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鬩ぎ合い

松下 律

2019/11/22 08:20

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売り仕掛け

 あまり単純化し過ぎてもいけないのでしょうが、相場(例えば指数先物相場)の変動は買い方と売り方の鬩ぎ合い、つまりは投入される資金の量の勝負、と見ることができるでしょう。


 そういう目で見ますと昨日の日経平均株価の日中の動きは実に興味深いものでした。


 このところ上値が重くなって指数先物に売りを出して、節目の23000円を割り込んだところで一気に売りを仕掛けた。


 相場が急落して、これはトレンドの転換に成功したか?と思いきや、中国副首相の発言、日銀の買い(観測)で買いが優勢になって日経平均は23000円台回復という日中推移でした。


 売り方からすれば、今の情勢からすれば、買い方の利食い売りを誘って売り仕掛けに成功するかもしれないという思惑だったのでしょう。


 しかしそうは行かなかったようです。(少なくとも昨日は。)まだ売り方大勝利の機は熟していない、もう少し先、ということなのでしょう。


 とはいえ、相場が上がれば上がるほど、利食い売りできる量は増えて行くわけで、さて今回はどの辺りの株価水準で売り方が勝利するようになるか?と思いを巡らす局面に至ったのかもしれません。


 昨日の動きを見ていますと、日経平均と円ドル相場の相関が強い印象でした。まだまだアベ・トレード勢力が短期的には相場を動かす力を持っているようです。

 

好悪材料のピックアップ

 売りにせよ買いにせよ、なにかのきっかけで実行されるということが多いと思います。そこで当面の注目イベントについて考えてみたいと思います。


・裁定残高

 今回の上昇局面で、先物売りポジションの買い戻しが大きく寄与したと思われます。裁定売り残は8月末に向けて、1兆円規模から2兆円へと膨らみ、現時点で1兆円規模に減っているとのことです。


 一方で、裁定買い残はこの数ヶ月5千億円を下回る水準で大きくは動いていないそうです。


 これらからしますと、売り方の買い戻しはかなり進んだが、まだ1兆円規模で残っている。買い残はあまり増えておらず、海外投資家の積極的な現物買い→裁定買い残増加とはなっていないようです。


・空売り比率

 40%を超えると下げ圧力増加、40%を下回ると下げ圧力はさほどでない、というところかと思います。売り方からすれば、これが50%水準に上がればいいのに、ということでしょうが、そうはなかなかならないのでしょう。


 ただし、例えば今週の水、木と40%超えを記録したそうで、個別銘柄の売りで儲けてやろうとする向きが増え始めたようでもあります。


・外国人、日銀買い、個人売り

 測ったように海外勢買いの個人売りという図式が数週間継続しています。日銀は長いこと買わなかったのですが、今週の下落日に久しぶりに買ったと報じられています。


 外国人の継続的な売りが需給を悪化させるという局面ではなくなったようです。


・PER

 業績の下方修正で、日経平均の予想PERが14倍を超えて来ています。アベノミクス相場におけるPERの上限に近づいて来たことは確かです。


・米中協議

 ニュースに一喜一憂といった感があります。遅くとも年内に部分合意成立というのがメインシナリオだと思いますが、不透明要因が大き過ぎてなかなか判断できないところです。


・香港情勢

 こちらは悪化の一途です。しかし香港情勢がどの程度日本株に影響力を持つと考えるべきか?分からないとしか言いようがないと思います。売り方からすれば、香港情勢の悪化が日本株には大悪材料という雰囲気になってほしいでしょうが、論理的にはそれほど大きな影響は与えないと思うべきなのでしょう。


・日韓摩擦

 日韓の関係悪化も売り方からすれば期待の悪材料だったでしょうが、あまり取り沙汰されることもなく、今晩消えそうな雰囲気です。


 これら以外にも以下のようにいろいろ考えるべき材料があるように思います。


・VI(ボラティリティ)⇒ リスクパリティー運用の売りがどっと出れば相場は下がります。


・テクニカル指標 ⇒ 足許過熱を示す指標が多いことは確かでしょう。


・グローバル景気 ⇒ 米以外は思わしくなく、その米国も来年リセッション入りの恐れがなくもありません。


・企業業績 ⇒ 日本についてみれば、かなりの減益になる、というのがコンセンサスでしょう。


・中銀の金融政策 ⇒ 日米欧ともに今はほとんどの市場参加者が関心を持っていない状況でしょう。つまり、金融政策を見て投機的に行動する市場参加者は少ないだろう、ということで。


・銘柄物色傾向 ⇒ このところ中小型株の一部、材料株の一部に動意が見られるようです。個人資金が動き始めたのかもしれません。


・ヒンデンブルグオーメン ⇒ 11月14日に点灯、とのコメントがありました。しかし、よく分からない指標ではあります。


令和元年11月22日

証券アナリスト

松下律