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2021/02/12 08:20
また同じメカニズムで
今週月曜日の相場急騰をみますと、あっさりと大台を超えたという感じでした。また同じメカニズムで売り方の買戻しが相場を押し上げた、ということだったようです。
ただ、以前ですと日経平均の売りポジションを取っていた向きの買戻しが中心という感じでしたが、今回は(おそらく)日経平均先物オプションのコールの売り方がコール価格の上昇に応じて先物の買いを入れたことが主導、という感じを持ちました。
コールの買い方の中心が個人だったかどうか分かりませんが、個人のコール取引のほとんどは買い、売りの多くは業者、という構図はおそらくそのとおりだったのではないかいと思います。
コールの売り方である業者は、コール・オプションのデルタの上昇に応じて自動的かつ急速に先物の買いを入れたのでしょう。それが、わずか10分程度の間に日経平均が500円規模で上昇した原因だった、そんな気がします。
いつもコメントしていることですが、現下の株式相場は「パンデミック・バブル(流動性供給を因とする需給相場)」と「業績回復期待相場」の組み合わせだと見ることができると思いますが、銘柄の物色を見ますと、月曜日に日本製鉄株が10%規模で上昇したのは典型的な動きだったと言えそうです。
市場全体を見ますと、まだバブル状態からは遠いと思いますが、個別の株価を見ますと、そうとうにバブルっぽいものも多く見られます。バブル株価が収縮を繰り返しながら破裂するまでに膨らみますから、個々にどんな状態なのか、常に見ておくことが必要でしょう。
今日は2月のオプションSQです。SQの水準がどのようになるか、日中相場がどんな動きをするか、注目しておきたいと思います。
暗号資産(仮想通貨)
今週もいろいろなことが起きましたが、暗号資産からみでテスラ社がビットコインを1500万ドル購入⇒ビットコイン価格500万円突破、というニュースは面白いものでした。
テスラ社という自動車メーカーがビットコインを買う、というのは奇妙ですが、社長のマスク氏はペイパルの創業者の一人だったということからしますと、突飛なことではないのかもしれません。
暗号資産の価格高騰は、まさに流動性バブルの象徴でしょうし、米国の膨大な資金供給⇒将来のインフレ⇒ドルの減価への備えが始まっている、といった解釈も可能かもしれません。
ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)は時に「デジタル・ゴールド」などと呼ばれたりします。感覚的にはまさにそのとおりのようにも思えます。
としますと、(金を実際の取引の際に用いることは普通はないように)ビットコインなどの暗号資産は決済のための道具としてはあまり向いていないように思えます。
ただ、暗号通貨の世界はまだ混沌としていて、ビットコインなどとはまったく別に価値を安定させたデジタル通貨の構想もありますから、暗号資産全般が決済に向いていないとは言えないのでしょうが。
ビットコインなどの決済通貨に向きそうもない暗号資産については、まさに需給だけでその価格が決まりますから、どの程度の価格が妥当か?ということはそもそも質問にもなりえない、ということになってしまいます。しかしながら、今の情勢を考えますと、まだまだ暗号資産のバブル相場は続くのでしょう。
ビットコイン(BTC)と言えば、私は2017年8月に分裂(ハードフォーク)によって誕生したビットコイン・キャッシュ(BCH)がこれからどうなるか?に興味があります。
1ビットコインの価格は現在488万円ほど、一方、1ビットコイン・キャッシュは5万5千円ほどです。分裂した頃は両者同じくらいの価格でしたから、3年ほどで大きく差が開いたことになります。
私は、この差はビットコイン・キャッシュを主導したのが中国系の人たちで、中国が暗号資産に対して強い規制をしている、ということが影響しているのではないか、と(ほとんど邪推かもしれませんが)思っています。(同じようなことは、イーサリアムとイーサリアム・クラシックにもあるのかもしれません。)
今後どんな推移を各暗号資産の価格が辿るのか、興味が尽きません。ただ、暗号資産は本質的に「根源的価値を持たない存在」(=つまり、何か価値を生み出すものではない存在)であることは常に覚えておくべきではあります。
通貨というものは「信用」だけにその価値の基盤を持つ存在であり、その「信用」は「国家(の徴税権)に基礎を置くもの」のはずだと私は理解します。(ちなみに企業が発行する通貨でもある「株式」の信用の基盤は企業の利益です。)将来は、国家などというものがなくなるのかもしれませんし、デジタル・ゴールドにはそれ自身の価値がある、ということになるのかもしれませんが、そうならない可能性も強いように思えます。
2021年2月12日
証券アナリスト
松下律
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