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エピグラム

櫻井 英明

2019/08/20 07:23

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先週木曜のNYの急落。
長短金利の逆転は作為的に演出することも不可能ではないかも知れません。
しかし感じたのはトランプ大統領が相場を弄んでいるうちに市場に翻弄されてしまったという格好。
「市場は神聖不可侵。弄んではいけない」というのは古来からの教訓。
一方日経平均は25日線からの5%マイナスかい離の20207円は下回らず。
PBRの1倍割れ20053円も下回らず。
「NYが下げているから敢えて東京でヘッジする理由もなくなった」という声も聞こえました。
「先行したヘッジ売りの買い戻し」の市場展開だったのかも知れません。
だからNYの上昇ほど東京は上がらず、NYの下落ほど東京が下がらないとも考えられます。

株価というものは上がりたいリズムの時はどんな材料でも上がるもの。
将棋の名人に挑戦者が勝っただけでも買い材料になることがあるでしょう。
下がりたいリズムの時はどんな材料でも下がるもの。
スーパーボウルでAFCチームが負けた程度でも悪材料になるということ。
つまり、表面の材料は傀儡に過ぎないということ。
それをアレコレ詮索することの空虚さというのも感じなければいけません。


「金利が下がると株価は上がる。
金利が上がると株価は下がる」。
何度も聞き尽くした学説。
しかし今のNYで起きていることはどちらかといえば「金利が上がると株価が上がる」。
そして東京でも起きていることは「金利が下がると株価が軟調」。
学説とは全く逆のことが起きてるようです。
時間軸が短期だからなのでしょうか。
逆に長期時間軸にすれば学説どおりになるのかは不明です。
しかし、金利と株価の関係が今は学説とは異なっていることは事実です。
ちょっと前までは「市場はFRBの利下げ期待」で動いていました。
そしてまだ年内の利下げ期待。
ひょっとすると、短期筋にとって長期金利なんてものは関係ないのかも知れません。
刹那的トレンドだけを捉えた売買での相場観は今日と明日で異なって同様。
あるいは、今株を買った人はその瞬間に弱気になるという傾向もあります。
そんな世界と付きあうとこちらの時間軸も短くなりがち。
もちろん、今日儲かること、明日儲かることは重要。
しかし、その瞬間的相場観で勝ち続けるのは難しいはず。
付和雷同してはいけないというのが戒めです。

結局トランプ氏が求めているのはFRBの低金利政策によるドル安人民元高。
そう考えると、学説もへったくれもありません。
6月末時点の米株の時価総額は約36兆ドル。
08年8月末からは2倍。
世界全体が7割増に対して米国が突出している背景は自社株買い。
08年10月から19年3月までの米主要企業による自社株買いは累計約5兆ドル、。
時価総額増加分の約2割です。
中央銀行の国債買いと企業の自社株買いの合計は約14兆ドルと巨大な数字。
ROEを高めるために自社株買いを行っているのだとしたら、成長機会をROEに転嫁した格好。
成長を捨て財務指標をお化粧しているに過ぎません。
企業は財務指標をきれいにするために上場しているわけではないでしょう。
資金調達をして長期安定資本の調達をして成長に結実させるために上場しているもの。
本末転倒でもあります。

所謂大衆の心理を読むのに盆暮れの高速渋滞予想を自分でしてみるのも役立ちそうです。
今回のお盆は8月10日→18日で最大9連休。
下りは9日の午前中から込み始めました。
そして16日は台風の影響もあり上下線ともほぼ渋滞なし。
それでも18日の日曜まで下りの渋滞は続いきました。
そして上りの渋滞は16日と17日は比較的軽微でしたが18日に大きく渋滞。
巷の予想は「大型連休なので最終日には混まないだろう」でしたが結果はハズレ。
「最終日は空くだろうから最終日に帰ろう」と人の裏をかいたつもりが、皆裏を読んでいたという結果。
この読みは、市場心理の鍛錬に役立ちそうです。

