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ブログ:Onevoice

中嶋 健吉 の投稿

1980年初頭、日本の半導体メーカーはDRAM中心に世界のほぼ80%のシェアーを確保していました。1979年のイラン革命で引き起こされた、第2次石油ショックによる世界不況に対し、日本はDRAMそのもの及びRAMを組み込んだ高性能家電製品を武器に輸出を拡大、先進国の中でいち早く経済の回復に成功します。その回復を評価したアラブマネーを中心に外国人が日本株に大規模投資を行い、日本の技術力、経済力を世界に知らしめます。

主導権を奪われたアメリカ半導体業界は、政治力を行使し日本をダンピング提訴します。結果1986年9月に「日米半導体協定」が結ばれます。外国製半導体の日本市場でのシェァー設定、販売に於ける最低価格の設定など、ほぼカルテルに近いものです。技術力で絶対優位に立つ日本メーカーにとっても悪い話ではなく、価格に守られこの世の春を満喫します。しかしこうしたカルテルに近い価格設定は技術革新の重要性を後退させます。不満を持ったハイレベルの日本技術者が、カルテルの縛りの無い韓国サムスン、台湾TSMに流れたと言われています(日経新聞)。1990年にはそれでも50%近いシェアーを誇った日本メーカーですが、徐々に台湾、韓国との競争に劣後し10%を下回るまで落ち込みます。

敗因として突き詰めれば、結局経営者のファイテイング・スピリットの欠如に行きつくのでは。バブル崩壊後に経営の指標として一般化した自己資本利益率(ROE)をいかに高めるかに終始し、半導体に不可欠な先行投資に極めて臆病になっていたと思えるのですが。

今新たな芽が出始めています。
  • ソニー、TSMC協同による半導体新工場の建設
  • キャノン、キオクシア、大日本印刷によるナノインプリントの実用化
  • 東北大、ソニーによる電力消費1/50の次世代メモリーMRAMの普及目途
  • シリコンに替わる次世代素材の化合物半導体の特許件数で先頭を切る

自民党が5月に立ち上げた「半導体推進議員連盟」、甘利氏が会長を務め、安倍、麻生氏が最高顧問と3Aの揃い踏みです。かつてアメリカの圧力で譲歩を迫られ、民間に丸投げした半導体戦略に、国を挙げての道筋が示されるのか、大いに期待しているのですが。
(中嶋)
9月29日午後15時過ぎ、自民党は新総裁に岸田氏を選出。株式市場では、日経平均が▼639円安の29544円で反応し、更に10月4日に国会で区切りになる100代目の総理大臣に選ばれるも、▼326円安で再びネガティブに応答しています。結局、日経平均は9月29日の29544円から10月06日の27528円まで、5営業日で率にして▼6.2%の大きな下落になります。河野氏との対比になるのでしょうが、改革のイメージが乏しく政策への期待が持てないとした外国人売りが、下げの最大の要因として指摘されています。確かに10月01日までの1週間で、外国人は現物先物合計で▼1兆7500億円の大量の売り越しを演じています。しかし10月01日から中国が国慶節の1週間の休みに入る為、恒大集団問題を抱える中国株の下落ヘッジ目的で日本株を売ったとの意見もあり、必ずしも岸田新政権への不信だけが理由では無いようです。

改革イメージの新政権としては2000年初頭の小泉内閣が必ず語られます。
市場が総てを決めるとした市場原理主義を打ち出し、労働市場の効率化の掛け声で非正規労働制を容認、企業にはバブル崩壊で傷んだ財務の修復のためROE(自己資本利益率)の向上を呼び掛けます。政策的には小さな政府を目指し、郵政民営化に突き進みます。いかにも外国人投資家好みの政策が並んでおり、事実外国人投資家は2003年から2007年までの5年間で、現物株を累計38兆円と大きく買い越します。日経平均は2003年安値7607円から2007年には18261円まで実に2.4倍の上昇を演じます。

