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戻りの余地

松下 律

2019/03/15 08:30

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いかにも鈍い戻りながら

 日本株は戻りの余地がまだあると思うのですが、外部環境、企業業績見通し等々いろいろと懸念は確かにあります。米中交渉、欧州・中東・朝鮮半島情勢、これから始まる日米交渉、まさに懸念山積の状態です。加えて国内では何と言っても株式需給の悪さが相場には響いています。(自社株買いはそこそこに活発なのですが。)


 「ブレグジット」はここまで来るともう何が何だかわからないように見えますが、英国の瀬戸際外交が奏功して最終的には(今年の夏辺りに?)無事にEUから離脱できるのではないかという気になり始めました。


 マクロ経済面では、いわゆる「ハードデータ」を見ますと、極端な話出て来るものすべてが株価にネガティブなものばかり、という状態がしばらくは続くのでしょう。救いは、少しずつましになりつつあるように見える指標もある、というところでしょうか。


 現時点における株式相場の支えはFRBの金融政策が「ハト派」になった、ということ、加えて欧州中銀も「ハト派」に転向、これで黒田日銀が今日「ハト派」的発言をしてくれれば、ほぼ全世界の金融政策が「ハト派」になります。(ステルス・テーパリングを止める、とか、ETF購入額を増額する、とか、何か具体的に出て来ればポジティブなインパクトがあると思いますが。)


 悪い経済データと緩和期待、両者の綱引きで時々不安定な動きを見せながら、少しずつ日本株が居所を上に変えて行く、そんな推移を想定するところでしょうか。


投資のリスクとトレーディングのリスク

 株式投資やトレーディングをやっている人たち(特に若い人たち)の中に驚くほど大きなリスクを平気でとる人たちがいて驚くことがある、という話を時々するのですが、そういう人たちに何を何と言えばいいのか、難しいところです。もとより自分自身のお金をどう使おうが自由なわけですから、レバレッジを思い切り利かせて財産を増やそうが失おうが本人の勝手ではあります。


 しかしながら、FX取引の手法が原因ではないかと思うのですが、10倍を超えるようなレバレッジを特に恐れるでもなく、けっこうな額のポジションを持てば、ちょっとしたボラティリティーで大損します。そういうことを安易に実行してはだめだと思わないのかな、という気持ちは持ちます。(インターネットで調べれば、「破産確率」などというものも簡単に見つかるわけですし、トレーディングで元手を失う確率が想像以上に大きい、ということに気づくはずですが。)


 どこかでイチかバチかの勝負をすることを目指して投資やトレーディングをしている、という人は別として、ふつうに投資や投機を実行している人にとってのリスク対処はどんなものがいいのか、と考えてみますと、おおむね次のようなものかなと思えます。


・株式投資のリスク(ここでは、リスク=大損の恐れ、と考えておきます。)

1. 投資している企業の価値の想定外の棄損 ⇒ 株価=PER×EPS、のうちのEPSの低下による株価下落 (例として、一時のシャープ、東芝、オリンパス、東電などを挙げることができるでしょう。)


2. 投資している銘柄の割高評価の喪失 ⇒ 株価=PER×EPS、のうちのPERの低下による株価下落 (例として、GAFA株、半導体関連銘柄、直近のサンバイオなどを挙げることができるでしょう。)


 これらのリスクへの対処としては、「分散投資」を前提として、1.については、その企業の事業が「収益をもたらす市場」に属しているかどうか、また、「その市場で十分な競争力を持っているかどうか」を検討して、保有し続けるか損切りするか、といったことを決断できるのではないかと思います。


2.については、「PERが利益成長に見合っているかどうか」を常に検討する、と同時に、「あまり高いPERの銘柄は避ける」というのが対処として有効だろうと思います。(PERの過度に大きな銘柄は一般論として投資には向かないと思います。トレーディングの対象としては面白いことが多いので、そういう対応をすべきなのでしょう。)


・トレーディングのリスク

1. 過大なレバレッジ ⇒ どの程度のレバレッジを掛けるべきか、掛けても大丈夫か?(ボラティリティーが低い投資対象であれば、一度の損切りで許容する額を平均的なボラティリティーで割ってポジションの許容額を計算する、といった形で「結果的に」レバレッジをある程度掛けても問題ない、ということはあります。)といった議論もあるでしょうが、私はこと株式投資においては、原則レバレッジは使う必要はない、と思っています。


 目指すべきは、言わば「回転のレバレッジ」=トレーディングに投入する資金の「回転数」を上げる工夫だろうと思っています。(1年1回の売買を1年で10回の売買に引き上げることができれば、1年スパンで見れば10倍のレバレッジを掛けたのと同じことですが、リスクは上がりません。銘柄選びとか、タイミングが難しいだけです。)


2. トレーディング戦術の不備 ⇒ 不備をなくすためには、例えば、自分自身のトレーディングで、「勝率」とか、「利益率=利益率ー損失率」、といったデータを蓄積して、トレードを継続して(つまり、投資元本を失うことなく)収益を積み上げる「自分用の戦術」を構築するしかない、という気がします。(特にFXで顕著なのですが、トレーディング戦術については、インターネットでちょっと検索しただけでかなりの数の参考資料が手に入ります。破産することなくトレーディングを続けて収益を得る戦術のために参考とすべきデータや基本手法を見つけることは難しいことではないと思います。)


2019年3月15日

証券アナリスト

松下律