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ストックBOX/backnumber

「ラプソディ」

e.sakurai |2017/07/25 7:29 am

先週木曜の日経朝刊「大機小機」は「海外IR狂騒曲」。
事の本質を得ていました。
「外資系投資銀行に促され、あたかも遣唐使のごとく日本企業のトップたちはニューヨーク、ボストン、
ロンドン、エジンバラなど投資家の集積地を定期的に訪れるようになった」。
これは事実。
トップの体調のために電機炊飯器を担いで随行する者までいるというからまさに狂騒曲。
格好良く言えば「各社の海外IR活動の集積が、海外投資家コミュニティのおける我が国の産業や政策への評価につながる」。
これはこれで重要なことでしょう。
問題は、海外IRを重要視し国内個人投資家IRを軽視とはいわないまでも海外IRの方が一段上と見るような風潮。
場合によっては海外IRはIR部門の業務の最高峰とはき違えているようなことも散見します。
確かに持ち株比率や売買比率、ワンショットの商いの大きさを考えればそうならざるを得ないのかも知れません。
しかし・・・。
足元を見ずして海外にメッセージが伝わるのかどうかはわからないところ。
おそらくトップにはどちらが重要かなんて思考は少ないでしょう。
担当者の入れたスケジュールを消化するだけ。
しかし「狂騒曲」と揶揄までされてまで「物乞い」をする必要はないという気がします。
こんなことばかりしているから国内個人投資家向けの資料にまで英語を多用。
FYとかEBITDAというだけで理解できるほどフツーの投資家さんは英語を理解しません。
「どこを向いているのか」がそんな小さいことから察しられてしまうことに気が付かないとしたら、少し愚かしい現実。
海外では英語だけのIRをするのだから、いっそのこと国内では日本語だけのIRをしてみたらどうなのでしょう。
半ば嘲笑されながら聞かれる稚拙な英語よりはよほどメッセ─ジが伝わる筈です。
「夏が来れば思い出す。日本の企業、変な英語」なんて言われないようにしたいもの。


最近あちこちの企業が「ROIC(投下資本利益率」を重視し始めました。

★ROIC(Return On Invested Capital)
【投下資本利益率】
企業が事業活動のために投じた資金を使って、どれだけ利益を生み出したかを示す指標。
ROIC=(営業利益×(1−実効税率))÷(株主資本+有利子負債)。

★ROE(Return On Equity)
【自己資本利益率】
企業の自己資本(株主資本)に対する当期純利益の割合。
ROE=当期純利益÷自己資本
またはROE=EPS(一株当たり利益)÷BPS(一株当たり純資産)。


日経ヴェリタスの5月15日号の特集は「今度の2万円は違う」。
以下はその中で「稼ぐ会社」でのランキング。

【創出力】(前期の投下資本利益率) 
1位スタートトゥデイ(3092)17年3月期63.4%
2位カカクコム(2371)42.4%
3位ミクシィ(2121)40.9%
4位日本M&Aセンター(2127)
5位アカツキ(3932)27.0%
6位ぐるなび(2440)26.2%
7位ベネフィット・ワン(2412)25.5%
8位エムスリー(2413)25.4%
9位マーベラス(7844)24.6%
10位大東建託(1878)24.0%

ちなみに米国株式市場の平均は11%程度。
対してFANG銘柄は16%程度。
そのうち使われてくる指標でしょう。
ちなみに米国市場のPBRは約3倍。
日本は約1.2倍。
この差は「明らかに目に見えるもの」を作っているかどうか。
何もものを生み出さない企業がアメリカでは多いからこの差となってきました。
ものつくり企業が多いのがこの国の特色ですから致し方はありません。
でもものを作っても儲からないのが世界の常識。
だとしたら、少しは日本企業も方向転換が必要でしょう。
財務指標とは異なり、トップの相場観とか未来思考、人間力なんてものは数値化できないのが残念です。


7月上昇→12月上昇(7月と12月は正相関)。
これがアノマリー。
一方で4月下落→8月上昇(4月と8月は逆相関)。
これもアノマリー。
4月に上昇し7月は微妙な水準。
アノマリーはハズレて欲しいもの。
21日に黒くねじれた勝手雲。
28日に白くねじれるのが多少の期待を醸し出します。
格言は【月(足)を笑えば 相場に笑われる】
微分された日足や分足ばかり見ていると、相場を見失いがちなもの。
日本橋の上を長らく覆っていた首都高速がようやく地下化されます。
兜町に青空が戻ってくるということ。
その時を待ち望みたいもの。

以下は今朝の場況。

「NASDAQは今年41回目の史上最高値更新」

週明けのNYダウは3日続落。
J&Jが大幅に下落し足を引っ張ったほかホームデポやGSが下落した。
「前週後半に最高値を付けており今週はFOMCを控えておりひとまず利益確定」という解釈だ。
ただ無風予測のFOMCを警戒するのかどうかは微妙なところ。
何か解説しなければならない必要性からの言葉だろう。
「債券市場で金利が上昇。
通信や公益など配当利回りの高い銘柄に売りが広がった」という声も聞こえる。
とはいえ好業績のキャタピラは買われており全面的弱気ではない。
しかもアルファベットやアマゾン、フェイスブックが上場来高値を更新。
NASDAQ総合株価指数は反発し2日ぶりに史上最高値を更新した。
史上最高値を更新するのは、今年41回目。
NASDAQ100の恐怖指数であるVXNは14.59。
VIX(恐怖)指数は一時9.26まで下げて今年最低水準。
「ザラ場の史上最低水準(1993年12月27日、8.89)を視野に入れ始めた」とされる。
またモルガン・スタンレーの時価総額がGSの時価総額を上回った。
モルガンの時価総額は864億ドル。
GSは(858億ドル)。
2007年6月以来約10年ぶりの時価総額逆転となった格好。
原油先物価格は上昇。

「売り材料不足の声」

週明けの日経平均は3ケタの下落。
しかし値上がり銘柄は1061、新高値157銘柄と買い優勢の雰囲気だった。
海外株高と国内企業決算の好調見通しによる株価上昇を阻んでいるのは為替の円高だ。
NYでは111円台水準での推移。
昨日の110円台ほど悪くはない。
225先物大証夜間取引終値は日中比20円高の19960円。
25日線水準(20094円)を目指した小動きという展開だろうか。
ボリンジャ―のマイナス1σが20001円、プラス1σは20167円。
マイナス2σの19918円が下の歯止めにはなりそうだ。
「7月7日の19856円を目指すには売り材料不足」という声もある。
松井証券信用評価損率速報で買い方はマイナス3.011%と問題ないレベル。
空売り比率も37.8%と40%には乗せない決意がありそうな気配。
東証1部単純平均株価は2912円(2.05円高)と3000円をうかがうところまで上昇。
NT倍率も12.31倍と低下したきたのは吉兆とも言えようか。
日経朝刊ではマーケット商品面が16ページ目で投資情報、マーケット総合面の前に掲載されるという珍しい現象。
おそらく理由はIBMの4ページカラー広告。
「飛躍し続けるあなたへ」としてAI、クラウドなどのPR。
記事より広告が主役というのは既に常識だが、商品と株式の順番を変えたのは滅多にないことだ。
AIなどに期待するのか、商品市況するのか、判断に迷うところ。
・・・・・・・・・・・・・・

《兜町ポエム》

「夏にご用心」

夏は株価の脇を甘くするわご用心
為替が株価の裾をくすぐるのよご用心
それでも相場から離れなれない
悩ましげな悩ましげな円高くれば
誰かが不意に売付けするかも
あぶないあぶない
夏は本当にご用心 
春の高値のあとが
眩しく見える夏の後場

夏は危険な相場みたくなるわご用心
板がくちびる寄せてささやくのよご用心
それでも相場などやめられない
キラキラしたキラキラした値動きの下
素敵な株に誘惑されそう
あぶないあぶない
夏は本当にご用心
熟れた株価の化粧
こぼれて落ちる夏の後場
(櫻井)。

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EVシフト

iwamoto |2017/07/24 7:35 am

「トヨタ自動車が中国で2019年にEV(電気自動車)車量産を検討」と新聞各紙が一斉に報じています。SUV(多目的スポーツ車)で、部品は一部現地調達(これが中国政府の条件)―といった内容です。
 今月5日にはスウェーデンの高級自動車メーカー、ボルボ・カーが「2019年以降に販売する全車種をEV車とHV(ハイブリッド)車とし、気候変動に影響を与えない生産事業を目指す」と発表。翌6日にはフランス政府が「2040年までにガソリン車、ディーゼル車の販売を停止する」方針を明らかに。
 さらに、13日にはドイツのダイムラーが独南部の本社工場でEV用電池の量産工場を建設する計画を発表―とこの2週間ほどの間に、EV車とその重要部品である電池に関するニュースが相次いだことで、関連銘柄が一斉高となっています。

 例えば、電気自動車の動力源となるのがリチウムイオン電池の正極材で独BASFと合弁会社設立している戸田工業の株価はこの2週間で38.7%高。2015年5月以来の水準まで上昇。セパレーターの専業大手で、韓国LGグループ向けに大量に納入するWSCOOPが26%高、日本最大のリチウムイオン電池メーカーであるパナソニックに電解液を供給しているステラケミファが13.5%高。大型株の中でも順調に年初来高値を更新した昭和電工も負極材の有力メーカーとして知られています。今週もこうしたリチウムイオン関連銘柄が人気を集めるのでしょう。

 一方、けさのNHKニュースでは「トヨタなどの水素エネルギーの事業化を進める企業グループが東京五輪の聖火に水素を利用するよう研究開発を進めている」との報道。二酸化炭素を出さない水素の見直し。一般的な話題としてはこちらの方が面白そう。

 電気自動車よりも水素自動車の方が究極的なエコカー、というのがトヨタの立場。日本政府もそれを支援しています。ところが、海外ではトヨタの思惑を飛び越えて電気自動車へのシフトが急激に進んでいます。

 中国政府は18年以降、自動車メーカーに対しEV、FCV(燃料電池車)、PHV(プラグインハイブリッド)車など環境負荷の低い「新エネルギー車」について、一定規模以上の生産を義務づける方針。それに対応し、従来2020年以降としていたEV車の量産時期を前倒しを検討せざるを得なくなった、ということでしょう。

 代表的なエコカーといえば、日本ではハイブリッド(HV)車を指すのが常識ですが、中国の「新エネルギー車」という規制ジャンルからはHV車が外されています。この中国の規制措置について、日経は「自動車メーカー各社にEVシフトを迫る」ものだとしています。

 さて、この「EVシフト」という言葉。いつから日経新聞で使われるようになったか、日経新聞電子版を使って日経新聞の記事検索してみました。すると、2010年10月に掲載されたリチウムイオン電池の市場拡大に関連する記事(もっと前からあったのかもしれませんが…)の中で。「ハイブリッド車で後塵を拝した中国がEVシフトの流れに乗り、世界の自動車市場で覇権を握ろうとしている」といった文脈で使われていました。

 2010年といえば、米テスラ・モーターズがパナソニックとリチウムイオン電池の共同開発契約を結び、トヨタ自動車とは新EV車の開発契約を結んだ年。その当時から中国は戦略的に動いていました。

 ドイツはフランスよりもっと早く2030年に内燃機関車の生産停止を打ち出していますし、米国ではカリフォルニアなど10州でZEW(ゼロエ・ミッション・ビークル)規制が18年からスタートします。
EVシフトに追い込まれるトヨタにとっては苦渋の決断となるかもしれませんが、関連市場の拡大は待ったなし。市場の関心はこちらでしょう。(イワモト)

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再び2万円超え

r.matsushita |2017/07/21 8:10 am

 アメリカ株との比較で見てちょっと上昇が鈍いなという感じはするものの、(たぶん)そこそこ好調な企業決算(3月期決算会社の第1四半期分)発表を見ながら相場上伸、うまくすれば日経平均2万500円~2万1千円のレンジへ、といった想定でいいのではないかと思うのですが、その後については以下のふたつを考えておく方がよさそうに思います。

・アメリカ株はIT関連の成長(期待)株が相場全体を引っ張る形になっているわけですが、それらは軒並みPERが100倍クラスです。いくら何でも(将来に亘って一直線で維持できる可能性は低いという意味で)割高です。(すでに過去2,3年で大幅な増益となったその後の)向こう2年、3年の内に、利益がさらに何倍にもなるという成長はいくらIT関連の成長企業と雖も難しいでしょうから、どこかでかなりの規模の株価調整があっても仕方ないと考える方がふつうでしょう。こうした株の株価がなかなか下がらないのは、成長期待からの資金流入が継続的に続いている割りには、すでに保有していて大きな評価益を得ている既存の株主が安心してなかなか売らない、からでしょう。利食いの売りが出る程度では下げは知れていますが、どこかで大きく下落して、最近買った投資家が損を承知で投げる、といった局面が到来すれば、株価は大きく下げるはずです。年内に必ずこういう局面が来ると断言はできませんが、シナリオとしては考えておく方がよさそうです。

・日本株は、印象としては上昇が鈍いと映るのですが、ドル建ての日経平均の上昇率は大きいですし、マザーズ指数を見れば年初来で20%以上上昇しているわけですから、相当な強調相場です。銘柄をとっかえひっかえして今年の新高値まで買う、という形で上昇して来たわけですが、どこかでその勢いが止まることをここからは想定しておく方が健全なように思います。(ひょっとするとマザーズ指数は6月23日の高値が今年秋までの高値だったのかもしれない、くらいに考えることも妥当かもしれません。)そうであっても、森ではなく木を見る相場がこれからも続いて、バブルっぽい株価にまで上昇する銘柄が出て来るだろうとは思いますが、ポジション全体では多少控えめにする方が安心だ、ということかもしれません。

日銀の金融政策、準備預金・超過準備・マイナス金利
 昨日、日銀の金融政策決定会合の結果が公表されて黒田総裁が会見を行いました。日米欧のこれまでの金融政策とその株式市場(特に日本の)への影響、今後の政策変更による影響の想定、等々について皆さんとご一緒に考えてみたいと思います。

平成29年7月21日
証券アナリスト
松下律

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金融庁

k.nakajima |2017/07/20 8:48 am

金融庁のイメージは、半沢直樹シリーズに於いて銀行に対しては絶対的な存在として描かれ、その権力を具体的に行使する象徴として、「オネエ言葉」で話す片岡愛之助演じる黒崎検査官が浮かびます。 TVドラマだけに極めて分かり易く類型化されたキャラで登場するのですが、金融庁が金融機関に対し持つ権力の凄さ、そして金融機関が如何に金融庁を恐れるか充分伝わってきました。

1997年11月の山一証券自主廃業を契機に、その後数年金融機関は不良債権処理の暴風圏に突入します。 行政の立場でその前線に立ち、処理の方向性を示し処理を徹底して加速させるために、1998年6月に発足したのがその前身になる「金融監督庁」です。 当時の世論の見方は、銀行は責任回避の為収益を生まない不良資産をひた隠ししている点に集約されます。 具体的には不良資産を本体から分離し国内外に設立したペーパーカンパニーに移し替える所謂「飛ばし」行為、 損失先送りの為の「仕組債」等、作られた決算が横行していた事実は否定できません。 金融検査はこうした実態およびその責任の所在を明らかにし、法令順守の観点から行政上の処分を科すことに主眼が置かれます。 「金融処分庁」と呼ばれたのはそうした背景があった為です。