こうした外国人買いは、政策を評価しただけではなく、2002年2月から2008年2月まで73ヶ月に及ぶ、その当時戦後最長と言われた景気回復が背景にあったことを忘れてはならないでしょう。1990年のバブル崩壊後から2001年の小泉政権前の森内閣まで11回、総額120兆円に及ぶ経済・景気対策が実を結んだ結果と言えます。更に金利の急低下とゼロ金利政策導入で、三菱総研の試算では1991年の金利水準であれば2005年まで家計の失った利子所得は283兆円に上ります。更に企業の利子負担は260兆円減り、銀行は利差収入を95兆円増やします。これを原資に銀行は96兆円の不良資産の償却、企業は120兆円に上る不稼働資産の処理を行います。つまり企業、銀行の負債を国、家計が肩代わりしたともいえます。

確かに国の財政は厳しいものがありますが、企業内部留保は484兆円に上り、そのうち手元にある現預金は259兆円(上場企業のみでは109兆円)の巨額なものになります財政を通じ民間活力をたかめることの成功例とも言えます。

そして今、得られるべき利子所得を銀行企業の再建に供した家計に分配政策により資金を還流させるのも歴史の必然と思えるのですが。
(中嶋)

新政権は?

中嶋 健吉

2021/09/30 08:31

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自民党新総裁選の真っ只中、TVを横目で見ながら起稿しています。
誰が選ばれても、コロナ対策、経済活性化は避けて通れない施策になりそうです。
絞られた3候補、河野、岸田、高市各氏の主張する有る共通の政策があります。最低賃金の引き上げ、つまり果実の公平な再分配に、言葉こそ違え言及している点です。河野氏は賃金引上げに前向きな企業には税での優遇を、岸田氏は明確に果実の再分配を言葉にしています。 高市氏も大きな政府志向で、政府主導の富の分配を表明しています。それほど日本の賃金水準は低いのです。

次の表は世界主要国の2020年の最低賃金です。為替により微妙な差はありますが、概ね水準感は把握できます。

【世界の最低賃金(2020年)】

日本    全国平均              902円  
      最高(東京)            1013円
      最低(秋田、高知、沖縄等7県)   792円

韓国                      880円

アメリカ                    1060円

英国                      1380円

ドイツ                     1260円

フランス                    1360円

日本の低さが際立っています。 最低賃金引き上げを表明した文政権の韓国に肉薄されているのです。

9月8日当ブログで指摘しましたが、習近平政権の「共同富裕」、バイデン政権の3.5兆ドル規模の、子育て、教育支援政策など富の再分配が世界規模での潮流になっています。

翻って日本経済はバブルのピークに当たる1990年、名目GDはP453兆円を誇っていましたが、2020年でも526兆円に過ぎません、30年かけて名目GDPの伸びが、僅か16%にとどまる惨めな結果になっています。その間、韓国のGDPは9.5倍、中国53.5倍、アメリカ3.6倍の伸びを記録しているのです。日本にとって正に失われた30年と言えます。

一方企業サイドでは、リーマンショック後の2009年から順調に業績を伸ばすものの、バブル崩壊の教訓に対し過剰に反応し、リスクを取らない経営が一般化します。その結果2009年の企業の内部留保250兆円が、直近では484兆円まで拡大しているのです。内部留保金は会計上の利益の累積であり、既に設備投資等使われています。企業の手元にある純粋な現預金は259兆円に上り名目GDPの48%(1980年度では27%)になります。リーマンショック後一貫して上昇しているのです。

企業サイドには充分な資金があります。あとは政策がこの資金をどの様に効率よく分配させ、経済活性化につなげるかにかかっています。今新総裁に岸田氏が決定しました。持論の分配政策に期待です。
(中嶋)

スズメバチ

中嶋 健吉

2021/09/16 07:48

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驚くべき強さの株式市場、当然何らかのコメントを投稿するつもりでしたが、我が家にそれ以上の驚くべき事件が発生したので急遽の変更です。

