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大型公共事業

中嶋 健吉

2020/02/06 07:53

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2回目となる東京オリンピックまで、数か月を残すばかりです。日本全土が開幕に向けて盛り上がっているかと言えば。どこか冷めた感が有るのは否定できません。オリンピックに向けて、何か象徴的なイベントが欠けているからかもしれません。前回のオリンピックは1964年、丁度高校在学中の時です。オリンピックへの期待もさることながら、それに向けて建設中の東海道新幹線が予定通り開通できるか、非常に気になっていた記憶があります。結局開幕直前の10月1日に無事開通、オリンピックに大きく花を添える事が出来、日本中が盛り上がった記憶があります。


東海道新幹線建設の大きな目標は、オリンピック開催に合わせ、戦後日本復興の象徴の役割を担っていました。一方高速輸送への憧れは有ったものの、採算が合うとは誰も思っていなかったようです。事実新幹線構想の基となる、戦前の東京―下関を結ぶ「弾丸列車」構想は、採算が採れないと見送られています。新幹線と同じく復興の象徴として、高速道路建設も進められます。開催1年前の1963年に名神高速道路(栗東―尼崎)が開通しています。当時の国産車で、巡行速度の時速100キロを出せる車は有りませんでした。しかし世間は時速100キロで走れる道路が出来たと、大いに盛り上がったものです。


この二つの象徴的な事例が示すものは、大型公共事業は採算が合うから行うのではなく、行うことによって新たな需要を生むことに意味があると思えるのですが。東京―大阪が日帰りできることにより、日本経済に驚くべき付加価値が生まれました。高速道路が出来たことで、日本の自動車メーカーは競って対応できる車づくりに励み、今の車大国日本を創り上げたのです。


かっての公共事業は、箱ものだけを作り経済の成長に寄与していないと批判され、急速に事業規模を縮小してしまいます。そこを襲ったのが相次ぐ自然災害です。あれほど物議をかもした「八ッ場ダム」が、結果として水害の被害を最小に止める事が出来た事実は象徴的と言えます。公共事業は現在を基準に損得を考えるのではなく、将来に備える新たな需要を生むとした観点で議論を進めてもらいたいものです。 

(中嶋)