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アメリカ―イラン紛争

中嶋 健吉

2020/01/09 07:49

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年始早々お屠蘇気分を吹き飛ばす事案です。多くの識者がその行方に関して希望的観測を加えコメントしていますが、結末は誰にも分らないのが実情でしょう。こうした「まさか」の国際紛争が発生した場合、特に今回は石油産油国が絡んでいるだけに、まずは石油価格が急騰、金の上昇、株式市場の急落、そして円の急伸と、広範囲に影響を及ぼすのが普通です。


特に8日の東京株式市場では、イランが報復攻撃に出たことが伝えられた寄り付きから売り先行になり、日経平均株価が一時▼600円以上下落するなどネガティブな反応が出ています。売買代金も2.5兆円と膨らんでいますが、驚くべきは先物の取引枚数です。日経平均型で13.9万枚、TOPIX型で9.8万枚に急増しています。現物の売買代金2.5兆円をベースにした,通常の先物の売買枚数のほぼ3倍近い急増です。結論として先物を使ったアルゴが働いたと言えます。現物の売りは限定的とみられます。


為替も紛争発生後に、一時108円を割ったものの、8日のイランの報復攻撃に対しての反応は限定的で,108円台を維持しています。これまでは紛争の拡大では真っ先に買われる円だけに、この動きは意外です。従来は、ウルトラ低金利でコストの安い円を売り資金を調達、ほかの高金利通貨を買う、所謂円キャリートレードが行われたものです。しかし今や円金利は、特に欧州通貨を下回る水準です。こうしたキャリートレードが難しい局面かもしれません。又インフレも世界的にほぼ同じ水準になっており、金利格差も取りにくいと言えます。


原油価格はさすがに急伸して、WTI原油価格は1月6日に瞬間64.72ドルまで上昇しています。それでも昨年4月23日の66.6ドルを超えていません。この日はトランプ大統領が日本、中国、インド、韓国、トルコに対しイラン産原油の輸入禁止措置を伝えてきた為、市場が混乱した日に当たります。


こうしてみていくと、今回の市場の反応は今のところ限定的と言えます。双方とも本格戦争は回避したいとの意図が明確です。一般的に言えることですが、本当に相手を倒す戦争を仕掛けるのなら、無言で行動を起こすもので、事前に反撃する、どこそこを攻撃するなどとは言わないものです。ここは特に、トランプ大統領の大人の判断に期待したいものです。 

(中嶋)