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歓迎すべき濃淡? 米中も玉虫色…

岩本 秀雄

2019/10/07 08:06

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先週の米国株式市場。1日のISM製造業景況感指数、2日のADP雇用レポート、3日のISM非製造業景況感指数と、連日の経済統計発表が市場予想を下回るものだったため、景気後退への警戒感が広がり、3日朝方にかけてダウ平均は一時は前月末終値に比べて1173ドル安と、1200ドル近い下げを演じました。しかし、売り一巡後は「指標悪化なら利下げ」へと市場の“期待”の方向感が転換。結局、安値から450ドル以上引き戻し、この日のほぼ高値で終わりました。

翌4日も同様。この日発表された9月雇用統計も市場予想を下回る内容でしたが、株価は終日じり高となり終値は372ドル高と続伸。週間での下げ幅を246ドルまで縮小しました。テクニカルな面では、3日に200日移動平均線を一時割り込んで切り返すという、理想的な推移となっています。

 

(1)    非農業部門の雇用者数は前月に比べて13万6000人の増加。市場予想の14万5000人増加には届かず。上方修正された8月の16万8000人から減速。19年1~9月平均16万1000人と比べても伸びに頭打ち感。

(2)    平均時給は前年同月比2.9%増(8月3.2%増)と伸び鈍化。上昇率3%割れは1年ぶりのこと。賃金の伸び鈍化は消費や物価へ影響を与える。

(3)    失業率は3.5%と前月(3.7%)から0.2ポイント改善。市場予想も上回った。1969年12月以来、実に50年ぶりの水準まで低下。

 

 結局、(1)と(2)はマイナス材料ですが、(3)はプラス材料と、濃淡を交えた内容となりました。が、前者は景気後退懸念を煽るほどの内容ではなく、(3)を加えてもFRBが利下げを躊躇するほどに強くはない、というゴルディロックス的な状況を補強するものとなりました。ハト派として知られるカシュカリ・ミネアポリス連銀総裁はこの雇用統計を「文句ない結果だった」と語ったそうです。

 

 なお、GM工場でのUAWストライキが9月15日から行われていますが、それによる就業者減少は今回の雇用統計には織り込まれていないそうです。それでも、製造業の雇用者数は今回の統計で2000人減少していますから、10月統計でGM分がカウントされるようだと、製造業の雇用状況はなお深刻化する可能性もありそうです。トランプ大統領の米中貿易交渉姿勢にも影響があるかもしれません。

 

 4日に発表された米国の8月貿易収支は対中赤字が289億ドル(前月は296億ドル)に縮小しました。全体からみると、減少率は小幅なものですが、輸出が5か月ぶりの水準となるなど、変化の兆しも。これが貿易交渉にとって明るい材料となる可能性もあります。  

今週10日からはワシントンで米中の閣僚級レベルでの交渉が再開されますが、果たしてスウェーデンで5日まで開かれた米朝交渉のように、何も進展しなくても「素晴らしい成果があった」という話で終わるかもしれませんが…。

ま、それはそれで、マーケット的には歓迎かもしれません。あと、利下げの確度と濃淡を探るため、8日のパウエル議長講演や9日発表のFOMC議事要旨が注目されるでしょう。(いわもと)