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セル・イン・メイに向けて

松下 律

2021/04/23 08:20

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 昨夜のNY株式相場では3指数そろって下落、バイデン大統領による増税案の表明がリスク・オフに市場を傾けたとのことです。ゴルディロックス状態にバイデノミクスが水を差すという流れが出来つつあるのでしょう。


低ボラティリティ・株価変動大

 ボラティリティ・インデックスが相対的に落ち着いていた割に今週は日経平均が大きく変動したという週でした。いろいろ要因は指摘できるでしょうが、今年に入ってから2月中旬以降同じような展開が繰り返された、と見ることもできそうです。(かつてのバーナンキ・ショックのようなことが起きたらいいな、と思っている人たちがけっこういるのだろうな、という印象ですね。)


 今年2月中旬以降昨日までで、日経平均は3回1000円を超える規模で下落しています。


・1度目は、2月16日から3月5日にかけての約2,400円の下落。


・2度目は、3月18日から24日にかけての約2,100円の下落。


・3度目は、4月6日から21日にかけての約1,800円の下落。


 いずれも日経平均が3万円の大台を付けた後の下落で、下げの最後の方では数日で1000円以上下落した、といった共通点があります。


 下落の要因はいろいろ指摘できると思いますが、主なものとして思い浮かぶのは、


・1度目は、アメリカのNASDAQ指数の下落に連れ安。(高PERの成長株が、徐々に上昇しつつあった米長期金利の上昇を受けて下落した。)


・2度目は、大きくは日本国内の需給の要因で、日銀が4月以降日経225型のETFの買いを止めるとの報道を受けた売りの増加、あるいは、仕掛け的な売り。


・3度目は、日本におけるコロナ感染者数の急増を受けての経済の先行き懸念。決め球となると期待されているワクチンについては、日本では接種スピードが遅い。


などを指摘できるように思います。


 ファンダメンタルズから見ますと、コロナショック後の経済の回復、企業業績の復調をほぼ株価が織り込んだかな、と思える局面に至ったこと、株式需給で見ますと、昨年末から今年初にかけて信用の買い残が大きく増加しており、買いの荷もたれ感が出始めている、などを指摘することもできるでしょう。


 日米の株価の推移を比べますと、米国はワクチン効果もあって好調を持続しています。(今のところ。)しかしながら、金利の上昇、テーパリングへの警戒等々、近い将来の相場下落要因として想定できる項目は多数あるというのが現状でしょう。ゴルディロックス相場に乗って米国株価がさらに上伸し、日本株が三たび3万円超えといった水準になった時には、セル・イン・メイという言葉を思い出す方がいいことになるのかもしれません。


株式運用の工夫

 株式市場における市場参加者は実に多様、と先週も話しました。このことは実は株式運用において役に立つヒントを与えることだ、と私は思います。


 いろいろな相場コメントやニュース、材料に対して、投資や投機をする個人の市場参加者として混乱することなく運用を続けるための工夫に対するヒント、という意味です。


 具体的に、以下のような運用の工夫をしてみるとしましょう。


・自分の株式運用のための口座を別々の証券会社で二つ(あるいはそれ以上)用意する。


・二つのうち、一つは「長期投資用口座」と位置付ける。


・もう一つは、「トレーディング口座(投機口座)」と位置付ける。


 長期投資用口座における運用は概略以下のような方針とする。


1. 株式投資は個別銘柄の現物株のみで信用取引は使わない。基本はバイ・アンド・ホールド、投資期間は数年以上を想定。


2. レバレッジは掛けない。


3. NISAなどの税制優遇制度を活用する。


4. 投資対象の投資価値に焦点を当てて長期的に高い投資リターンを追求する。ゼロコスト資産、高配当利回り銘柄のポートフォリオ達成を目指す。


 一方、トレーディング口座(投機口座)における運用は概略以下のような方針とする。


1. トレーディング対象は、個別株、指数先物などのデリバティブ、ETF、など何でもOK。買いポジションのみならず売りポジションも持つ。


2. レバレッジを活用する。


3. 決められた額の証拠金(元手)を使って、信用取引、証拠金取引を行い、現物取引は行わない。


4. 会計期間を1年と定めて、その間証拠金を増額したり減額したりしない。


5. ポジション額、損切などに関する自分の納得の行くトレーディングルールを定めて運用を実行する。


 つまり、多様な市場参加者のうちの典型的な二つのグループである、「投資信託や年金ファンドのような長期投資家」と、「投機筋」の行動を自分の二つの口座で実行してみよう、という工夫です。


 私は、こうした工夫から得られるものは大きいと考えていますので、番組放送の中でそうしたメリットについても話したいと思います。長期投資用の口座で買うべき銘柄がなかなか見つからない、とすれば、相場が数年単位で見て高値圏にあるのだな、と実感できますし、短期トレーディングで買った銘柄を塩漬けする、などという失敗も減るでしょう。また、昨年のコロナショック時のような大暴落の時、長期投資用の口座の銘柄を叩き売る、などということにもならずに済むかもしれませんし、その時トレーディング用口座でならうまくショートポジションを使って利益をあげられるかもしれません。投資という行動と投機という行動を明確に区別するいい工夫になるでしょう。


2021年4月23日

証券アナリスト

松下律