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「スペイン風邪」は、スペインが発症元ではない

鈴木 一之

2020/02/05 08:04

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パンデミックとは、感染症が世界的な規模で爆発的に広がることを指します。パンデミックと聞いてまっ先に頭に浮かぶのが「スペイン風邪」です。第1次世界大戦の末期、1918年から1919年にかけて欧米で猛威を振るいました。

スペイン風邪は世界史の教科書に必ず出てくる記述です。長らく病原体が見つからず、ワクチンも有効な治療法もなかった時代で、いまだに謎の部分が多いとされています。正確な犠牲者の数もはっきりとはしません。推計で2000万人とも1億人が死亡したと言われてきました。

現在では5000万人前後が犠牲になったと考えられていますが、世界の人口が20億人の時代にこの数は驚くべきものです。すでに発生から100年が経過しており具体的な体験者は存在せず、第一次世界大戦について書かれた書物は何万種類もあるのに、スペイン風邪について書かれた書物は数十冊しかないとされています。

スペイン風邪がこれほどまで拡大したのは、米国のウイルソン大統領の責任が大きいと言うのが通説です。欧州での戦争遂行を妨げるものとして、病気の流行、危険性に関する専門家の警告や報道を一切禁止しました。米国からヨーロッパに兵力を次々と送り込み、軍港と駐屯地、軍人を中心に感染が広がりました。軍港から基地、そして都市部へと世界中に拡散していったとされています。

最初の症例はごく普通のインフルエンザとほとんど変わりはなかったそうです。咳と熱、節々の痛みにとどまり、1918年の春ごろにかかった人は比較的早い時期に回復しました。

それが秋になると、ウイルスが突然変異しました。最初はインフルエンザのように見えたものが、ウイルスの強毒化により肺炎を引き起こし、病院に運び込まれてから数時間で死亡するという例が広がっていったそうです。

発熱もないまま呼吸困難に陥り、そのまま突然死に至る症例が激増しました。バスの運転手が運転中に死亡して大規模な交通事故死につながっていったともされています。医者、看護師もバタバタと倒れました。

スペイン風邪と言いますが、スペインが発症の元凶でもなんでもなく、第一次世界大戦において中立国の立場だったスペインの通信社が、英国のロイター通信にあてて感染の第一報を伝えたことから「スペイン風邪」と呼ばれているだけです。

ウイルスの猛威は来た時と同じように、1918年11月になってあっという間に消えました。理由は不明ですが、大戦とそれに伴う栄養不足もあって20~40歳代の被害が最も多く、宿主の大半がいなくなったことがウイルス退潮の理由と考えられています。

アメリカでは45万人が死亡しました。イギリスは22万人、革命下のロシアも45万人、インドでは貧困と過密が重なって1200万人以上が命を落としたそうです。のちの世の研究によって、スペイン風邪のウイルスは鳥インフルエンザの一種ではないかと見られています。それが種を超えて人間に感染することで、急性呼吸器症候群に変異していった模様です。

一刻も早いワクチンの開発が待たれます。うがい、手洗い、マスク、不要不急の外出をしない、基本的な部分で不正でゆくのが賢明です。
(スズカズ)