40万部超のベストセラー「図書館の魔女」(高田大介著、講談社)を読んでいて妙に脳裏に残った一節。
「どんな手段に依るにせよ言葉たるものは必ず時の運行に従う。
言葉は一方通行で不可逆」。
読んだ瞬間に頁の残像とデフォルメされた活字が体内を電流のように駆け抜け脳髄に刻まれました。
特に「不可逆性」という言葉の意味するものは「株価も一緒だ」。
上か下かは別にして、株価はただ一方向へ進むもの。
罫線にすれば時間軸とともに左から右への方向です。
水準そのものは高値や安値に近づくことがあるかも知れません。
しかし、それは元の水準とは違うもの。
同じ株価を再現しても、それは時間の進行とともに現れる新たな材料を消化したものに他なりません。
そして、日夜材料が湧いてくる以上、株価は不可逆。
だからこそ、瞬時を重要視することも求められるのでしょう。
もちろん規則も順序があります。
そして前後の連続性もあります。
しかし後戻りすることなく刻まれ続けているのが株価。
そして刻まれた株価を消すことも不可能。
不可逆性を無視しては未来投資も成立しないでしょう。
不可逆だからこそ、消化材料を求め吸収し、成長するのが株価。
個人にとって最初と最後の頁はあります。
それは買った時と売った時。
しかし市場には残念ながら最初の頁も最後の頁も存在しません。
永遠の時の刻み同様に株価も永遠。
だからこそ、連続性があります。
連続性は瞬間の積み重ね。
市場は壮大な叙事詩というと言いすぎかも知れません・・・。


以下、今後の注意日。

【8月】


19日(月)変化日
22日(木)大幅高の日
23日(金)鬼宿日
29日(木)変化日、上げの日
30日(金)新月

【9月】

 1日(日)イスラム・ヒジュラ暦の新年、二百十日
 2日(月)変化日、
 4日(水)下げの日
11日(水)変化日
13日(金)中秋節、上げの日
14日(土)満月
18日(水)上げの特異日
20日(金)変化日、鬼宿日
26日(木)変化日
29日(日)新月

以下は今朝の場況。

「3日続伸」

週明けのNY株式は3日続伸。
7月中旬の4日続伸以来の連騰記録となった。
NYダウは寄り付き直後に上昇幅を336ドルまで拡大した場面もあった。
NYダウは26000ドル台、NASDAQは8000ポイント台、S&P500は2900ポイント台回復。
小型株の指数であるラッセル2000は1.02%高。
米商務省はファーウェイへの禁輸措置の強化を決定。
しかし保守に関わる一部取引のみ認める例外措置は3カ月延長すると発表。
ファーウェイと一部取引を続けているマイクロン・テクノロジーやインテルなど半導体株が上昇。
トランプ大統領がアップルのティム・クックCEOと対中制裁関税の影響を議論。
米政府が、対中制裁関税による米企業業績への影響に配慮するのではないかとの思惑も生じアップルは一時3%上昇。
中国人民銀行は企業の借入コスト低下と減速している景気を後押しすることにつながる金利改革を公表。
ショルツ独財務相はドイツには将来の経済危機に総力を挙げて対処する健全な財政があるとコメント。
最大500億ユーロの追加支出が可能であることを示唆。
景気後退懸念に揺れた逆イールド・ショックから急速に立ち直りつつあるとの見方だ。
ダウ輸送株指数は1.14%、SOX指数は1.9%上昇。
ただ売買エネルギーは低調で3市場の合算出来高は62.8億株。(直近20日平均は75.8万株)。
表面利率1.625%の10年物国債利回りは前週末比0.05%高(価格は安い)の1.60%。
2年債利回りは前週末比0.07%高の1.55%。
「パウエルFRB議長のジャクソンホール講演を見極めたいとの雰囲気も強く相場の下値は堅かった」という見方もある。
一部では「ここから最後のリスク選好相場が始まる」の声。
マイナス利回りの債券は世界で17兆ドル。
「運用目標を達成するには株式などリスク資産にマネーを振り向けざるをえない」という解釈だ。
ドル円は106円台後半。
VIX(恐怖)指数は16ポイント台に低下。
恐怖と欲望指数は19←20→16と反転。
「トランプ大統領の火消しが奏功」という声もある。

