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古くて新しい電気自動車

中嶋 健吉

2021/01/14 07:53

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電気自動車に関る報道が続いています。ここ数日でもアップル、中国ネット検索大手百度(バイドゥ)などが製造販売への進出を表明しています。テスラの成功が示すように、製造に於ける技術的なバリアが高くない、との認識が広まったのかもしれません。ガソリン車が約3万点の部品を必要とするのに対し、エンジンの要らないモーターで動く電気自動車は、部品点数がその半分で済むと言われています。ガソリン車はエンジン内で上下するピストン運動を回転運動に変える必要があり、其処に技術の要が有り、それに伴う部品数も多くなります。一方電気自動車は、モーターの創る円回転をそのまま動力として活用できるメリットがあります。エンジン回りの部品点数が少なく済み、その為異業種からの参入も難しくないのでしょう。

専修大学の鈴木教授の著書に興味ある指摘があります。1901年のニューヨーク自動車ショーには、エンジン自動車とともに鉛蓄電池を搭載した電気自動車、蒸気自動車が出店し、それぞれ違う3つの技術を競い合い、本命はまだ見えていなかったとか。しかしその後テキサスでの油田発見、自動車レースでのガソリン車の優位性などもありエンジン車優位が確立するのです。一方既に存在した電気自動車にとっては、電気供給のインフラがなかったことも劣後する原因の一つでした。

日本でも1917年、GSユアサ創業者の一人島津源蔵氏が2台の電気自動車「デトロイト号」を輸入しています。自ら開発した日本初の充電出来る鉛蓄電池を搭載し、一回の充電で40キロ走る事が出来た為、自ら通勤に使っていました(日経報道)。

トヨタも長い歴史をもっています。自動織機で成功したグループ創始者の豊田佐吉氏は、1925年に当時としては破格の懸賞金を付け、小型大容量の蓄電池の開発を公募しているのです。その後1939年に蓄電池研究所を設立、飛行機、自動車の動力源としての蓄電池の開発を始めているのです。現在トヨタの注力する全固体電池の開発に繋がっています。

歴史を振り返っても電気自動車に新規性は有りません。又参入も容易なことから、将来の成否を決めるのは自動車を作る事ではなく、作った車にどれだけの付加価値を創ることができるかにかかっています。その意味でアップルの参入は新しい自動車像に向けての第一歩になる可能性があり、戦国時代入りの予感を感じさせます。
(中嶋)