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ブログ:Onevoice

忘れていた台風の脅威(2)

中嶋 健吉

2019/10/17 07:30

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千葉県中心に大きな被害を招いた台風15号が、通過した後の9月12日に、上記表題でブログに投稿しています。まさか時間を置かずに続編を投稿するとは考えも及ばなかったのですが。 

今回の台風19号は、100年に一度と言われる豪雨を伴った為、東日本中心に甚大な被害を与え、特に水インフラの脆弱性を国民に思い知らせたものです。堤防決壊に伴う被害地が、首都圏のこうした被害には無縁と思われた地域の、二子玉川、田園調布、世田谷などに及んだことは、その規模の大きさと広域性を示したものです。 こうした水被害をいかに最小化するかは、政策当局の最重要課題のはずです。被害を前に何らかの批判が出てくる可能性があります。

特に今回注目を集めたのが、民主党政権下の「仕分け」で一度は工事中止が決まった八ッ場ダムの果たした役割です。 紆余曲折を経て工事が終了、この10月1日から「試験湛水」が始まり、518mから573mまでの貯水を行った為、利根川の氾濫防止に寄与したとの指摘です。 巨大大河の利根川に、一つのダムがどの程度貢献したかは これからの検証が必要ですが、ダムの効用への論議に一石を投じたと言えます。 かつて長野県知事を務めた田中康夫氏の「脱ダム宣言」も再検証の余地がありそうです。採算のみを重視した決定は禍根を残す可能性があるからです。

こうした社会インフラ投資を、「採算、黒字、赤字」の価値観だけで判断すると創造的なものは生まれ難くなるのです。  例えば鉄道建設ですが、かつて北海道新幹線プロジェクトが持ち上がった折、ある政治家が「熊でも乗せるのか」との迷言を吐いたものです。需要があるから作るのではなく、作ったから需要が生まれるのが正解です。何の需要もない月に人を送るアポロ計画でしたが、これがなければIT強国のアメリカは生まれなかったのです。

安倍政権が2013年に目玉として提唱した「国土強靭化計画」です。 「リスクごとに対応を考える防災ではなく、どんなことが起ころうとも最悪な事態に陥ることが避けられ様な強靭な行政機能や地域社会を作る」ことを目的としています。この観点から今回の2度にわたる台風被害を見ると、十分に機能しているとは言えないようです。より具体的な政策が待たれます。

(中嶋)