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「逆イールド・カーブ」、「ファーウェイ」ショック

松下 律

2018/12/07 08:30

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華為技術有限公司孟最高財務責任者逮捕、是否対環球経済新規大悪材料的?

 米金利上昇懸念が少し薄れ、米中摩擦もトランプ・周会談で若干の進展、FANG系銘柄の株価下落も多少は落ち着いた、と思った矢先に、今週ふたつの「ショック」が世界の株式市場を襲うこととなってしまいました。


・米金利の逆イールドカーブ・ショック

・ファーウェイ・ショック


 今更解説はいらないことかと思いますし、蒸し返しと言えばその通りなのですが、売り方・投機筋からすれば格好の売り材料を得た、といったことになってしまったようです。別に目新しい情勢の変化ということではないと思いますが、今はこういう材料に空売り筋が飛び付く環境だ、ということしか言いようがないのでしょう。 

 

  逆イールド・カーブについては、短期(の政策金利)と景気に対して中立金利と言われる水準にある10年国債利回りとの間で見れば、まだ逆転していないのですが、事前の刷り込みで、逆イールド→1年後辺りの景気後退→企業収益悪化、という条件反射があまりにも周到に準備されていたようです。


 ファーウェイ・ショックについては、実際に逮捕されたのは12月1日だったとのことですが、大々的に報道されると、売り方が大喜びする反応を世界の株式市場が見せたようです。まあ、日産の元CEOより、HUAWEIの副社長の方が今は重要人物だということだということがよく分かりましたが・・・いずれにしましても、 アップルの幹部はしばらくの間は中国に出張しない方がいいでしょうね。 

 

 実はこのふたつは株価への影響という意味では同じでして、どちらも近い将来の世界的景気悪化→企業収益へのマイナス→株価下落要因→それを見越して現在の株式保有者が売るはず→投機的な売りに妙味あり、という経路で繋がっているわけです。 釈然としない部分はあるのですが、現実に相場で起きていることですから、いずれにしましても何らかの対処・対応を実行せざるを得ないということになってしまいます。


 買い方、売り方、短期、長期、と、立場によって対処・対応は異なる可能性がありますが、基本、レバレッジを掛けた買いポジションは避けることにしましょう、ということにはなりそうです。レバレッジを掛けた買いポジションになっていないのであれば、特に心配することはない、投機筋の動きで相場が荒れるのは致し方ないと思う、というところなのかもしれません。


本当に気になること

 株式相場は株式相場ですから、上がろうと下がろうと愉快も不愉快もない、短期トレードをするとなれば、相場を読み間違えれば損をする、しかし、個別銘柄で長期に期待するならホールドすればいい、といったことに過ぎない気もします。


 それはそれでいいわけですが、日本の株式相場を見ていますとしばしば無性に腹が立つことがあります。例えば、2016年6月24日の相場、この日英国の国民投票で「ブレグジット」が決まったのですが、その日1日で日経平均は何と1286円、率にして7.92%も暴落したのです。この下落幅は歴代で第8位、下落率は9位です。


 朝鮮半島で戦争が勃発した→日経平均暴落、というのであれば理解できなくもないわけですが、ほとんど地球の反対側でイギリスがEUから離脱すると国民投票で決めた、などということでどうして日本の株価が歴代10位以内に入るような暴落を演じるのか?


  2年前のことは忘れるとして現時点を見ます。なぜ、日本株のPERがこんなに低いのか? 私は、以前は、ROEが低い、というのが一番気に入らないことでした。(ROEなど眼中にない、と広言するする経営トップもいましたから・・) 幸いなことに、日本企業は収益力を高めて、今ではROEは8%を超える企業が多くなっています。実証研究によれば、ROEが8%を超えると、PBRが1倍を大きく超えるようになる、ということではなかったのか?


 若い人たちは、FXや仮想通貨に興味を示して実際に扱ったりするのに、何故日本株にはさしたる興味を持たないのか?あるいは、空売り比率がどうしてこんなにも長い期間高止まりするのか?


 株式投資をする人たちの間にあるある種の敗北感、と言いますか、ひねくれた心情、素直さのなさ、将来を期待しようとしない風潮、といったことを感じるのは何故なのだろうか?


 日本経済の潜在成長率が1%に満たないと言われてもあまり反論が出ない。あるいは、日銀が日本株のリスクプレミアムが大きいのでETFを買うと説明してもあまり論議もない。私は聞きたいのですが、来年あなたの収入が10%増えたとして違和感を感じますか?別にさしたる違和感はないでしょう? 日本人の生活水準を引き上げる、という目標に焦点を当てれば、潜在成長率など簡単に引き上げることができる、という気がわたしにはするのですが・・・ 

 

 結局、日本と日本人が、主体的に動けないもどかしさがあるから、なのかもしれません。しかし、わが国とわが国民が主体的に動きたいのであれば、主体的に動くと決めたとたんにそのように動けるはず、と私には思えます。  そうなれば平均PERが少なくとも今より3割は上に行くと思いますが・・

 

2018年12月7日 

証券アナリスト   

松下律