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金融都市香港、そして東京は?

中嶋 健吉

2020/07/02 07:33

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香港が揺れています。1日から施行された「香港国家安全維持法」は、反政府行動を犯罪行為とみなし、最大で終身刑を科す苛烈なものです。反政府行動とは、国家転覆をはかるテロ行為だけではなく、香港への制裁を外国勢力に要求した場合でも、外国勢力と結託したとして処罰の対象になるのです。反政府行動の認定ですが、「特定の状況」のもと国家の安全に危害を加える行為としており、間違いなく抗議デモはその対象になるようです。又特定の状況とはきわめてあいまいな表現で、当局が恣意的に運用する可能性が指摘されているのです。適用は永住者だけではなく非永住者もその対象であり、報道機関関係者、NGO関係者に緊張が走っています。


日経新聞によると、2019年の香港の金融都市としての位置付けは、ニュージーランド、シンガポールに次いで3位だったのが、この3月には6位に順位を下げています。金融都市としての条件は、そのインフラの充実、発言と行動が規制されない自由で安全な社会環境です。そして金融事業に従事する外国人にとって、何よりもその家族と子供の安全が必要です。今回の法律が、その外国人非居住者の行動と発言に、大きな制約を与えることは違いないでしょう。トランプ政権はこうした動きに対し制裁措置を発動していますが、究極の措置として香港ドルと米ドルのペッグ制停止に踏み込むかがポイントのようです。そうなれば香港の金融都市としてのメリットは完全に失なわれることになります。


更に日経新聞の指摘では、こうした香港の敵失で東京がその重要性を増しているとしています。安全性、社会インフラ、住環境が充実しており、そして何よりも小池都政下で金融都市を目指す明確な指針が示されています。2021年にはそのシンボルとして高層ハイテクビル「カブトONE」も立ち上がります。東京の金融都市としての評価はアジアでは香港に変わり6位から3位に上昇しているのです。


一方日経も指摘する様に、金融都市を支える高額な報酬を謳歌する金融人にとって、最大の関心は税金でしょう。最大のライバルシンガポールに対し常に問題になるのが、その倍近い所得税と住民税の高さです。小池都政は金融特区の住民税減税を考えているようですが、まずはこうしたことを地道に積み上げていくことが必要になるのでしょう。


更に世界の高額所得者が永住し易い都市もひとつの条件でしょう。しかしここでも税金の問題が立ちはだかります。所得税以上に彼等の関心は相続税です。日本は世界的にも数少ない相続税の存在する国です。外国人であれ日本に10年以上(かっては5年以上)居住して死亡した場合、日本の財産だけではなく海外に持つ財産も相続税課税の対象になるというものです。結局彼らが日本に持つ財産は非居住者として投資する不動産だけになっているのが現状です。こうした税の問題の解決には国民的なコンセンサスが必要ですが、財産形成のための金融資産の構築には税制の支援が必要で、今や日本人共通の関心事でもあるのです。金融都市東京確立のためにはまず広く税の論議から入る必要がありそうです。

(中嶋)