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ブログ:Onevoice

不安材料ばっかり

松下 律

2019/08/09 08:20

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チャイナショック再来?

 荒っぽい値動きの一週間の相場が少し落ち着いて来たというところのようですが、人民元下落(元安への為替操作)と聞きますと、やはり4年前のチャイナショックが頭をよぎってイヤな気分になるものです。


それにしましても、世界中株式相場を取り巻く状況は不安だらけ、のようです。


・米中摩擦の激化(米による追加関税、中国の反発、為替操作国指定・・)


・元安誘導→中国からの資金流出→中国のグレーリノ問題顕在化→新興国経済への打撃波及


・中東情勢(第何次か知りませんが、オイルショックが起きても不思議はない・・)→金価格上昇


・米金融政策(の迷走?)→政策金利を下げても下げなくても問題が起きるかも・・


・ブレグジット懸念(本当にどうなるのでしょうか?)→どう離脱しようと大した影響を与えまい、という見方も有力ですが・・


・日韓問題(実害のあるような措置でないことはとっくに分かっていたと思うのですが・・)


・円高傾向→日本経済は輸出入がほぼ均衡していますので、円高が日本経済に大きなダメージを与えるとは思えないのですが・・


 チャイナショックの頃より、米国にせよ日本にせよ、企業収益がずいぶん向上していますので、またぞろチャイナショック発生ということはないのでは?とは思うものの、いろいろ心配ではあります。


 とくに、いつも言ったり書いたりしていることですが、日本株はとにかく需給が悪いので心配になることが多いようです。何しろ、海外勢は中国、アジア株の下落に備えて日本株をヘッジ売りするそうですから・・


トータルリターン

 今年の有価証券報告書から「株主総利回り(5年パフォーマンス)」の開示が始まりました。トヨタ自動車の例をテレビ画面上にお示ししようと思っているのですが、第一部【企業情報】、第1【企業の概況】、1【主要な経営指標等の推移」の(2)の表の下から3行目に記載されています。 


 トヨタ自動車の例ですと、比較指標は配当込みTOPIXで、指標との比較で見ますと、トヨタ自動車の株主総利回りは概ね比較指標である配当込みTOPIXをやや下回るというものになっています。


コーポレートガバナンス

 コーポレートガバナンスって、何?とか、コンプライアンスと何が違うのか?といった質問も出るのかもしれないのですが、個人的には、コーポレートガバナンスとは、上場会社がROE8%以上を安定的に達成する経営を達成する手立て、と単純化して考えることにしています。


 ガバナンスという以上は「誰が支配していると考えるのか?」ということが最初に示されなければならないわけですが、それは当然「株主が支配している」という見方です。


 会社のガバナンスに関しては、「人本主義」、「ステークホルダー資本主義」、「株式資本主義」などいろいろな立場を想定することが可能かと思いますが、ビジネスの効率と株主利益の極大化を目指すとすれば、株式資本主義が最良とされているものと思います。


「ハードロー」と「ソフトロー」

 コーポレートガバナンスの法律や規則の枠組みは、いわゆる「ハードロー」と「ソフトロー」に分けて考えることができます。ハードローとしては、会社法、金商法があるわけですが、これらへの対応はけっこう形式的で、株主から見ますと退屈な感じです。


 「ハードロー」に加えて、いわゆる「ソフトロー」の枠組みがわが国にはありまして、その中核が「コーポレートガバナンスコード」です。上場会社はこのコードに沿って「コーポレートガバナンス報告書」を提出することが義務付けられていて、投資家は投資のための情報として活用することができます。


 現在のコーポレートガバナンスコードは2018年6月1日施行のものですが、実は東証はもっとずっと以前から「上場会社コーポレート・ガバナンス原則」を定めていまして、私は個人的には、この以前の原則の方が株式資本主義らしくていいのではないか、と思っています。


 例えば、株主と会社(の経営者)との関係について、上場会社コーポレート・ガバナンス原則 (2009年12月22日改定版) は次のように記述しています。


「およそ上場会社の企業活動は、収益を上げ、株主にとっての企業価値を高めることを主要 な目的として行われるが、上場会社がそうした成果を継続的に挙げ続けることを期待するた めには、企業活動を律する枠組み、即ちコーポレート・ガバナンスを通じて経営をそのよう に動機付け、あるいは監視することが欠かせない。 」


 すなわち、上場会社にとってコーポレート・ガバナンスが有効に機能することは、継続的 に企業価値を高めていくための極めて基本的な要請であり、そのような環境を整えることが コーポレート・ガバナンスの基本的な目的である。」


 「コーポレート・ガバナンスにはこれらすべての利害関係者との関係のあ り方が影響を与えるが、資本市場の視点から見ると特に中核的なものは、株主(又は潜在的 な株主としての投資者)と経営者との関係である。」


 実に株式資本主義的な感じがしませんか?


