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認識ギャップ

松下 律

2019/05/24 08:46

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緩慢なショック

 いろいろ悪材料に見舞われている割には株式相場は、特に米国株式相場は落ち着いているという印象を持つものの、NYダウが数百ドル規模で下げることはあるし、ある程度の期間は低迷するかもしれないということなのでしょう。


 ファーウェイ・ショックは一時的なショックと言うより、これからじわじわとグローバル経済に悪影響を及ぼしてそれが株価に反映する、というタイプの緩慢なショックなのかもしれませんので油断は禁物で、TDKや村田の株価が下がったから終わり、とならないのかもしれません。


 しかし逆に、IT、とか、5Gとか、IoTとか、さらには電気自動車、自動運転、ホワイトカラーの業務効率化、生産性向上のためのIT投資、等々が経済の潮流であるなら、その担い手のひとつとみなされて来た会社が一部苦境に立たされるからといって潮流が変わるかもしれないと思うのも変な話です。


 ファーウェイがやらないなら別のどこかの企業がやるだけ、目先の混乱が収まれば何事も無かったようにまた動き出す、ということも考えられるでしょう。


 トランプ氏の自国中心主義には困ったものですが、安全保障の面からファーウェイやDJIやハイクビジョンに懸念を持つ、というのは理解できる話のようにも思えます。中国が米国と折り合えそうもないように見えるのは残念なことです。


 日米の株式相場をみますと、先週も書いたのですが、どうも日本は悲観的過ぎるし米国は楽観的過ぎるという風に見えます。こういう場合近い将来どうなるのか、断言はできませんが、一旦は楽観的過ぎる市場が先行き懸念を十分に織り込んで、つまりは下げて、それから戻りに進む、となるのが自然のように思えます。


 米国では、次の金融政策は利下げ、とみなされているのでしょうから、そういう下落相場があって、その下落があたかも「利下げの催促」のように映って、利下げが実施されて株価が上昇に向かう、ということが起こるとすれば、いかにもそうなりそうな気もします。


 私は個人的には、今の米国株式相場は「ゴルディロックス」だと思っているのですが、上記のような下落が起きて、その後株価が上昇に転じるとしますと、その後は「バブル相場」になる可能性があるのではと思っています。(イメージとして、個別銘柄のPERが軒並み50倍をこえるような相場、です。)


 いろいろな意味で、そうなれば面白いという気がするものですから、期待を込めて、というのであれば、そうなる確率は50%より大きい、と言いたくなります。


日本の株式文化

 何事にせよ日本は欧米に遅れをとっている、と言いたい人たちにとっては、日本を実証例としてMMTが論議を呼んだり、欧州でも移民に対する排斥姿勢が強くなったりすると戸惑うのかもしれませんが、冷静に見る限り、日本の政策とかやっていることは多くの場合けっこう先進的です。


 ただし、うまく行ってないことが多いのも確かで、PER12倍にしか評価されない株式市場はそのうまく行っていない典型例でしょう。


 株式文化とでも言えばいいのか、米国ではけっこう根付いているように見えて、それによって経済成長が促進されているようなのですが、日本ではなかなかうまく行かない・・


 なぜなのか?もっと大規模な自社株買いをすればいいのに、とか、株式による相続で課税の繰り延べをすればいいのに、とか思うのですが、NISAやIdecoのようなものもあるものの、今ひとつの感が拭えません。


 働く人々の給与水準が他の先進国に比べて見劣りするというのはどうやら本当のようで、何とかならないものかと思うのですが、少なくともこの30年はダメでしたね。


 私の感じでは、どうもわが国では、資本の出し手と従業員の間に認識の大きなギャップがあるようで、それが埋まらないといろいろトンチンカンなことが続出するように思えます。(例えば、買収への拒否反応、とか。)


 資本の出し手と従業員は、同じ会社が獲得する付加価値を分け合う立場にあるわけですが、けして奪い合う間柄ではなく、双方が納得できる分配が可能な話です。(それを取り仕切るのは経営者です。)


 付加価値、労働生産性、労働分配率、などについて、さらには、従業員と資本の出し手との合理的な関係、などについて番組の中でいろいろ考えてみたいと思います。


2019年5月24日

証券アナリスト

松下律

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