「買いたい弱気も」

週明けの日経平均は寄り付き172円高、終値144円高と3ケタ上昇での続伸。
ただ残念ながら日足は陰線。
先週開けたマドの20581円は終値ベースでは上回れなかった。
月曜の窓は20465円ー20502円。
日経平均は4日ぶりに5日線(20499円)を上回った。
8月に入って5日線を終値で上回ったのは3度目。
過去2回(9日、14日)はいずれも翌日に200円超の下落だったというのが経緯。
東証1部の売買代金は1兆5433億円と今年4番目の低水準。
「閑散に売りなし上昇意欲もなし」という空虚な声も聞こえた。
値上がり1518銘柄、値下がり515銘柄。
新高値35銘柄、新安値34銘柄と指数上昇の割には拮抗。
騰落レシオは81.20と横ばい。
NTレシオは13.76倍。
ドル建て日経平均は16日連続の200ポイント割れ。
25日線からは2.7%、200日線からは3.5%のマイナスかい離。
サイコロは6勝6敗で50%。
松井証券信用評価損益率速報で売り方▲7.761%。
買い方▲13.273%。
マザーズ銘柄ネットストック信用評価損益率で売り方▲3.604%。
買い方▲18.446%。
空売り比率は46.7%で17日連続40%超。
日経HVは13.7、日経VIは20.43。
東証REIT指数は2081ポイントで7日続伸。
日経平均採用銘柄のPERは11.64倍でEPSは1766円。
PBRは1.02倍。
シカゴ225先物終値は大証日中比55円高の20635円。
高値20685円、安値20475円。
8月SQ値20855円をうかがえる場所まで来た格好。
今月のマドをたどれば20581円ー20676円ー20960円ー21288円。
この21288円が月足陽線基準だ。
昨日上値を抑えたボリンジャーのマイナス1σが20635円。
その先は25日線の21137円。
下のマイナス2σが20134円だからこれは遠い。
昨日白くねじれた一目均衡の雲は9月12日まで白い。
そして黒いねじれは9月12日。
勝手雲の下限は20813円、上限は20966円。
3週連続の週足陰線を否定して欲しい週。
気学では「後場高の日なれど上放れた時は売り狙え」。
水曜は「後場不時高をみる日。悪目あれば買い狙え」。
木曜は「案外弱き日なり。戻り売り方針良し」。
金曜は「高下しても結局安き日。吹き値売り狙え」。
ゴールドマン・サックス証券が12ヵ月後の日経平均株価の予想を22600円→22000円に引き下げ。
同TOPIXは1675→1600に下方修正。
理由は「大統領選挙前の米中通商合意はないとの見方に転じた。
FRBによる年内の予想利下げ幅を従来の0.5%→0.75%に引き上げ一段の円高進行を予想」。
「買いたい弱気」という気がしないでもない。
(櫻井)。




 けさ、ストックボイスに出勤(?)するために乗った午前6時台の地下鉄、とても混んでいました。先週よりも、というだけでなく、それ以前、いつもの週明け午前6時台の地下鉄風景とは違っていて、ああ、そうか、今日はお盆休暇明けなのか、と気づきました。朝の、この時間から、もうお疲れ気味の人もいます。それでも頑張って、こんなに早くから出社する…。勤勉な勤め人がなんと多いことか。日本は、日本経済は捨てたものでない、なんてつまらないことを日比谷線の車内で考えていたら、もう茅場町でした。
 
 今日から、休み明け。NY株高が手掛かりになります。16日はダウ平均が306ドル高。15日は99ドル高でしたから、2日合わせて14日の下落幅800ドルの半分強を戻した格好です。
長期金利が上昇し、2年債と10年債の逆イールドが解消。ロイター通信が「中国で個人所得拡大政策が検討されている」と、独シュピーゲル誌が「独連邦政府は景気が後退した場合、財政均衡ルールを廃し新たな借り入れを行って景気刺激策を打ち出すことを検討している」と、景気減速する2か国が景気対策を検討しているとの報道があったことも好感されています。ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は米経済減速に歯止めをかけるため、利下げや積極的な金融政策が恐らく必要になる、と述べました。
”恐怖指数”のVIX指数は18.18(前日は21.18)と20割れ。
半導体SOX指数は△2.8。
WTI9月物は△0.40。
金12月物は▲7.6。
 と、リスク・オンで戻ってきます。
今週の焦点は22日から24日まで米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれるカンザスシティ連銀主催の年次経済シンポジウム。23日にはパウエル議長の講演が予定されているため、そこで金融政策への言及があるかどうか注目されています。先週半ばの波乱相場を受け、「9月FOMCまで待てない。緊急会合を開いて大幅利下げを決める」などという見方も米株式市場には出ている模様です。
もっとも、パウエル講演の内容とそれに対する米国市場の反応が伝わってくるのは24日以降ですから、日本株が反応するのは来週のこと。さて、期待の一週間となるか、不安の1週間となるか。(イワモト)

