年△37.6%
・いざなぎ景気
・米アポロ11号月面着陸に成功
・「ドレイファス」大量買い
・証券保有組合凍結株の放出完了
(3)1981年△7.9%
・仕手相場の終焉・国際優良株相場
・「サウジ、日本株大量買いへ」、オイルマネー流入
・米レーガン大統領就任
(4)1993年△2.9%
・過去最大の経済対策、バブル崩壊後の反騰相場
・自民党55年体制崩壊、細川政権発足
・皇太子ご成婚、円高、冷夏
・外国人買い越し1兆3800億円と前年比6割増
(5)2005年△40.2%
・郵政解散・自民党圧勝
・愛知万博、ライブドアによるメディア買収騒動、惑星探査機「はやぶさ」がイトカワ着陸
・中国で反日デモ、「竹島の日」
・外国人買い越し1兆300億円と前年比35%増

(イワモト)

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やや人工的な感じですが

r.matsushita |2016/12/09 8:16 am

 一昨日、昨日辺りの日経平均先物の動きを見ますと、SQ値を意識した売買がかなりあったのだろうなと思わせるものがありました。行使価額を挟んでイン・ザ・マネーになるか、アウト・オブ・ザ・マネーになるかでは、損益がくっきり違ってくるのですから、できるのであれば自分のポジションに有利なように相場を動かしたいと思うのは当然でしょう。(できるかどうかは分からないわけですが。)

 今年の前半であれば、「売りを仕掛ければ」追随売りが出る、ということで相場を下押ししようという投機的な資金がいたでしょうし、今であれば「買いを仕掛ければ」追随買いが出やすい、ということで相場を上に振らす、というわけで変動の増幅が起きることが多い(多かった)ということになるのでしょう。

 昨日の相場で、出遅れた国内勢(個人及び機関投資家)が買いを入れたといったコメントが出ていましたが、本当なのかどうか、よく分からないところです。

 短期的な相場変動を増幅してしまう投機的な資金が市場を支配してしまうというのは望ましいことではないのでしょう。しかし、株価水準からしますとようやく日本株は昨年末の水準に近づいた、ということでひとまず安心領域に到達したように見えます。

 トランプ・ラリーで日経平均は15%ほど上昇しました。円ドル相場もほぼ同じ上昇率を示しています。ということは、日経平均は米ドル建てで見ればほとんど上がっていない、ということになります。日本株が上がったのではなく、円が安くなっただけだ、ということは日本株は上がったのか上がらなかったのか?よく分からない感じもします。

 日本株相場と円ドル相場がリンクするようになってずいぶん経ちます。ドル建てで取引される資源の価格がドル相場の変動の影響を受けるというのと違って、日本株相場が円ドル相場と完全にリンクする、というのはなかなか理解しがたい現象です。(海外の投機資金の影響力の大きさ、日経平均先物の存在、などが原因となっているのだろうと思われますが。)

 一昨日、昨日のような相場になりますと、個別銘柄ごとの動き、といったことがどこかに飛んで行ってしまうというのも白けた感じのもとになるようです。

 とは言え、外国人の売りで相場が崩されるのを見ているしかない、といった相場付きからは脱出できたのでしょうから、今後、買いの矛先がいろいろな方向に拡大して行くことを期待しようという気になる市場参加者が増えるでしょう。

平成28年12月9日
証券アナリスト
松下律

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アメリカのミレニアル世代

k.nakajima |2016/12/08 8:06 am

一般的な定義では、21世紀に18歳になった世代を指します。 現在18歳から35歳が対象ですが、データーが取れる2014年当時では約7000万人、アメリカの総人口の20%を占めると見られています。 この世代はまさに2000年のITバブルの崩壊と共に世間に投げ出され、金融危機、気象問題、格差拡大、失業問題の荒波に翻弄された世代と言えます。 一方ITと共に成長したデジタル世代でもあります。 つまり欲しい情報はネットから瞬時に入手し、交流サイト(SNS)を通じて交遊の輪を広げてきました。 消費に於いても企業の誘導的な広告ではなく、SNSを通じた評価を重視しています。 又、物を所有するより借用することを厭わない世代でもあります。 特にこの世代は学生ローンの負債を多く抱えており、親との同居も当たり前になっているようです。 つまり消費しない世代と言えます。

一方この間、アメリカの消費を支えてきたのが戦後のベビーブーマー世代です。 1946年〜1964年に生まれた7800万人で人口のほぼ30%を占めます。 2015年までに全てのベビーブーマーは50歳に到達しています。 この世代は7兆ドル(800兆円)の金融資産を持ち、依然として可処分所得の50%以上を占め、余暇の旅行の80%はこの世代が行っています。 ただ指摘したように年齢的には既に52歳〜70歳であり、毎年多くが現役を引退しています。 収入の高い世代が引退し、給与の安い若年層に雇用が移る為、どうしても単位当たりの給与が伸びなくなっています。 これを労働市場が依然として回復していないと指摘する声が有りますが、こうした構造変化が一番の理由ではないでしょうか。