 現在のコーポレートガバナンスコードは2018年6月1日施行の記述はこんな感じです。


 「 上場会社には、株主を含む多様なステークホルダーが存在しており、こうしたステ ークホルダーとの適切な協働を欠いては、その持続的な成長を実現することは困難で ある。


 その際、資本提供者は重要な要であり、株主はコーポレートガバナンスの規律 における主要な起点でもある。


 上場会社には、株主が有する様々な権利が実質的に確 保されるよう、その円滑な行使に配慮することにより、株主との適切な協働を確保し、 持続的な成長に向けた取組みに邁進することが求められる。 」


 現在のコードはいわゆるステークホルダー資本主義を意識して書かれているのかもしれません。


(ご参考)

上場会社コーポレート・ガバナンス原則 (2009年12月22日改定版)

 コーポレート・ガバナンスは企業統治と訳され、一般に企業活動を律する枠組みのことを 意味する。


 およそ上場会社の企業活動は、収益を上げ、株主にとっての企業価値を高めることを主要 な目的として行われるが、上場会社がそうした成果を継続的に挙げ続けることを期待するた めには、企業活動を律する枠組み、即ちコーポレート・ガバナンスを通じて経営をそのよう に動機付け、あるいは監視することが欠かせない。 すなわち、上場会社にとってコーポレート・ガバナンスが有効に機能することは、継続的 に企業価値を高めていくための極めて基本的な要請であり、そのような環境を整えることが コーポレート・ガバナンスの基本的な目的である。


  現代の経済社会における企業の利潤追求活動は、多様な利害関係者(株主又は投資者・経 営者・従業員・取引先・債権者・地域社会など)との複雑な利害調整なしには成立し得ない。


  企業活動が広域化する中では異なる文化や社会の価値観をも考慮に入れる必要が高まって おり、企業の利潤追求活動が、市場原理に則り公正かつ透明に、株主・投資者はもとより経 済社会全体に対して説明可能なものとして、社会的責任を果たしながら遂行されることが必 要となりつつある。


 コーポレート・ガバナンスにはこれらすべての利害関係者との関係のあ り方が影響を与えるが、資本市場の視点から見ると特に中核的なものは、株主(又は潜在的 な株主としての投資者)と経営者との関係である。


 なぜなら、会社の業務執行は経営者(代表取締役、業務執行取締役、代表執行役、執行役 等)の広大な権限に委ねられ、実行されるが、その権限は究極的には、資本の出し手であり、 通常は最終的なリスクの負担者である株主の信任に基づくものだからである。


 株主は通常、会社の価値の最大化を目的として、経営者を選任し、監督し、動機付けるた めの権限を、みずから選任する取締役又は監査役に大きく委ねている。経営者は、取締役会 によって選任されて日常的な業務執行の権限を委ねられ、取締役会・監査役(会)の監督下 にあることを前提として広大な執行権限を正当に行使し得る。取締役会・監査役(会)は株 主によって選任され、以上のような役割について、忠実に果たす義務、善良なる管理者とし ての注意義務を会社と株主に対して負っている。


  これらはいずれも株主と経営者との関係を律するための枠組みであり、これらをいかにし て有効に機能させるかということが、コーポレート・ガバナンスの中核的な問題である。 上場会社のコーポレート・ガバナンス、すなわち株主と経営者の関係の規律付けを中心と した企業活動を律する枠組みには、様々な機能を果たすことが期待されているが、その中で も重要なのは次の点である。


 まず、株主の権利・利益が守られ、平等に保障されることが第 一に重要である。次に、役割を増す株主以外の利害関係者について権利・利益の尊重と円滑 な関係の構築が会社の価値向上には欠かせない。そして、これらすべての利害関係者の権 利・利益が現実に守られるために、適時適切な情報開示によって企業活動の透明性が確保さ れる必要がある。最後に、重要な鍵を握る取締役会・監査役(会)が期待される役割を果た すことが必要である。


  コーポレート・ガバナンスに期待されるこれらの機能は、コーポレート・ガバナンスに関 して現実に会社が採用する具体的な施策によって実現されるが、一般にコーポレート・ガバ ナンスを充実させるとされる具体的な施策を集めた特定のモデルがすべての企業に適する とは限らないし、それぞれの企業にあった多様な施策の組み合わせがありうる。問題は、具 体的な施策の採用の有無というよりも、それぞれの企業において、コスト・ベネフィットの 関係を勘案しながら、これらの機能をもっともよく実現すると思われる方法が模索され、実 際に効果を上げることである。 こうした企業の取組みや情報開示等の状況を見て、株主、投資者が投資判断、議決権行使 等を行い、それを踏まえて各企業が自らの取組みをチェックし改善していく、というのが、 市場経済体制の基本である。


コーポレートガバナンスコード(2018年6月1日施行)

第1章 株主の権利・平等性の確保

【基本原則1】 上場会社は、株主の権利が実質的に確保されるよう適切な対応を行うとともに、株 主がその権利を適切に行使することができる環境の整備を行うべきである。


 また、上場会社は、株主の実質的な平等性を確保すべきである。 少数株主や外国人株主については、株主の権利の実質的な確保、権利行使に係る環 境や実質的な平等性の確保に課題や懸念が生じやすい面があることから、十分に配慮 を行うべきである。


 考え方

 上場会社には、株主を含む多様なステークホルダーが存在しており、こうしたステ ークホルダーとの適切な協働を欠いては、その持続的な成長を実現することは困難で ある。


 その際、資本提供者は重要な要であり、株主はコーポレートガバナンスの規律 における主要な起点でもある。


 上場会社には、株主が有する様々な権利が実質的に確 保されるよう、その円滑な行使に配慮することにより、株主との適切な協働を確保し、 持続的な成長に向けた取組みに邁進することが求められる。


 また、上場会社は、自らの株主を、その有する株式の内容及び数に応じて平等に取 り扱う会社法上の義務を負っているところ、この点を実質的にも確保していることに ついて広く株主から信認を得ることは、資本提供者からの支持の基盤を強化すること にも資するものである。


令和元年8月9日

証券アナリスト

松下律

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