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老後の資金不足は2000万円どころではないぞ問題

鈴木 一之

2019/06/19 08:00

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「はだかの王様」の童話を地で行くような光景が目の前で繰り広げられています。老後に自助努力で2000万円を貯める必要があるという、例のごく最近の話題です。

日本国民は老いも若きも、ある年の世代から下は年金だけではとてもやっていけないということなど、とっくのとうに知っています。日本の年金制度はもはや長期的には維持不能であるという事実は、言われないでも充分にわかっています。「王様ははだかだ」と事実を事実として述べただけのことです。

そんなどうしようもない制度設計を、税金の使い方を正しくするのが政治や行政の仕事ではないのでしょうか。小学生の作文みたいですみません。

人生100年時代、年金がきわめて重大な問題ではあることは疑う余地はありません。最後のセーフティネットです。それは十分にわかった上で、しかしそれを野党が騒ぎ立てている姿が視覚の片隅に入ってくるととたんに気持ちが落ち着かなくなります。

夏の選挙を意識したパフォーマンスなのでしょうが、それだったら野党に一刻も早く代案を出してくれとお願いしたくなります。

年金問題の本質的な責任は、長年にわたって問題を放置、棚上げしてきた自民党と官僚にあります。しかし旧・民主党時代の2009~2012年、今の野党が政権与党の座にあった時代に、果たしてどれほど成果をあげられたのでしょうか。日本国民はこの時、政治改革に心の底から期待を寄せました。

それが最初の1年もたたないうちに垂直降下の失望に変わりました。東日本大震災と原発事故のあとは絶望感しかありませんでした。年金問題を含めてわずか3年で政権の座を追われた野党の自滅の本質が、年金を含めた政策担当能力の絶無にあったのは間違いありません。

フィナンシャルプランナーに専門的に聞くまでもなく、老後に準備する年金の不足額は2000万円ではまだ足りず、さらにもう少し必要です。だからこそ若い世代を含めて、日本国民は消費を抑えて貯蓄に励むのです。消費税は10%は当然として、そこからさらに引き上げられるかどうかが今後の焦点となります。

人生の悩みごとは、突き詰めれば「おカネ」と「人間関係」のふたつだけだと言われます。「老後の2000万円問題」は、日本人にとって人生を賭けて取り組む究極の課題として、じつに見事な集約の仕方だと変に感心いたします。
(スズカズ)