法令順守を錦の御旗とし、重箱の隅を突くような検査の結果、銀行は些細な事でも金融庁にお伺いを立てるなどリスク回避の姿勢を強めます。 その結果独自の判断で行う、顧客企業の成長を支える金融仲介業の役割が希薄化していきます。 こうした負の影響が有る半面、不良債権処理は加速し、2008年のリーマンショック時も日本の金融機関は欧米に比べ相対的に健全性を維持しえたことも事実です。

そして今、健全性を回復しながら、有るべき金融機関の役割りを放棄しているとの観点から金融行政を仕切っているのが、森長官率いる現在の金融庁と言っていいでしょう。 画一的な検査マニュアルの刷新、金融機関との対話を重視、 あるべき将来像に向かい課題を官民で議論する方向に舵を切ったのです。 つまり金融処分庁から育成庁への脱皮です。  しかし一部金融機関からは趣旨は分かるがいつも説教を受けていると感じるとも。  成果を急ぎ過ぎると黒崎検査官の二の舞になる恐れもあります。
(中嶋)

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短期化する一方のファクター分析

k.suzuki |2017/07/19 7:57 am

最近は世の中が、一瞬にしてガラリと変わります。先ほどまで晴れていたかと思えば、突如として空がまっ暗になり雹(ひょう)が降ってくるというように。昨日昼過ぎの関東地方がそうでした。

ボラティリティの激しさは天候だけではありません。マーケットの中ではもっと激しい変化が日常的に起こっています。ファクターの変化です。

ファクターとは文字通り「要素」です。

現在の株式市場はどのような要素を手がかりに銘柄が選別物色されているか。ROEの高さを主眼に置いているのか、PBRの低さなのか、あるいはPERの低さ、または今期の利益見通しの伸び率の高さか、それとも売上げの伸びなのか。

ひょっとしたら借入金の少なさ、多さなのかもしれません。保有する現預金の多さ・少なさが主眼となることもあります。

そのような選別の基準、要素のひとつひとつをファクターと呼んでいます。株価との組み合わせでいずれも数値分析に置き換えやすい要素であり、クウォンツ・アナリストの得意とする分野です。

企業は決算情報を中心に数値で示されるデータを日々大量に発信する存在です。そのため、ファクター分析にはもってこいの存在となっています。株価それ自体がひとつのファクターです。

90年代ごろまでの計量分析で用いられるファクターは、多くてもせいぜい50種類くらいだったと思います。それがPC処理と高速通信が一般的になり、データ処理がマックスに達してビッグデータと呼ばれるようになると、日常的に用いられているファクターは2000種類を超えたとされています。

それが3年くらい前のことでした。今ではファクターの数はさらに増えていることでしょう。そこに超高速取引とAI(人工知能)処理が加わって、マイクロ秒単位でのファクター分析が行われ、それによって物色対象が瞬時に変わっています。

ここで「ファクター分析が瞬時に行われる」と表現する場合の「瞬時」とは、マイクロ秒です。極端な話、人間がまばたきしている間に数回〜数十回と、ファクター分析の中心となるファクターが変わっていることになります。

以前の牧歌的なマーケットであれば、たとえば「ROEの高い銘柄が買われている」という状況は、3週間から長ければ3か月ほどは続いていたものでした。あるいは「ベータの低い銘柄が買われている」とか、「金利感応度の高い銘柄が売られている」という状況も、それなりの期間に及んでいるのが常でした。

それが最近の傾向として、かつてほどのファクターの持続力はなくなり、より短期的な変動に移っています。背後には収益機会を求める動きが一段と強まっているという事情があります。

ファクター分析の有効期間の短期化はますます進んでいます。分析技術の進化がマイクロ秒単位にまで行き着いたとなると、このような流れがあと戻りすることはありません。

暗雲は突如として天空を覆い、大きな雹が降ってくる。マーケットにもそんな状況がたやすく訪れるようになりました。まもなく梅雨が明けますが、いつも傘を持ち歩いていなければなりません。(スズカズ)

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「この指止まれでESG」

e.sakurai |2017/07/18 7:01 am

経済指標や政治日程などのスケジュールを重要視する風潮は以前から株式市場にもありました。
しかし先物両替取引が登場してからはこのスケジュールが妙にクローズアップされてきました。
そして指標などの発表も情報伝達手段の発達でスピーディーに。
でもかわりに欠如し始めたのは想像力。
スケジュールには異様に詳しい人ばかりが増加。
でもその意味を探るという風潮は薄くなりました。
「小売売上高の発表があるから気を付けましょう」。
そうではなくて、その結果の及ぼす影響についてのコメントというのはほとんど見られません。
あるいは、通過した指標はすぐに次の指標を待つ姿勢に取って代わられます。
条件反射的な筋肉ばかりが鍛えられ、脳が司る想像の世界から市場は遠のいてきました。
常に先のスケジュールを追うから相場に満足感はなく疲弊するばかり。
そろそろこのスケジュール重視主義からの脱却が必要でしょう。
投資シナリオを狭めることは良いことではありません。
しかし自由な投資哲学が登場しないと相場はますます自壊するような気がします。
少なくとも無味乾燥で時間の無駄に思える相場スケジュールだけの羅列。
これがなくなれば「少しはフリーでフェアでグローバル」になれのかも知れません。

あちらもこちらも「ESG」という言葉が代表者のような印象が醸し出されてきた投資市場。
もう何年も前から日本には上陸していたのにGPIFが1兆円投資したからといってなびく市場。
「この指とまれ」はいつの時代も市場の流れです。
日経朝刊では「ESG投資セミナー」の広告が目立つようになりました。
先日は見た日経ホールでのESGフォーラムの広告。
「短期の業績にとらわれると研究開発や人的投資の効果を見逃す」。
あるいは「非財務情報を重視する流れは世界で広がる」。
これはもっともなこと。
経済産業省はまもなくブランドなど無形資産への投資や評価についての報告書を出すそうです。
これって時価会計から簿価会計への復古に思えるのは気のせいでしょう。
ガバナンスを問題にして社外取締役が増えました。
その結果、社外取締役として就任したのはガバナンスを問題にした学者さんたちというパラドックス。
ESGを問題にして、ESG担当社外役員なんてものができたとしたらそれこそ滑稽の世界。
学者さんの世界も稼ぎが重要ということなのでしょうか。
でも本当に必要なのは学者さんたちの稼ぎではなく、企業の稼ぎ。
そして企業の所属する社員さんの稼ぎ。
環境に配慮して社会貢献を意識してガバナンスを強化すれば本当に儲かるのかどうか。
たぶんココが問題の本質。
確かにESG投資の結果は悪くはありません。
しかしその結果が本当にESGに由来するものなのかどうか。
この結論は時間が経過するまでわからないというのも面白いところです。
「社会貢献ファンド」が林立したこともありました。
今は見る影もないという現実もあります。
本当にESGが有効であると考えるなら10年間解約禁止などという勇気ある投信が出てくれば良い筈。
投資の世界で求められるのは学問でも権威でもなくあくまで実績。
このごろの投資の世界はどうも違ってきたようです。
勉強すれば儲かるのなら、大学に投資家育成コースがあっても悪くはありません。
それが何十年もできないのだから察して知るべしでしょう。
職人は学問では成長しないということかも知れません。
アカデミックに「欲望」の世界をオブラートに包んでも何も進歩しないように思えます。
もっとも、こういう形のお化粧や分厚い書物やレポートが大好きなのも市場。
しかし必要なのは適塾や懐徳堂ではなく、石田梅岩に代表される心学の世界。
西洋難解最先端ではなく市場は町民・平易・実践的だと考えたいものです。

先週水曜の図解してみた株価とラグビー。
一見関係はなさそうに見えます。
しかし「ゲインライン」という観点に立つと、日ばかりであれば寄り付きがゲインライン。
もっと長い目で見れば過去の高値がゲインラインという考え方もできそうです。
ゲインラインとはプレーが始まった場所から見て、ボールが前に進んだかどうかの基準。
スクラム、ラインアウト、ラック、モール。
これが攻撃の起点。
起点となる密集の真ん中からゴールラインと平行に架空の横線を引いたものがゲインライン。
「攻撃権を維持するには、できるだけ前で密集をつくった方がいい」というのがラグビー理論。
攻撃側はゲインラインを超えた地点での、マイボールでの再開を狙う。
防御側はタックルラインで相手を倒し、ボールを取り返す。
(ア)ゲインラインを越えて、ボールも保持している
(イ)ゲインラインを越えたが、相手ボールとなった
(ウ)ゲインラインを越えなかったが、ボールは保持している
(エ)ゲインラインを越えず、相手ボールとなった
これは株価にも通じるような気がします。
土曜日の名古屋でのセミナーで「櫻井さん、ラグビー部でしたか」と言われたのには参りましたが・・・。

以下は今朝の場況。

「決算期待」

週末のNY株式市場は続伸。
NYダウとS&P500が史上最高値を更新した。
中型株のラッセル2000指数も最高値を更新。
NASDAQも史上最高値まであと20ポイント程度まで接近した。
6月の消費者物価指数が前月から横ばいとなり、市場予想を下回った。
小売売上高は前月比0.2%減と、2カ月連続のマイナス。
経済指標が冴えなかった割には堅調展開という印象。
「金融緩和政策の継続を示唆」という楽観的見通しも聞こえる。
12月の利上げ確率は指標発表後に48%と、前日終盤の55%から低下した。
大手銀4行の4〜6月期決算は利益が予想を上回ったが市場予想は下回って着地。
VIX(恐怖)指数は9.51%。
1993年12月以来、約24年ぶりの低水準となった。
週間ではNYダウが1.1%高、S&P500が1.4%高。
NASDAQは2.6%高で週間の上げとしては年初来で最大となった。
3市場の売買高は57億株と低調。
週明けのNY株式市場でNYダウは5日ぶりの小幅反落。
「前週末まで連日で最高値を更新した反動で利益確定の売りに押された」との解釈。
NY連銀製造業景況指数はプラス9.8と前月(プラス19.8)から大きく低下。
市場予想を下回った。
もっとも本格化する決算発表では主要500社は前年同期比8.2%の増益見通し。
期待感が高く下値は限定的だった。
NASDAQ総合株価指数は小幅ながら7日続伸。
NYダウは週末比76ドル、NASDAQは同40ポイント、S&P500は同11ポイントそれぞれ上昇した格好だ。
表面利率2.375%の10年国債利回りは前週末比0.02%低い(価格は高い)2.31%。
「FRBがしばらく追加利上げの判断を見送る」との解釈が優勢だったとの見方。

「まだ動意薄」

週末の日経平均は19円高。
日中値幅は62円。
相変わらずの膠着相場だった。
しかもミニとはいえSQ当日の東証1部の売買代金が1兆9863億円と3日連続で2兆円割れ。
「新高値銘柄が117もあったのに日経平均が小幅なゾーンで推移するという奇妙な市場」との声が聞こえる。
ファーストリテ1銘柄で日経平均を60円余り押し下げたのにプラスだから全体は強気継続と見ても良かろう。
TOPIXは年初来高値を更新している。
日経平均は週間では約189円の上昇となり、週足では3週ぶりに陽線。
「1月18日の安値の信用期日通過」効果だったのかも知れない。
次は4月17日安値の信用期日がクローズアップされてこよう。
焦点は内外の決算発表に移行してくる時期。
週明けのシカゴ225先物は週末日中比75円安の20035円。
SQ値20151円は下回っての展開。
25日線(20063円)がサポートになるかどうかが課題。
5日線(20118円)を抜ければ足取りは軽くなろう。
空売り比率は37.5%。日経VIは12.75%と今年の最低水準。
まだ動意薄に見える。
(櫻井)。

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イエレン証言

r.matsushita |2017/07/14 7:59 am

 今週の最大のイベントはアメリカ議会におけるイエレン証言だろうと思っていたのですが、FRBのトップが投機筋を喜ばすような不用意な発言をするわけもなく(そんなことは言えれんという訳で)市場の想定に沿ったややハト派のトーンか、という程度で日本株高になるような影響は今のところないようです。

 かと言って下げる訳でもなく、3月期決算会社の第1四半期決算発表を見ながらやや強い動きになるのではないか、といった雰囲気になっています。

 アメリカの次の金利引き上げは12月、資産圧縮は秋から緩やかに、しかしいずれもインフレ率の推移、景気の動向、金融市場の状況を見ながら慎重に事を進める、つまりは投機筋にとっては面白くもない政策実施になる、ということなのでしょう。

 日本株は、現在のような低ボラティリティ状態がどこまで続くのか?企業業績の向上を受けて一段高があるとして、さてその後秋に向けてどうなるのか?といったところが考えどころなのでしょう。

 日本株が波乱するとすればほぼ確実に海外要因でという気もしますから、例えばFRBがどんなに慎重に金融政策を実施するとしても、その他の波乱要因が急浮上して株式市場、債券市場にインパクトを与えて相場波乱(つまりは急落)につながる、という図式でしょうから、さて、そうした波乱要因として考えられるのは何か?ということに頭が行きます。

 このままずっと低ボラティリティで世界中の株価が順調に上昇するとも思えませんので、いろいろなリスク要因について考えておくことは意味のあることなのでしょう。かつて1987年の秋は、米独の金融政策の食い違いが波乱の一因だったと考えられています。

2013年にキプロスで起きたこと
 預金封鎖などという言葉は今のわが国ではほとんど死語ですが、今から70年ほど前の1946年2月16日にはわが国で実施されたことがある劇薬政策です。(預金封鎖は事前に情報が知れ渡ってしまっては効果が薄くなってしまいますので「突然」発表されて実施されます。)

 直近では、2013年3月16日に実施されたキプロス共和国の例があります。キプロスという国は地理的にも歴史的にもギリシャに近く、キプロスの銀行は地中海のオフショア金融センターとして多額の外資(その中心はロシア富裕層のものだったと言われています)を預かって、その資金でギリシャ国債に投資していました。そのギリシャが財政危機に陥って国債価格が大暴落し、キプロスの銀行は大打撃を受けます。これが、同国の預金封鎖の原因となったのです。

以下起きたことを簡単に時系列で記します。

・2013年3月15日(金曜日):ユーロ圏から100億ユーロの支援を受けることが決定。(条件は、キプロスが銀行預金への課税、10万ユーロ以下の預金者に6.75%、10万ユーロ超の預金者には9.9%の預金税を課すという内容を実施するということでした。)

・翌、3月16日(土曜日):預金封鎖を発表。(発表日が土曜日=休日というところがミソです。休日ですから、預金者は銀行に行って預金を引き出す=紙幣を手に入れることができません。)

・2013年3月19日(火曜日):キプロス議会、上記の銀行預金への課税法案を賛成ゼロで否決。(民主国家の議会で預金封鎖などという民意を踏みにじるような決議が通るはずがない、ということでしょう。これはわが国でも同じだと思います。)

