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依然ボックス圏内の動き

松下 律

2020/07/03 08:20

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 7月の米雇用統計は休日の関係でいつもより1日早く昨日発表となりました。注目の6月非農業部門雇用者数変化は、480万人の増加、前月の250万人増加から大幅な改善、予想数字300万人増加も大きく上回りました。


 発表を受けてNY株式相場は上昇、DJIAは昨日午後11時(執筆時点)で430ドル高、連れて日経平均先物も230円高となっていました。


 その後は落ち着いた動きとなり、日経平均の水準は、6月9日の戻り高値23185円とその後の反落時の安値21529円のほぼ中間地点(21300円台)に留まっており、先高期待は強いものの、足許のリスクや不確実性を反映した動きになっているようです。


ボックス圏内

 日経平均は狭いボックス圏内の動きを続けていて、売り方は売り切れないし、買い方も買い切れない、といったところのようです。株価指数を見ますと、これまで大きく上昇して来たマザーズ指数がやや変調気味といったことも気になるところです。


 アメリカの景気指標の中に意外なほどに回復を示しているものがあって、米国景気はV字回復するのかな、と思ったりするのですが、COVID-19の感染の拡がりや一部企業の破たんを見ますと、回復の道のりはこれからもいろいろ厳しいと思わざるを得ません。


 COVID-19については、日本も東京の感染者数増加が気になるところですが、結局のところ、世界中がブラジル化、と言って悪ければスウェーデン化、となって、いつの間にかワクチンが普及し、治療薬も出て来てCOVID-19が普通の感染症(インフルエンザのような)になって行くというのが近未来の姿なのでしょう。舐めてかかってはいけませんが、ウィズコロナ状態がふつうになる、ということは言えるのではないかと思います。


 コロナに隠れているのですが、地政学リスクはそうとうに高まっている、と見るべきかと思います。香港、朝鮮半島、中東地域、コロナがなければかなり大きな事件となるようなことが頻発している、というのが現状でしょう。


 いずれにしましても、米国主導による世界中の政府の大盤振る舞いと中央銀行による超緩和が、たいへんな影響を株式市場に及ぼしている、と再認識すべきなのでしょう。ファンダメンタルズ無視の株式相場になっている、と感じる人もいるでしょうし、まさにこれがこれからのバブル相場の前哨戦だ、と見る人もいるに違いありません。


 日本株相場を見る、という点に関連して、米FRBの超緩和によってどちらかと言えばドル安方向に動いている割には円ドル相場では円が高くなっていないことがやや気になります。


 ここから夏場に向けて、8月は円高というアノマリーもありますし、円高が起きるかもしれないということは頭の片隅に入れておいた方がよさそうです。


企業による業績予想

 わが国では、企業が決算発表時に次の期の業績予想を公表することがふつうですので、今回のようにCOVID-19の影響を計りかねて企業が業績予想を公表しないとなりますと、けっこう混乱したりします。


 少し落ち着いて来て、各企業が業績予想を公表するようになるとある種モノサシが復活したような気分になるのかもしれません。


 企業が自分自身で将来の業績について公表する、というのは一見合理的に思えますが、自白が必ずしも最良の証拠にならないのと同じことで、重視しすぎるのもどうかという気もします。


 先週発売された会社四季報は、企業が自ら業績予想をしないところが続出という中で、予想が網羅的に見られるという点で大いに注目されたと言われています。


 COVID-19の影響で多くの企業が自らの業績予想を出さなかった(出せなかった)ということと、会社四季報がそうした中で業績予想を出した、ということ、を見ますと、企業に自ら業績予想を出すことを原則とするのではなく、企業業績の予想は第三者に任せるという方法も意味あるものではないか、という気がしたものです。


 会社四季報だけでなく、いわゆるセルサイドのアナリスト達は日常的に担当する企業の業績予想を出していますし、バイサイドのアナリストやファンドマネジャーたちも投資に当たって企業業績の分析をしています。


 企業自らが発表する業績予想に意味がないとは思いませんが、企業が自ら公表した業績予想に縛られるかもしれないことがいろいろな不都合をもたらしていないものか、という気もしたりします。さらには、投資家・株主は、企業の意思を知りたいのであって、当座の業績予想を正確に教えて欲しいと思っているわけでもなさそうな気がしますので。


令和2年7月3日

証券アナリスト

松下律