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ノーベル「経済学賞」に期待しています

鈴木 一之

2019/10/09 07:52

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今週はノーベル賞ウィークです。ただそれだけでなんとなくそわそわします。2000年代になって日本人研究者の中からノーベル賞を受賞する先生方が続出したために、今年も可能なのではないかと期待ばかりが膨らみます。

ノーベル賞の話題を耳にすると必ずと言ってよいほど、日本人がまだ受賞していない「経済学賞」に思いが飛びます。近年はプリンストン大学の清滝信宏教授の名前が挙がっており、今年こそはひょっとしてと心が騒ぎます。

経済学賞はなにかと議論の余地の多い分野です。自然科学と違って社会科学である経済学は、ジャーナリズムや政治・社会にも影響が大きいため、ノーベル賞の受賞対象とすべきではない、という指摘が以前から強くされています。経済学賞を受賞した経済学者みずからも、経済学をノーベル賞の受賞対象とすべきではないという意見が出てくるほどです。

理由のひとつに、これまでの受賞者のほとんどが欧米出身の学者で占められており、中でもアメリカの出身者が多いことが挙げられています。ウィキペディアによれば、2010年までの受賞者67名のうち、欧米出身者でない受賞者はわずか3人しかいなかったそうです。

ノーベル文学賞を選考するスウェーデン・アカデミーも反対の立場で、1997年にはノーベル財団に対して経済学賞を廃止するように要請したそうです。理由として、これまでの受賞者の経済学的な業績はあまりに抽象的で、現実の世界とかけ離れていることを挙げています。

アルフレッド・ノーベルの一族からも経済学賞への批判が寄せられており、経済学賞は廃止するか、あるいは改名するかをこれまでに繰り返し訴えています。理由は具体的で、「経済学賞の3分の2はアメリカの経済学者に贈られており、中でもシカゴ学派にばかり授与されている。彼らは株式市場とオプション取引の投機家であって、これはアルフレッド・ノーベルが意図した人間生活の向上と生存にはまったく関係がないばかりか、むしろ正反対である」ということだそうです。

何かと話題の多いノーベル賞ですが、日本人の受賞者が出ればそれだけでうきうきし、自分の国を誇らしく思えたりして、問題山積みの現実世界から少しだけ遊離することができます。「前に進んでいるのだ」という気持ちになれます。人類の叡智は無限であることが少しだけでも実感できます。議論の余地のある経済学賞にも、やはり(おおいに)期待してしまいます。
(スズカズ)