・2013年 3月25日(月曜日):最終条件が決定、キプロス第2位の銀行を破たん処理して第1位のキプロス銀行に集約、10万ユーロ以下の預金は全額保護、10万ユーロ超の預金は、その内の47.5%をキプロス銀行の株券に転換、残りは税金として没収、という内容で、明らかにキプロス国民のダメージを軽減する内容でした。(逆に、多額の預金(資産)を保有していたロシアの富裕層には大打撃で、よくロシアとキプロスが戦争にならなかったものです。)

・2013年3月28日(木曜日):銀行営業再開。(銀行業務は正常化しましたが、引出制限が設けられました。)銀行の営業が停止されていたのが8営業日で、その間も国民は生活して現金は必要だったはずですから本当に困ったと思いますね。当座の現金(生活費1か月分とかいった規模の現金)は家庭内に持っておいた方がいいという教訓でしょうか。

 キプロスは通貨としてユーロを採用していました(います)から、国の通貨が信用を失って問題が生じる、といったタイプの危機が起きた訳ではありません。銀行の財務問題が預金封鎖につながったということです。わが国の場合、危機が起きるとすれば通貨である日本円が信用を失うという形になって資本の流出を招き、情勢によっては預金封鎖に至るということが考えられることになります。

わが国が選んでいる(選ぼうとしている)道
 国のバランスシートが債務超過の状態であっても通貨への信認が失われなければ(つまり通貨価値が暴落しないのであれば)別に何の問題もありませんが、信認を維持するためにその債務超過を多少改善しなければならないとなったとしますと、やり方はともかくとして国民の資産を使って債務超過分を改善する、ということをせざるを得ないわけですから、過去において預金課税(資産課税)の形で国の財務状態を正常化する、というやり方が数多く行われて来たのは当然のことなのでしょう。あるいは、インフレによる債務者利得によって強引な政策をしないで済んで来たことも多数あったと思います。(インフレで調整というやり方のもっとも過激なものが「ハイパーインフレーショ=通貨価値の大幅減額」です。もちろん、「ハイパーインフレーション」は政策とは呼べません。)

 現時点でわが国がこうした劇薬政策を必要としているということは全くありませんが、政府の債務がこれからさらに拡大して行けば、危機感が強まることがないとも言えません。当然さまざまなやり方で将来の危機回避の手立てが講じられているわけですが、現状でわが国がやろうとしている方策という観点からしますと、だいたい以下のような像を描いているのではないかという気がします。

・成長政策:経済規模が拡大すれば政府債務の経済規模に対する割合が低下しますし、税収が増えて借金の負担(利払いと元本返済)は相対的に楽になりますからそれでOKというわけですが、世の中だいたいにおいて「拡大均衡」で問題を解決、というわけに行かないのが常ですから、うまく行きますかどうか。(経済規模の拡大を目指すべき、という点はすべての国民が賛成すべき方向ですが、それで借金の悪影響を減らそうというのはちょっと虫が良すぎる気がします。借金で先食いした分に対する反省がなさすぎますよね。)

・金融抑圧政策(インフレでちょっとずつ調整しようという道):実質金利をマイナスにして少しずつ債務の実質価値を減らす=債務を減らす、という道を辿ろうということです。このためには、ある程度高い(2%くらい?)インフレ率と超低金利(ゼロに限りなく近い国債金利)の両立が必要ですが、ややもするとデフレ+超低金利=実質金利高、となってしまうわけで、コントロールはそれほど簡単ではないように思います。(ただし、今のところうまく行きかけていますね。)

・資産課税の多少の強化:例えば、日本国民は今だいたい950兆円くらいの現預金を持っています。今突然、現預金に100%の税金を課して政府の収入にしてしまえば、国の借金はすべてなくなり、国債はすべて即時繰り上げ償還できます。例えば、1000万円の現預金と1000万円の国債を持っている個人がいるとして、この課税がなされると1000万円の現預金はゼロになり、1000万円の国債は償還されて1000万円の現預金になるというわけです。差し引き1000万円の損ですから、実質的に現預金+国債という金融資産に対して50%の資産課税がされた勘定です。(金額にもちろんよりますが、相続税の最高税率は55%ですから、富裕層はどの道この程度の資産課税はされてしまう、ということかもしれませんね。)

 こんなことをすれば世の中は大混乱になりますし、そもそもこんな法案が国会を通るはずもありません。ということで、こういう劇薬政策は今の日本では無理ですが、相続税率を少し上げる、とか、出国税を創設する、といった資産課税の多少の強化は現実的ですし、すでに実行されています。(さらには、昨年からは、高額所得者に対して財産債務調書の提出が義務付けられています。)

どう対処すべきか?
 個人個人の立場(露骨に言ってしまえば持っている財産の規模)によって考えることはいろいろでしょうが、個人投資者としてみればだいたい以下のようなことなのだろうと思います。

1. 預金封鎖だのハイパーインフレーションだのといったバカげた状態にわが国がならないようにわが国のリーダーたちがきちんと仕事をすることを「ひたすら」願う。自由で民主的な社会、資本主義経済を前提に、少なくともわが国にバカげた状態をもたらない程度の実務能力と、日本国民の財産生命を守るという意思を明確に持った人物を国会に送り出すためによく考えて投票する。

2. バカげた経済・社会状態にならないことを前提に、経済的な価値を生み出すもっとも大きな源泉である株式会社の株主権を信頼して金融資産の一定割合を株式に投じる。投資先の会社の経営者に対して株主利益に貢献するよう最大限の圧力を加える。(それができない経営者を呪う、というのでもいいかもしれません。)

3. 金融機関を信頼する。しかし、銀行預金は一行当たり元本1000万円+利息分の範囲内の収めることを原則とする。(決済性預金は別です。)国債への投資も信頼する。

4. いざという時のために、家庭の中に1か月〜3か月分くらいの現金を持っておく。(あまりにも多額の現金を家庭内に持つことはもちろん避けるべき危険なことです。)

5. わが身と家族を守るため、という強い意識を持って、世の中の情勢変化を敏感に感じ取る体勢を常に維持する。

 こんなところでしょうか。

キャピタル・フライト
 日本語では「資本逃避」と訳されることばで、ある国から資本が海外に逃げてしまう、多くの場合大量にかつ急激に、という状況を示しています。膨大な資本が一気に国外に流出するというニュアンスで、ふつうの状態における対外投資といったこととは別のこととして扱われることが多いようです。逃げ出す資本は、その国の国内資本もありますし、その国に海外から流入した資本もあります。

 現在の日本で、キャピタル・フライト⇒金融危機、が起きる恐れは限りなく小さいという感じはしますし、過去において日本からの膨大なキャピタル・フライトが起きた、ということもなかったように思うのですが、海外の事例を見ればけっこうな頻度でキャピタル・フライト⇒金融危機⇒経済混乱、は起きているようです。(例:リーマンショック後のアイスランド)

 キャピタル・フライトは、資本が、その国の通貨価値の下落による損失を防ごうとして逃げ出すということによって起きることです。厄介なのは、通貨価値が下落するのを嫌がって逃避する資金の流出そのものが、その通貨の価値を下落させてしまう、ということです。

 つまりは、キャピタル・フライトが起こりそうだ、となれば、その状況は投機筋にとっては「絶好の獲物」ということになって、投機筋が嵩に掛かって売り乗せて来る、というわけで、その国の金融市場、経済は大混乱に陥ってしまいます。

 キャピタル・フライトが起きるような情勢にしてしまった、という意味ではその国の政治・経済・社会・国民の自業自得とも言えるのですが、経済・金融情勢はいろいろな要因で変わるわけですから、時と場合によっては、その国にあまり落ち度がなくてもキャピタル・フライトの懸念を引き起こすようなこともありえるでしょう。

 多少困難な局面になってもキャピタル・フライトを引き起こさないように、あるいは、キャピタル・フライトが起きてもすぐに対応できるようにしよう、ということで様々な対策が打たれているのが普通です。

 わが国について見てみますと、日本円が常に信任(信用)されていれば問題は起きにくいのですが、以下のような対応策が用意されていれば、キャピタル・フライトによる混乱を未然に防ぐことができるだろうと思います。

1. 十分な外貨準備と対外純資産を保有していること。これは今の日本は充足しているでしょう。十分な外貨準備を持っていれば、大量の円売りに対して買い向かうことができますし、対外純資産を元にして海外から資金を一時的に借りるための信用を高めることができます。

2. 資本の海外流出防止策を講じること。この点については、わが国では2015年から出国税が課せられるようになっており、以前よりは資本流出の恐れが減ったと思います。

3. 投機筋の攻撃をかわす策を講じること。ソロスによるポンド売りで危機に陥った1992年のイギリスのようにならないための方策を講じる、ということですが、資本取引が自由化されている状況で投機筋の動きを封じるというのは難しいことです。現在、わが国の国債保有における外国人の比率は高くないので当面は大丈夫と言えると思いますが、投機筋の売りによる円危機が起きないように気を付けるというのは重要なことだと思います。

4. 柔軟な経済構造を持つこと。例えば、投機筋の円売りで大幅な円安になった、という場合に、それによって日本の輸出企業が競争力を大幅に高める、という状況になっていれば、円安⇒大幅な貿易収支黒字、となって、円安には限度がある、となるでしょう。

5. 少なくとも今現在は基軸通貨である米ドルの発行国である米国との良好な関係を維持すること。

 全体として、今のわが国はキャピタル・フライトに悩まされるという状況にはない、と言えるように思います。こうした状況を維持することが経済の拡大と企業収益の向上、株価の持続的な上昇にとって重要ですから、ぜひこの状況を維持してほしいものです。

平成29年7月14日
証券アナリスト
松下律

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ナッツの話

k.nakajima |2017/07/13 8:11 am

家内ともども、ナッツに嵌っています。 ナッツはアンチエイジング効果があると言われますが、そうした健康、美容効果を意識してではなく、単純に好きだから、そして美味しいからだけの理由で食しています。 住まいが千葉県下ですので、先ずは特産の「八街のピーナツ」を外すことは出来ません。 夕方の晩酌の「つまみ」はこの殻つきピーナツから始まります。 晩酌とは無縁の家内にもお裾分けです。 八街産はブランドが確立されており、ピーナツの中では価格が高いのですが、毎日の事なのでどうしてもその中での値段の安いものを選ぶことになります。 殻の大きさも不揃いで、なかには殻に豆が入っていない事も有るのですが、味覚で裏切られたことは一度もありません。 コクのある味わいは流石です。 むしろ粒と色調の揃った、しかしコクの無い輸入物には化学肥料の影を感じます。 知り合いのへの贈り物は、八街のピーナツそのもの、もしくはピーナツ煎餅が我が家の定番になっています。 必ず美味しかったとの声が返ってくるのは嬉しい限りです。

一年ほど前に東北を旅行した知り合いから、お土産として貰ったのが福島県喜多方市の(株)おくや製の「10種ミックス」です。 その名の通り種類の違う10種のナッツを、それぞれ違った甘味でコーティングしてあるだけのものですが、その食べやすさと味覚に嵌りました。  製造元に注文する事を考えたのですが、そのやさき駅前のデパ地下の食料品売り場で見つけました。 それ以降これも切らしたことはありません。 食感と味わいの違いを楽しんでいます。

サラダにはくるみ、レーズンを加えるのが我が家の定番です。 時々作る北アフリカ料理の「クスクス」には「ひよこ豆」が欠かせません。 乾きものとしてのナッツ、料理に使う豆等、栄養価の高い食材を結果として、ほぼ毎日食しています。  総じて健康を維持できている一つの要因かもしれません。
(中嶋)

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「東京オリンピック」はすでに始まっている

k.suzuki |2017/07/12 7:50 am

セミナーの仕事で京都を訪れました。日帰りですが、日帰りでよかったと思いました。驚くべき観光客の数です。

花の都・パリ
永遠の都・ローマ
水の都・ベネツィア
光の都・サンクトペテルブルグ
そして千年の都・京都。

さすがは日本が世界に誇る平安貴族の都ですね。外国から観光で訪れたお客さんが多いので、そろってキャスター付きの大きな荷物を引っ張っています。それがJR京都駅から街なかに向かって一斉に歩いているのですから、これは壮観を通り越して怖いくらいです。こちらは道路のどこを歩いてよいかわからず、おろおろしてしまいます。

日本は単一民族で四方を海に囲まれているため、世界の大都市と比べてテロの危険性が低いと見られています。それが一因でもあるのでしょう、世界の観光需要を一手に引きつけています。遅れてきた観光大国に名乗りを挙げようとしています。

欧米人やアジア人とともに、日本人観光客もそれに劣らず多かったのが印象的でした。まだ夏休みに入ってもいないのにこれほどの盛り上がりですから、シニア世代の旅行需要は膨大です。修学旅行生もたくさん見かけました。

東海道新幹線の指定席は、時間帯によっては当日券はほとんど満席で取れません。ここにお盆休みで日本列島の民族大移動が加わったら、いったいどうなるのでしょう。

当然のことながら、観光客が殺到する京都駅ではおみやげショップが驚くほどの盛況ぶりです。中国からのお客さんでしょうか。日曜日の午前中から山のようにおみやげを買い込んでいます。どのお店も飛ぶように売れていますから、抹茶バウムや「おたべ」など人気のお土産品を製造している業者さんはほくほく顔です。

きっとどこかに「インバウンド御殿」なるものが出現し、富める者がますます富むという状況が生まれているはずです。

これは今の日本の消費状況を端的に表しているように思います。売れているものは驚くほどよく売れていて、売れていないものはちっとも売れない。売れ筋とそうでないものの差がかつてないほどに広がっています。

2020年・東京五輪の開幕までジャスト3年となりました。3年後の今ごろ、東京と日本各地にはたいへんな数の国内外の観光客が押し寄せることになります。おそらくここでも混雑と売れ筋に大きな格差が出てくることでしょう。

総務省や厚生労働省をはじめ、政府あげてテレワーク、在宅勤務の導入を進めています。東京都は「時差ビズ」と称する時差出勤の奨励に乗り出しました。3年後など悠長なことを言っている時ではなく、今この瞬間からオリンピックフィーバーは確実に始まっています。
(スズカズ)

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「だから何」

e.sakurai |2017/07/11 7:16 am

先週土曜の日経朝刊。
見出しは「REIT官製相場第2幕」。
REIT購入者への金融庁からの質問は「投資先のREITが保有する物件を見に行っているのか」。
これに対して地銀の担当者のコメント。
「うちの陣容じゃ無理です」。
最近マーケット面で多用される嘆き節。
しかし、これでは担当者失格でしょう。
陣容も何もなく、個人でもREITの物件を見る人は多くありません。
でも家を買い時に家を見ずに買うでしょうか。
個人と組織の違いとは言え、ありえないことです。
所詮無責任運用の他人のお金という典型的事例に映ります。
金融庁は無理難題を言っている訳ではなく、当たり前のことを当たり前にヒアリングしているに過ぎない印象。
「全国に散らばる物件に一つ一つ足を運び、個々の収益力を分析」するのが本当に困難なのでしょうか。
これは疑問。
だからREITそのものでなくワンクッションおいてREITのETFを次善の策としているとの記事。
この弊害が中小REITの上昇。
大規模・高格付けから小規模・低格付けへの移行。
本末転倒のような気がします。
もうひとつの指摘は「毎月分配型投信からの資金流出」。
タコ足的感覚に気が付けば一部のREIT投資の帰趨は当然の流れかも知れません。


