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ブログ:Onevoice

トランプ・プットとパウエル・プット

松下 律

2019/06/14 07:40

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タンカーー攻撃

 ホルムズ海峡で何者かによるタンカー攻撃→原油価格急騰、という事件が起きています。今日以降の株式相場への影響を注視しています。


日本株は息切れ状態

 6月4日のパウエル・プットのお陰で株価反転上昇と見えたのですが、たった1週間で早くも息切れ、日本株は、という状況です。


 この1種間ほど、日本株は1日の売買金額が2兆円を割り込む日が続いていますが、このことが今の市場参加者の態度をよく表していると思います。つまりは慎重になっている、買い方も売り方も、ということでしょう。

 

 今日は6月のメジャーSQ算出日です。今日1日の売買高がどの程度になるか、SQの水準と今日の相場変動、よく見ておく価値がありそうです。


 5月の株式相場はまさに「セル・イン・メイ」になってしまったわけですが、その後はいくつかの出来事で日本株相場が大きく動いたという印象です。


・5月29日(水曜日)「中国、レアアース禁輸示唆」→世界景気先行き懸念増大→株価下落


・5月31日(金曜日)「トランプ大統領、メキシコからの輸入品に関税発言」→世界景気先行き懸念増大→株価大きく下落


・6月4日(火曜日)「パウエル議長、金融政策適切に行動と発言(パウエル・プット)」→米金融緩和観測強化→NYダウ512ドル高→5日の日本株大幅高


・6月7日(金曜日)「トランプ大統領、メキシコへの関税発動見送り(トランプ・プット)」→株価に支援材料


 要人発言によって、「世界景気悪化懸念」という悪材料と、「米金融緩和期待」という好材料が「意識されて」相場が動く、という繰り返しだったようです。


 トランプ氏は「来年の選挙勝利」を目指して発言・行動していますし、パウエル議長は「米国の物価安定と雇用極大化」を達成するよう努めていますから、株価が下がれば「それぞれが」売り方をけん制する発言・行動をします。(トランプ・プット、パウエル・プット、と呼ばれる動きです。)


 トランプ・プット、パウエル・プットが発動されると売り方が買戻しする、ということで相場が反発するわけですが、日本株の場合、パウエル・プット→米金利低下→円高観測→日本株に売り圧力、となってしまい、素直に上昇できない事情があるのが残念なところです。(このせいで、このところNYダウと日経平均の値サヤが拡大して、とうとう5000円近くになってしまっています。)


 米中の摩擦は継続していますし、経済データはまだら模様、政治情勢もいろいろ問題含み、という現状ではこうした相場付きがまだまだ続くのでしょう。来週は火曜日、水曜日に米FOMCが開催されます。(日銀の金融政策決定会合も開かれます。)


 不安定な相場が続きそうですが、株式市場が「悪材料慣れ」して水準を戻す、という展開も考えられますので、ポジション管理には注意しながら多少の期待を持つといったスタンスで臨むところでしょうか。


今は「リーマン・ショック」前夜なのか?

 米国景気は個人消費に支えられて堅調持続、という見方でいいのでしょうし、日本株も日経平均が計算上の1株当たり純資産水準間近というところまで下げているわけですから、様々な材料をこなしながら上値を指向、という見方でいいとなりそうな気がします。


 しかし、「リーマン・ショック」級の混乱が起きないかどうか、起きるとすればどんな原因で何時頃起きそうか、ということは考えておくべきでしょう。(売り方の立場からすれば、大チャンスとなるわけですし。)


 いつも書いたり言ったりしていることですが、世界的に強固なビジネス・エコシステムが確立しつつあるグローバル・経済、資本市場を前提としますと、大混乱はたいてい「何らかの政策ミス」によって起き、「混乱期間」はそれほど長くない、という想定をしておくことができるように思います。


 ショックにつながりそうな状況を見ますと、米国のCLO、中国の債務問題、新興国の債務規模拡大、等々、いわゆる「グレー・リノ(灰色のサイ)」が多数居そう、という状況です。


 しかしながら、これもいつも書いたり言ったりしていることですが、大きなショック(つまりは株価の暴落)はもう少し株価水準が高くなってから現実問題として考えるべき、というのが個人的な見通しです。(去年10月から年末にかけての「中規模の暴落」も含めまして。)


令和元年6月14日

証券アナリスト

松下律

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