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戻りを試す

松下 律

2019/01/11 08:20

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回復へ?

 日経平均は2万円を回復しましたが、去年の10月初めからクリスマスの翌日まで5000円規模で下げたのだから、今は毎日上がって少しでも戻ってもらわないと、という気になるのですが(当然のことながら)なかなかそうは行かないようです。


 昨日四半期決算発表をしたファーストリテイリングとか安川電機の市場の反応も気になりますし、円高と株安がまだまだリンクしているのも嫌なところです。


 懸念材料と言えば、以下のごとく山ほどあるという感じです。


・引き続き米中貿易摩擦(覇権争い) → IT不況をより厳しいものにする恐れ → スマホはタブレット端末と同じ道を辿るのでは・・

・円高・ドル安 → FRBが利上げ棚上げ → 円高 → 株安、という連想が働きがち

・ブレグジットの行方 → 日本から遠く離れたヨーロッパの話し、と思えないところが困ったところです。

・世界景気はどう見ても今年は昨年よりは成長鈍化・・

・新興市場も心配、米国のハイイールド債市場も心配・・


 しかし、いろいろ懸念はあるとは言え、需給失調を売り屋に突かれた昨年の師走暴落からは立ち直り始めた、という見方ができるのではないかと思います。


 ポジション管理という感覚からしますと、くれぐれもレバレッジを掛けた買いポジションにはしない方がいい、ということは言えそうに思います。しかし、かと言って、ここから売りポジションを大きくとることも勧められない、というところなのですが。余裕を見て相場の回復過程をフォローしましょう、という感覚でしょうか。


 指数間の動きの違いを見ますと、トピックス、マザーズ優位の動きが年初から見て取れるようです。去年のクリスマス暴落に至る相場とはだいぶ違って来たな、という気はします。


 で、あの10月以降年末までの暴落が何だったのか?という気持ちになります。相場暴落の総括をして意味があるかどうか分からないのですが、あの暴落は先行きの世界的企業収益ファンダメンタルズ悪化を織り込んだというよりも、いろいろな懸念を利用して買い方総投げを狙った売り屋に見事にしてやられた、という感が強いのです。ということはここからはしばらくは戻す局面、とならないだろうか・・・と・・


 しかし、先週のゲストの倉持ストラテジストの指摘に私も同意するのですが、アルゴ連中の売りによって見事に暴落してしまったわけですが、その「材料」としてはやはり米中摩擦と米FRBの金融政策がもっとも大きなファクターとなったのでしょう。


 米中摩擦の先行きは本当に不透明です。昔の東西冷戦に例える人が多いのですが、グローバル化が深化してしまった今は昔とは違った要素が多すぎて、そう簡単に過去の例を参考にすることはできない、という気もします。投資家、トレーダーとしては、何とか戦争が起きないことを祈る、というところでしょう。逆に、戦争さえ起きなければ、いろいろあっても何とか物事は前に進んで行く、という感じもします。


 米金融政策については、 FRBはいわゆる「フォワード・ガイダンス」を提供して来ていました。つまり、来年の利上げ、再来年の利上げ、を「ガイダンス」として示して来ていたわけです。米経済が「順調に」過熱して行く、ということであればこの「ガイダンス」は妥当なものとして市場に受け入れられて、売りの投機筋の付け入るすきはあまりないわけですが、米中摩擦で貿易量が減り始め、関連する企業の収益も悪化し始めている、ひいては米景気の先行きそのものに鈍化懸念が出ている、その反映として10年債の利回りが明確に低下していた、という、その時に「まだ」利上げの「フォワード・ガイダンス」を維持していた、などということになれば、売りの投機筋は色めき立って好機到来と思うに違いない、とは思わなかったのでしょうか?(いずれにしても、今後もFRB議長の発言には注目が集まるでしょう。)


 妙な言い方にはなりますが、その意味で「FRBは間違うな」と警告したトランプ氏は的確なことを言ったのかもしれません。もちろん、米大統領がFRB議長を悪し様に言う、などということが望ましいことであることはありませんが。


日本経済に何が起きればいいのか?

 結論を先に言ってしまいますと、「労働分配率を上げればいい」、このととに尽きるように私は思います。


 労働分配率を上げると、ROEが下がるということになりますが、企業がそれを補うように自己株式取得を実施して自己資本を圧縮すればROEの水準を保つことは可能です。株主の取り分は一時的に減りますが、その後期待される個人消費の拡大による経済規模の拡大で企業はちゃんと儲けられますから、株主は異存ないはずです。


 今の日本経済は、またデフレスパイラルに陥るのではないかという懸念をなかなか拭えないのですが、それを払拭する唯一の道は個人消費の拡大しかないという気がします。消費の拡大策については減税とか何とかいろいろな政策が打たれるわけですが、個人所得が増えない限りどうしようもありません。逆に、いろいろ将来不安があっても所得が増えればそれはそれなりに消費の拡大に結び付くに違いないと(私は)思います。

 

 特に(私見ですが)もっとも重要なことは、日本の若い人たちの給料を上げること、これに尽きると私は思っています。高齢者を冷遇しろとは言いませんが、若い日本人の所得を増やす施策を講じるというのは、日本経済を成長させる大きな力になると私は思います。その方向に進むのであれば、日本経済は拡大し、結果として企業収益は向上し株価は上昇する、と私は思いますね。


2019年1月11日

証券アナリスト

松下律