変動大

松下 律

2019/08/16 08:20

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ダウ800ドル安を受けて 

 下がる時はダウの2倍下げ、上がる時はダウの半分しか上がらない、という状況が続いて、ついにダウと日経平均の「サヤ」が5千円以上になってしまいました。


 前日のNY市場でのダウ800ドル安を受けて、日経平均が1600円下げていたらもう不貞腐れるしかない、という状況だったのですが、さすがに「モノには限度がある」、「割安感というものもある」というわけだったのでしょう、昨日の日経平均の下げは249円で済みました。


 このところの日本株下落の一因(と言うよりほぼすべて?)となっていた感のある円高も、いくら日米の金利差が縮小と言っても、ドル売り・円買いのポジションを何日も持つのはコストが嵩むということもあったのでしょう、逆捩じを食う感じのドル買いが入るとドル買い戻しで円高解消、という動きも見られたようです。


投機資金の動き

 トランプ大統領による中国為替操作国指定(8月5日)以降、投機資金の動きが活発化しているように思えます。


・為替操作国指定(米8月5日)→円高、NYダウ767ドル下落


・米10年債利回り1.59%に下落(米8月7日)→新興国通貨下落


・アルゼンチン、メルバル指数1日で38%下落、ペソも対ドルで27%安(現地8月12日)、NYダウ389ドル下落→新興国金融市場に懸念


・トランプ氏、対中関税一部先送り発言(日本時間14日午後10時過ぎ)→NYダウ急騰、円急落、105円30銭→107円手前、日経平均先物20250円→20750円


・米、10年債利回りが2年債利回りを下回る、12年ぶり、ドイツ4ー6月GDP0.1%減少(米8月14日)→NYダウ800ドル急落、→日本株は下落限定的(日本8月15日)


 この間、香港情勢の緊迫化、日韓対立の激化、等々、相場を取り巻く不確実性は増していましたから、売りの投機筋からすれば、こので売り崩せば大暴落もあり得る、と期待したのかもしれません。


 さまざまな「グレーリノ」は相変わらずですし、ひょっとすると香港情勢が「ブラックスワン」になるかもしれない、そうなれば→新興国の情勢悪化→先進国の「どこか」の金融機関破綻→世界的な信用恐慌、となって、売り屋からすれば、目出度くリーマンショックの再来、となる、というシナリオを思い浮かべたのかもしれません。


 売り筋の期待する恐慌シナリオもあり得ないわけではない、というところが不気味なところではあるのですが、売り方が大成功するにはまだ株価の水準が高過ぎるところまで行っていない、ということのように私には思えます。


 徐々に落ち着きを取り戻す確率の方が大きいのではないか、今はまだ、という気がします。


株主総利回り

 今年の3月期決算会社の有価証券報告書から、「提出会社の経営指標等」の表に、「株主総利回り」が記載されています。


 いくつかの会社の株主そうりまわりと自己資本利益率の表を以下の示しました。株主総利回りの数値から何を読み取るのか?少し考えてみたいと思います。




令和元年8月16日

証券アナリスト

松下律

ツイッター・アカウント

@shokenanalyst


NY市場今年最大の下落というニュースに今朝は一気に目が覚めましたが、
日経平均はマイナスながらも高値引け。
少しホッとしました。

さて。
「お盆休み」という言葉がピンときません。
生まれ育った伊豆のお盆は8月1~3日。
就職したマスコミ業界も暦とは関係のない世界だったので、
いまだにいつからいつがお盆休みなのか・・・
東京から人がいなくなって、
地元に帰省してくる家族や友人たちと会うと
世の中「お盆休み」なのだなぁと実感する流れです。

