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ビーガンって何者?

岩本 秀雄

2019/06/24 08:02

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 ビーガン。聞きなれない言葉がブームになってきました。
株式市場でも注目されるようになったのは、5月に米NASDAQ市場に新規上場したビヨンド・ミートという代替肉(植物肉)メーカーの株価が公開価格の6倍以上に上昇、人気を集めていることがきっかけでしょう。筆者もこのIPOに関する記事を読んでいて、そんな言葉があることを初めて知りました。
肉だけでなく、卵や乳製品など動物由来の食品を一切口にしない人たちのこと「ビーガン」と呼ぶそうです。ベジタリアン(菜食主義)よりも厳格で「完全菜食主義」と訳されるようです。菜食主義というと何となく洗練された、優しいイメージがつきまといますが、このビーガンという言葉、なんとなく語感がいただけないな、という印象を持っていました。
ところが、先々週、6月9日の日経新聞の日曜特集「NIKKEI The STYLE」には「ヴィーガン」という表記があって、こちらの方がしゃれているではないか、と気に入りました。その別刷り紙面には、ヴィーガン向けの野菜料理が紹介され、健康・環境意識の強い人たちの間での人気の広がりが特集されていました。
もっとも、日経新聞の本紙では圧倒的に「ビーガン」のようです。

さて、いつごろからビーガンなる言葉が日経新聞に登場するようになったか。日経電子版で「ビーガン」という文字が登場する記事について検索をかけてみました。ヒットしたのは178件。先週土曜日22日の「温暖化懸念で『脱ミート』」という記事から2012年5月16日の「伏兵スズキが焦点か 日米自動車摩擦の帰趨」という記事まで遡ります。
実は、その昔米フォードモーターの国際交渉担当副社長であり、現在ではトランプ政権の北朝鮮担当特別代表という職務に就いているスティーブン・ビーガンという人がいて、この人が日米自動車摩擦や北朝鮮交渉でしばしばニュースに登場します(12年の記事はこれに該当します)。この交渉役・ビーガンに関する記事(107本ありました)を除くと、菜食主義者・ビーガンに関する記事は71本。それを振り返ってみました。

日経新聞でのデビューは2013年9月のニューヨークにおける食材事情を伝える記事だったようです。NY市民が日ごろ食材を選ぶ基準をキーワード化すると、①ローカル、②ビーガン、③グルテンフリー…など、という内容でした。13年はこの1本だけ。
14年も3本だけ。いずれも米国での話題で、アレルギー対策とか地球にやさしいといった視点から注目されています。
さらに、15年が4本、16年が2本、17年も5本と、いずれも年間を通じて1桁台の本数しか登場していません。ただ、15年頃から「東京駅地下にビーガン仕様の“ベジソバ”店が開店」とか、「NY発自然派バーガー店が日本で第1号店」など日本絡みの話題も目につき始めています。
記事本数が急増するのは18年。年間で33本ありました。8月1日付けで「完全菜食『ビーガン』市場広がる 日本でも対応」という記事がありましたから、18年夏にはもう市民権を得ていたということになるのでしょうか。この記事によると、ビーガン向け市場は加工食品だけで18年に100億ドル(1兆1000億円)に達するそうです。先のビョンド・ミートとそのライバル、インポッシブル・フーズの動きが紹介されています。「日本でも対応」というのは2020年の東京五輪に向けて何とかしなければ…ということのようです。

19年は半年でもう25本の記事ですから、きっと昨年を上回る話題となるでしょう。大手の日本企業によるビーガン対応ビジネスも活発化しているようです。ただ、いまや米国以上に肉好きな人の多い日本のことですから、消費者の間でビーガン志向がどれほど大きな流れとなるでしょうか。それに、残念ながら、日本にはビヨンド・ミートに匹敵するような企業が存在しません。これからの成長に期待、という状況のようです。

最後に、何らかの形でビーガン関連の話題が記事に取り上げられた企業を上げておきましょう。エイベックス、森永製菓、不二精油、ピエトロ、パルコ(Jフロント)、オイシックス・ラ・大地、亀田製菓、大塚HD…など。ビヨンド・ミートには三井物産が出資している模様です。(いわもと)