Logo stockvoice

ブログ:Onevoice

鈴木 一之 の投稿

中国で10月末に4中全会(第19期中央委員会第4回全体会議)が開催されました。「共産党の権威と集中的な統一指導」が前面に打ち出され、管理体制の強化が改めて示しされましたが、それらとともに科学技術に関して、あらためて挙国体制を固めることが採択されました。

2015年に打ち出されたハイテク産業の育成策である「中国製造2025」に代わって、国内の研究機関や企業に蓄積された技術を結集して、半導体などの研究開発を進める方向性が強化されるとみられます。

4中全会と前後して、トランプ大統領からは米中貿易交渉に対して融和的なスタンスが打ち出されました。それを好感してNYダウはS&P500に少し遅れて史上最高値を更新しました。両者の関連は本当は何もないのかもしれませんが、時系列的に記述すればそうなります。

米国だけではありません。ドイツのDAX指数は昨年5月以来の高値、フランスのCAC40は12年ぶりの高値となっています。イタリア、ブラジル、ロシアも高値に進み、日経平均も昨日は23,000円の大台を突破しました。世界の政治と経済はどの国も越えがたい問題を山ほど抱えていますが、今のところ微妙な均衡のもとに世界同時株高の様相を強めています。

中国の意思決定はいつの時代も秘密のベールに包まれています。表面的に伝わってくることと真の狙いの在りかはずいぶんとかけ離れていることが多いものです。その辺の検証はかなり時間が経ってからでないとできないものですが、4中全会で盛り込まれた決議事項に「ビッグデータやAIの活用」の一項目がありました。AIを活用して社会の管理態勢の強化と新しい制度、規則の構築を行ってゆくそうです。

AIによる管理社会なんて、なんとも恐ろしいですね。ジョージ・オーウェルの「1984」がすぐに思い浮かびます。そこではビッグ・ブラザーに支配された監視社会、町中にテレビカメラとマイクが仕掛けられ、人々のほとんどすべての行動は政府当局によって監視されています。自由な意思表示も許されません。

AIに関するニュースを耳にしない日はありません。本日(11月6日)の日本経済新聞には、大学受験の名門予備校、駿河台予備校と河合塾がAIを導入して難関校の入試対策に利用すると報じていました。

設問を作る側の大学がAIを使って入試問題を出し、それに回答する側の受験生もAIによって指導を受けて合格を目指すという。ますます画一的で個体差のない入試が実現することになるのでしょうか。レベルはぐんと違っていますが、AI運用、AI投資が普及すればするほど、全体主義的な国家像とさほど変わりばえしない、均質的な世の中が形作られてゆくような気がします。
(スズカズ)

世界的に株価が上昇しています。ドイツのDAX指数、フランスのCAC40が年初来高値を更新しました。米国でもS&P500が週明け早々に最高値に達しました。日本でも日経平均が昨日、瞬間的に2万3000円の大台に乗せました。

米国で長短金利が逆転する「逆イールド現象」が発生し、それをきっかけについ先日まで、世界経済そのものが低迷に向かうという論調がマーケットには渦巻いていました。それが足元では海運株や化学、機械セクターなど、景気動向に敏感に反応する銘柄が物色されています。ドイツは最も景気の落ち込みが激しいとみられていましたが、そのドイツが上昇率では顕著なパフォーマンスを示しています。

何がここまでマーケットの心理状況を変えたのでしょうか。

最大の理由として挙げられるのが米中貿易紛争の好転です。10月11日(現地・金曜日)に米国と中国との貿易協議で、中国が米国産農産品の年間購入額を500億ドルまで広げることで合意に至りました。そこからほぼ3週間にわたって世界の株式市場は上昇し続けています。

政治の舞台裏はよくわかりません。政治は、政治家というそれぞれの背負う選挙区の事情を抱えた人間どうしの交渉ごとであり、グローバリゼーション下の価値観も多様化していますから、理解しようと努力することもむずかしい領域です。先行きを憶測してもあまり意味のある成果は得られません。

昨年から激化している米中貿易紛争の推移を見てゆくと、その時々の局面の変化において重要なカギを握るのが中国の行動です。追い詰められている側の中国がどのような行動に出るか、それが世界の経済とマーケットの反応を決定づけているように見えます。

