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銀行と手数料問題

中嶋 健吉

2020/06/18 10:06

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17日の日経新聞記事によると、安倍首相は銀行間の振込手数料が高過ぎる為「下げたい」として、具体的な検討指示を出したと報じています。銀行を経由して振り込みを行う場合、振り込む人は銀行に手数料を支払います。通常は3万円未満の取引で200円前後。3万円以上で300~400円に設定されている様です。更に振り込みを行う銀行は、受け取る銀行に手数料を払います。いわゆる銀行間手数料です。3万円未満で一件当たり117円、以上で162円に設定されています。この様に両サイドの銀行に手数料が落ちる構図になっているのです。しかし金額の小さいほど負担が大きく、不利になる割高感は常に指摘されていました。


1973年に日本で初めて、「全銀システム」が稼働します。銀行の中核サービスである決済を、全銀間で自動的に行う世界に誇るシステムです。本人の知らないうちに引き落としが行われるのですが、これは銀行に対し絶対的な信頼がなければ成立しません。


中小銀行が頻繁に倒産する米国では、銀行に対する信頼が薄く、個人の支払いの決済は個人小切手が主流になど、日本とは大きく異なります。このシステムが始まった頃、日本の銀行は当局の保護政策下にあり、充分な利益が保証されていました。したがってこの自動引き落としの決済サービスにも、あくまで銀行のサービスの一環として課金されなかったようです。


しかしこの緻密で膨大なデータ処理を行うシステムの維持には、膨大な費用が掛かります。その費用をある程度相殺する形で、振り込み手数料が使われた様です。この振り込み手数料ですが、実は海外では徴収しないところが殆どです。そのコストを他の手数料で顧客に転嫁しているからです。その典型的なケースが、日本では無料の「口座維持管理手数料」です。更に各種金融サービスなどにあまねく手数料を課しており、欧州の銀行では業務粗利益の約40%近くが手数料収入といわれています。また米国でもリーマンショック後手数料ビジネスを強化、人員の20%以上をIT人材で固め、ハイテク化した金融サービスを提供し多様な手数料を徴収しています。一方日本は10%程度に留まっています。世界的な低金利下は銀行経営には同じ条件です。しかし欧米の銀行が総じて高い利益率を誇っているのは、正にこの手数料収入の差と言えます。


政府が振込手数料の引き下げを進めた場合、銀行としての対抗措置はATMの削減、通帳の有料化等既に一部始まっていますが、最終的には口座手数料の徴収の有無に行きつくのでしょう。サービスには対価を支払う、当たり前の時代が始まります。仮想通貨、ネット銀行など時代はリアルから無人化の方向に動いていますが、どのような形であれ最終的には決済で取引は終了する訳で日本の誇る全銀システムの評価に揺るぎはありません。アイデアと、このシステムがある限り、新しい時代に日本の銀行は適応できると思うのですが。

(中嶋)