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史上最大のIPO

岩本 秀雄

2019/11/11 08:06

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「サウジアラムコ株、ESG視点で投資できない理由」という記事をロイターが流していました。化石燃料を輩出し環境破壊の元凶のような存在だから、「環境」(E)面からみて投資にふさわしくない、というのは分かりますが、どうもそれだけではないようです。筆者によると、反体制派記者が殺害されたり、活動家が不当に逮捕されたり、女性が様々な差別をうけたりというサウジの政治体制が「社会」(S)的な面でふさわしくない。現在でもサウジ政府の予算の「資金面でのエンジン」になっており、IPO後も少なくとも発行株式の95%をサウジ政府が保有し続ける、ということは「企業統治」(G)の面からも問題あり-ということらしい。2番目の政治体制の問題までサウジアラムコ会社の責任にされてしまうのは可哀そうな気もするけど、そもそも「ESG」投資とは、ということを分かりやすく説明されたようで、何となく合点がいく記事でした。

 要するに、責任ある機関投資家は買わない方がいいですよ、ということらしいのですが、実際には1~3%がサウジ国内の投資家(ムハンマド皇太子の息がかかった人、競合する王族)が購入するのでしょうし、残りは中国系資金が応募するようなので、IPOの成否にはESGも関係なし、ということになりそうです。「最高級の軽質油、世界最低ランクの算出コストだから、環境面ではむしろ他を圧するものがある」との理屈もあるようです。でも、それで、過去最大級のIPOということとなると、何だろうな…という気もします。

 ともかく、日経新聞の記事によると、来週から公開価格決定のためのブックビルディング(需要積み上げ)が始まり、12月中旬ごろには上場が実現する模様。最大500億ドル規模の資金調達になりそうだ、との観測です。サウジ証券取引所の上場株式は「MSCI新興国」指数に採用されているため、先行きは国際的なインデックスファンドの組み入れ対象にもなり、グローバル運用にも影響が出ます。そうなると、今度こそ「ESG視点でどうか…」という問題で機関投資家が頭を悩ますことになるでしょう。

 ま、11月にはアリババ株が香港にも上場するそうですから、超大型IPOがしばらく話題を集めそう。これが、上げ潮の世界株式市場にとっても追い風になりますか。あれ、わが国では…?(イワモト)