「注意しましょう、警戒しましょう」というのが市場関係者の常套文句。
しかし「だから何」という思考が必要でしょう。
「注意する」のは誰でもできます。
問題は注意して「どうする」かです。
台風や大雨ならば「注意」して避難します。
ところが株式市場では「注意」したところで避難するケースは少ないもの。
洪水に襲われてから「台風が来てたんだ」と気がつくことの方が多いような気がします。
だったら株式市場で注意することの意味はどこにあるのでしょう。
これがいつも疑問。
賢そうな専門家の「注意しましょう」はある意味、下落に対する免罪符。
だったらまともに聞く意味は少ないでしょうし、そもそも他人に言われる前に自分で注意しているはず。
注意喚起とかされても「だから何」なのかも知れません。
他力本願チックかつ他人事のような「注意しましょう」は両替屋さんのスケジュールコメントみたいなものでしょうか。
もう一つ市場で解せないのは「今日のレンジ」。
日経平均の1日のレンジを20000円から20500円なんて言ってみたところで何の役に立つのでしょう。
言う方にもおそらく確たる根拠がない数字が勝手に独り歩き。
終わってみれば「このレンジに入った。言ったとおりでしょう」という格好。
それこそ「だから何」。
レンジではなくて「終値」の予想の方がよほど気が利いています。
もっともそうなると自己保身のために答えない市場関係者が増えるのかも知れませんが・・・。
意味のない数字を提示していたずらに貴重な時間を使ったり床屋談義をするよりはマシでしょう。
外回りの隔靴掻痒でなく実のある展望が必要ということを自戒を込めて覚えておきたいものです。


イエレン議長の議会証言が相場の反転あるいは上昇加速という歴史。
少し古くは2014年2月11日。
NYダウは底打ち反転。
2015年はインパクトがなかったが2016年2月10日。
NYダウは底打ち反転。
2016年6月21日。
27日からNYダウは底打ち反転。
そして11月17日。
NYダウは上昇加速。
今年は2月14日。
NYダウは上昇加速。
今週も楽しみになってきました。

以下は今朝の場況。

「アマゾンに振り回され」

週明けのNY株式市場はマチマチの展開。
世界的な金利上昇が一服。
利ざや改善期待で買われていた銀行セクターの下落が重荷となりNYダウは引け際に小幅反落。
アマゾンの有料会員限定セール「プライムデー」の開始を控えて小売りセクターが下落したのも影響した。
ちなみに昨年のプライムデーは世界売上高が過去最高で前年比6割増だった。
米国だけでも5割超の増加。
アマゾンのセールが小売業の収益圧迫につながるとの警戒感が拡大したとの解釈。
金利上昇一服は金融セクターには悪材料となったが主力のIT関連セクターは堅調。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は続伸した。
水曜予定のイエレンFRB議長の議会証言や企業の決算発表シーズンを前に様子見ムードも強かったとの解釈。
原油先物価、金ともに小幅反発。
債券は主な経済指標の発表のなく方向感を見いだせず小幅高。
表面利率2.375%の10年国債利回りは前週末比0.01%低い(価格は上昇)2.37%。
ドル円は114円台前半での推移。
「主要国と日本の金融政策の方向性の違いが鮮明。
11日の日本の5年物国債の入札が注目されている」という声も聞こえるという。
ドイツの貿易収支は黒字が1.4%増。
市場予想(0.3%増)を上回った。
欧州版恐怖指数のVSTOXXは2.63%低下し節目の15%を割れ込んだ。
欧州主要指数は軒並み上昇。

「2万円台キープ」

週明けの日経平均株価は3日ぶりの反発。
米雇用統計を通過し114円台への円安トレンドを好感した格好。
上値が重い印象は強い。
しかし先週末から150円超の上昇で2万円台回復。
5日線(20023円)や25日線(20038円)も上回った。
「2万円より下では押し目買いが入りやすく底堅さが増す展開に期待」と週末とは一変した論調が幅を利かせてきた。
東証一部の売買代金がかろうじて2兆円に届いたということは「盛り上がりに欠けた」という印象。
225先物大証夜間取引終値は日中比50円安の20050円。
空売り比率は38.3%と40%超は1日で通過した。
以前は45%で反発というのがセオリーだったが直近は40%超で反発という水準に変化した。
日経VIも14.42%まで低下。
日経平均採用銘柄のPERは14.37倍でEPSは1397円。
東芝が225から除外されセイコーエプソンが新規採用に決定したことは好材料となる。
ほぼ十字線だった昨日の罫線。
上下どちらかへの分岐となるのか。
あるいは上値が重く相変わらずの狭い値幅の一日なのかは微妙なところ。
「ETFの決算明けの株価は高い」に期待したいところ。
(櫻井)。

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決算発表シーズン始まる

iwamoto |2017/07/10 7:53 am

 いよいよ決算発表シーズン。それを象徴するのが先週金曜日の引け後、東京製鉄が行った18年3月期業績予想修正の発表かもしれません。

東京製鉄の発表によると、製品価格が期初の見通しを上回り、原料スクラップの市況が軟調。先行きの鋼材需要も都市再開発、東京五輪関連工事の本格化で堅調推移の見通し―ということで、3ヵ月前に発表した通期営業利益見通し100億円が130億円に3割増額修正されました。

同社は3か月ごとに製品市況と現材料価格の見通しを洗い直して業績予想を修正していますから、第1四半期決算の段階で早々と見通しを修正するのは恒例のこと(同社の第1四半期決算発表は7月21日)ですが、なかなかいいタイミングでの増額修正ではないでしょうか。

 東証のサイトをみると、6日現在ですでに2700社以上が決算発表予定日を公表(「6月に四半期・期末を迎えた会社」、3月決算会社の4〜6月期決算発表だけでなく、6月決算会社の通期決算発表とか、12月決算会社の中間(1〜6月期)決算発表なども含む)しています。発表予定日の集中度をみると、最初の山が7月28日(日立、ファナック、京セラ、TDKなど303社)と7月31日(パナソニック、村田製作所、日本郵船、JALなど330社)の今月末2日間。次が8月9日(太平洋セメ、三井金属、住友不など287社)、8月10日(かんぽ生命、ゆうちょ銀行、カドカワなど494社)3連休前が2番目の山でしょうか。後半になるほど小型・新興銘柄の発表が増えてきます。

 今週はホギメディカル(12日)、スーパー・ツール(13日)、寿スピリッツ(14日)、ブロンコビリー(同)、日置電気(同)、ムロコーポレーション(同)。来週はDNAチップ研(20日)、安川電機(同)、アルインコ(同)、ジャフコ(21日)など…。気になっている銘柄、保有銘柄の決算発表日は東証サイトでチェックしておきましょう。(イワモト)

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第1四半期企業業績発表待ち

r.matsushita |2017/07/07 8:33 am

 去年の秋からの株式相場を見れば、買い方の勝利という展開でしたし、今年も日経平均、トピックスはさほどではないにしましても、ジャスダック平均、マザーズ指数は大幅上昇ですから、やはり買い方勝利だった展開ということになろうかと思います。

 さて、それで日経平均2万円攻防となった「今」から、ということになりますと、ここから買い方が勝利するのか、売り方が今度は勝利となるのか?なかなかに微妙なところでしょう。

 ここから日経平均で見て買い方大勝利というのであれば、秋までに少なくとも日経平均が2万2千円くらいには上昇してくれないと不満でしょう。さて、そこまでの上昇を見込んでいいものかどうか。

 一方、売り方大勝利となるためには、日経平均1万8千円割れくらいがないと不満でしょうから、こちらもそうなりそうかどうか、賭けるには微妙なところです。

 少し長く、向こう数年というスパンで見ますと、日本株のPERの低さ、7月下旬から始まる第1四半期の企業業績を見てからの話になるのかもしれませんが、おそらく企業業績見通しは良好、といったことからして、株式相場はけっこう先行き上昇期待が大きい、と言えるように思います。私は個人的には、向こう数年で日本株のバブル相場が期待できると思っているのですが、今現在は少し慎重に構えておく方が気持ちも楽でいいに違いないという思いがします。

バブルへGo!、その前に・・
 世界的な資金過剰に景気のそれなりの回復、企業業績の向上を受けて、いよいよ株式相場は投機資金が大活躍の「バブルへGo!」となるかもしれない、という期待が膨らむのですが、その前に何らかのショック安があるかもしれない、ということは頭に入れておく方がいいように思います。よく言われるのですが、末尾が7の年は大きなショック安が株式市場で起きて来た、ということもありますし。

 例えば、1987年10月19日のブラックマンデー、1日で日経平均が3800円余りも下落したショック相場です。背景に、アメリカのいわゆる双子の赤字問題、アメリカとドイツの間に金融政策上の行き違いがあったこと、暴落にプログラム売買が大きな影響を及ぼしたこと、などが今の目で見ても重要な事実です。

 次に、1997年にはアジア通貨危機⇒日本株大幅安(消費税引き上げの悪影響と日本の不良債権問題悪化もあって、日経平均は、2万円台から1万2千円台に下落。)

 さらには、リーマンショック(リーマンブラザーズ破たんは2008年ですが、the financial crisis 2007-2008と言われる通りで、危機そのものは2007年から起きており、日本株は1万8千円台から7千円台に下落。)日本株相場は大きな悪影響を受けたのですが、相対的に見れば、日本の金融市場が受けた打撃は大きくなかった、ということが言えると思います。

 それで、今年2017年も警戒、となるのですが、現時点と過去とではいろいろ違っていることもありますので、それらを勘案してポイントを整理してみます。

・規模を考えますと、最も大きくなりそうなのは、「中国バブル崩壊」を起点とする危機でしょう。中国の不良債権が破裂して、人民元大暴落、資本の流出、経済活動の麻痺、などが起きれば、かなりの規模のショック安が世界の株式市場を襲うことになろうと思います。ただ、中国は自由化を進めているとはいえ、金融・為替市場を国家が管理していますので、これまでと同様で案外大丈夫なのかもしれません。

・今年の秋ということで考えますと、ありそうなのは1987年のブラックマンデー型のショック、かもしれません。アメリカは金利を引き上げていますし、欧州(ドイツ)とアメリカの間で何となく軋みに似たことが発生しています。欧州が金利引き上げを拙速に実施する(と思われる情勢になる)と、何らかのショックが起きても不思議ではありません。先進国の政策の足並みの乱れは、投機筋の目から見ればつけ込む絶好の機会と映るでしょう。欧米の債券市場でのボラティリティーを注視しておく必要がありそうです。

・ブラックマンデーの時もそうだったのですが、株式のプログラム売買は今ははるかに高度で規模が拡大しています。何かの拍子に「フラッシュ・クラッシュ」が起きる恐れについていつも考えておく必要があります。

 その他、金利引き上げに伴う新興国経済の状態の変化、とか、地政学リスク、とか、いろいろショックの種になりそうな事柄が実はけっこうあります。

 ただ、重要なことは、ショックが起きた時に対処する資金的余裕(と心の準備)をしておけば、別にショックはショックでも何でもない「単なるイベント」に過ぎなくなる、ということです。(特に個人投資家にとってはそうです。)

 あらゆる「ショック」の後には、新たな繁栄のステージが来る(来ていた)というのが過去の事実が教えるところです。特に日本では、ブラックマンデーの後に空前の株価バブル相場が到来しましたし、アジア通貨危機後にはネットバブル相場がありました。日本が政策を大きく誤ることなく進み、日本企業の収益確保への努力がなされるのであれば、これからも同じことでしょう。

平成29年7月7日
証券アナリスト
松下律

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米国の家計負債と金利動向

k.nakajima |2017/07/06 8:05 am

世界的に金利が上昇し始めています。 6月25日の国際決済銀行(BIS)の「大いなる巻き戻しの始まり?」と銘打ったレポートがそのきっかけと言われています。 世界的に拡大した金融緩和策の正常化への進め方を論じており、緩和縮小で短期的に衝撃があっても正常化を進めるべきとしています。 このレポートに呼応するように、ECBのドラギ総裁、英国中銀のカーニー総裁、カナダ中銀のポロズ総裁などが相次いで金融引き締めに前向きな発言を行い、上昇への流れを作りました。 米国の10年債の利回りも6月26日の2.131%から7月4日には2.34%まで急伸しています。 こうした動きに合理性をあたえているのが6月14日の、今年2回目になる政策金利の引き上げになります。

こうした金利の上昇は借金中心の米国の家計には逆風になります。 以下に米国の2017年3月末の家計負債の現状を見ておきます。

*米国家計負債総額    12兆7250億ドル(1425兆円 1ドル=112円)
2008年9月のリーマンショック前の12兆6750億ドルを上回っている。

*学生ローン       1兆4000億ドル(156兆円)全体の11%
リーマン前は6337億ドル(71兆円)全体の5%。 倍増しています。

*自動車向けローン    1兆1452億ドル(128兆円)全体の9%
リーマン前は全体の6.4%。 比重を大きく高めている。

*カードローン      7640億ドル(85兆円)全体の6%
リーマンショックの学習から、30日以上の滞納率は2.74%と過去15年平均
の3.68%を下回っている。

*住宅ローン        8兆6580億ドル(969兆円)全体の68%
リーマン前は全体の73%。 審査の厳格化から比重が落ちている。

どうやら今回の金利上昇で影響を受けるのは学生ローン、自動車ローンになりそうです。 まず学生ローンですが、米国では大学、大学院の学費は学生自らからローンを組むのが一般的で、生活費を含め年間4〜5万ドル必要と言われています。 これまでの低い金利からローン残高が急増していますが、金利上昇は正に逆風です。  既に2〜3割がデフォルト状況にあると言われており事態は深刻です。 

住宅ローン審査の厳密化の反動で、自動車ローンの審査は総じて緩いと言われています。 その結果1.1兆ドルの自動車ローン残高のうち、3〜4000億ドルが問題あるサブプライムローンと見られています。

この様に借金を膨らませてきた米国の家計にとって金利の上昇は消費動向を直撃する可能性があります。 米国のGDPは世界の25%を占め、GDPの70%は個人消費です。 つまり米国の個人消費は世界のGDPの17%を占めている訳で、個人消費動向が世界経済に与える影響を軽視すべきではないでしょう。
(中嶋)

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「暑い夏」を待ちこがれます!

k.suzuki |2017/07/05 8:01 am

台風一過。の朝を迎えるはずでしたが、けさの東京地方はまだ雨もようです。

この時期の台風上陸は史上2番目の記録的な早さだとか。カラ梅雨で取水制限がかかろうかという時期の台風上陸。今年の夏はなんとなく冷夏となりそうな気配で、農家の方々はさぞご苦労なさっていることでしょう。心中お察し申し上げます。

