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日本の長期成長戦略(2)

中嶋 健吉

2021/06/03 07:36

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3月25日に次いで長期成長戦略では、2度目の投稿になります。重なる部分の有ることはお許し下さい。既にその一部が明らかになっていますが、6月中に政府主導の長期成長戦略の発表が予定されています。個人的に強い関心を持つのは、長期戦略としては間違いなく、1960年池田内閣の「所得倍増計画」以来60年振りになるからです。そして日本経済はこの年を起点に1990年のバブルのピーク迄、輝かしい30年を謳歌したからです。

政策として知られる安倍政権のアベノミクス3本の矢は:
  1. 大規模な金融緩和
  2. 拡張的な財政政策
  3. 民間投資を呼ぶ成長戦略
に見られるように、長期成長戦略と言うより「脱デフレ」に向けた戦術的な要素が強いものでした。

今回の成長戦略は、50年までの温暖化ガス排出実質ゼロに向けた決意を法制化し、国の戦略としての法的根拠を与えた点で極めて重要な意味を持ちます。そのグリーン戦略に不可欠な供給網整備、それを支える半導体生産強化を、今後の日本経済の成長の柱として明確に位置付けたことです。更に経済安保の観点からアメリカとの共同のサプライチェーン構築など、かって考えられない分野にまで踏み込んでいます。その達成の為政府としての支援、補助の大幅な積み増しを明言しており、官民共同作業の色彩が色濃く出ています。

1960年代の所得倍増政策が大きな成功を収めた理由は、民間が主体的に主導権を握ったことにあります。しかし一方政府が成長を志向する大きなビジョンを示し、民間の活動を支える港湾、道路などの社会資本整備を重要視し、その予算額、実行時期を明確にしたことも重要な点です。当時の著名な経済学者は「政府は自分たちの力で物事を進めたと考え、民間は自らの意思で投資を行い経済を支えたと考えていた」など、皆が自分の手柄と考えられるような見事な協調の仕組みがあったと指摘しています。新たな栄光の30年に向かって身近に発表の迫った成長戦略には、是非とも新たな官民協調の姿を見たいものです。
(中嶋)