Logo stockvoice

ブログ:Onevoice

晴天を衝け パリ編

中嶋 健吉

2021/07/15 07:42

63bb8f1f bbe1 4cb5 b2c9 d949c0883e6a castphoto14 nakajima
ナポレオン3世との謁見をテーマにした、先週のNHK大河ドラマ「晴天を衝け」はその映像美でも充分楽しむことが出来ました。事前にどの様に撮影したかの広報映像を観ていたので期待が膨らんでいました。日仏がそれぞれ別々にクロマキーを使い、謁見場面を撮影するのですが、フランス側では皇帝夫妻を中心に両サイドに居並ぶ貴族、軍人を、日本サイドでは礼服に身を包んだ使節団が粛々と歩く姿を撮影し、後でその二つを合成しているのです。それぞれの動きに寸分の狂いもなく臨場感溢れる出来栄えでした。

そして思わず身を乗り出したのが、使節団が宿泊した「グランド・ホテル」の映像が表れた時でした。1970年代の初め、山一証券がパリの事務所を開いたのが、丁度オペラ広場に面した建物の2階でした。一階はルノー車のショウルームになっており、誰が見てもパリの一等地でした。グランド・ホテルは道路を挟んだ反対側に在り、同じくオペラ広場に面しています。事務所の窓からはホテルのオープンテラスでお茶や軽食を楽しむ、場所柄多い観光客を見ることができます。放映されたホテルの映像は、正に窓から見た記憶に残る景色そのもので、多分あの事務所の2階から撮ったと勝手に解釈しています。

グランド・ホテルのカフェテリアでお茶や食事をすることは、値段も高い為殆どないのですが、社内留学生などが訪ねてきた折に、パリの雰囲気を味合わせるために昼食をとることは有りました。そのうちの一人で大柄な体力溢れる留学生に「テット・デ・ボ」所謂「子牛の脳みそ」を食べさせたのですが、彼をフランス料理嫌いにさせてしまいました。そうしたホテルに対するビターな思い出も、使節団が泊まったホテルと分かり、懐かしさがこみ上げるものです。

栄一が見た凱旋門からのパリの全景風景、これもクロマキーを使い合成したのでしょう、美しく懐かしいものでした。ただあの当時のパリやロンドンの町並みは、煮炊き、暖炉に使う石炭、木くずの出す排煙のススで黒く薄汚れていたはずで、煙突掃除屋が職業として成立した時代でもあります。パリが今の様に美しくなったのは、小説家、冒険家でもあった時の文化相(1960~69)アンドレ・マルローが大号令をかけ、パリの建物の壁の汚れを洗い落したからと言われています。しかし晴天を衝かせるパリは、やはり美しいのが似合います。
(中嶋)