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戻りに期待

松下 律

2018/11/30 08:15

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株価は上に行きたがっている? 

  10月の暴落商状から、反発→再び下落→二番底確認から回復基調、というふうに見えます。いろいろあっても日本株は割安なのだし、せめて昨年秋からの落ち着きゾーンの日経平均22500円水準は上回ることができるのでは?という雰囲気が漂い始めたように思います。 

 

 このところ、日経平均の方がNYダウより動きがいいように見えます。遅れを取っていた分を取り戻しつつあるのかもしれません。(NYダウと日経平均のサヤを見ますと、今は3000ポイントくらいビハインドですが、今年の年初は2000ポイントくらい、一昨年末はほぼ同水準。) 11月下旬から12月上旬は日本株は上昇しやすいというアノマリーが今年もありそう、ということかもしれません。 

 

 それにしましても、FANG株の下落がある程度落ち着き、米金利の引き上げも終盤近そう、となった今、米株の動きはほぼ米中貿易摩擦の帰趨に左右されそう、という風にに見えて来た、というのは驚くべきことです。 

 

 そこまで単純なら、米中貿易摩擦沈静化に賭けてロングポジション、ということでいいのかもしれません。12月1日のトランプ・周会談が大変調ということもあるのかもしれませんが。(しかし、そうなって株価大幅下げなら買い場提供でしょうね。) 

 

ということで、来週から再来週の米株、日本株相場には大いに注目です。 

 

再度10月の暴落を振り返る 

 ここで再度10月の暴落を振り返ってみたいのですが、まずは、 

1 暴落の性格 

 これは、1.今年2月のVIXショックタイプ、2.2015年夏以降の「チャイナショック」、3.リーマンショック、のどのタイプだろう?というのがひとつ。リーマンショック型はまずなさそうですから、1.か2.か?となるわけですが、どうやら、1.のタイプ、つまりは、経済ファンダメンタルズの乱調とか、金融危機などから来る暴落ではなく、テクニカル要因による面の強い暴落だった、と言えるようです。(まだ、確定ではありませんが。) 

 

 としますと、今年年末~来年初に掛けてかなりの規模の戻りがありそう、ということになります。いずれは、世界的にリーマンショック級の暴落相場が到来するだろうと思いますが、今ではない。リーマンショック級の暴落を期待して空売りした投機筋がいたとしたら、それは早とちりだった、ということになるように思います。 

 

2 見通し 

 来年後半以降のことは別に考えるとしまして、10月の暴落以後どの程度の戻りを期待することができそうか?と考えてみます。今回の下げは以下の3つの要因の組み合わせによるものだった、と見ることができるように思います。 

 

1.米金利の上昇:金利上昇→世界景気の後退懸念 

2.FANG系の銘柄の株価下落→株式市場からの資金流出 

3.米中貿易摩擦の激化→中国経済の変調、資源価格の下落、中国の金融不安 

 

 それぞれが強く関連している現象で、要するに世界経済の低迷に結び付く→企業収益の悪化→株価下落、というシナリオに売り方が大きく賭けるようになるかどうか?なったかどうか?ということなのだろうと思います。 

 

 日経平均で見ますと、10月にはおよそ3000円幅で下落したわけですから、上記の1、2、3の要因でそれぞれ1000円ずつ下落した、と考えてみます。 

 

 今現在、振り返りますと、 

1.米金利の上昇:そろそろFRBの中にハト派が増えて、来年には金利引き上げが抑制されそうだ、というのが今現在。としますと、この要因で下げた日経平均は、少なくとも下げ1000円の半分くらいは回復しそう、という感じでしょう。 

 

2.FANG系の株価下落の悪影響:株価はそろそろ割高感が薄れる水準に下落した→下げ止まり、となった。としますと、この要因でも500円くらいは日経平均回復しそうです。 

 

3.米中摩擦の影響:これは分かりにくいですね。かんたんに解決しそうもないわけですが、株式相場が気にしなくなる、という状態には案外簡単になるかもしれません。そうなれば、日経平均で1000円規模の上昇をもたらす可能性もなくはないかもしれない、と。 

 

 以上合計して、情勢が好転すれば日経平均は1500円~2000円は戻りそうだ、となるかもしれません。日経平均の当面の底をだいたい21000円とすれば、当面日経平均が22500円~23000円辺りまでの戻っても不思議ではない、ということになりませんかね。(すでにだいぶその水準に近づいています。) 

 

Carlos Ghosn is gone... 