さて使わないミレニアル世代は住宅市場にも影響を与えてきました。 2014年時点で25〜34歳までの住宅保有率が36.9%と、ピークの2006年から10ポイント近い落ち込みになっています。 その一方で低金利がじわじわと若年層の住宅購買を刺激し始めている兆しも見えます。 今年に入り住宅購入の40%以上がミレニアル世代との指摘もあります。 更に学位取得による長期的な家計に与える経済効果は、住宅ローン支払いの短期的な悪影響を上回るとの調査結果も出ています。 ベビーブーマー世代からミレニアル世代に如何に消費活動のバトンを繋ぐかトランプ政権の大きな課題の一つと言えます。
(中嶋)

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VIX指数が低下、今年最低値に接近

k.suzuki |2016/12/07 7:55 am

VIX指数。恐怖指数とも呼ばれ、いまやマーケット関係者の間では知らない人はいないほどの存在です。

VIX指数とは「ボラティリティ・インデックス」の略称で、CBOE(シカゴ・オプション取引所)がS&P500を対象としたオプションの価格を元に算出しています。VIX指数が上昇する過程ではヘッジとしてのオプションの需要が急増し、オプションの価格も大きく変動していることから、株価に大きな変動が迫っていることが多いものです。それが恐怖指数と呼ばれる所以です。

そのVIX指数が昨日は「11.79」まで低下しました。これは最近では久しくないほどの低い水準です。近いところでは、今年8月9日の「11.02」、8月19日の「11.33」、7月20日の「11.40」という安値がありますが、今回の値はこれらに迫る今年最低レベルということになります。

VIX指数はボラティリティそのものであり、ボラティリティとは標準偏差(平均値からの散らばり具合い)ですから、無限に大きな数値にはなりませんしゼロにもなりません。変動幅には限界があり、ある一定の値に近づくと反転します。その習性を利用したテクニカルツールがボリンジャーバンドです。

VIX指数が今年の最低値に接近しているということは、それだけ値動きの荒さ、不確実性の度合いが薄れていることを表しています。トランプ・ラリーでNY市場は史上最高値を更新ししており、不思議なことに世の中はなんとも安泰です。

しかしそれと同時に、VIX指数が下限に接近しているというととは、それだけ近い将来に急反転することもありうると予想することができるわけです。

オプション取引は保険の保険という仕組み上、価格変動の理解がむずかしいものです。ただ、VIX指数の数値が跳ね上がった時に(恐怖の度合いが増した時に)大騒ぎをしても、ほとんどが事象の後追いであまり取引には有効ではないことが多いのも事実です。

上がればいいのか、下がればいいのか、新しい事象には慣れるのもたいへんですね。
(スズカズ)

コメント(19)

「49倍?」

e.sakurai |2016/12/06 7:56 am

もしも相場に極意みたいなものがあるとすれば・・・。
それは「限界を知る」ということなのかも知れません。
200日移動平均からの45%かい離。
25日移動平均からの5%かい離。
あるいはPER無限大とかPBR1倍割れ。
信用評価損率がプラスとか騰落レシオの60%割れ。
裁定買い残高が裁定売り残高と逆転。
紙芝居に表現された点が描く画像の位置などがその要素でもあります。
つまり「山より大きなイノシシはいない」ということ。
換言すれば「見えない影に怯えさせよう」というシナリオにまんまと乗って騒がないこと。
あるいは「巨大な幻影に期待感を抱かせよう」というシナリオに踊らないこと。
そういう意味で「限界を知る」。
株を売りたい人は強気になり、株を買いたい人は弱気を吐く。
そんなパラドックスにまみれて「他利」の対局にあるのが相場。
相当性格が悪くなければ実行できないのかも知れません。

そういえば・・・。
以前先輩と交わした会話にこんなのがありました。
「今のPERは連結。
1970年代の東京市場はすべて単体PER。
それを同一視して論じるのは茶番だろう。
バブルの崩壊は日本株のPERが60倍台まで買われ、絶対水準の49倍を超えたところからスタートした。
当時の日本株の特徴であった株式持ち合いによるPER押し上げ効果はほぼ23倍。
すなわち絶対水準はやはり49倍であった」。
PERの絶対水準49倍に拘れば今の日経平均を当てはめると何と81634円。
計算だけは可能なものです。

