Logo stockvoice

ブログ:Onevoice

余裕ある買いポジションを

松下 律

2021/09/17 08:20

D5718516 997a 49b1 b8ed 3b901c12c91b castphoto15 matsushita

高値圏での波乱?

 この3週間の日本株の急上昇は目を見張るものだったと言えます。一気に米国株の年初来上昇に追いつきました。これで、日本株だけがどこかで大幅に下落する、といった懸念は薄れたと思います。


 今日は米国のトリプルウィッチングです。何かの拍子に相場が大荒れとなる恐れもあるのかもしれません。


 そして来週はFOMCが開催されます。テーパリングに対してどんな言及がなされるのか、あるいはなされないのか、それらを相場がどう捉えて反応するか、注目です。


 この3週間、日本株は大きく上昇しましたが、その間1日の売買代金が3兆円を超える日が多く、売り買いが活発に行われたことを示しています。売り方の買い戻しもあったでしょうし、買い方のやれやれ売りもかなり出た、ということだったのでしょう。


 菅自民党総裁が総裁選不出馬を表明したことが売り方の買い戻しを加速した面が確かにあったと思われますが、次期総裁をネタにさらに日本株を買いあがるエネルギーを出すのはなかなかたいへんだろうと思います。


 先月20日に日経平均が2万7千円を割り込んだ時には売り方にしてやられるか、との感じもしたのですが、さすがに日本株だけを売り叩くことはできなかったということでしょう。


 先週のコラムで三菱商事株のことを書いたのですが、地味だけれどじりじり買われて上がっているという感覚で、このところの日本郵政(6178)の株価の動きも注目することができるように思います。


 特に業績が向上している、とか、何か材料が買われる、というわけでもなさそうですが、配当利回りの高さ(5%超)が投資家の注目を集める最大の要因になっているのではないかという気がします。


忍び寄る悪材料

 多くの人が何となく、あるいは明確に懸念していると思われるのですが、昨年のコロナショック以降世界各国の金融緩和と財政支出(その中で最大は米国の給付金支給だったと思います。)によって大きく持ち上げられた株価がそろそろどこかで急落局面を迎えるのではないか、という懸念、9月10月は過去に大きな株価下落を経験した季節でもあり、注意しながら進むべきであるのかもしれません。

(具体的に言えば、過度の買いポジションは避けるようにしましょう、というだけのことではあるのですが。)


 市場参加者が悪材料として買いを手控え、売り投機を試みる人たちが売りの根拠とするのではないか、と思われる材料を考えてみますといくつもの候補があがるようです。


1. 米景気の拡大鈍化と金融政策変更

 米景気が拡大し続けるのであればテーパリングなど材料にならないでしょう。米景気の拡大鈍化を見てテーパリングが遅れる、ということであれば、それはそれで株式相場にはあまり響かないかもしれません。


 しかしながら、米景気拡大鈍化が明らかにもかかわらずテーパリングが実施される(されそうだ)となればそれは株にとっては悪材料となるかもしれません。そういう風に市場参加者(わけても売り方)が思う局面が到来したら・・という話です。


2. 中国経済の変調

 中国政府によるIT企業への圧力、共同富裕といった奇妙なスローガン、加えて中国恒大の信用不安、われわれは2015年夏からのチャイナ・ショックを覚えているわけですが、中国初の世界的株価急落は起こっても不思議ない状況にあるのではないか・・


3. 米株式市場への資金流入のピークアウト

 例えば7月以降の米株上昇・日本株下落(とくに日経平均の下落)という奇妙な爬行相場の最大の要因は、米国株式市場への指揮流入の大きさにあったと思われます。


 よく税金対策売り、などと言われますが、バイデン政権によるキャピタルゲイン税の増税とか、個人への給付金の打ち切り(すでに行われています。)などから、米国株式市場への資金流入が一時的にせよ鈍化した場合・・


 米国株下落 ⇒ 日本株連れ安、という流れは十分に考えられるシナリオなのですが、日米の株価が逆行していた局面で米国株が急落したら、すでに下がっている日本株がさらに大幅に下がる、という悲惨な状況に陥る恐れがあったでしょうが、この3週間の日本株の上昇で、日米の株価の近年初来の上昇率はほぼ同じになっています。


 ここからであれば、米国株の急落が起きたとしても日本株の連れ安もさほどのことにはならず、むしろ例えば日経平均とDJIAの「サヤ」を縮小するきっかけになるかもしれない、くらいに思っておけるようになったように思います。


2021年9月17日

証券アナリスト

松下律