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悲惨な雇用、乗り越える米国株

岩本 秀雄

2020/05/11 07:51

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 「悲惨」とか、「壊滅的」といった形容が目についた米国4月雇用統計。失業率は14.7%(3月は4.4%)と一気に10%以上も拡大しました。これは第2次世界大戦後で最悪。大恐慌後の不況期、1940年以来の高水準だそうです。就職活動を諦めた人も多く、実際の失業率は「20%近い」との指摘もあります。一方、非農業部門雇用者数は前月比2050万人の減少。こちらも過去最大の減少を記録しました。いうまでもなく、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い経済活動が一斉に止まったことによります。2050万人の失業者のうち8割は「一時的な解雇」だそうですから、経済活動が再開されれば、逆に記録的な増加に転じる可能性もあるわけです。

 統計発表後の株価はどうかというと、ダウ平均が455ドル高、NASDAQ総合が141ポイント高と、ともに大幅な上昇で終わっています。この背景について「数字は悪かったけれど、市場予想(ブルームバーグ調べ、16%、2200万人減)ほどは落ちなかった」との解説が多いようですが、これほど悪い数字ですから、14.7%も16%も大した違いではないでしょう。数字がどうだったというよりも、統計数字は市場心理を跡づけしたにすぎず、むしろ数字が具体化したことが心理的なアク抜け感につながったとみるべきでしょう。

 特に、7日に昨年末(8972.6)比プラスに浮上したNASDAQ総合は8日も続伸したことで先週いっぱい5日続伸となりました。この5日続伸というのは今年初めての出来事です。

 明らかに、経済活動再開後の景気回復に対する期待が株価上昇を支えているようです。8日には、米中の3閣僚が電話で会談し、貿易交渉第一段階合意の履行を確認しあった…と米中双方が発表したばかり。一足先に日本株が織り込んだように、貿易摩擦再燃への警戒感後退も好感材料となったようです。

 ところが、不気味な話も並行して伝わってきます。ブルームバーグの報道によると、トランプ大統領はFOXテレビのニュース番組のインタビューを受け、「中国とは、非常に苦しい状況にある」と悲観的な物言いだったそうです。これも単にブラフなのかもしれませんが、突然にトランプ砲が炸裂するかもしれないという警戒感を片付けてしまわないほうがいいようです。また、追加経済対策について「われわれは急がない」とも語っているそうですから、どこかで失望感が広がるかもしれません。

 日本株も今週が正念場。本番を迎える決算発表が焦点になるでしょう。相変わらず「今期は未定」の発表が多いのが実態ですが、それでも経営者の見方などから先行きを類推するしかありません。その意味で、12日の午後に行われるトヨタ自動車の決算と発表記者会見での会社側説明がどうか、その内容が日本株の戻りの強さを決めることになるかもしれません。(いわもと)