そうかと思えばフランスやスペインは異常な高温に見舞われ、ヨーロッパ、北米、中国では山火事が頻発しています。海水の温度が上昇して、グレートバリアリーフではサンゴが死滅する白化現象が深刻です。海の水温上昇は、日本でも水産物の記録的な不漁の原因となっているとされています。今では異常気象のニュースに接しない日はないほどです。

夏は暑い方がよいに決まっています。夏の暑さに対して人それぞれ好き嫌いはあるでしょうが、夏は暑くないと困りごとが多くなります。まず農作物の収穫にてきめんに影響が出ます。

この件で忘れられないのが1993年(平成5年)の冷夏です。梅雨が長引き、いつまで待っても夏の晴れ間が訪れませんでした。東北地方を中心にコメの不作が広がって、歴史に残るコメ不足が起こりました。

その規模は「戦後最大」とも「平成のコメ騒動」とも呼ばれました。政府はタイ米を緊急輸入し、私の実家の近くでは草加せんべい業界の仕事が立ち行かなくなるというたいへんな騒ぎとなりました。

青春ドラマや青春小説は、スポーツや恋愛の舞台として夏が設定されることが多いのですが、それが冷夏ではちっとも絵になりません。まもなく夏の甲子園の地区予選が始まります。高校野球ほど炎天下での熱戦がふさわしいスポーツもそうはないでしょうが、プレーしている方はたいへんです。

ひとつだけ冷夏にも効用があるとすれば、マラソン競技です。東京オリンピックまでジャスト3年となりました。各国のアスリートは東京の暑さ対策に知恵を絞っていることでしょう。街のあちこちにパナソニック製のミスト(霧)噴出装置を見かけるようになりました。

2020年7月24日からの3週間。大混雑の東京がさほど雨も降らず、台風も襲来せず、気温も上昇しないで過ごせることを切に願っております。
(スズカズ)

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「受難」

e.sakurai |2017/07/04 7:25 am

相場は想像力と記憶力の産物。
記憶力ではAIに負けても想像力では引けを取らないでしょう。
重要なのは「何のために投資をしているのか」。
そして「どうしたいのか」。
これが結構明確でないことが多いようです。
先週土曜の東京でのセミナー。
「メガバンクとか、電力とか、上がってきたんですけど売ったほうがいいでしょうか」。
と投資家さん。
売りたい理由を聞いてみると、ほとんどない様子。
「売りたいんですか?お金が必要なんですか」と聞いてみると「そうでもありません」。
「では下がると思うんですか」と聞いてみると「わからないんです」。
「明確な目的と明確な方向を持つこと」。
言葉で言えば簡単だが、ご理解いただけたのかどうか。
これがよくわかりません。
でもこういう投資家が登場してきたところを見ると、相場の第2幕スタートのような気もします。
ほとんど何も考えない投資家の増加は株高なんてアノマリーはありません。
でもお手軽投資とかファッショナブル投資なんていうのは昭和バブルにもITバブルにもリーマンショック前にも散見されました。

明るい活字は「銀行の国債保有最低に」。
銀行や農林系の国債保有額は前年比17%減少し202兆円と05年以降の最低水準。
13年春は43兆あった地銀の国債保有額は30兆円割れ。
「どうやって儲けを出せばよいかわからない」。
紹介された関東地方の地銀のコメントは「嘆き節」。
この愚かさは別にして問題は海外投資家の日本国債買い。
3月末で前年比6%増の116兆円。
保有比率は8%→11%に上昇しました。
海外投資家の保有比率が低いから国債残高が増加しても問題ないという論理が通じなくなり始めたかも知れません。
もっとも日銀が保有する国債は427兆円で全体の39%。
ETFの16兆円程度に比べれば相当大きいもの。
株に比べれば債券市場の動向には結構敏感にならざるを得ないでしょう。

先週の日経朝刊見出しは「アナリスト受難の時代」。
AIの登場で受難は予測されましたが結構早いスピードで襲ってきた印象。
欧州では株式手数料と調査コストの分離を要求。
世界の主要投資銀行で働くアナリストは昨年6000人を割り込んだといいます。
この4年で1割減。
これが現実。
世界では1日に約8000のレポートが投資家向けに配信されるそうですが読まれるのはその数%だけという現実。
近年は企業が直接投資家とやりとりすルIRが増加したのもアナリスト受難の原因。
そしてフェア・ディスクロージャー・ルールの導入も受難の原因。
「株は死んだ」と評された70年台のNYから学んだ「アナリスト重視の姿勢」は今曲がり角を迎えているようです。
AIに勝つための努力はさらに求められ過酷な世界へと移行するのでしょう。
もっとも財務分析のプロに株価分析をさせてきたのも現実。
財務は株価を形成する一部ではありますが全部ではありません。
企業の栄枯盛衰が財務の数字だけで図れるのなら、そんな楽なことはない筈です。


以下は今朝の場況。

「NYダウがザラ場の史上最高値」

独立記念日の休場を控え短縮取引となった週明けのNYダウは上昇。
一時前週末比210超高い2万1562ドルまで上昇。
6月19日に付けた過去最高値(2万1528ドル)を上回る場面もあった。
世界的な金融緩和縮小観測から金利上昇が継続。
金融セクターが指数上昇に寄与。
ゴールドマンとJPモルガン・チェースがともに前週末比で2%あまり上昇。
2銘柄でダウ平均を50ドル程度押し上げた。
8日続伸となった原油先物相場の上昇から石油・素材セクターも上昇した。
ISM製造業景況感指数は57.8で着地。
市場予測(55,5程度)を上回った。
前月比2.9ポイント上昇し2カ月連続の上昇。
2014年8月以来2年10カ月ぶりの高水準となったことも好感。
「向こう数カ月の生産活動は底堅さを維持する」という声も聞こえる。
一方で割高感が意識されたIT関連セクターはアマゾン、エヌビディアなどが大幅安。
NASDAQ総合指数の0.49%の下落につながった。
表面利率2.375%の10年国債利回りは前週末比0.05%高い(価格は下落)2.35%。
5月16日以来およそ1カ月半ぶりの高水準。
2年物国債相場は3日続落。
利回りは一時1.42%まで上昇。
2009年6月8日以来、約8年ぶりの高水準となった。
米金利上昇からドル円は113円台で推移。
トランプ大統領は「NYダウがザラ場の史上最高値をつけた!」とツイート。


「3週連続火曜高へ」

都議選の自民党敗北の影響は限定的で小幅高となった週明けの日経平均株価。
「極めて冷静に消化した」という見方が多い。
日経平均は寄り(20056円)と大引け(20055円)がほぼ同じで日中値幅も70円程度の小動き。
3日新甫でのスタートの割には荒れずに通過という印象。
13ヵ月連続月初高のアノマリーは継続した。
先週末56まで減少した新高円銘柄数は144と3ケタ復活。
225先物大証夜間取引終値は日中比80円高の20150円。
米長期金利の上昇からドル円亜は113円台半ば水準。
25日移動平均(20015円)が下値をサポートした格好に変化はない。
松井証券信用評価損益率(速報)で買い方は▲2.723%。
前週末は▲3.115%だったが再度▲2%台で2015年6月24日の▲1.639%に近づいた。
空売り比率は38.2%。
来週末のSQは14日とまだ遠いがSQに向けて高いシナリオの可能性が出てきた印象。
3週連続火曜高となろうか。
「独立記念日までの相場は高い」のアノマリーを吹き飛ばして欲しいところ。
(櫻井)。

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2017年相場の後半戦が始まる

iwamoto |2017/07/03 7:25 am

 自民党の獲得議席が23と、現有議席(57)の半分以上を失った東京都都知事選。ある程度想定されたこととはいえ、それを大きく上回る歴史的な敗北−となりました。強引さと不祥事ばかりが目立った安倍政権に対する批判がこの結果を招いた、こことでしょうが、では、これがアベノミクスの逆風となり、国政運営でも推進力を失うということになるかどうか。まず、朝方の為替市場の反応が気になるところですが、ドル円は112円10銭台で始まって午前7時過ぎには112円20銭台の商い。111円台の円高まであった6月30日の取引に比べると、やや円安水準での推移。「ま、想定線内の結果」とクールに見ているようです。一方、議会での強力な支持基盤を得て、政策推進力を高めた小池都政への期待。大見出しが躍るこの日の新聞ですが、株価がその真贋をどう見極めていくか、それが注目されます。

 さて、今日から7月相場。7月の星取りは取引所再開以来過去68回が35勝33負と、勝率51.4%。勝ち星が多い月ですが、その勝率はほぼ平均的な水準です。月間変動率でみても1995年に△14.88%と高い上昇率を記録したことがありますが、総じて大きな動きが出にくい月、といっていいでしょう。

過去10年間でも●●○○○●●○○○−と、星取りは6勝4負でした。傾向がそのままなら、今年はマイナスとなるかもしれません。

月間の騰落カレンダーでは、上昇特異日は7月1日(上昇確率68.52%)ですが、今年はお休みでした。月初高のジンクスは今年のここ数カ月の特徴ですが、「月初高」をそのまま引き継げば本日、7月3日となります。しかし、この3日の勝敗をみると、29勝24負(54.7%)とあまり成績が良いわけではありません。上昇確率が過去2番目に高いのは、5日の32勝20負(勝率61.54%)でした。

逆に、下落特異日は22日の19勝35負(勝率35.19%)ですが、こちらも今年は日曜日。次に成績が良くないのは今週6日の23勝31負(勝率42.59%)でした。

 7月の出来事は以下の通り。7月で歴史に残るイベントといえば、ケネディ・ショックが代表的。「利子平衡税創設」など貿易不均衡の是正策発動で日経平均は当日、4%台の下落率を記録しています。そのほか、(1)3年おきの7月に参院選(時に衆参同日選)が行われることから、その結果によっ政権交代があること、(2)3連休を境に東証のシステム変更や新システム導入がおこなわれること、(3)年後半の初月ということから新しい制度がスタートすること−などが特徴的です。さらには、(4)天・底をつけることはあまりない…といった傾向もあるようです。

■7月の主な出来事
・1878・7・15 東京株式取引所株式の取引開始
・1912・7・30 明治天皇崩御
・1914・7・28 オーストラリア、セルビアに宣戦布告(第2次世界大戦)
・1937・7・07 盧溝橋事件
・1944・7・01 連合国が国際金融会議(ブレトンウッズ)
・1945・7・25 連合国が対日ポツダム宣言発表
・1953・7・23 板門店で朝鮮戦争休戦協定に調印
・1956・7・17 経済企画庁が経済白書で「もはや戦後ではない」と
・1956・7・26 エジプトがスエズ運河国有化を宣言
・1960・7・01 家電各社がカラーTVを一斉に発売
・1960・7・16 池田勇人内閣成立
・1963・7・19 ケネディ・ショック(東証ダウ▲4.25%)
・1965・7・12 東証ダウ、「40年不況」時の安値1020.49円記録
・1967・7・01 第1次資本自由化(外国人株式取得制限緩和)
・1969・7・01 東証がTOPIXの公表開始
・1969・7・20 米アポロ11号が月面着陸に成功
・1970・7・18 東京都杉並区の高校で光化学スモッグ
・1972・7・07 田中角栄内閣発足
・1975・7・01 ミネベアが初の株式交換による企業買収発表
・1975・7・19 沖縄海洋博開幕(〜76.1.18)
・1976・7・27 田中角栄前首相逮捕
・1982・7・01 トヨタ自動車発足(自工と自販が合併)
・1985・7・06 日経ダウ、初の13000円台乗せ(1万3040.10円)
・1989・7・23 参院選で自民過半数割れ、宇野首相が退陣
・1990・7・25 大手証券に損失補填が発覚
・1991・7・25 大手銀行に不正融資発覚
・1996・7・12 病原性大腸菌O157による集団食中毒発生
・1997・7・18 個別株式オプション取引開始
・1998・7・30 参院選の自民大敗受け、小渕新内閣発足
・2000・7・12 そごうが民事再生法申請
・2000・7・21 沖縄サミット開催(〜23)
・2001・7・13 ETF上場
・2002・7・21 米ワールドコムが破産法申請
・2005・7・05 郵政民営化法案可決
・2005・7・07 ロンドンでアルカイダ系組織による自爆テロ08
・2006・7・14 日銀がゼロ金利政策解除(5年4か月ぶり)
・2008・7・07 洞爺湖サミット開催(〜7.09)
・2008・7・11 WTI原油先物145.29ドルの史上最高値記録
・2008・7・11 アップル「iPhone」日本で発売
・2009・7・01 家電エコポイント申請スタート
・2011・7・13 フィッチがギリシャの格付け3段階引き下げ
・2013・7・16 JPXが東証と大証の現物株取引を統合
・2015・7・08 中国が「大株主の売却禁止」など株式市場対策
(イワモト)

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低ボラの半年

r.matsushita |2017/06/30 7:54 am

 昨日のNY市場で株価が急落しており、それを受けて時間外の日経225先物も2万円大台割れになっています。今日の相場でいよいよボラティリティ増大の波乱か、となりそうなのですが、昨日までの数字を元に半年を振り返ってみたいと思います。代表的な指標の昨年末から昨日までの騰落率は以下の通りです。

・日経平均 5.8%上昇
・ジャスダック平均  18.7%上昇
・マザーズ指数 25.8%上昇
・円ドル相場 3.8%円高
・DJIA 8.6%上昇
・ナスダック指数 15.8%上昇
・円ユーロ相場  4.0%円安

 今年前半の世界の株式市場では、アルゼンチン、トルコなどの新興国の株価指数の上昇が目立ちましたが、日米でも、新興銘柄の方が上昇率が際立っていたようです。世界的に景気が拡大する流れを反映したものなのでしょう。

 日本株は上昇している感じがやや乏しいのですが、数字で見る限り相当に値上がりしています。ジャスダック平均、マザーズ指数の上昇率はかなり大きいですし、日経平均も円ベースでは年初来5.8%の上昇ですが、ドルベースならほぼ二けたの上昇率となっています。

 この傾向をどう見るべきか、いろいろ解釈ができると思いますが、株式市場に流入する資金がしだいに大胆になりつつある、という見方ができるのではないかと思います。おそらくこの傾向は今後も数か月スパンで続くのではないでしょうか。

 今年前半の株式相場では、変動(ボラティリティ)が小さくなったということを特徴の一つに挙げることができると思います。昨年が年を通じて高ボラティリティであったことと比べますと大きな違いでしょう。

 継続的に株式市場に資金が流入しているので、売り方がなかなか相場を売り崩せない、変動で儲けられないのでオプションを売ってプレミアムを稼ごうとする→ボラティリティが下がる、ということが起きた(起きている)のでしょう。

 相場を取り巻く環境を見ますと、行き過ぎた悲観と行き過ぎた楽観がともに修正された半年だったという見方もできるように思います。前者の行き過ぎた悲観は例えば欧州の政治・社会情勢で、一時はポピュリズムの台頭でEU崩壊、ユーロシステムの崩壊すら懸念されたのですが、オランダ、フランスなどの選挙を経て、悲観的見方が大きく後退した感があります。