 日産のゴーン氏が逮捕されたというニュースを聞いた時に、どんなことを最初に思ったか?ということに興味を持ちます。 

 

1.あんなに実績をあげた尊敬すべき経営者が逮捕されるとは驚いたし残念だ。 

2.以前から胡散臭い人物だと思っていた。いつかこんなことになると思っていた。 

3.今回の事件は日産内部の陰謀ではないか。 

 

 という3択にしたらどんな回答が多いでしょうか?いずれにしましても、ゴーン氏に名誉博士号を授与した法政大学と早稲田大学にとっては不名誉なことです。 

 

 いずれにしましても、コーポレート・ガバナンス上大問題だと思いますが、それは特に日産だけの問題ではなさそうですし、この手の材料は、少なくとも株式市場的には、あと2週間もすれば忘れ去られてしまうでしょう。 

 

 ただ一つ、ここからルノーと日産の間で主導権争いが起きて、ルノーが日産株を買い増すとか、対抗して日産がルノー株を買い増す(現在15%の持ち株比率を25%に引き上げると、日本の会社法の規定でルノーの保有する日産株議決権が消滅する)などという思惑が大きく出て来れば、日産株が相場になる可能性もあるかもしれない、という点は興味の残ることです。(そう言えば、しばらく前に、創業家同士の争いでポルシェ株が暴騰したことがありましたね。事情は違いますが、要は「思惑」が強く働くどうか、ということですから、可能性が無くはない、というところでしょう。) 

 

  ところで、どうも今回の初動は別件逮捕のような気もしますが、有価証券報告書の虚偽記載で本当に起訴して裁判に勝てるのでしょうか。ゴーン氏側は、聞きようによっては金融庁に対してノーアクションレターを出して回答ももらったようなことを言っているようですし、もちろんノーアクションレターの制度は有価証券報告書の記載方法を確認するためのものでもありませんが、とにかく情報が断片的ですので、よく分からないところです。 

 

  ひとつ面白いと思ったのが、10年くらい前にゴーン氏が自分の投機の失敗を10数億円分日産に付け替えて、それについては金融庁も把握(おそらくは銀行への検査を通じて)していたが、特にお咎めなしだった、という話です。 

 

  わが国には、証券取引等監視委員会があり、不公正取引に対して調査の上課徴金を課すという制度があります。(悪質だと逮捕されますが、たいていは課徴金レベルで済むでしょう。) 

 

  毎年、その課徴金の実績について公表されているのですが、昨年度分について見ますと、課徴金勧告件数は26件、課徴金の最小額は2万円だったとのことです。課徴金は重複して課されることがありますので、一人に対して課徴金の最小額が2万円だったかどうかは分かりませんが、いずれにしましても、個人の株式取引に対して、不正があったとして高々数万円の課徴金の事例でも勧告があった、ということです。 

 

  数万円の課徴金を課す悪事を摘発し、10数億円の悪事は見逃していたとしますと、少額の課徴金を課された個人は、自分は課徴金の金額が少なくてよかった、とは思わないでしょうね。(この件については、金融庁の指摘でゴーン氏が個人勘定に戻した、との報道もあります。) 

 

継続チェック 

1.マクロ景気と企業収益 

→米国は依然として住宅関連が懸念材料、欧州はドイツ景気の悪化が気になります。ドイツ経済の悪化は、まず確実に自動車輸出の不調、つまりは中国向け輸出の不振が原因でしょう。その辺りが今後どう影響するか?注意して見ておくべきかと思います。わが国景気はこれから徐々に上向くのでは? 

 

  2.成長分野の株価 

→ 2割下がると弱気相場入りなどと言われますが、株価が下落し続けるというイメージではなく、投げが出ることがある、とか、前の高値を抜けるのに時間が掛かる、という意味合いに取っておく方がいいように思います。 

 

  3.日米欧の金融政策と金利・資金移動 

→FRBは12月に金利を引き上げるのでしょう、が、どうやらハト派に宗旨替えの理事が主流になりそうですね。 

 

  4.資源価格・物価 

→ 原油価格の低迷が気になります。これから需要期に入りますし、そろそろ下げ止まるのでは、と思えるのですが。 

 

5.地政学リスクと覇権争い 

→いろいろありますが、どうもウクライナ、ロシアが薄気味悪いですね。ウクライナの背後にEU、という構図になりかねませんから、欧州はこれからブレグジットだのイタリアのわがままだのと呑気に構えていられなくなるかもしれませんね。結束できていいのかもしれませんが。 

 

6.投機筋の動き 

→ ここから年末・年初に向けて買いポジションで投機しようという向きが増えて来るのではないかという気がします。 

 

7.株価と利益のバランス 

→FANG系の銘柄も割高感がかなり薄れて来た、日本株は超割安、という見方でいいのではないでしょうか。 

 

2018年11月30日 

証券アナリスト   

松下律