以下は今朝の場況。

「過去最高値更新」

週明けのNY市場は反発の動き。
NYダウは45ドル高の19216ドルと過去最高値を更新した。
GSの株価上昇で一時100ドル超上昇した場面もあった。
NASDAQ、S&P500指数ともに続伸。
ハイテク関連銘柄も市場をけん引した形。
VIX(恐怖)指数あh12.14%まで低下した。
結局イタリアの国民投票の影響は限定的というかほぼ見えないフリ。
イタリアの金融システム不安が増加したのにGSやJPモルガンの株価が上昇。
英国のEU離脱、トランプ当選同様にイベントは通過することが大切だということを再認識させてくれた。
ISM非製造業景況感指数が市場予想を上回り昨年10月以来の高水準を回復したことも追い風となった。
「NYダウはこの1カ月間で約1200ドルの上昇。
中核となったのはGS。
26.5%上昇し、NYダウを320ドル押し上げた。
医療保険ユナイテッドヘルス・グループは15.7%上昇し、押し上げ効果は150ドル。
キャタピラーが17.3%上昇。
押し上げ効果は95ドル。
JPモルガンの押し上げ効果は約90ドル。
結局、値がさの金融・ヘルスケア株が指数を押し上げた」との指摘もみられる。
一方で昨日軟調だったのはアップル。
「アップルウオッチ」の10〜12月期の出荷台数が前年同期比で7割減になると観測を嫌気した格好。
1950年以降、S&P500は12月は最も勝率が高い月。
NYダウは2番目に高いのが12月。

「反発期待」

一応イタリアの国民投票の結果を受けたファーストマーケットとしての東京市場。
いつもながらのネガティブ反応ではあったが下落幅は限定的だった。
日中取引が終わった夜間取引では急騰とも言える動き。
シカゴ225先物は一時18570円まで上昇。
終値は18405円だがそれでも反発の展開。
ドル円も114円70銭台を見てから113円台後半。
最後の一葉のように落ちそうで落ちない動きとなっている。
昨日の下落で25日移動平均からのかい離はマイナス2.9%まで低下。
サイコロも8勝4敗(66.7%)まで低下した。
雇用統計だギリシャだ中国だと外部材料で騒いではいるものの、
結局起きているのは25日線からのプラスかい離が限界値に行ったところで25日線の上昇を待っているということなのだろう。
メジャSQ週だけにロールが進む先物の展開。
加えて日銀のETF買いは11月の707億円から742億円に増加。
年始からの累計の買い入れ回数は82回。
購入金額は3兆7884億円。
年内の買い入れ目標を4兆1250億円と仮定すればあと3366億円。
回数にすると4.5回という計算もあるが、いずれにしても6兆円まではいずれ買うことだけは間違いない。
2000年以降の日経先物の12月の騰落率は10勝6敗で勝ち越し。
ただ14年、15年と連続で負け越しているのが気にかかる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「千両みかん」

ある呉服屋の若だんなが急に患った。
大切な跡取り息子。
両親も心配してあらゆる名医に診てもらう。
しかし答えは「これは気の病。何か心に思っていることが叶えば全快する」
と言うばかり。

だんなは番頭を呼んで、
「おまえはせがれを小さい時分から面倒を見ているんだから、
何を思い詰めているか聞き出してほしい。
何だろうとせがれの命には換えられないから、
きっとかなえてやる」
と命令した。

若だんなに会って聞きただすと、
「かえって不孝になるので、言わずにこのまま死んでいく」
と、なかなか口を割らない。

「必ずどうにかするから」とようやく白状させてみたら、
「それじゃ、おまえだけに言うがね、
実はみかんが食べたい」

あっけに取られた番頭からそれを聞いた旦那は難しい顔。
「とんでもないことを望むもんだ。どこにみかんがある」

それもそのはず、時は真夏、土用の八月。
ハッと気づいたがもう遅い。

「おまえが今さら、ないと言えば、せがれは気落ちして死んでしまう。
江戸中探してもみかんを手に入れてこい」。
と脅され、番頭は、片っ端から果物屋を当たるが、
今と違って、どこにもあるわけがない。

しまいに株屋に飛び込む始末。

同情した営業マンから、
はごろもフーズに行けばひょっとすると、
と教えられ、ワラにもすがる思いで問い合わせると
「あります」
「え、ある?」
「でもこのミカンは特別株主優待用なのでお分けできません」。
どのくらい株を持てばもらえるんだい」
「千両」

……ようやく見つけた腐っていないみかんがなんと千両。

とても出すまいと思ってだんなに報告すると
「安い。せがれの命が千両で買えれば安いもんだ」

……あのケチなだんなが、みかん一つに惜しげもなく千両。
皮だって五両ぐらい。
スジも二両、一袋百両。
あー、もったいない。
喜んで食べた若だんな、三袋残して、
これを両親とお祖母さんにと言って番頭に渡す。

「オレが来年別家してもらう金がせいぜい三十両……。
この三袋で……えーい、長い浮世に短い命、どうなるものかいっ」

番頭、みかん三袋持ってずらかったという。
(櫻井)。

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