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ブログ:Onevoice

中嶋 健吉 の投稿

東証発表の裁定取で、売り残が買い残を上回る現象が続いています。 その裁定取引を単純化すると次の様になります。


(A) 先物が先行して上昇⇒割高な先物売り/現物株買い

(B) 先物が先行して下落⇒割安な先物買い/現物株売り


今回の逆転現象は次の2回です。

(1)2018年12月21日~2019年1月4日    3週間

(2)2019年 6月14日~2019年6月28日   3週間


(1)(2)とも上記(B)の「先物が先行して下落⇒割安な先物買い/現物売り」のパターンを踏んでいます。裁定取引は外資系証券がメインのプレイヤーですので、彼らの先物の手口を見ておきます。彼らは先物を意図的に売り越し下落させる事で(B)の動きを作ります。一方買い越すことにより(A)の流れが形成されます。こうした動きを作った外国人の4半期毎の先物の売買動向は以下の通りです。


2018年9月07日~12月28日4勝13敗▼3兆9164億円売り越し(B)
2019年1月04日~3月29日12勝1敗△2兆1489億円買い越し(A)
4月05日~5月31日2勝6敗▼1兆6455億円売り越し(B)
6月07日~6月21日3勝0敗△794」億円買い越し(A)

上記2回の大幅な売り越しでそれぞれ(B)の流れになり、先物売り/現物売りが加速し逆転が起きたと思われます。ちなみに昨年末の9月からの大幅売り越しは、トランプ政権が第3弾の対中制裁関税として2000億ドルに10%関税を発表し、先物中心の売りを呼んだからです。4月からの2回目の売り越しは同じく第4弾の対中制裁関税を材料に売り込まれています。


ちなみに逆転現象はこの2回以外に過去30年で2回起こっています。

  • 1998年8月  ロシア危機(デフォルト) 
  • 2016年9月  北朝鮮5回目の核実験 

国際情勢が最大の理由ですが、問題が収束すれば買戻しが始まり裁定買い残の増加に繋がっています。今回もその方向が見えます。

(中嶋)

これからのアメリカの成長のカギを握る、人口動態論がマスコミを賑わせています。2次大戦後のアメリカの経済成長を支えたのは、戦後生まれのベビーブーマー世代であることは良く知られています。1946年~1964年に生まれた世代で累計7800万人、その当時の人口の約30%を占めています。2015年までにすべてのベビーブーマーは50歳になったのですが、当時彼らの存在感をマスコミは以下の様に伝えていました。
 

  • 7兆ドル以上の金融資産を持ち 
  • 全可処分所得の50%以上を占め 
  • 余暇に行く全旅行の80%を占め 
  • 最大のRV車保有世代 

1964年に生まれた最後の世代は今年55歳を迎えます。ベビーブーマー世代が労働市況からほぼ退出することになります。代わって登場したのがYZ世代です。


Y世代は2000年のミレニアルに、18歳を迎え労働市場に参加した年代を総称します。つまり1980年代~2000年に生まれた年代です。2019年には7300万人とべビーブーマー世代に迫ります。


Z世代は1997年~2010年生まれで、現在9歳~22歳になっています。全米人口のほぼ20%を占め、2030年を過ぎると7800万人に増加します。


YZ世代は其の多感な時代、および生まれたときには既にインターネットが存在しており極めてITリテラシーが高い世代です。SNSを通じネットワークを構築し、想定できないビジネスを生む可能性を秘めています。反面、ブランド、車、消費等には関心が薄く、ベビーブーマー世代と一線を画します。今丁度ベビーブーマー世代からの世代交代が進んでおり、このYZ世代を消費層ととらえるのではなく、彼らのやり方、考え方をどのように取り込むかが企業経営のポイントになりそうです。しかしYZの存在が、これ以降もアメリカの強みであり続ける事は間違いないようです。

(中嶋)

6月25日~27日の3日間で、3月決算企業のおよそ70%が株主総会を開きます。 総会で利益処分案が了承され次第、配当金が支払われることになります。日経新聞によると金融、新興市場を除く3月決算企業は、リーマン・ショック後の2010年3月期から9期連続の増配を行っています。 特に2019年3月期は最終減益にもかかわらず増配を決めています。


その背景として、企業統治改革(コーポレート・ガバナンス・コード)の浸透で、本業が安定していれば減益でも株主への利益還元を重視する企業が増えたこと、更に金融庁が親密企業間の株式持ち合いを減らすよう指導しており、その代替として長期保有株主を確保するためにも,配当政策を株主寄りに高配当を取る企業が増えてきているのです。


