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業績の好悪が高下の本

岩本 秀雄

2019/02/04 08:11

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(第八十二)高下の本は作の善悪の事
作の善悪、高下の本なり。
其の年々、九州、上方、当地、近国並びに古米等多少の考え、第一なり。
三位の伝といえども高下を知る術にあらず


 江戸時代における相場師として著名な本間宗久がその唯一の著書とされる『宗久翁秘録』の中で書いています。
作柄の良し悪しがコメ相場の基本であって、その年の九州、上方、当地や近隣諸国の作況や古米在庫の多寡を分析することが重要である。(相場秘伝である)「三位の伝」といえども相場の高安を判断することはできない-という意味でしょう。

「もうはまだなり、まだはもうなり」、「休むも相場」、「二日待つべし」、「天井売らず、底買わず」、「豊作に売りなし」など、株式市場でも折に触れて引用される言葉が満載の古典的な相場戦術の宝典、相場格言の珠玉とされるのが同書です。株式投資家にとっても貴重な教訓が織り込まれた指南書としてこれまでもずっと読み継がれてきた著作ですが、そもそもはコメ相場に関わるものです。季節の推移による相場変動やそれに伴う売買戦術などコメ相場に特有な言葉が頻出します。そのため、株式投資家が読んでも、案外と参考にならない部分も多いです。

冒頭の一節も「作柄の良し悪しが相場の基本である。コメ産地各地の作況を分析し、古米の在庫状などを分析することが第一である」と、コメの需給分析の重要性を語っています。テクニカルでなく、作況分析…ということ。

ただ、これって「作の善悪」を「業績の善悪」に置き換えれば、そっくりそのまま「株式の本(質)」を解説したことにもなるのではないか、と気づきました。

ざっくりいうと、作=業績=ファンダメンタルズが投資の基本であるということ。現代にも通用する投資の原理を250年ほど前(昨年は宗久生誕300年でした)に語った言葉ではないか、ということです。この『秘録』は技術論や精神論の指南が多く、それで相場参考書として読まれてきたのですが、案外、こうした本質論的な部分もあるのが面白いところです。
さて、同書の第27節には、「正二売買退屈、四五六崩しの事」とありました。「正月、二月の相場は動きが少なくて退屈だが、三月は強い、崩れるとしても四月以降」との解説がありました。1月、2月に大きな動きがないのは江戸時代のコメ相場の習性だったのでしょう。色々なところで言及があります。確かに、冷え込んで相場も動きにくい季節なのかもしれません。
しかし、今の株式市場なら、「高下の本」となるであろう決算発表が今週も目白押し。発表がピークを迎えます。それで相場が動くようなら、興味もいっぱい。しかも今日から立春。季節はここから春に向かう時期なのです。(イワモト)