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米中貿易戦争

中嶋 健吉

2019/05/09 08:09

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トランプ政権による予想外の対中関税引き上げ表明が、世界の金融市場を大きく揺さぶっています。 双方の大人の対応が、最後には落としどころを見出すとの楽観論が一般的だっただけに、虚を突かれた感じです。 この問題を貿易不均衡是正の通商問題とみるのか、大国の覇権(ヘゲモニー)争いとみるかで金融市場の反応はおのずと変わってきます。 通商問題ではある程度の妥協点を念頭に、お互いの駆け引きで一方だけが決定的な勝利を収める形にはなり難いものです。 しかし一方覇権争いが根底にある場合は、長い消耗戦になり最終的には明確な勝敗がつくことが多いようです。


長く続いた米ソの冷戦も、1989年末のベルリンの壁崩壊、そして翌年にはソ連邦消滅と、米国の一方的な勝利という形で終わっています。 二大大国の面子を掛けた軍拡競争も、ソ連の国家財政の60%以上を占める原油価格が三分の一まで下落したことによるソ連の財政危機で終止符を付けています。


一方今回の米中貿易戦争も、大国としてのヘゲモニー争いとして見ると少し景色が変わってくるようです。  最近の日経新聞の松尾編集委員の指摘には注目すべきものがありました。  曰く、今や世界最大の産油国になった米国と、2009年に米国を抜いて世界最大のエネルギ―消費国になった中国との争いとの見方です。 米国主導の石油・天然ガスなどのエネルギ-の傘に入りたくない中国が仕掛けている脱炭素エネルギー戦略がその背景にあるとの見方です。


エンジン車よりEV、ガスタービンより風力・太陽光など、中国の技術革新による脱炭素エネルギー戦略は明確です。 前回のブログでも指摘した様に、李克強首相がトヨタの燃料自動車に非常な興味を示したこともその流れでしょう。米国が特に技術移転阻止、知的財産の保護にこだわるのもそうした中国の意図を見抜いているからです。 覇権争いが根底にある限り、米中問題の解決には相当な時間が必要とみるべきでしょう。

(中嶋)