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FRB方針転換

松下 律

2019/02/01 08:30

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円高が気になりますが・・

 今週最大の注目材料として「パウエル議長の発言」を待っていたら見事にパウエル・プットを確認してくれた、わけですが、日本株相場からしますと、そのせいで円高傾向になるかもしれない、ということで必ずしも大歓迎にはならなかったようです。


 金利引き上げ中止+資産圧縮打ち止め、というのが本当であれば、必ずしもドル高ということでもないように思いますが、円ドル相場ということからしますと円高傾向→株安という懸念が残るのでしょう。


 見ようによってはFRBが株価急落に驚いて方針転換、ということなのかもしれませんが、米株式下落の前から長期金利は先行き景気のスローダウンを見越すかのように下落していたわけで、ここで政策金利(短期金利)引き上げをひとまず休止するというのは中央銀行としてはふつうの判断なのかもしれません。


 一昨日の米株の上昇は、しかし、パウエル発言を受けて、という以上に、アップル株とボーイング株の上昇が大きかったようです。業績の悪化を過度に織り込んでいた分、買戻しによる株価急騰が起きやすかったということで、ここから当面の落ち着きどころを探る動きに、GAFAを含めて多くの株の値動きがなるのでしょう。


 これで、売り方から見ると、もうFRBが株式相場崩落の手伝いをしてくれることはない、となったのでしょうが、かと言って、パウエル議長から出て来るはずの買い方にとっての好材料はこれでおしまい、ということになるわけで、どう見てもここから米国のみならずグローバルに景気指標も企業業績も芳しくない結果が出て来る、という局面で気楽に株を買うわけに行かないと思う人が増えそうな気もします。


 今後数週間、最大の材料はこれでまた、米中摩擦に戻って行くのでしょう。当面の交渉期限に向けて、なにがしかの妥協が成って、それが株価押し上げ材料になる、というシナリオが一番ありそうですから、成り行きをよく見ておきたいところです。


 日本株については、現在進行中の企業業績について、悪いは悪いなりに悪材料出尽くしといった反応が見られるのはありがたいことです。やはり地力をつけた日本企業の株価が割安だという見方が徐々に大きくなっているのかもしれません。それと、例えば5G関連の株が買われる、といった具合で積極的に行動する資金の流入もあるのでしょう。


 企業の自社株買いの増加もありますし、鈍いとはいえしばらくは戻りを試す相場展開と見ておきたいところのように思います。


ファンダメンタルズ

 いくつかのファンダメンタルズについて少し考えておきたいと思います。


1.マクロ景気と企業収益

→世界的に今年の成長率は下がるのでしょう。リセッションに陥らないために、米中の経済政策に注目しています。今のところ、米景気は特に問題なく、中国は景気刺激策を取っていますから、ネガティブではなさそうです。日本の企業収益はどの程度の悪化で済むかに注目でしょう。もともと今年度は当初減益予想でしたから、それからすれば特にサプライズはなし、となりそうに思いますが。


  2.成長分野の株価

→ 東京エレなどのいわゆるグローバル景気敏感株が本当に底入れの動きになるのかどうか?注目しています。さらには、5GやAI関連といった成長期待分野の銘柄の株価の動きにも注目しています。


  3.日米欧の金融政策と金利・資金移動

→日米は動かず、米はハト派に完全転向、円高になった時日銀が何か動くかどうか?注目しています。


  4.資源価格・物価

→ 今は、特にデフレっぽくもインフレっぽくもない局面だろうと思います。


5.地政学リスクと覇権争い

→まずは安定していると見ておいていいのではないでしょうか。米中の摩擦は恒常化するものという見方をする向きは大半でしょう。


6.投機筋の動き

→ 売り崩す絶好の局面、と考える投機筋は少ないのではないかと思います。どちらかと言えば、もう一段の戻りに賭けようという向きが多いのではないかと思えますが。


7.株価と利益のバランス

→アップルが典型ですが、FANG系の銘柄の割高感もかなり薄れて来ていますし、日米ともに株価の利益のバランスがおかしいということはないように思います。


2019年2月1日

証券アナリスト

松下律