その中国は、目下のところ国内経済を刺激する政策に出ています。インドのタタ自動車が昨日、7-9月期の決算を発表しましたが、中国での自動車販売が好転して最終赤字が▲21億ルピーまで縮小しました(前年は▲104億ルピー)。傘下のジャガー・ランドローバーが中国での販売が持ち直したことが最大の要因です。

落ち込んでいた中国の自動車販売が持ち直してきた感が強まっています。日本でも自動車および自動車部品株の上昇が徐々に明らかとなってきました。自動車セクターの株価が動き出せば、産業構造的にもすそ野が広いので、恩恵を受ける産業は化学、機械、塗料、ガラス、タイヤ、ゴム、ノンバンクにまで広がります。半導体や電子部品株ばかりでなく製造業の大半に及びます。

やはり中国ですね。まもなく11月に入り、すぐに2020年がやってきます。来年も中国の政策がどちらの方向に向かって動いているか、今後も注意深く見てゆく必要があります。上海に行ってこようかな、と思っています。
(スズカズ)




「即位礼正殿の儀」。日本国民のひとりとして、昨日はほとんど終日、テレビ中継に見入っていました。大きな事故もなく天皇陛下がご無事に即位を内外に宣明されて、ほっとしております。誠におめでとうございます。

皇起2600年余、烏帽子をまとわれた天皇陛下と十二単(じゅうにひとえ)の皇后陛下、なんとも雅びで高貴な王朝絵巻に感無量です。

あいにくの雨模様でしたが、昼過ぎには厚い雲間から太陽の光が差し込み、皇居の上空には虹もかかりました。SNSにはたくさんの写真がアップされ大騒ぎとなりましたが、これは明らかに吉兆と言えましょう。私は思想として皇室に対して特別な思い入れは持っておりませんが、天皇皇后両陛下とほぼ世代が同じです。家族構成も似ています。

日本人のひとりとして、日本国の拠るべき歴史と伝統の一端にこのたびの「お代替わり」を通じて触れることができ、やはりそれ相応の感慨がございます。世の中は自然災害が猛威を振るい、世界情勢もますますむずかしくなっています。

人々の暮らしぶりの安寧を願う皇室の在り方を、国民のひとりとして考えることは意味のないことではないと思います。世の中が平安であり続けることが大切であるとあらためて感じ入りました。

さて、火曜日の祝日をはさんでの本日、10月23日(水)の株式市場で活発な取引が再開されます。この2日間の動きは以下の通りです。
(金/月/火の値動き、単位は省略)


◎NYダウ:▲255/+57/▲39

◎ナスダック:▲67/+73/▲58

◎台湾加権:▲6/+3/+87

◎独DAX:▲21/+114/+6

◎米10年国債金利:1.751/1.803/1.765

◎WTI先物:53.78/53.31/54.16

◎ドル円:108.40/108.58/108.47


おおむねしっかりと安定した推移でした。中でも注目されるのは、ドイツのDAX指数が月曜日に大きく上昇したことと、台湾・加権指数が火曜日に大幅高となった点です。

景気後退が最もシビアに突きつけられているドイツの株価が年初来高値付近に進んでおり、あわせて世界の半導体メーカーが集積する台湾の株価も大きく上昇しています。

日経平均と台湾・加権指数は歴史的にほぼ連動して動いてきました。それがここに来て加権指数の上昇だけがひときわ強調されています。置き去りにされてしまった形の日経平均がここからどの程度まで挽回できるのか。

令和時代における新高値に進んでいる株価(=日経平均)の展開がますます注目されるところです。あらためて令和元年の相場のはじまりです。青空の向こう、虹のふもとをみんなで目指しましょう。
(スズカズ)



