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どうしますか、あなたなら

松下 律

2019/10/11 08:30

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売り方、買い方、どちらに?

 ニュースとイベントによって相場が振らされる展開が続いていますが、まだ形勢がどちらに傾くか分からない状況です。


 ソフトデータ、ハードデータ、イベントと、今後どんなものが出て来て、それらにどう反応するか?注目です。売り方が期待する動き、買い方が期待する動き、双方を考えますと以下のようになっていると思います。


売り方が期待する動き:

1.米景気(≒グローバル景気)の動向:今年起きた米長短金の逆転現象から見て、米国で来年4-6月期辺りから「景気後退」が起きる恐れがある。⇒当然、株式相場も先行き下落するはず。⇒日本株も警戒が必要。


2.日本企業の業績動向:2週間ほど後から、第2四半期決算の発表が始まる。減益傾向がはっきりするはずで、株価にはマイナスに違いない。⇒業績発表を受けて、株価が非連続的に下落することはよくあること。


3.株式需給:海外勢の売り越し基調は継続しており、株式相場の下押し要因という状況に変わりはない。


4.地政学リスク等:香港のデモが第二の天安門事件を引き起こす恐れがある。その他、朝鮮半島情勢にせよ、中東情勢にせよ、ブレグジットの行方にせよ、ブラックスワンに等しい悪材料になりかねない。


5.米中摩擦:これからさらに激しくなるに違いない。当然、株価には逆風。


買い方が期待する動き:

1.米景気(≒グローバル景気)の動向:確かに長短金利は逆転したが、以前と違って、超低金利下で起きたことであり、景気後退につながるかどうか、分からない。しかも、株価が先行きを織り込んでいるとすれば、米景気が仮に景気後退期に入ったとしても、それを合図に株価が上昇し始める可能性もある。それに、仮に米景気がリセッション入りするとしても、リセッション入り直前に株価が当面のピークをつける、という動きだってあるかもしれないでしょう。


2.日本企業の業績動向:2週間ほど後から、第2四半期決算の発表が始まる。減益傾向はその通りであろうが、半導体関連が典型で、むしろ減益を確認して、ここからの回復を株価が織り込む展開になる可能性がある。


3.株式需給:海外勢の売り越し基調が継続しているからこそ、投機筋の売りポジションが膨らんだのであり、むしろ買戻しの勢力の方が強い可能性がある。実際、8月下旬からの動きはそうでしたよね。


4.地政学リスク等:香港で第二の天安門事件が起きる恐れがある。その他、朝鮮半島情勢にせよ、中東情勢にせよ、ブレグジットの行方にせよ、ブラックスワンに等しい悪材料になりかねない。それはその通りなのであるが、要するに織り込んでいるでしょう、すでに、と見ることもできるのでは?香港もこれから深セン地域が役割を代替して行くとすれば、いつの間にかうやむやになる可能性もあるでしょう。どこかで大手銀行が破たん、ということさえなければ、案外大丈夫では。


5.米中摩擦:これからさらに激しくなるかもしれないが、案外実務的・段階的に落ち着きどころを探す動きになる可能性もあるでしょう。関税はあればあったで、時間が経てばそれがふつうになるだけ、という面もあるでしょう。


 データに基づき予想・シナリオを想定して、取るべきリスクの量を定めてポジションを取る、というのが投資・投機というものですが・・・


 現局面で・・・


 どうしますか、あなたなら


資本コスト

 あまり現実的でないかもしれませんが、あなたは銀行から株式投資とかトレーディングのための資金を、年利2%で望むだけの額、借りることができるとします。


 そこで、銀行から資金を借りて、その資金を使って株式トレーディングをするとします。


 さて、その場合、「価値創造」につながるトレーディングを達成する、とは、具体的にどの程度の年間利益をあげることを指しているでしょうか?


 答えは簡単です。


 「税引きで、年2%を上回る利益」をあげ続けられれば、それは「価値創造」をした、ということになります。


 逆に、税引きで年2%を上回る利益をあげられなければ、それは「価値破壊」をしたことになります。(つまり、やらなければよかった、と悔やむことになります。借金は返済しなければなりませんので。)


 「株式投資家(特に機関投資家)は、企業経営者に対して、『価値創造』を求める」という言い方がされることがよくあります。


 さきほどの、借り入れをして儲けを目指す個人と同じで、この場合の価値創造とは、経営者が「ある程度以上の利益をあげる」ということを指しています。


 具体的には、利益=ROE(自己資本利益率)、であり、ある程度以上の利益=資本コストを上回る利益率、ということになります。


 銀行からの「借り入れ金利」であれば、分かりやすいのですが、この「資本コスト」という概念がなかなかに分かりにくいものです。しかし、おおむね「株主がその企業の事業リスクを勘案して要求する、株式投資の年間収益率」といった感じの数字です。


 こう書いてもまだよく分からないのですが、機関投資家に対するアンケートによりますと、「だいたい、年7%くらい」とのことです。


 企業経営者が年7%を上回る株式収益率を達成し続ければ、その経営者は「価値創造した経営者」として、投資家から評価される、ということです。


 さて、現状の日本株の、投資尺度面からの「評価」を見てみますと、


・市場平均PBR=おおむね1倍強

・市場平均PER=おおむね12倍くらい


です。


 PBR=ROExPER


ですから、計算しますと、ROEは、だいたい7~8%ということになります。


 現状の日本企業のROEは、ぎりぎりで機関投資家が求める「資本コスト」をクリアしているようだ、ということです。


 この平均像をもとに考えてみます。


 ある会社が、ROE=4%しか達成できていなくて、近い将来向上するみこみもない(と市場で見られている)とします。


 としますと、


 PBR=ROExPER=4%x12倍=0.48


 PBR0,5倍くらいに株価が「放置」されても致し方ない、ということになります。


 日本企業のROEが平均で7、8%水準をクリアし続けられそうになって来た、ということは驚くほどの進化だ、と私は思うのですが、あと一歩のROEが向上が(日本株のいっそうの株価上昇には)必要なのでしょう。


 そのために、自社株買いのいっそうの増加(⇒分母が減ることによるROEの向上、株式需給の改善)が望まれる、という気がします。


2019年10月11日

証券アナリスト

松下律