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「2018年に読んだ本」ナンバーワンを発表します

鈴木 一之

2018/12/05 07:42

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12月になりました。今日を含めてあと4回、水曜日の朝に本稿をネット上にアップロードすると今年が改まります。「平成最後の~」という形容詞をたくさん見かけるようになり、そのたびに平成の世が幕を閉じるという現実にただただ、さびしさを感じてしまいます。

その平成30年も終盤を迎えて、株価が波乱の様相を見せ始めています。市場参加者の誰もが世界景気の後退を心配しているところがやっかいです。ほんの1週間前、米国のクリスマス商戦の幕開けを飾る「ブラックフライデー」が好調だったと喜んでいたのもつかの間。株価の本質部分が再び揺らぎ始めました。

今年読んだ本で最も印象に残っているのが、トーマス・フリードマンの「遅刻してくれて、ありがとう」です。ピューリッツァー賞を3度受賞した現代随一のジャーナリストが、猛烈なスピードで進化する現在という時代を文章で描いてみせ、人類の行く手に待ち受ける数々の問題を示しています。以前、この欄にもご紹介したかと記憶しています。

フリードマンの考察によれば、現代社会は3つの大きな変化に直面しています。その3つとは、

(1)気候変動
(2)グローバリゼーション
(3)テクノロジー

です。西側先進国を覆い尽くしている保守主義、ポピュリズムの猛威は、その根本原因を探ると難民問題に行き着きます。流入する一方の難民に対抗し地域や国を守るために極右思想がはびこります。その難民の発生もさらに根源をたどれば、気候変動による異常な高温、旱ばつ、洪水、海岸線の侵食にたどりつきます。

トランプ政権は大衆の中から生まれるべくして生まれたもので、仮に2年後の大統領選挙でドナルド・トランプ氏が敗北したとしても、代わって別の「トランプ氏」が登場するだけです。英国はここからいくど国民投票を実施しても、2年前と同じようにEU離脱を選択することになります。気候変動を直視して根本から向き合わない限り大きな変化は訪れません。

そしてグローバリゼーション。いまや世界は電子のスピードでつながっており、世界のどこかで起きた現象は瞬時にして全世界に広がります。中国やロシアに何かあれば、それは世界経済を一瞬にして動かします。そこにはスマホを中心にテクノロジーの進化が大きく関わっています。

10月にIMFが世界経済の先行きに対してこれまでの見通しを引き下げました。11月には同じようにOECDが世界経済のアウトルックを下方修正しました。そして12月、景気鈍化への不安が米国の株式市場を揺さぶっています。

世界はほぼリアルタイムで同一方向に動いています。かつてないほどにそのシンクロ性は高まっています。その様子をフリードマンの「遅刻してくれて、ありがとう」が教えてくれました。
(スズカズ)