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見えない豊かさ

中嶋 健吉

2019/03/14 08:04

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両国にある大江戸博物館は、国技館の横にあり総武線両国駅からもよく見える特徴ある建物です。 かねてから訪問の機会を探していたのですが、亀戸天神の有名な梅を愛でる機会があり、それならばと、ひと駅隣の博物館まで足を延ばすことになりました。 巨大空間の中に再現された江戸時代の建造物、また当時の江戸を見事に再現したジオラマ等、予想をはるかに超えた展示物は見事なもので、むしろ大人が楽しむ博物館との認識を深めた次第です。


その中で一番印象に残ったものがあります。 三つの電話ボックスがそれぞれ黒幕で完全に覆われ、暗室状態に設えてあります。 最初のボックスには行灯の光のみ。 二つ目のボックスはランプの光、そして三番目は電灯の光と、それぞれ光の強さを比較し、感じられる作りになっています。 その中で行灯の光のなんと頼りなく、射光範囲の狭いかが実感できます。 行灯から50センチも離れると本を読むのも困難なほどです。


行灯だけの光の世界では、夜になると寝床に入るのが当たり前で、その時点で生産活動は停止します。 一方電灯の明るさは正に異次元のものです。 昼間の生産、趣味の活動を継続することが可能です。 物を作るだけではなく、思うが儘に楽しみの時間を拡大し発想を大きく広げることが可能です。価値として数式化は難しいものの間違いなく我々の生活を豊かにしているのです。


直近の日経新聞に次のコメントがありました。 「1800年以降に照明の価格は3倍近くになったが、明るさという品質の向上を加味すれば実質的には千分の一に値下がりしたのも同然だ」というものです。豊かさはGDPの外にある。 そんな世界の始まりを実感した次第です。 

(中嶋)