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118年企業のコロナ倒産

岩本 秀雄

2020/05/18 07:48

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 先週15日、新型コロナウイルス感染の拡大による営業停止を原因とした名門企業の経営破綻が日米で明らかになりました。米国では、百貨店のJCペニーが連邦破産法11条の適用を裁判所に申請。同じ日、日本では大手アパレルメーカーのレナウンが裁判所から民事再生手続きの開始決定を受けた、と発表しています。

 いずれも突然の話ではなく、ファストファッションの台頭やネット通販の拡大によって事業基盤が揺らぎ、企業体力が疲弊していたところへ今回の新型コロナウイルス感染拡大による販売・小売店の休業によって収入が激減し資金不足に陥った、という決定的な共通要因が挙げられます。

 偶偶のことでしょうが、レナウンとJCペニー。ともに創業が1902年で、118年の歴史を持つ企業ということも共通点として挙げられていいかもしれません。レナウンは創業者の佐々木八十八氏が繊維製品卸・ニット製品製造会社の「佐々木営業部」を大阪に設立。一方、JCペニーもこの年、ジェームズ・キャッシュ・ペニー氏など3人の経営者が第一号店を開店しています。もうすぐ120年の歴史を刻むところだった名門企業が時代の変化に対応できず、ひとつの役目を終えた、ということかもしれません。

 米国では4日に衣料品チェーンのJクルー・グループが、7日には高級百貨店のニーマン・マーカスがやはり11条申請を行いましたし、ギャップやメーシーズにも“危機説”が流れているようです。今回のJCペニーは全米に850店舗を展開し、9万人の従業員を抱えた大手チェーンですから、周辺への影響もばかにできません。

 一方、レナウンは規模でいうと、いまや業界では中堅クラスにすぎませんが、かつては日本最大のアパレルメーカーでした。百貨店のファッション売り場を支配していた最強の企業でした。

「お洒落でシックなレナウン娘が、ワンサカワンサ、ワンサカワンサ。イエーイ、エイ、エイ…」(作詞・作曲は小林亞聖さんだそうです)という(あの!)シルヴィー・バルタンや弘田三枝子さんが歌ったCMソングが懐かしく思い出されます。

筆者も1970年代に兜町の記者となり、レナウンを初めて取材し、当時の社長・Iさんにお会いした際、「アパレル業界(当時はファッション業界という言い方でした)の経営者って、こんなに違うのかぁ…」と興奮したことがありました。まさに、子供のころ親しんだ、あの歌そのもの。身に着けているスーツや立ち居振る舞い、しゃべり方や会話の中身まで含め、(他の業界のトップと違って)経営者然としているわけでなく、それでいて聞き方を飽きさせることがない、駆け出し記者には、「お洒落でシックな…」印象がとても強かったこと、今でも覚えています。でも、そんな経営風土だからこそ、今のレナウンがある、との厳しい見方もありますが…。

山東如意科技集団との関係を含め、同社についてはこの先この間の経緯の掘り起しが進むことでしょう。さらに、三陽商会、オンワードHD、ワールドなどライバル各社もより一層厳しい目で見られるかもしれません。それは財務内容をベースに厳しい選別に進む可能性もあるでしょう。

決算発表が一巡し、今回のコロナ禍による企業業績への影響度合いが次第に見えてきます。個別にはより深刻になる必要があるかもしれません。(いわもと)