 一方で、トランポノミクスに対する楽観論は大きく萎んだようです。アメリカでは法律を作るのは議会なのですから、大統領の思うように政策が実行されるはずもなかったわけですが、事実そのように推移して来ています。トランプ弾劾か、といった動きもありましたし。

 いずれにしましても、半年前に多くの市場参加者が期待・懸念したことの逆の動きが顕在化したと言えるように思います。

 アメリカ株式市場では、トランポノミクス期待の相場は不発気味になったものの、トランプ氏がアンチ・グローバリズムであると見るなら、そのアンチ・グローバリズムから遠いところにある米グローバル・ハイテク企業の株価が大きく上昇して、米株式市場全体の上昇を支えたのは、皮肉なことなのか米国企業の実力なのか、いずれにしましても、米国株式市場の強さは想定以上だったでしょう。

 今年これからの半年を見通しますと、恐らくは、今年前半に起きた「逆の動きのそのまた逆の動き」が起きると見ておくべきなのかもしれません。

 欧州はポピュリズムの嵐が去ったと安心しているかもしれませんが、そうでもなくて結構アンチEUの動きがまた出て来る、米国ではグローバル・ハイテク企業の勢いが鈍って、トランポノミクスが徐々に現実の姿を現して来る、そんな感じではないでしょうか。

 その中で日本経済、金融情勢、企業業績、株価は?となるわけですが、夏〜秋に多少の波乱はあるとしましても、その後はまた順調な上昇相場を演じてくれるのではないでしょうか。

2016年度株式分布状況調査
 毎年全国証券取引所が公表している「株式分布状況調査」の2016年度版が今年も出ました。(2017年6月20日付)

 番組に中で注目点をいくつかお話ししたいと思っています。

1.個人株主数23万人増加
2.外国法人等の保有比率は再び30%台に上昇
3.個人は比率低下も株式保有金額は約100兆円に
4.信託銀行の保有比率は着実に増加傾向

平成29年6月30日
証券アナリスト
松下律

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末尾7の年のアノマニー

k.nakajima |2017/06/29 9:10 am

市場関係者の一部に「末尾7の年のアノマニー」を気にする見方が有ります。
1960年代以降の末尾7の年の注目すべき出来事を挙げてみます。多分に我田引水的な面が有りますがご容赦下さい。

1967年  ポンド切り下げ(ポンドショック)

1977年  日本赤軍による日航機ハイジャック       

1987年  ブラックマンデーの暴落

1997年  アジア通貨危機、日本金融危機

2007年  パリバ・ショック(翌年のリーマン・ショックに繋がる)

2017年  ???

そしてこうした危機の遠因となる、災害、制度の歪み、国際的な事件等は末尾5の年に発生しています。 以下に見ておきます。

1965年  日本証券不況 株式の買い支え

1975年  南ベトナム崩壊(ベトナム戦争終了)

1985年  プラザ合意

1995年  日米貿易摩擦 阪神淡路大震災 オウム事件

2005年  米 ハリケーン・カトリーナによる大洪水(史上最悪の被害)

2015年  ギリシャ金融危機、中国の元ショック

2017年に何かが起きるなら、中国がらみとも読み取れます。
(中嶋)

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手塚治虫「火の鳥」に描かれた人工知能

k.suzuki |2017/06/28 8:04 am

世の中には「誰もが驚く偉業」というものが存在します。王貞治選手が756号ホームランを打った瞬間、北島康介選手がアテネ五輪で平泳ぎ2種目を制覇した瞬間、柔道の山下泰裕選手がケガを押してロス五輪で金メダルを取った瞬間。

感動で鳥肌が立ち、涙を流しながらテレビに見入った瞬間です。

最近ではソチ五輪での羽生結弦選手の男子シングル・圧巻の優勝でしょうか。大相撲春場所で新横綱の稀勢の里がケガで左腕がまったく使えないまま逆転優勝した瞬間もそうです。

同時代に生きる人間のひとりとして、偉業が成し遂げられた瞬間に立ち会いたいものです。目の前で歴史に刻まれる瞬間が成し遂げられたという事実を目撃し、共有・体験できるという体験はそうそうあるものではありません。

今週はそれがまさに起こりました。将棋の藤井聡太四段が公式戦29連勝を達成し、30年ぶりに記録を塗り替えました。天才のひしめく将棋界で14歳の少年が勝ち続けていることに、外野はただ驚くしかありません。

まだ中学3年生ですが、実力はかつての14歳ではありません。「AI時代の申し子」と呼ばれるだけに、最新の将棋ソフトで歴代名勝負の棋譜を徹底して分析しているそうです。

いまやAI、人工知能に関するニュースに触れない日はありません。しかもAIを利用する敷居がどんどん低くなっている事実に驚かされます。

半年くらい前であれば、がんを克服するための新薬候補を見つけるために化学物質の組み合わせでAIを活用したり、世界の異常気象を解決するための全地球規模のシュミレーションにAIを利用したりと、人類の未来を託すようないわゆる「セカイケイ」的な使われ方がAI利用ではなされていたように思います。

それが今ではマンションの管理に始まって、鉄道車両のデザイン、工場の資材管理、物流システムの設計、入れ歯のデザインにまでAIが利用されています。これなどはほんの一例で、AIはごく日常的な使われ方が始まっています。

ソニーはAIの開発に関して長年の「自前主義」を放棄して、外部機関と連携するオープンソースに踏み切ることを決定しました。アマゾンはAIによる機械翻訳システムを外部に貸し出すサービスを始める計画だそうです。そうなってくるとますますAIの利用はハードルが下がり、世の中に広く浸透してゆくことになるのでしょう。

株式市場などはすでにAI同士によるプログラム売買の戦いになっているように感じることが増えました。近い将来、サイバーテロは攻撃も防御もAI間の戦いになって、瞬時に決着がついているのかもしれません。

手塚治虫の「火の鳥」ではAIに支配された未来都市の盛衰を描いていました。未来都市間の戦争では、戦いが始まった瞬間にどちらの都市も消滅しました。

フェイスブック、マイクロソフト、ツイッター、ユーチューブ(グーグル傘下)の「ビッグ4」はテロ対策の強化のために業界団体を立ち上げるそうです。先端技術は私のような凡人レベルの想像をはるかに超えるところまで来ているようです。
(スズカズ)

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「気が付くと途絶えるもの」

e.sakurai |2017/06/27 7:18 am

先週水曜日経朝刊の「春秋」。
引退を表明した加藤一二三・九段の言葉がありました。
「将棋は戦いであると同時に人に感動を与える芸術」。
これは株の世界でも通用するような気がします。
「株は戦いであると同時に人に感動を与える芸術」。
結構シックリ。
その加藤九段。
最終局は負けたものの枯淡の境地の引退劇ではありませんでした。
「勝つことしか考えないという棋界きっての個性派らしい終局だった」。
「喜寿を過ぎ、なお尽きぬ勝利への思い。誰が真似できよう」との評。
そういえば、先月津山で出会った90代の投資家さん。
「若者が将棋で連勝しているだろ。ワシも今年は連勝記録を目指すんじゃ」。
この言葉が妙に甦りますが、14歳の最年少棋士は29連勝の記録樹立。

「毎四半期の始めの月の8日〜18日に日経平均が底入れる傾向」と大和のレポート。
昨年は4月8日15471円→4月25日17613円。
7月8日15106円→7月21日16938円。
10月14日16727円→11月1日17473円。
1月18日18650円→1月27日19486円。
となると、今年は4月17日18224円→5月17日19842円。
四半期の初めの月ではありませんが・・・。
5月18日19764円→6月2日20239円
6月15日19755円→6月20日20388円。

そしてアノマリーは月末安月初高。
NY市場の月末はこの1年で3勝9敗。
ところがその翌日となる月初の日経平均は12連勝。
昨年7月106円高(前日のNYダウは235ドル高)
8月66円高(同24ドル安)
9月39円高(同53ドル安)
10月148円高(同164ドル高)
11月17円高(同18ドル安)
12月204円高(同1.98ドル高)
1月479円高(同57ドル安)
2月106円高(同107ドル安)
3月274円高(同25ドル安)
4月73円高(同65ドル安)
5月113円高(同40ドル安)
6月209円高(同20ドル安)。
12月3月6月と決算開示終了翌月に200円以上の上昇となる傾向が指摘されています。
「好業績を受けて株式の割安度合いが高まるからだろう」という声も聞こえます。
「月初に、資産ウェイトを変更するタイミングが集中」という指摘も見られるようになりました。
アノマリーは皆が言い始めると途絶えるのお約束。
今月末と来月初が楽しみになってきました。

以下は今朝の場況。

「マチマチ」

週明けのNY株式はマチマチの動き。
NYダウは金融・公益関連セクターが堅調で14ドル高と5日ぶりの小幅反発。
一時111ドル上昇した場面もあった。
アルファベットやアップルなどハイテク関連セクターが下落。
NASDAQは逆に18ポイント安と4日ぶりに反落した。
S&P500は小幅高で2日続伸と方向感のない展開。
シカゴ連銀全米活動指数と耐久財受注が市場予想を下回ったが売り込む材料にはならなかった印象。
債券市場も方向感が薄く10年国債は一時2.119%まで低下。
その後2.136%まで上昇。
10年物国債の利回りは低下し2年債との利回り差は一時0.77%まで縮小。
「さらなる利上げに意気込むFRBと低調な米景気指標を重視する投資家との温度差が鮮明」。
そんな声が聞こえる。
原油先物価格は3日続伸。
仮想通貨のビットコインは4日続落。
VIX(恐怖)指数は9.90まで低下。
3か月後の変動率を表現したVXVも12.27%まで低下した。
ドル円は112円に迫る動きとなった。
材料難からイエレンFRB議長のロンドンでの講演(日本時間28日早朝)を待つ雰囲気がある。
残念ながら何か指標やイベントが無いと動けないのが市場の宿命でもある。

「2日連続日足陽線ならば可」

タカタの民事再生法申請且つ上場廃止や東芝の東証2部降格などを受けた割にはしっかりの展開。
もっとも東証1部の売買代金は1兆7500億円台と低水準だった。
「陰の極」という見方もできなくはない。
ただ日足は陽線。
20日以降、日足は4日連続陰線だったから変化ではある。
225先物大証終値は日中比60円高の20180円。
25日線(19930円)からのかい離はプラス1.1%。
サイコロは6勝6敗で50%とやや上昇。
松井証券信用評価損益率速報で売り方は▲14.323%(前日▲13.961%)。
買い方は▲2.919%(前日▲3.657%)と買い方優勢継続。
空売り比率は35%と安定している。
日経平均採用銘柄のPERは14.27倍。
EPSは1412.29円と微妙に最高値を更新した。
6月権利配当付最終日。
「権利取りの買いが下支え」という声も聞こえる。
しかし売買エネルギーが今年2番目の低水準なのはいかにも不自然だ。
本当にそうなのかは微妙。
2日遅れで発表となった裁定残。
売り残は653億円。
少なくとも売り方の戦闘意欲はない数字と読むしかないだろう。
しかも1.7兆円レベルの解消売りなどたかが知れている。
5日線(20153円)にサポートされた展開と見る。
(櫻井)。

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鬱陶しい時期にも、朗報

iwamoto |2017/06/26 7:44 am

鬱陶しい、という字はこうやってパソコンの画面で打ち込むと簡単に表記できますが、ペンを握って実際に手書きしようとすると、それこそ鬱陶しいくらいに難しい漢字であることが分かります。

特に「鬱」という字は画数が29も。部首は「ちょう」。意味は「しげる」とか「さかん」などの他、「こもる」「ふさぐ」といった意味があるそうです。

2010年に常用漢字表に追加されたため、今では中学生だって学校で習っているそうです。 さて、問題。どこから書き始めたらいいのでしょうか、この「鬱」という字…。

  蒸し暑く、気が重く、鬱陶しい季節がやってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。
 先週、米国株式市場では2度目のヒンデンブルグ・オーメンが確認されたそうです。「52週安値更新銘柄数、52週安値更新銘柄数がともにその日の売買銘柄数の2%超。その他…」とけっこう複雑な条件があるそうですが、市場暴落の兆候として一部の投資家からは注目されているシグナルとか。

 5月末に発生し、さらに6月20日にも2度目のシグナル発信となったようです。「一度発信すると、そこから1か月間は要注意」ということですから、今週も警戒感は抜けないかもしれません。

 ま、史上最高値圏にある米国株ですから、こうした“行き過ぎシグナル”が数多く出現しても不思議ではないでしょう。むしろ、警戒シグナルを警戒する市場の雰囲気は健全そのものといっていいかもしれません。

 日本株にも朗報です。米国上場ETFのうち、日本株を対象とする「iシェアーズMSCIジャパン」には先週、第2位の資金流入があったそうです。米国株への高値警戒感が台頭し、北米を除く地域へと資金の流出が起こり始めている米国ETF市場。日本株がその第2位に選ばれているということですから、同じような動きが他の機関投資家にも期待できるかもしれません。

 それと、わが日銀も先週金曜日には6営業日ぶりでETF買いを実施していました。前場のTOPIXが0.09%しか下落していなかったにもかかわらず、です。

 6月最終週は株主総会の週。高値になりやすい習性のある強い週です。(イワモト)

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強いのか、弱いのか

r.matsushita |2017/06/23 8:10 am

 よく分からない相場になっていますが、期待も込めて夏相場でもう一段上があり、その後秋に掛けて5乃至10%の反落局面があってもいいように備えよう、といった感じでしょうか。

 例え反落局面が到来したとしても、その次の上昇相場ではソフトバンクは時価総額20兆円を目指して再び上昇してくれるに違いない、とか、任天堂もさらに大化けするかもしれない、とか、今はPBR1倍割れに低迷しているような中小型株の中から株価が何倍にもなるような銘柄が出て来るに違いない、とか、IoT、AI、フィンテック、等々の相場材料が個別株のバブル相場を生成する起爆力であり続けるだろう、などといったことが根本から崩れてしまわないことを願う気持ちは変わりません。

 相場を取り巻く環境は、奇妙なほど落ち着いています。欧州の懸念は独仏枢軸体制で改善しているように見えますし、トランプ大統領も弾劾か?などという状況ではなくなっています。東アジアの情勢は危機からは遠くなりつつありますし、地雷のような中国の不良債権問題も気にならなくなりつつあります。

 そういう時が実は危ない、ということなのかもしれませんが、とりあえずは安定を取り戻した環境にある、ということなのでしょう。

 個人的には、アメリカの金利が上がらないこと、資源価格が下がっていること、などが気になって仕方がないのですが、安定化がもたらしていることだ、という程度に、今は考えておくところなのかもしれません。

ROE8%、配当性向50%の威力
 番組の中でグラフをお見せしながらご説明したいと思っているのですが、企業が数十年に亘って高いROEと適正な配当性向を維持し続けることの効果は絶大です。

 アメリカの優良企業、例えばJ&Jなどはそれを実現して来たわけですし、日本でも、花王とか、ニトリといった会社が同じような素晴らしいパフォーマンスを達成して来ています。

 株式投資、ということをどう説明すればいいのだろうか?と時折考えるのですが、おそらく資産価値(財産価値)の維持・貯蔵に適しているもののひとつとして株式があります、なぜなら、こうこうこうですから、ということが言えるのであれば、それが一番ではないか、と最近思うようになっています。

