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佳境入り?

松下 律

2019/11/08 08:20

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この2か月強の変動

 そろそろ日本株相場は佳境入り、もちろん「買い方」から見ての話しです。日本株と言えば、PBRは1倍がいいところ、PERは12倍が精いっぱい、と言われていたのがわずか3か月弱前、需給が悪いとそんなことになってしまう、ということだったのですが、この2か月あまりまさに様変わりの相場だったということができると思います。


 しかし、そろそろ佳境入り?売りポジションをそのままにして来た売り方(どれくらいいるのか分かりませんが)は、この間の日経平均3千円の上昇は相当に痛手だったでしょう。


 この2か月強の間の指数の変動はこんなでした。


・日経平均: 2万100円台 → 2万3500円台(昨夜の時間外の日経平均指数先物) 約3500円幅の上昇、上昇率およそ15%


・DJIA: 2万5300ドル台 → 2万7500ドル台 約2000ドルの上昇、上昇率およそ8%


・円ドル相場: 106円台 → 108円台 約2円の円安


 日本株(日経平均)の上昇はNYダウより大きく、大きな円安がない中での上昇、というところにこれまでと違う相場の雰囲気を感じます。


何が起きたのか?

 売り方の買戻しと半導体関連株の上昇、このふたつに本当に感謝、と(おそらく)「買い方」は言うのではないか、と思います。


 ファンダメンタルズの悪さから、思い切り売りポジションを作ってくれた「売り方」に「買い方」は感謝、同時に先行き不透明の中で巨額の設備投資を始めてくれた台湾のTSMCに感謝、それから、中国のスマホメーカーの部品積極手当に感謝、というところではないでしょうか。


 「買い方」としては、含み益を背景にツメを伸ばすというところでしょうが、いろいろな意味で上昇相場は佳境入りといった感覚ではないかと思います。


今後をどう読むか?

 ファンダメンタルズ・データと整合的な日経平均の現時点の妥当値は、おおむね2万3000円、この値を中心に「レンジ」としてはプラスマイナス1500円くらい、というあるエコノミストの意見を昨日目にしました。


 日経平均の水準は、今のファンダメンタルズからしておおむねいい所まで来たが、この先1500円くらいの上値(2万4500円水準)はあるかもしれない、ということで、個人的な感覚と合うコメントでしたので印象に残りました。


 いずれにしましても、「買い方」とすれば、ここから「新規の日経平均買い」はないだろうな、というところでしょう。


 この上昇局面がどの程度の期間続き、その程度の水準まで上昇するか、そう簡単に決め打ちはできないと思いますが、今後も変動が大きい相場になるだろう、ということはほぼ確実に言えそうな気がしています。


静かに進む変化

 世の中の出来事には「繰り返す感じ」のものも多いのですが、以前とはずいぶん違うということも多いものです。いくつか挙げてみますと、


1.金利の水準

2.さまざまな格差の拡大とか分断現象

3.株式市場の様相


 こうした「変化」を見て、いずれまた「昔のように」戻る、という前提で現状を見ることもできますし、パラダイムシフトのようなことが起きたのだから、もう昔のようには戻らない、と考えることもできます。


 例えば、米国の長期金利が2%にも満たず、日欧の長期金利は軒並みマイナス、というのを見て、これは何かおかしなことが起きているのであり、将来何かが正常化すれば解消する、と思うのか?これらは「変化」の証でいわば「ニューノーマル」なのだ、と考えるのではずいぶん違ってきます。


 株式市場の様相でも、「株式市場の役割は、資金余剰部門である個人から資金不足部門である企業に資金を回すことだ」といった考えからしますと、企業が調達する資金額以上の額の自社株買いをする、などは間違った現象、と思えたりするでしょう。


 あるいは、株式市場における「買い方」と「売り方」の非対称なところがどんどん小さくなって行く、などということも場合によっては非難の対象になるかもしれません。


投資・投機の観点からすると・・

 見方、考え方はさまざまですが、株式への投資、相場変動から利益を汲み取ろうとする投機、の観点からしますと、世の中で静かに進む「変化」については、割と素直に受け入れる方が相場対処においては有益という気がします。


 例えば、自社株買いについて見れば、資金余剰の企業が多く存在するようになった、ということなのでしょう。そうでなくて伝統的な企業行動をする(つまり市場から資金を調達する)企業も依然多く存在するわけですし、巨額の自社株買いを「市場機能の低下」などと見る必要はないように思います。


 それよりも、借り入れまでして自社株買いをする企業が多いとすれば、それは将来大きな変動をもたらす一種のひずみを生み出しているのかもしれないわけですから、どこかで「売りポジションを取る」チャンスを作ってくれるかもしれない、とまあ、そんな風に見る方がいいのではないか、と思ったりするわけです。


令和元年11月8日

証券アナリスト

松下律