そんな世間の「お盆休み」に合わせて
実家に家族が集結、大人も子供も溢れる大賑わいとなりました。
やっぱり子供は子供同士がいいのですね。
久しぶりの従弟集結に子供たちは大興奮。
都会に住む子供たちと田舎に住む子供たちが互いに遊びを教えあって大はしゃぎしていました。

面白い現象が一つ。
普段は都会暮らしをしている5歳の甥っ子はちょっと繊細なタイプ。
虫やトカゲなどを怖がるのですが、
2~3日のうちにすっかり変身します。
自ら捕まえたカタツムリを手に這わせ、
飛ぶ蚊をパチンと仕留め、
畑のトマトは洗ってないから食べないと言っていたのに、
トゲトゲの胡瓜を自分でもいで服で拭いて齧り付いたり。
見事な野生化に親は大喜び。

極めつけは彼の父親が川で釣ってバケツに入れてきた魚でした。
怖がるかと思いきや、しゃがみこんでバケツに手を入れ、
泳ぎ回る魚を手で掴みます。
思わずヨダレを垂らしたのには大人たち大爆笑。

田舎の自然の中で子供は育つようです。
小学生になったら、彼らはどんな光景を絵日記に描くのでしょうか。

グリーンカーテン、今年はゴーヤを抑えてホップが幅を利かせています。
実も可愛いし、なかなかのおススメです。


卵の話

中嶋 健吉

2019/08/15 07:33

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卵は好物の一つです。幸い家内も劣らず卵好きの為、夕食のメニューで悩んだ折にも、卵料理であればお互い納得できるメリットがあります。ところがこれに反して息子は大の卵嫌いで、彼によれば小さい頃から卵を食べ続け、特に無理やり食べさせられた記憶が邪魔しているとか。家内ともども無理強いした記憶はないのですが、卵好きからは食べない選択は無い、との無言の圧力を掛けていたのかもしれません。


子供の頃の1950年代、卵は極めて貴重品でした。今でも鮮明に覚えているのは、母親が親戚の病院見舞いのお土産に、モミ殻を敷いた箱に卵を並べ、割れないようにして静々と差し出した光景です。今に引き直すと、高級マンゴーを土産にする感じでしょうか。その当時は極めて貴重品だったのです。肉食が一般的ではなかった江戸時代以前では、卵は貴重なタンパク源で、特に病人の栄養源だったのでしょう。そうした歴史的な背景もあり、日本人の卵好きは我が家だけの事では無いようです。国際鶏卵委員会が発表した2017年の年次統計では、年間一人当たりの鶏卵消費量の第⒈位はメキシコの363個、2位は日本の333個、3位中国(307個)、4位ロシア(305個)と堂々の2位です。


卵料理は各国独自のものがあるのですが、唯一日本が独自性を持つのが「卵掛けご飯」に代表される「生食」の文化です。私の知る限り卵を生で料理に使うのは、フランス料理のステーキタルタル(タータンステーキ)位でしょうか。生肉に香辛料で味付けし食するのですが、そのつなぎに生卵の黄味を使うものです。話は少しそれますが、初めてパリに赴任した最初の夕食接待で、タルタルを知らないまま適当にソースと訳し、出てきた料理にびっくり且つ大恥をかいた経験があります。


同じ失敗では、アラブから顧客のディナーにすき焼きを供したことです。私どもには香しい醤油の煮た匂いも彼等には不興で、且つ生卵で食すことにメガトン級の驚きを与えた事です。彼らの住環境から生食はあり得ないことなのです。卵に付いたサルモネラ菌は食中毒の一番の原因で、イギリス駐在中も日本の貧乏学生が、イギリスの卵を使った掛けご飯で、食中毒に罹ったとの話をよく聞きました。日本とフランスが、食文化の先頭を切っている隠れた事実かもしれません。そういえば暫く卵掛けご飯を食していませんでした。 

(中嶋)