先週木曜の番組を終え、帰宅した私を待ちかねた妻からの第一声は「生垣にスズメバチが巣を作っている」との報告です。単なるハチの巣は今までも経験しているのですが、スズメバチとは穏やかではありません。発見の顛末は次の通りです。インターフォンが鳴り見知らぬ人が画面に出たので、また何らかの押し売りかと気を引き締めて応対したところ、「お宅の生垣の中にスズメバチが巣を造っていますよ」とのこと。急いで対面で応対し道路側から見ると、玄関横の生垣(どんぐりも取れる低い常緑種)の中にソフトボール大の巣が見つかったのです。縞模様が付いているので間違いなくスズメバチの巣です。家側からは山茶花の木が遮っており、丁度見え難い位置にあったのです。

我が家は角地に位置し、保育園の出迎えバスのピックアップ地点にもなっています。知らせて頂いた方も、孫の出迎えに来ている方です。数日前から大きなハチが眼につき、まさかと思っていたところ、今日ハチが生垣の中へ入って行くのを目撃し、巣を見つけたということです。早速市役所に連絡し専門業者を紹介して貰ったのですが、立て込んでおり駆除は翌日になるとの事でした。夏から秋にかけスズメバチの活動が活発になり依頼が急増する為です。

翌日業者が到着、巣を目視し「サッカーボールの大きさと聞いていましたが、意外に小さいですね」。依頼した時、巣の大きさを聞かれソフトボール大と答えたのですが、それがサッカーボールになった様です。駆除の間は絶対に外に出ない様にと強い指示があったのですが、10分ほどで終了。巣を見せてもらいましたが、割れた巣と数匹の大きなスズメバチが確認できました。やはりその大きさに感動に近い驚きです。数日は“帰りハチ”が出る可能性があるので注意する様にとの言葉を残し、業者は立ち去りました。市からの紹介なので駆除費用は無料でした。そのあいだ妻は、娘にハチの顛末を報告する長電話中で結局巣を確認できませんでした。何故写真に取らなかったのと、不満をぶつけられましたが!
6月には雨戸の戸袋に巣を造った鶺鴒(セキレイ)の巣の駆除の顛末を投稿しましたが、生きものに好かれる家であれば嬉しい限りです。ただ野良猫が芝生に糞を落とすのだけはご勘弁ですが。
(中嶋)
ポスト菅の争いが混沌として来ました。株式市場は誰が選ばれても大型の景気対策、コロナ対策、の二つを外しての政権構想は無いと踏んでおり、新首相への期待が株価高騰を支えています。新首相は就任早々に対策を打ち出し、先ずはその実行力を示す必要があります。

更に世界に目を向けると一つの傾向が見えます。例えば米国の場合、トランプ大統領が掲げてきた新自由主義、つまり市場が総てを決める「市場原理主義」から、バイデン政権の「成長の果実は各利害関係者に公正に分配されるべき」との分配重視政策に変貌しています。現在下院では既に決議された、子育て・教育支援などに向こう10年で3.5兆ドルを支出する財政政策の具体的な振り分けを各種委員会で審議しています。最終的に総額が減らされる可能性があるものの、採択に近付いています。基本になる考えは富の再分配で、財源は主に富裕層への増税になります。

中国でも習近平主席の唱える「共同富裕」の考えから、富の再分配が具体化しています。労働市場での所得の格差是正、税制の見直し、自主的な社会への還元(富裕層に寄付を促す)など具体的です。法治ではなく人が決める人治が基本の中国では、当局に睨まれる事を恐れすべてが粛々と進むでしょう。

日本でも小泉政権下から続いてきた、新自由主義=市場原理主義も菅政権の終焉と共に見直しの気運が出ています。特に岸田候補は「果実は関わった関係者に分配されるべき」として分配政策を支持しています。高市候補も基本政策は大きな政府であり、政府主導で経済を活性化させた上での、富の分配を目指しています。そして財源として証券関係の増税を示唆しているのですが、投資家=富裕層との考えなのでしょうか。

富の再分配の掛け声の前では、増税に対して100%否定しがたい面もあります。
しかし増税が先行する事は無いため、やはり株式市場の関心は先ずは政策が経済および企業業績を、いかに活性化させるかを見極めることになります。増税を容認し得る、新首相の政策を期待したいものです。
(中嶋)