Logo stockvoice

ブログ:Onevoice

『逆行高銘柄』の読み方

岩本 秀雄

2019/08/05 08:08

15fe617c b416 4de4 a6e8 4294725e91b1 castphoto02 iwamoto
株の暴落日、全面的に安いときでも赤札銘柄、すなわち上がる銘柄はあります。(中略)こういう銘柄には特に注意して、事と次第では敢然と提灯をつける、買ってみるというのもひとつの方法です。

 赤札銘柄は誰かが積極的に買いを執行しているから逆行高になるわけです。そして買うからには何か理由があります。全体の下げがきつく多くの人が買い意欲を失った状況で積極的に買うからには、それなりの材料、根拠、大きな自信があると考えられます。そういう銘柄を素早く調べていけば、この銘柄はなるほど上がりそうだということがすぐにピンとくるようになります…。
 
 「独眼竜」のペンネームで株式専門紙に書いていたコラムがスターリン暴落(1953年3月)を予言したというエピソードを持つ立花証券創業者・立花久氏(1918~2016)は経営者となってからもその独自の相場観を顧客や一般投資家向けに発信していました。常に、相場と真剣に向き合っていた証券経営者として知られます。そのため、引退後の2016年に亡くなった時には、「最後の相場師が逝く」と報じた新聞もあったほどです。
 
 その石井久さんが生前にラジオ番組で語られたお話が立花証券によって一冊の相場格言集(『相場格言 実戦録』)としてまとめられています。冒頭の文章はその冊子にあった「暴落日の赤札銘柄に注意」という一節から引用したものです。

多くの銘柄が一斉に値を下げる暴落日に、その全体の流れに逆らうように上昇する逆行高銘柄。その動きにはどんな意味があるのか、上記の一文に書き込まれています。暴落の中でも買い進むには、それなりの胆力が必要です。その胆力の裏付けとなっているのが何か、外部からは窺い知れませんが、それなりにしっかりした根拠があるのだろう、と株価の動きから推察することは可能です。
 
なぜそんなことを言い出したのかというと、3日(土)の日経新聞朝刊のマーケット総合面「スクランブル」欄に「逆行高銘柄 にじむ楽観」というコラムにおいて、2日の市場で「リスクオフ相場で相対的に買われやすい内需ディフェンシブ銘柄とは異質な顔ぶれ」が上昇銘柄に顔を出していた、とする記事があったためです。この記事では、カブコン、イビデン、カシオなどハイテク周辺の外需依存型銘柄の上昇率が目立って高かったことから、トランプ大統領による「対中第4次追加関税」の先行きに対して楽観的にみている投資家が動き始めた、と推測されています。先週、電子部品株の中には4~6月期大幅減益決算が発表されてもプラスに反発するような銘柄も多く表れていました。逆張り型投資家が動いている、との読みは可能でしょうが、それがハイテク株に集中的に向かっているかという、はたしてどうでしょうか。

 2日の値動きをもとに、単なる上昇率だけでなく少し違ったランキングを見てみました。①年初来高値を更新、②前日比プラスで終わっている、③連騰記録の多さ-で順位をつけてみました。一時は①年初来高値をつけるほどに強い動き、なおかつ②大引けまで強さが持続した。③その強さがこれまで何日持続しているか、という順位づけです。1日、2日は荒れ模様の相場でしたが、それでもそれ以前から強さを持続していた銘柄がどのくらいあるか、という調査です。

2日の東証1部市場には40の新高値銘柄がありました。一時は500円以上も日経平均が下げた相場。その中で新高値40銘柄数は健闘しています。ただ、そのうち10銘柄は大引けにかけて前日比マイナスに沈んでしまいました(情けない銘柄です)。残りの30銘柄のうち、継続して上昇している銘柄の順位をつけると…

(1)   IRジャパン(9)
(2)   神戸物産(9)
(3)   ユニゾHD(8・変わらず含む)
(4)   東洋BENG(7)
(5)   モバイルファクトリー(6)
(6)   第一三共(6)
(7)   インフォコム(5)
(8)   ペプチドリーム(5)
(9)   イビデン(4)
(10)  ディップ(3)
(11)  テンポイノベーション(3)
(12)  アイル(3)
*カッコ内は連続上昇日数
 
 以上が3日以上続伸している銘柄。残りは2日続伸がせいぜいでした。ただ、8月1日~2日と続伸している銘柄はかなり多いです。
 さて、連続上昇銘柄の顔ぶれを見ると、はっきりと内需・ディフェンシブ銘柄といっていいと思います。
典型的なのが(1)IRジャパンと(2)神戸物産。(1)は上場企業向けの情報サービス「株主との対話」ニーズに乗って好調。2日には昼休みの時間に業績見通しの増額修正を発表したことから株価も急伸しましたが、これまでも株価は上昇中でした。「業務スーパー」の好調で月次販売が好調。海外からの輸入品が伸び、PB商品も拡大中という好状況を織り込む動きがずっと続いているのが神戸物産。すでに年初からの上昇率はほぼ倍となっています。

不動産のユニゾHDはHISによるTOBで関心を集めていますから別格としても、SAP製ERPシステムに強い東洋BENGやインフォコム、アイルなどシステム開発会社の強さは光ります。さらに、「位置ゲーム」のモバファク、人材募集のディップ、外食店舗の賃貸借事業のテンポイノベーションなど国内で稼いでいる銘柄ばかり。医薬品の第一三共、ペプチドリームや半導体関連のイビデンがやや異色、ということでしょうか。

 リスク・オフ(回避)の動きが出たのは1日、2日のこと。リスク回避→内需・ディフェンシブへと目が向くのはこの2日間、というのが定石的な物色人気のコースですが、上掲の銘柄群はそれ以前からターゲットになっていたのです。すでに、先週よりも前から内需指向の流れが形成されている、ということを意味しています。意志の強い人たちは内需系を買い進んでいる、そういう流れもが続いていることも忘れないようにしましょう。(いわもと)