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片倉工業(時代の変化に先んじて?)

中嶋 健吉

2021/11/11 07:52

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片倉工業がMBO(マネージメント・バイアウト=経営陣が参加する自社の企業買収)を使い、株式を非公開した上で構造改革を急ぐと発表しました。過去の思いつく日本でのMBO案件は、2006年にファミレスの「すかいらーく」、2010年の「幻冬舎」、2011年の「カルチャー・コンビニエンス・クラブ」あたりでしょうか。数の上では決して多くありません。しかしMBOには外部株主の干渉を排除し、構造改革に集中、短期に達成できるメリットが指摘されています。

政権が変わり、新資本主義を標榜する岸田政権を前にして、企業サイドがどの様に対応するか不透明な状況があります。柔軟な対応体制を作る為、MBOを使い経営の自由度を高めておく企業が増加していく可能性があります。ここで片倉がMBOを発表したことに、時代の変化の匂いを感じるのです。個人的に片倉は、日本の変わり目にその姿を現す企業との印象があるのです。

片倉は1872年創業の生糸を生産する繊維会社です。絹は当時の明治政権下の輸出の98%を占める重要物資で、維新後の日本の礎を造ったと言えます。NHK「晴天を衝け」でも紹介されている世界遺産の富岡製糸所を1939年に合併し、1987年まで操業を続けた事でも知られています。この合併は、業容拡大の為ではなく、競争力を失った日本の生糸産業を保存する為だと言われています。事実片倉は富岡製糸所を「売らない」、「貸さない」、「壊さない」として、多い年では億単位の出費も厭わなかったのです。SDGSを先取りする動きです。こうした援助が無ければ世界遺産への登録は無かったのです。

日本の勃興期に現れた片倉は、そのピークになる1989年12月にも存在感を示します。12月末に日経平均は38915円のバブルを象徴する史上最高値を付けます。20銘柄ほどの品薄株が買われ、日経平均を押し上げたのですが、その筆頭が片倉株でした。片倉一社で12月の日経平均を約500円近く押し上げたのです。

こうした日本の節目に片倉の名前を見る為、今回のMBOが日本企業の体質改善への号砲に思えるのですが、少し我田引水が過ぎました。
(中嶋)