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ブログ:Onevoice

背景に回るものが事態を雄弁に語る

鈴木 一之

2021/09/15 07:37

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世の中はグローバル時代です。世界中の動静がテレビ画面を通じて、リアルタイムで毎日のように飛び込んできます。昨年からのコロナウイルスの感染拡大によって、特に海外の情勢に気を配る機会が増えました。

このところ最も頻繁に目にする光景は、「9.11」から20年が経過したニューヨークのマンハッタンの様子、ハリケーン「アイダ」が通過したルイジアナ州の変わり果てた市街地、そして米軍が撤退してタリバンが全土を制圧したアフガニスタンです。

この夏は速度制限が時速30kmに制限されたパリの中心部の光景や、記録的な水害に見舞われたドイツ西部・ベルギーとの国境の風景もよく目にしました。

ニュース自体にも引き込まれますが、それにも増して興味深いのが、画面のすみっこの方に映り込むなにげない町なかの様子です。民家があり商店街があり、緑の街路樹もあって、公園の遊具も動いています。ごく普通の人々がなにげなく通り過ぎてゆく風景、毎日の人々の暮らしが思わず映し出されています。

ニュースが伝えようとしている本筋のストーリーとはまったく関係ないのですが、その国、その土地のごく平凡な一日の光景にニュースの深刻さを忘れてじっと見入ってしまいます。

暮らしぶりも食べ物も考え方も違う人々がここにも当たり前に暮らしていて、毎日を笑ったり怒ったりしながら過ごしています。普段は注目もされない場所に突如として大きな事件が発生して、そしてテレビクルーが乗り込んでカメラを回して、女性キャスターがマイクを向けてインタビューが始まります。

注目される部分と注目されない部分、うしろ側にただ偶然に映っただけの日常の風景なのですが、そういうものたちの方が雄弁に物事を語っていることがあるのが不思議です。

東京オリンピックでメダルを争うアスリートたちの戦いの場の、そのうしろ側で競技をスムーズに進行させているスタッフの立ち姿。そういうものに心が惹かれます。株式市場でもそれは同じで、3万円の大台に乗せた日経平均の寄与度上位(下位)の銘柄よりも、それらの背景に引っ込んでしまうような、隠れた存在の企業に思わず目が向いてしまいます。
(スズカズ)