 ROE8%という数値について、私は「伊藤のノルマ」と言おうと思っているのですが、簡単そうでそう簡単に達成できる数値、継続的に達成となれば、これはかなり難しい、というレベルのように思います。

 しかし、そうであるからこそ、それを目指して見事に達成する経営者の力量は称賛に値するのだろうな、と思います。

平成29年6月23日
証券アナリスト
松下律

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主要投資家別 株式保有比率の推移

k.nakajima |2017/06/22 8:21 am

6月20日、日本取引所グループによる恒例の投資家別株式保有比率が発表になっています。 2016年度末(2017年3月末)の値ですが、過去の推移をみると極めて興味あるトレンドが浮かんできます。 以下はその推移です。

       1989年度  2000年度  2013年度  2016年度
海外投資家   4.2%    18.8%    30.8%   30.1 %

個人      20.5     19.4     18.7    17.1

信託銀行    10.2     17.4     17.2    19.6

都銀・地銀   15.7     10.1     3.6     3.5

生保      11.8      8.2     3.7     3.5

事業法人    30.1     21.8     21.3     22.1

投資信託     3.7     2.8     4.8      6.3

一方日経平均株価は、1989年末の史上最高値38915円から一貫して右肩下がりとなり、2000年4月のITバブルのピークでも20833円の戻りに止まっています。 株価が長期のダウントレンドから右肩上がりに転じるのは、アベノミクスの成果が具体的に株価に反映された2013年年度からになります。

日本の株式市場は、外国人投資家の動向が鍵を握ると言われます。 その外国人投資家の保有比率は、1989年の4.2%から2000年のITバブルでは18.8%、2013年には30.8%まで急増しています。 しかし株価は一貫して下落を続けているのです。  一方主要国内機関投資家の都銀・地銀は15.7%から3.6%、生保は11.8%から3.7%、事業法人は30.1%から21.3%にそれぞれシェアーを大きく落としているのです。 つまり国内機関投資家の継続売りの前に外国人投資家の買い越しが相殺された形になり、株価の下落が続いたのです。

2013年以降、株価は上昇トレンド維持していますが、その間の外国人投資家の比率は30.8%から30.1%に小幅減少しています。 一方比率を上げたのは、年金の買いと企業の自社株買いを代行する信託銀行、自社株買いを拡大する事業法人、そして投資信託等国内勢になります。 その中で銀行、生保などの比重は底値横ばいで全く影響はありません。  残るのは個人ですが、2013年以降株価の上昇と共に比率を落としていますが、此れは長きに渡った長期下落から、株価はやっと上昇トレンドに入ったことによる利食が先行しているためでしょう。 2013年以降直近までの個人の現物株の売り越し額は、実に25兆円を越える膨大なものです。 ただ投資信託が比率を上げているので、個人の資金が市場から逃げている訳ではなさそうです。  これからの株価の動向を左右するのはどうやら外国人ではなく、個人を筆頭に国内勢の投資スタンスがその鍵を握っていそうです。
(中嶋)

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「世界同時株高」と日本の株式市場

k.suzuki |2017/06/21 8:00 am

世界中の株価が一斉に動き出しています。中心はやはりNY市場であり、FRBの利上げがあってもアマゾンが急落しても、連日のように最高値を更新しています。そのあとを追いかけるようにインド、台湾、韓国などアジア各国市場も過去最高値に進みました。

日本もようやく動きが出てきました。おっかなびっくりのところが残っていますが、日経平均も年初来高値を更新しました。世界から見れば明らかに出遅れていますが、日本は米国のあとを追ってハードからソフトへと産業構造の転換に着手している真っ最中です。その辺を割り引いて考えるべきだと勝手に納得しています。

それでも日本企業の中でも上場来高値を更新する銘柄が増えてきました。業績面で最高益を更新する企業が増えている点を見れば、株価の動きが追いついてきたというほどで、少し遅いくらいなのかもしれません。この一点に絞っても日本の株式市場にはまだ活躍余地は充分にあると思います。

配当利回りで比較すると、日本は全銘柄の加重平均利回りで2.0%です。これを海外市場と比較してみると、インドを除けば日本が最も低くなります。

日本:2.00%
米国:2.24%
英国:3.62%
ドイツ:2.58%
インド:1.54%
香港:3.11%
上海:2.44%

配当利回りの水準はその国の長期金利との比較で論じられるべきですが、ひとまずその議論は脇に置いておいて、現在の世界同時株高の中でも各国の利回り水準はまず妥当なレベルだと感じられます。過熱感はさほどありません。

政策金利を引き上げているのに市場金利が上昇しない「謎」、いわゆる「イエレン・コナンドラム」と称される状況が進行しています。しかし企業業績の良好さと利回り水準の高さから判断する限り、謎と感じられる部分は少ないようにも思います。

バブルは弾けてみて初めてバブルと判断されるしかないそうですが、現在の世界同時株高は、実体経済から乖離して形成されているとは言えないと判断されるべき水準です。断定はできません。言語によって表現するにはこのあたりが限界です。
(スズカズ)

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「島でシマ」

e.sakurai |2017/06/20 7:27 am

週末の沖縄・石垣島。
まだ梅雨は空けていませんでしたが株式セミナー、釣り、第1回英明カップゴルフ大会を消化。
特にゴルフは地元の女性参加者が優勝。
残念ながら2位でした。
聞けば、この方2週間前に「八重山毎日親睦ゴルフ大会」で初出場発優勝された方でした。
釣りは、エサを海に入れてから約30メートル。
いきなりググっときたので、今年から登場した電動リールで半信半疑で引き上げてみると・・・。
大きな赤い「アカジンミーバイ」。
船長さんが「そのまま。そのまま」といきなりタモで引き上げ「もうコレで今日は帰ってもいいね」と。
そんな、1回入れただけで終わりなんて、とも思いました。
船長さん「沖縄の人はこれが大好き。おいしそう」。
翌日実際に食べてみたら、まずは刺身、そしてカルパッチョ。
そしてナベになって最後はイタリア風にチーズリゾット。
1匹でこれだか堪能できれば文句なし。
小魚をたくさん釣ったところで所詮揚げ物程度の話。
大物を釣る方がやはり理に叶っているのでしょう。
考えて見れば株だって一緒。
大物をいかに釣るかに一生懸命の筈。
でも小物が釣れるうちに大物もかかるのでしょう。

「株唄」(島唄)

相場のツケが咲き売りを呼び嵐が来た
ウリカイが咲き乱れ株価呼び嵐が来た
繰り返す値動きは島渡る波のよう
アベノミクスで株価よろこび
アベノミクスで株価ふらつき
日経平均よ風に乗り
ダウとともに高値に渡れ
TOPIXよ風に乗り
届けておくれ市場の願い

ドラギよ宇宙よ神よイエレンよ
このまま永遠に夕凪を
日経平均よ風に乗り
ダウとともに高値に渡れ
TOPIXよ風に乗り
届けておくれ相場の先へ

ラララララ〜

・・・・・・・・・・・・・・・・・
「涙(なだ)そうそう」

古いチャートをめくり「ありがとう」ってつぶやいた
いつもいつも持ち株を励ましてくれる株よ
大幅高の日も下げの日も浮かぶあの相場
思い出遠くあせても
面影探してよみがえる場は涙そうそう

寄り付きの値に祈るそれが私のくせになり
夕場に見上げる先物心いっぱい明日を探す
悲しみにも喜びにも思うあの相場
あなたの場所から値動きが
見えたらきっといつか戻ると信じ生きていく

大幅高の日も下げの日も浮かぶあの笑顔
思い出遠くあせても
さみしくて恋しくて相場への思い涙そうそう
逢いたくて逢いたくて相場への思い涙そうそう

・・・・・・・・・・・・・・・・・
「兜町(シマンチュー)ぬ宝」(島人ぬ宝)

僕が育ったこの兜町(シマ)の株を
僕はどれくらい知っているんだろう

輝く株も流れる板も
コードを聞かれてもわからない

でも誰より誰よりも知っている
悲しい時も嬉しい時も
何度も見上げていたこの空を

新聞に書いてあることだけじゃわからない
大切な株がきっとここにある筈さ
それが兜町(シマンチュー)ぬ宝

僕が育ったこの兜町(シマ)の歴史を
僕はどれくらい知っているんだろう
消えていった立会場減っていく商い
どうしたらいいのかわからない

でも誰より誰よりも知っている
ウリにまみれてカイに揺られて
少しづつ変わっていくこの兜町(シマ)を

テレビでは映せないラジオでも流せない
儲かる筈の株がきっとここにある筈さ
それが兜町人(シマンチュー)ぬ宝

僕が育ったこの兜町の未来を
僕はどれくらい知っているんだろう

スプレッドもカバードコールも
言葉の意味さえわからない

でも誰より誰よりも知っている
雇用統計の夜もSQの朝も
何処からか聞こえてくる戦いを

いつの日かこの兜町(シマ)を離れてくその日まで
大切な株をもっと深く知っていたい
それが兜町人(シマンチュー)ぬ宝
・・・・・・・・・・・・・・・・・・

以下は今朝の場況。

「堅調な週明け」

週明けのNY株式市場は続伸。
NYダウとS&P500ザラ場・終値ベースの史上最高値を更新。
NASDAQ指数は1.41%高で昨年11月7日以来の上昇率を記録した。
欧州の株価上昇を好感。
NY連銀のダドリー総裁は「労働市場の改善が続き、賃金が上がってくればインフレ率はピックアップするだろう」とコメント。
インフレ見通しに楽観的と解釈された。
NY採用銘柄は21銘柄が上昇。
9銘柄が下落。
上昇率トップはアップルの2・86%。
1銘柄でNYダウを27ポイントほど押し上げた。
前週末まで3日続落していた反動もあった。
アルファベット(グーグル)やフェイスブック、アマゾン・ドット・コムといった代表的なネット関連株も上昇。
アマゾンは続伸。
一時6月6日に付けた上場来高値を半月ぶりに更新。
エヌビディア、AMDなど半導体関連も大幅高。
また長期金利低下一服からJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスなど金融セクターも上昇した。
市場では「攻める企業を好評価。買収合戦の思惑」などの声が聞こえる。
米10年債利回りは2.189%。
ドルは111円台半ばで推移。

「時価総額の壁を抜けるか」

週明けは日経平均2万円台、TOPIX1600ポイント台をキープ。
6月9日以来6営業日ぶりの2万円回復。
そして4度目の2万円台での大引けとなった。
メジャーSQ値19997円も超えた。
225先物大証夜間取引終値は日中比100円高の20130円。
6月2日の20239円、15年6月24日の2万952円(ともにザラバ高値)が近づいてきた格好。
松井証券経由信用評価損益率速報では売り方▲14.173%(前日▲12.94%)。
買い方▲3.758%(前日▲4.77%)と差は拡大。
空売り比率は35.5%まで低下。
日経平均採用銘柄のPERは14.28倍(EPSは1405円)とまだ15倍割れ水準。
25日線(19842円)からのかい離はプラス1.1%。
4%かい離で20635円だから過熱感はまだない。
課題は2兆円を割れた売買代金の低下傾向。
そして東証1部の時価総額の600兆円の壁になってきた印象。
もしも600兆円の壁を明確に超えることが出来れば実は1989年のバブル以上に強い相場に遭遇していることになる。
(櫻井)。

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個別の、好材料に目を据えよう

iwamoto |2017/06/19 7:40 am

 「共謀罪」国会を含めて国内外で重要なイベントが相次いだ先週。日経平均は1週間で70円安。2週連続の週間マイナスですが、幅は極めて小幅(TOPIXは先週プラス4.3ポイント)でした。例えば、ドル円が約2か月ぶりで108円台まで急伸するという場面があったにも関わらず…です。

 今週はあまり重要なイベントはありません。もし、市場が為替の動きを見にするようでしたら、米国で相次ぐ連銀首脳の発言が話題になるかもしれません。先週も、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁が「今回のFOMCでは利上げすべきではなかった」と利上げ後に声明文を発表したそうです。この人は今回のFOMCで利上げに唯一、反対票を投じた理由について「3月以降、労働市場は引き締まったが物価上昇率は低下しており、政策目標に近づいているようにはみえない」と述べています。さらに、「コアインフレ率の低下が一過性かどうかは分からない」と、これはイエレン議長のFOMC後の記者会見での「足元での経済指標の悪化はノイズ(雑音)」との発言に対する“当て擦り”のようにも受け取れる発言となっているのが面白いところ。19日もダドリーNY連銀総裁の講演が予定されているそうです。

 FRB主流のタカ派スタンスにもかかわらず長期金利が上昇せず、足元で発表される経済統計は弱く(16日発表の6月ミシガン大学消費者態度指数は94.5と5月確報値97.1から低下。市場予想の97.0をも下回っています)、市場のコンセンサスが形成しにくいという状況はきっとドル円相場の足かせとなっていくでしょう。

 ただ、米国株はそんな“ぬるま湯”な環境を好感するかのように、ダウ工業株が史上最高値を更新中です。日本株にとっても、その米国株の強さが支援要因となりそう。
こちらでは、あと3週間もすれば、3月決算会社の第1四半期(4〜6月)の決算発表が始まります。この間発表されている1〜2月期決算会社の数字は案外好調なものが多く、3月決算会社の発表にも期待が高まるはず。マクロベースのイベントに振り回された後は、ミクロでの材料に敏感になりやすい時期。

それも、今週は「好材料は出やすいけど、悪材料は出にくい」とされる株主総会シーズン。あまり日経平均の動きを気にせずに(といっても、2万円回復は気になる水準ですが…)、といきたいところです。(イワモト)

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予想通りの利上げイベント通過

r.matsushita |2017/06/16 8:01 am

 FRBの利上げは時期・幅ともに市場予想通り、ということだったわけですが、米利上げ⇒ドル高・円安⇒日本株高、とならなかったのは、足元のアメリカ景気へのそこはかとない不安とFRBの金融引き締めトーンダウン懸念、資産圧縮開始予想(流動性供給の低下懸念)などによるものかもしれません。

 しかし、当のアメリカではDJIAが史上最高値に上昇となっているわけですから、日本株には慎重と言われてもピンと来ない話ではあります。

 アメリカでもナスダック市場は少し波乱めいた動きになっており、これまでほとんど気にもしなかった感のある、金利上昇⇒株価下落、というシナリオを少しずつ意識し始めているのかもしれません。

 このところ、「ヒンデンブルグ・オーメン」が話題になっています。乱を好むと言いますか、大変動を期待する筋が市場にはいるわけで、そういう向きが一番喜ぶのが「短期間に起きる暴落」です。ヒンデンブルグ・オーメンは彼らにはうれしい話しに違いありません。

 ヒンデンブルグ・オーメンはともかくとしまして、「ここまでずいぶん株価が上がったのだから、そろそろまとまった下げがあってもおかしくないかもしれないな」くらいには思っておく方がいいのかなと、個人的には思います。

