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花冷え警戒?

松下 律

2019/03/08 08:30

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年初からかなり戻ったので・・

 今年は1、2月が株価上昇(戻り)の月でしたので、これで今月(3月)も上昇となれば、今年全体を通して上昇の相場となるのではないか、というわけで今月の株式相場の推移が注目されるわけですが、今週を見る限りなかなかに微妙です。


 日経平均で見て、今月が月間で上昇となるには、3月末で21385円を上回っていればいいわけですから、昨日段階ではまだ大丈夫、となるわけですが、NY株の上昇(戻り)もだんだん勢いがなくなりつつありますし、かなりの戻りを演じたということでそろそろ反落があってもおかしくない、という段階に来ているように見えますから、NY株反落→日本株も下落、ということになっても文句は言えないところです。米金利の上昇一服で円高懸念が燻っているのも気になります。売り方の中には売り仕掛けの機会を窺っている、という向きがいそうだな、という動きを昨日のNY株式相場も見せていたようにも思います。


 加えて、アノマリーというわけではないにしましても、年度末~新年度入りの時期に株価が波乱することはよくあることです。先週のゲストの楽天証券の香川さんの表現によれば「花冷え」懸念ということで、踏み込んだ買いポジションは取れないというのが買い方の心理でしょう。


 わが国の場合、これから年度末に向けて決算がらみの売りが出る恐れがあることに加えて、企業業績の実態悪がそこかしこに出て来そうなところが心配です。(昨日の下落は、日経平均で140円でしたから、何とかショック、ということにはなりませんでしたが、大きな下げを記録していたらおそらくは「ルネサス・ショック」と言われたでしょうね。(この辺りが暦年ベースの決算期が多い米国企業ですと、もう2018年は過去で今は次の年度である2019年を見ている、というのと違うのでしょう。)


 とは言うものの一方で、米国(利上げ、資産圧縮中止)のみならず、中国(公的投資の拡大と減税)、欧州(年内利上げせず+長期資金供給オペ実施方針)でもどうやら「景気刺激モード」になりつつある、というところは株価にはマイナスではないように思われます。実体悪があるからこそ景気対策が打たれるわけで、実体悪vsテコ入れの綱引きになるのかもしれません。(わが国の場合、景気後退懸念がかなり強いにも拘わらず、それをあまり意識していないように見えるのはけっこう心配です。)


 というわけで、いろいろ懸念はあるものの、個別銘柄でSOR(セル・オン・ライズ、上がったら売る)ということでエクスポージャーを少し控えめにするという工夫をする方が安心という局面のような気もしますが、年度末までにもう少し上の水準、例えば日経平均で2万2千円超え、辺りはあるかもしれないと期待することができるような気はしています。


AI関連三羽烏

 AI関連銘柄というキーワードで検索しますと実に多くの銘柄が出て来ます。例えば、IIJ(3774)、BBタワー(3776)、ヴィンクス(3784)、野村総研(4307)、エーアイ(4388)、日立をはじめとする総合電機、NEC、富士通など、NTT(9432)等々・・


 いろいろありますが、市場参加者が考えるピュアなAI関連の代表銘柄としますと、ALBERT、PKSHA、HEROZのアルファベット表記三社でしょう。


 ということで、これら三社について見てみます。まずは、株価、時価総額、投資尺度、などですが、以下の表のようになっています。




 さて、こういう銘柄を投資、トレードなどの観点からどう見るか?と考えてみます。


1.投資の観点から

 投資、と言ってもいろいろなやり方、考え方があるわけですが、簡単のために、「バリュー投資」と「グロース投資}の観点から考えてみます。


 まず「バリュー投資」、これはまず無理、でしょう。PER200倍、PBR20倍以上、となりますと、「バリュー」の観点から投資対象とする人はまずいないだろう、と思いますね。(私の定義によれば、これらはすべてすでに「バブル領域の株価」になってしまっています。)


 次に「グロース投資」、例えば、これらの銘柄が10年後に利益水準を100倍にできるとしたら?現時点のPER200倍は、その時点の利益で計算すれば2倍かそこら、です。十分に買える、となるはずです。しかし、こういう会社の利益が10年で100倍になる、というシナリオが果たして想定可能なのか?現実的なのか?


 例えば、報道によれば、HEROZは今後建築の構造設計分野にAIを活用する事業を推進する、と伝えられています。AIが活用可能な構造設計の事業分野の規模がどれくらいか、よく分かりませんが、仮に年間5兆円規模あるとしますと、そこで10%のシェアを取るとすれば、事業規模は年間5000億円、これなら利益500億円の事業になるかもしれません。利益500億円なら、時価総額1兆円もあり得るでしょうから、現時点の時価総額500億円が10倍になる可能性あり、という計算になります。


 いずれにしましても、「グロース投資」の観点からしますと、利益の成長性をどう見るか?によって、投資対象になり得るかどうか決まる、ということです。


2.トレーディングの観点から

 トレーディングの観点から売買の対象銘柄としよう、と考えたとしますと、次のふたつくらいの観点が考えられます。


2の1:売買高が十分あることを前提に、変動からトレード益をあげることを目論んで売買する。バイオ関連株と似たような見方ですが、時によってAI関連銘柄は市場の人気を集めますから、トレードの対象とすることができる局面は多かろうと思います。ただし、こうした観点で売買するのであれば、短期売買に徹することが肝要です。


2の2:バブル狙いで買いポジションを取る。現時点でこれらの銘柄のPERは200倍水準ですが、AIビジネスに対する期待が大きく膨らむようなことがあれば、PERが500倍とか、1000倍になる可能性もないわけではないでしょう。そうなりそうであれば、例え現在のPERが200倍でも買いで大きな利益をあげることができるかもしれない、となります。


 「バブル化」が起きれば、そういう株価形成になる(そして、最終的にはバブルは崩壊する)ということはあり得ます。バブル相場を想定できるのかどうか?AI関連で・・というのが考えどころです。


 結論は出せないのですが、株式市場全体が活況になる、という時期が到来すれば、投機的な資金がAI関連銘柄のバブルの度合いをさらに大きなものとする、ということもあるかもしれない、という気はしています。


2019年3月8日

証券アナリスト

松下律