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財政政策はバラマキか(矢野財次官発言)

中嶋 健吉

2021/10/14 07:49

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9月29日午後15時過ぎ、自民党は新総裁に岸田氏を選出。株式市場では、日経平均が▼639円安の29544円で反応し、更に10月4日に国会で区切りになる100代目の総理大臣に選ばれるも、▼326円安で再びネガティブに応答しています。結局、日経平均は9月29日の29544円から10月06日の27528円まで、5営業日で率にして▼6.2%の大きな下落になります。河野氏との対比になるのでしょうが、改革のイメージが乏しく政策への期待が持てないとした外国人売りが、下げの最大の要因として指摘されています。確かに10月01日までの1週間で、外国人は現物先物合計で▼1兆7500億円の大量の売り越しを演じています。しかし10月01日から中国が国慶節の1週間の休みに入る為、恒大集団問題を抱える中国株の下落ヘッジ目的で日本株を売ったとの意見もあり、必ずしも岸田新政権への不信だけが理由では無いようです。

改革イメージの新政権としては2000年初頭の小泉内閣が必ず語られます。
市場が総てを決めるとした市場原理主義を打ち出し、労働市場の効率化の掛け声で非正規労働制を容認、企業にはバブル崩壊で傷んだ財務の修復のためROE(自己資本利益率)の向上を呼び掛けます。政策的には小さな政府を目指し、郵政民営化に突き進みます。いかにも外国人投資家好みの政策が並んでおり、事実外国人投資家は2003年から2007年までの5年間で、現物株を累計38兆円と大きく買い越します。日経平均は2003年安値7607円から2007年には18261円まで実に2.4倍の上昇を演じます。

こうした外国人買いは、政策を評価しただけではなく、2002年2月から2008年2月まで73ヶ月に及ぶ、その当時戦後最長と言われた景気回復が背景にあったことを忘れてはならないでしょう。1990年のバブル崩壊後から2001年の小泉政権前の森内閣まで11回、総額120兆円に及ぶ経済・景気対策が実を結んだ結果と言えます。更に金利の急低下とゼロ金利政策導入で、三菱総研の試算では1991年の金利水準であれば2005年まで家計の失った利子所得は283兆円に上ります。更に企業の利子負担は260兆円減り、銀行は利差収入を95兆円増やします。これを原資に銀行は96兆円の不良資産の償却、企業は120兆円に上る不稼働資産の処理を行います。つまり企業、銀行の負債を国、家計が肩代わりしたともいえます。

確かに国の財政は厳しいものがありますが、企業内部留保は484兆円に上り、そのうち手元にある現預金は259兆円(上場企業のみでは109兆円)の巨額なものになります財政を通じ民間活力をたかめることの成功例とも言えます。

そして今、得られるべき利子所得を銀行企業の再建に供した家計に分配政策により資金を還流させるのも歴史の必然と思えるのですが。
(中嶋)