 ただ、期待も込めて想定するとしますと、7〜8月にもう一度日経平均2万円超えは見たいものだという気がします。それと、このところ顕著になっている物色の拡がり=中小型株の株価底上げ傾向、はもう少し本格的になってほしいものです。中小型株の市場は参加者の中心が(日本国内の)個人投資者、という特徴がありますから、そうした株が上がって個人がより金持ちになってほしいものだと思いますね。

 その後については、例えば9月〜11月にまとまった下げが起きて、株価の変動度(ボラティリティ)が上がって、といった局面が到来してもそれはそれで結構なこと、という感じでしょうか。大きく下落すれば、その後大きく反騰するでしょう。

 昨年11月以降のアメリカ株上昇は、一言でいえば「トランプ政策期待相場」だったと言えると思うのですが、トランプ氏が目指す政策がトランプ氏が目論んだスピードで実現する見込みはほとんどありません。

 共和党はもともと小さな政府を目指す政党ですから、共和党政権の1年目(の特に後半)は株価が不振となることが多い、と言われます。アメリカ株相場が今秋〜来春にかけて、そんな風になったとしても、別に驚くことではないのでは、と思います。

1ビットコイン=1億円説
 ビットコインを始めとする仮想通貨(暗号通貨)の価格が大きく値上がりして知名度も急速に向上したのですが、仮想通貨(のみならず)通貨全般には「妥当値」というものがありません(通貨の価値は国家が強制的に決め、物価と通貨間の交換レートは市場における売買によって決まる、という形になっています)から、ビットコインが将来いくらくらいになりそうか?という問いに、その妥当値という観点から答えることは不可能です。

 ビットコインはよく「デジタル・ゴールド」と呼ばれます。私はこの呼称はよくできている、と感じます。希少性や、耐久性、人々が財産として「信用」する、といった特性においてよく似ているからです。

 ビットコインを「デジタル・ゴールド」と位置付けて、いずれビットコインに対する信用は、今の金と同じようになる、つまり、やがては金と同じくらいの時価総額になる、と想定しますと、ビットコインの価格が、1ビットコイン=1億円になっても別に不思議ではありません。

 要は、人々がビットコイン(などの暗号通貨)を財産と位置付けて信用する度合がどれくらいの「規模」になるか?ということで価格が決まる、ということですから。

貨幣の3機能
 貨幣の機能は以下の三つにまとめられるそうです。
1.価値の尺度
2.交換(流通)の手段
3.価値貯蔵の手段

 これらの機能を今の貨幣(通貨)と仮想通貨でもって比べてみます。

 1.の価値の尺度は、今の通貨でも仮想通貨でも同じ機能、役割です。2.の交換手段としての通貨の機能を見ますと、おそらく、今の通貨よりも仮想通貨ははるかに優れていると思われます。ということは、これから、交換手段としての機能から仮想通貨(電子マネー、暗号通貨)の活用が大きく拡大すると予想されるということになります。日本のメガバンクが今こぞって「●●コイン」と名付ける仮想通貨を発行しようとしていますが、主にこの交換手段を洗練されたものとする、あるいは効率的、低コストのものとする、という目的で導入を目指していると考えられます。

 3.の価値貯蔵の手段はちょっと複雑です。貨幣を持つことで(財産的)価値を貯蔵することはもちろんできますが、別に貨幣でなくても価値の貯蔵はできます。債券を持つ、株式を持つ、金(ゴールド)を持つ、白金(プラチナ)を持つ、絵画を持つ、不動産を持つ、といった手段が使えます。

 この観点で仮想通貨を見ますと、利便性、操作性、秘匿性、持ち運びの便利さ、などからきわめて優れているのではないか、と思わせるものがあります。これで後は「信用」さえ付けば、価値の貯蔵手段として仮想通貨は大きな規模で受け入れられるだろう、との想像が働きます。

 個人的には、価値の貯蔵手段として最も優れているのは、流動性に優れていて、リスクをとることで価値の増大が期待できる株式だ、と思っているのですが、仮想通貨が価値の貯蔵手段として一定の地位を占めるようになるだろうということはきわめてありそうなことだという気がします。

平成29年6月16日
証券アナリスト
松下律

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日経リンク債(2)

k.nakajima |2017/06/15 8:17 am

前回6月8日の当ブログでは、日経平均株価の2万円回復の背景にテクニカルの部分で、日経リンク債の存在があったとする市場関係者の見方を紹介しておきました。 2万円を前に膠着相場が長くなると、2万円は当面付かないとの前提で、それならばと2万円を買う権利(コールオプション)を売りオプション料を手に入れようとする投資家の戦略と、そのコールオプションを買い向かった証券会社の反対売買が株価の上昇を加速させるメカニズムを、極めて単純化して紹介しておきました。 反対に膠着相場が続いても現値より大きく株価が下落しないとの前提に立てば、かなり下値の売る権利(この場合はプットオプション)を売りプレミアム料を得ようとする投資戦略も可能です。 今回は2016年2月12日の日経平均の15000円割れがこのケースに該当するので、その背景を単純化してみておきます。

この年は年初から日経平均が続落、前年末の19000円台から連日の下落です。
背景には原油価格の下落で財政的に厳しくなった原油産出国の日本株売り、さらにはドイツ銀行の経営危機の噂が下落に拍車を掛けます。 こうした弱気相場から15000円をノックインの値段とするリンク債の存在が注目を集めます。
株価がここまで下落しないとの前提で15000円の売る権利(プットオプション)を売りそのプレミアムを料を利払い原資とするリンク債です。 このリンク債を買った投資家は相対的に高い利回りの債券を手に入れることが出来ます。  一方売られたプットオプションは証券会社が買い向かいます。 株価が下落すれば利益の出るオプションですので、証券会社は株価の上昇に備え先物を「買う」ヘッジを行います。 更に株価が下落し15000円をノックインすると 証券会社にとっては先物のロングのポジションでは損失が発生しますが、株価の下落で利益の出るプットオプションの資産価格の上昇が先物の損失以上の利益を生みます。 更にノックインしたことで買い建てていた先物のヘッジも必要が無くなり、売り戻すことになります。 その売りが更に株価の下落を呼ぶことになります。 そうした動きを見越し、更に投機筋が売り参戦し短期的に出来高を伴う株価の急落を誘います。 以下先物の値と出来高を見ておきます。
2月8日  17000円 +280円   59098枚
  9日  16060円 −940円   85002枚
  10日  15670円 −390円  101913枚
  12日  14800円 −870円  137082枚
12日はオプションSQ日ですが出来高はその数日前から急増しています。 
15000円割れを狙った思惑的な売りに晒された結果です。 15000円、20000円等重要な節目の売買にはこの様なデリバティブを絡めた動きが有る事には注意したいものです。 無理をしてノックインさせているのでその後には反動が出ることが多いようです。  昨年2月はその後株価は反発、今回6月は大きく売り込まれないまでも小反落です。 新しい材料が待たれます。
(中嶋)

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今週は2017年相場の天王山

k.suzuki |2017/06/14 7:53 am

今日、明日の予定で米FRBの公開市場委員会が開かれます。米国の景気はまたもや足元の状況が心もとなくなっている模様ですが、果たして利上げがあるのかないのか、市場は息をひそめて見守っています。

その緊迫度は(簡単には比べられませんが)、終わったばかりのイギリス、フランスの下院議会選挙との比較でも段違いの感触です。

海外の金利先物市場の水準から判断される利上げ実施の確率は「ほぼ100%」とのことですので、そのあたりは市場ではまず間違いないことでしょう。今回のFOMCでは利上げの有無ばかりでなく、いよいよ懸案の資産規模の圧縮に踏み込むか否か、という点に注目が集まっています。いまやこちらの論点の方がより前面に出ています。

FRBが資産圧縮に着手するのであれば、それは非伝統的な金融政策の状況からの脱却を世界に宣言することであり、リーマン・ショック前後に経験した世界の混乱とは完全に決別することとなります。

それこそ金融の正常化への道のりであり、景気拡大の過程では避けて通ることはできません。ですがやはりその際に株式、金利、通貨の金融資産、および新興国経済に与える影響は甚大であると考えられています。

折りしもイエレン議長の任期が来年2月に迫っており、この時期に資産圧縮という大きな決断に踏み切るのであれば、それは後に就任する新議長にとって多大なプレッシャーとなることは間違いありません。

だからかと言って資産圧縮に着手しないまま次に引き継ぐことも、それはそれで別のプレッシャーが温存し続けることになります。6月13日付の日本経済新聞には、後任議長の候補に浮上しているジョン・テイラー教授の意見が掲載されました。

その要旨は、金融正常化を急ぐべきだ、他国・他地域の米国への依存度を下げるべきだ、周囲を意識し過ぎてはならない、ということになるでしょうか。印象としてはかなり強硬な路線を描いているように感じられます。

ハト派で知られるイエレン議長の記者会見がどの程度まで踏み込んだ内容になるのか。これはもう2017年相場の天王山、大きな分岐点と言ってもよいでしょうね。
(スズカズ)

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「禍福は糾える縄の如し」

e.sakurai |2017/06/13 7:18 am

6月1日に「禍福は糾える縄の如し 第5次産業革命とバイオ相場。
バイオ関連 稼足銘柄20銘柄」という電子書籍を出しました。

https://www.amazon.co.jp/dp/B071J8JF59/

以下はその「はじめに」。

2002年秋。
阪急茨木駅からモノレールに乗り換え大阪大学医学部のある研究室を訪ねた。
日本初のバイオベンチャーとして上昇したアンジェスMGの創業者インタビューが目的だった。
不思議なことに当時はあまり魅力を感じることがなく、取材はそれきり。
以後10年近く訪れることはなかった。
ところが、その後田町の東京本社に取材して改めて同社のポテンシャルを認識したのも事実。
研究は進んでいたのである。
2006年、ナンキャリアというバイオベンチャーを取材した。
患者さんのQOLを高めるために幹部に直接に制がん剤を運ぶという研究に感動した。
しかも資本面では当時まだほとんど話題にもなっていなかった「株主割当増資」を実施。
株価が何回も急騰した記憶が残った
新横浜のメディネットを訪問したのも同じ頃。
点滴を受けている患者さんの姿を見たのが印象に残っている。
数年前の秋。
カイオムバイオという会社を取材した。
パンデミック症候群に対する期待感で株価は一気に20倍以上に暴騰した。
2年間の初夏。
山形県鶴岡市へ飛んだ。
HMTの研究所見学。
何もない畑の真ん中に大きな研究棟。
うつ病のマーカー研究を続けている研究者の姿を見学。
今年になって株価は3倍近く上昇した。
苦節2年というところだろうか。
どの銘柄にも共通していたのは「志」。
患者さんを治し、新たな医学や健康の提供を行うという必死の研究だった。
たぶん株価だけの問題ではない。
しかし患者さんを救うというのは否定できない共通理念だろう。

残念ながらバイオセクターというのは株価的には抱擁か、心中かの苦しい選択の繰り返し。
歓喜と失望の時期がほぼ1年ごとに落とすれるリズムがあるような気がする。
前回バイオ相場があったのは2016年5月までの相場。
あれから1年。
リズムはバイオに巡ってきたように思えるのは気のせいだろうか。
バイオ株を取り巻く環境、そして市場動向を改めて考察してみた。

そして「おわりに」

4月28日に完成した自民党の「経済構造改革に関する特命委員会の最終報告」。
題して「経済構造改革戦略:Strategy5」。
その中の《戦略2》は第4次産業革命の社会実装によるSociety5.0の実現。
「医療・介護革命」を積極的に推進するためにICT、AI、ビッグデータ、ロボット、高度センサーなどの最先端技術を医療・介護の分野において社会実装し、日本の隅々まで質の高い医療・介護サービスが受けられるようにする。
これが骨子である。

(1)人工知能を活用したがん治療・難病治療の実現
(2)「遠隔医療」の社会実装
(3)革新的「創薬」の支援
(4)医師が患者の病歴・薬歴を瞬時に把握できるデータ利用システムの構築
(5)「介護革命」の実践
(6)「医療・介護革命」の推進に向けた「サンドボックス型特区制度」の活用

特に(3)の革新的「創薬」はまさにバイオベンチャーの世界。
国策に沿った動きであるとも言えよう。
「不老長寿」を求めている訳では決してない。
難病、難治疾患で苦しむ患者さんのためにバイオベンチャーは「『志』追求型企業」として日々行動しているのである。
ここを忘れることなく、それでも株式市場に携わるものとして、バイオベンチャーの研究の進展と株価の発達を願わざるを得ないというのが正直な気持ちである。
「日本の医薬品の質と競争力を高めるとともに、日本市場にとどまらず世界を見据えた展開を図ることが」できるよう積極的な推進を図る」。
その延長線上に世界で活躍する日本のバイオという日々がやってくると信じたいものだ。

以下は今朝の場況。

「とんがっていたものが売られ冴えなかったものが買われた」

週明けのNY株式市場は軟調展開。
NYダウは4日ぶりに反落した。
アップルやマイクロソフトなどハイテク株の下落が継続。
「投資家心理を冷やした」との解釈。
VIX(恐怖)指数は11.46%まで上昇した。
先週末に3.87%下落し昨年1月7日以来の下落率を記録していたアップル。
週明けも2.38%安と大幅に3日続落。
アイフォンの販売が懸念されておりみずほ証券などの投資判断引き下げも影響した。
もっとも日足チャートは長い下ヒゲ。
「底入れ感」という指摘もある。
ネットフリックスが4%超の下落。
フェイスブック、アマゾン、アルファベット(グーグル)なども軟調。
週末に6%超の急落を見せたエヌビディアは小幅反発。
イメルトCEO退任を発表したGEやIBMなど値動きが冴えなかった銘柄は逆に堅調展開。
セクター間の巻き戻しのような動きも見られた。
FOMCを控え「低リスク通貨」とされる円は強含み。
ユーロは対ドルで4日ぶりに反発。
金が4日続落しており地政学等リスクは低下している印象。
資金流入が続いてきたIT株と並んで上昇してきたビットコインも急落。
「大きな資金移動の予兆」という声も聞こえる。

週末のNY市場でのFAAMG株急落のあおりを受けた格好で軟調となった週明けの東京。
NYほどITセクターが市場をけん引してきた訳でもないのに不思議な構図となった。
ここまで冴えなかったセクターの自動車や金融がしっかりしてきたのは主役の交代場面なのかも知れない。
昨年も6月を境に主役セクターがガラリと一変したことも市場の記憶には残っていよう。
「中長期の視点では、良い押し目買いのタイミング」という声もある。
時間軸を長くすれば右肩上がりに変化はなかろう。
問題はその長い時間軸を許容し我慢できる投資家がどれだけいるかということ。
せっかちな投資家にとっては、市場の息吹の変化は結構重要なファクターとなる。
225先物大証夜間取引終値は日中比40円安の19820円。
25日移動平均(19835円)は下回った水準。
騰落レシオも96.86%まで低下。
サイコロは4勝8敗で33.3%だ。
空売り比率も37.6%と売り方も戦闘意欲が旺盛ではなさそう。
見極めるべきはFOMCとかフランス選挙などではなく、セクター移動が起きるのかどうかということだろう。
(櫻井)。

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