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「三つ子の魂百まで」

鈴木 一之

2021/09/08 07:40

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菅総理が自民党総裁選に出馬を断念し、事実上の退陣を表明しました。このニュースをきっかけに株式市場は大きく上昇しています。TOPIXはバブル崩壊後の高値に至りました。

短期的な株価急騰には過熱感がついて回ります。テクニカル指標の中には早くも危険水域に接近しているシグナルを発信するものも現れています。ただ、テクニカル的な過熱感はいつもそうだとは言えませんが、これまで買えなかったものがいきなり買えるようになった時に出現しやすいものです。いわば市場の「サプライズ」を示す指標ともみなされるもので、それほどのサプライズだったということになります。

8年越しの国家イベントである東京パラリンピックが開催されている最中に、開催を決定した首相が退陣を表明するということのどの部分に、それほどのサプライズがあったのでしょうか。何が株価上昇をもたらしているのでしょう。

菅政権の1年を個人的に振り返って、最も記憶に残っている出来事は、就任早々に日本学術会議の人事に介入した件です。新会員6人の学者の人事を承認しなかった出来事でご記憶の方も多いことでしょう。以前著書を読んで感銘を受けた加藤陽子・東大教授が含まれていたので関心をもってながめていました。

人事への介入の事実そのものよりも、菅総理のその後の説明がいかにも紋切り型というか、木で鼻をくくったというか、新会員を承認しなかった理由をメディアがどんなに問いただしても、ただ「人事に関する件はこれ以上、お答えできません」と誰かが書いたペーパーをただ読み上げるだけで、まったく理由がわからなかったという経緯があります。

一国のリーダーが国民の信任である選挙もせずに党利党略だけで選ばれて、前任者の閣僚を居抜きで引き継いで、しかも書かれたものだけを読むいかにも官僚的な答弁。こんな調子がずっと続いたらひどいな、どうしようもないなと思っていたら、本当にそれが最後の最後まで続きました。三つ子の魂百まで、です。出だしにすべてが現れます。

日本の株式市場が世界の趨勢に割負けしていた事実は、2点あるのだと思います。ひとつは国難の時代のリーダー。もうひとつは医療提供体制です。このうちのひとつがいったん取り除かれました。そこに株価が反応しているように思えてきます。あともうひとつ。医学会、官僚、政界の鉄のトライアングル。それにも大きな変化の時が近づいているようです。
(スズカズ)