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サマーラリーがあるとすれば「ワクチンラリー」だと思うのですが・・

松下 律

2021/06/04 08:20

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投資家⇒トヨタ株、投機筋⇒レーザーテック

 先週金曜日、日経平均が600円も上昇するのを見て、これは夏のワクチンラリーの前触れかと思ったのですが、その後の1週間の株価の動きは大したことのないものでした。


 トヨタ株の上昇とか、レーザーテック株の投機的な動きとか、エキサイティングと言えばエキサイティングな動きもあるのですが、今一つぱっとしないのは、米国株の動きとその背景にある米国の金融政策の動向を気にしているからなのかも知れません。


 とはいえ、いろいろ言われはするものの、ワクチン接種はこれから大幅にスピードアップして、恐らくは想定以上のピッチで接種が進むものと思われます。


 ワクチン相場=これまでのK字回復からの脱却、ということで、デパート、小売り関連、レジャー、旅行、交通、外食関連の銘柄に目を向けよう、という感じもするのですが、それらの中には株価だけを見ればもうけっこう上がってしまっているものも多い、ということになりますと、これはやはりワクチンラリーで日経平均が少し上に持ち上げられる、といったイメージを抱く方がいいのかな、と思ったりもします。


 外国人の売りで下げている、あるいは上がらないでいる、ということであるとしますと、その下げを演出しているのはまた外国人による日経平均先物の売りであるかもしれません。


 としますと、意外にも日本はワクチン接種の推進に成功するかもしれない、となればそれらの売りを買い戻すかもしれない、そうなればある程度の期間日経平均が上昇する、というシナリオを描くことができるかもしれません。


 米国では、インフレ懸念が燻っていますし、バイデン増税が株価に悪影響を及ぼす局面の到来も考えられるかもしれません。米国株が下落しても日本株が大きく上昇する、ということはなかなか考えられませんので、この夏のワクチンラリーは幻に終わる恐れもあるのでしょうが、どこかで梅雨の晴れ間のような上昇局面があるかもしれない、と想像するのも楽しいことかもしれません。


買いポジションと売りポジション

 FXのポジションを考えてみますと、例えば(計算を簡単にするために、1米ドル=100円、としまして)決められた額の証拠金を使って、1万米ドルを買った、という場合、ポジションは米ドル1万ドルの買いポジション(米ドルのロングポジション)ということになります。


 逆に1万米ドルを売った場合は、ポジションは米ドル1万ドルの売りポジション(米ドルのショートポジション)となります。


 おそらく、日本でFXのトレードを頻繁にしている人にとっては、米ドルの買いポジションと売りポジションは、日常的に何の抵抗もなく行っている行動だろうと思います。


 それでは、株式の場合はどうかと考えてみます。こちらも計算を簡単にするために、トヨタ株が100株=100万円であるとします。

現物でトヨタ株を買うとして、100万円を投じてトヨタ株100株を買ったとしますと、そのポジションは、トヨタ株100万円の買いポジション(ロングポジション)です。


 信用取引の制度を使って(株式を借りて来て)証拠金を積んでトヨタ株100株を売った(空売りした)としますと、そのポジションは、トヨタ株100万円の売りポジション(ショートポジション)です。


 FXの場合と違って、株式の場合は(私の印象ですが)多くの人にとって、売りポジションが買いポジションより分かりにくいものになっている、と思われます。


 FXの場合は、「円という通貨」対「米ドルという通貨」の交換ですから、おそらく多くに人にとって「対象な」感じがして分かりやすいと思いますが、株の場合は「円という通貨」と「株式という資産」の交換なので、ピンと来ないところがあるのだろうと思います。


 株式投資、ということだけを考えますと、どの道長期に亘る作業ですから、円という資産を株式という資産に交換する、という買いポジションのことだけを意識すればそれでOKということになりますので、売りポジションのことなど考える必要もない、と言えます。


 しかしながら、投機という観点で見ますと、投機は自分の相場予想に賭ける行為、株式であれば、株価の変動から利益を汲み出すことを目指して、株価変動に対する自らの予想に賭ける行為、ですから、株価の上昇だけを利益の源泉とするより、株価の下落をも利益の源泉とできるようにする方が効率的です。


 したがって、投機では株価の下落で儲けるように売りポジション(ショートポジション)の利用を考えることが買いポジションを考えるのと同様に重要なことになるのです。


 実のところ、現在の日本の株式市場では、空売り比率が日によっては40%を大きく超えることがあります。(まれに50%などということもあります。)


 買いポジションで儲けようとする市場参加者だけでなく、売りポジションによって儲けようとする市場参加者が、同じくらい存在している、ということを示しているのです。


 私の目には、現在の日本の株式市場には、投機を専らとする洗練された市場参加者が数多くいるということなのだろう、と映ります。そういう人たちはきっと投資と投機をはっきりと分けているのだろうな、と思います。


2021年6月4日

証券アナリスト

松下律