今度の日曜日、10月20日は「ストボフォーラム2019 名古屋」が開催されます。ドキドキわくわくしながら、セミナーで使う資料を作成しているところです。

市場の論点はすでに出そろっています。

(1)米中貿易紛争~再開された次官級協議では和解の方向性が模索され始めています。

(2)米国および世界のマクロ経済動向~IMFは5回連続で見通しを下方修正しました。

(3)米国企業の7-9月期の決算動向~全体は減益ですが企業ごとには好調です。

(4)日本企業の第2四半期の決算動向~下方修正も目立ちますが、株価はそのたびに急騰します。

(5)第4次産業革命の技術トレンド~もはや待ったなしでスタートしています。

(6)日本の大胆な社会変革の必要性~全世代型社会保障改革、2025年問題、アラフォークライシス。

(7)地球環境問題~「問題」という生やさしい言葉ではなく「地球の危機」と認識すべきです。

(8)ミレニアル世代の消費トレンド~消費税15%時代に向けて。

これだけの内容をまずノートに書き出します。すべてのテーマにわたってお話しできるものではありません。どのテーマひとつを取ってもあまりに規模が大きく内容がお互いに絡み合っていて、私の手に負えない部分もたくさんあります。

60分の持ち時間ですべてお話ししきれるものではなく、おそらくこの中の2~3つのテーマに絞り込むことになりそうです。

株式セミナーなどで講師を務める際には事前の準備が欠かせません。1時間なら1時間、30分なら30分の時間を区切って、どのテーマにどれだけのお話を割り振るか、全体の筋道を組み立てることに一番時間をかけます。それがつらく苦しいものですが、ここできちんとストーリーが固まるとあとは肉付けをするだけです。

私の場合、アイディアがひとりでに湧き出してくるということはありません。絞り出すものです。終わった時に自己採点すると60~70点の場合がほとんどで、ごくまれに80点を超える場合があるだけです。「ストボフォーラム2019 名古屋」ではひたすら80点越えを目指します。ホントです。では日曜日、名古屋でお目にかかりましょう!
(スズカズ)

今週はノーベル賞ウィークです。ただそれだけでなんとなくそわそわします。2000年代になって日本人研究者の中からノーベル賞を受賞する先生方が続出したために、今年も可能なのではないかと期待ばかりが膨らみます。

ノーベル賞の話題を耳にすると必ずと言ってよいほど、日本人がまだ受賞していない「経済学賞」に思いが飛びます。近年はプリンストン大学の清滝信宏教授の名前が挙がっており、今年こそはひょっとしてと心が騒ぎます。

経済学賞はなにかと議論の余地の多い分野です。自然科学と違って社会科学である経済学は、ジャーナリズムや政治・社会にも影響が大きいため、ノーベル賞の受賞対象とすべきではない、という指摘が以前から強くされています。経済学賞を受賞した経済学者みずからも、経済学をノーベル賞の受賞対象とすべきではないという意見が出てくるほどです。

理由のひとつに、これまでの受賞者のほとんどが欧米出身の学者で占められており、中でもアメリカの出身者が多いことが挙げられています。ウィキペディアによれば、2010年までの受賞者67名のうち、欧米出身者でない受賞者はわずか3人しかいなかったそうです。

ノーベル文学賞を選考するスウェーデン・アカデミーも反対の立場で、1997年にはノーベル財団に対して経済学賞を廃止するように要請したそうです。理由として、これまでの受賞者の経済学的な業績はあまりに抽象的で、現実の世界とかけ離れていることを挙げています。

アルフレッド・ノーベルの一族からも経済学賞への批判が寄せられており、経済学賞は廃止するか、あるいは改名するかをこれまでに繰り返し訴えています。理由は具体的で、「経済学賞の3分の2はアメリカの経済学者に贈られており、中でもシカゴ学派にばかり授与されている。彼らは株式市場とオプション取引の投機家であって、これはアルフレッド・ノーベルが意図した人間生活の向上と生存にはまったく関係がないばかりか、むしろ正反対である」ということだそうです。

何かと話題の多いノーベル賞ですが、日本人の受賞者が出ればそれだけでうきうきし、自分の国を誇らしく思えたりして、問題山積みの現実世界から少しだけ遊離することができます。「前に進んでいるのだ」という気持ちになれます。人類の叡智は無限であることが少しだけでも実感できます。議論の余地のある経済学賞にも、やはり(おおいに)期待してしまいます。
(スズカズ)