前3月期の上場企業全体(金融、新興市場を除く)の配当金総額は9兆0851億円(うち一部上場企業では6.7兆円)が支払われます。 個人株主比率は17%ですので、概ね1.5兆円が個人の手元に届くことになります。 冒頭指摘した様に6月25~27日の3日間に70%の株主総会が開かれることは、配当増額の約70%の6.3兆円がこの3日間に支払われることを意味します。 配当金の再投資に期待が高まります。


この配当金の支払いを受け、それを原資に株式ETFも配当を支払います。 7月8日には、特に大きな純資産を持つ日経平均連動型2本(計8,9兆円)、7月10日には日経型2.6兆円、topix型2本(計13.2兆円)が決算を迎え配当が支払われます。 例年この配当金を取るためだけに短期の買いが、機関投資家からその決算前に入ることが知られています。 これも株式市場には追い風になるのでは。 世界的に主要先進国の債券利回りがマイナスに転じている現状を考えると、株式の持つ高い利回りは再評価の対象になってもよい時期に来ているのでは。

(中嶋)

(1)先ず重要な政治・経済スケジュールです

                                                       

6月18日〜19日FOMC
6月19日〜20日日銀金融政策決定会合
6月20日〜21日欧州連合(EU)首脳会
6月28日〜29日G20 首脳会議 大阪

(2)無視できないイベントです。

【6月25日~27日】 3月決算企業の70%が株主総会開会

  • 令和になって初めての総会。 
  • 物言う株主の増加。スチュアートシップコードの厳格化で機関投資家は賛否ではなく、その理由の説明責任を負う。 
  • 日本企業は引き続き財務効率の改善、総配分性向の引き上げに取り組む。2018年度の自社株買いは6.6兆円。今年度は7兆円を大きく上回ることが確実視されている。 更に野村證券調べで、全上場企業3700社の2018年度の配当総額は14.3兆円(+10.1%対前年度比)になる。リーマンショック後の2009年度の5.6兆円から、9年連続で増加している。減益でも増配企業が増えているのが特徴。 

【6月25日~26日】 OPECプラス総会(OPEC+ロシア等非加盟国)

  • 2019年1月からの、日量120万バーレルの協調減産継続の有無。 
  • サウジは現在でも減産の遵守率が168%で目標を大きく上回っている。後半も減産継続がメインシナリオ。 
  • ロシアも現在の価格水準に満足。価格上昇すればアメリカがシェー ル・オイル増産でシェアー拡大。その事態は避けたい。 
  • アメリカもガソリン価格に影響のある上昇は避けたい。 
  • イラン、ベネズエラの減産は規模が読めない。安倍首相のイラン訪問はこの点でも注目される。 

残るは米中貿易問題の行方に絞られます。

(中嶋)

当ブログ1月30日の(1)の続編です。前回では1989年6月の天安門事件を誘発した背景に、学生による民主化要求を、当時高騰していた食料品価格に不満を抱く民衆が支持したことを指摘しました。特に民衆の怒りを呼んだのが中国料理には欠かせない豚肉の高騰でした。


6月4日の天安門事件30周年を、中国指導部は今まで以上に神経を尖らして迎えたといわれます。その間の状況に関しては、日本のマスコミも連日取り上げていました。中国指導部が敏感になった理由は、表向きは米中貿易摩擦による中国への圧力に、天安門事件を人権侵害として利用される事を恐れた為と言われています。しかし隠れた大きな理由は、豚コレラにより豚肉の価格が高騰しており、1989年の民衆の怒りの再来を恐れたとも言われています。


アフリカ豚コレラ(ASF)は、20世紀初頭にケニアで報告されたのが最初です。人には感染しませんが、豚から豚に強い菌で感染します。ハム・ベーコンに加工しても、140日以上菌は生存するといわれ、その強さは零下20度以下に凍らせても数年も生存するほどです。中国人観光客が持ち込んだソーセージが原因で、日本にも豚コレラが広がったのはこうした菌の強さによるものです。ワクチンや治療法もない為、感染豚は殺処分するしかありません。


中国は世界最大の豚肉国家です。約7億頭の豚が飼育されており、これは世界の飼育の約半分を占めます。さらに世界最大の消費国でもあり、世界消費の60%は中国によるものです。足りない分は輸入に頼りますが、ここに落とし穴があったようです。アメリカとの貿易戦争で、アメリカからの輸入をロシアに切り替えたのですが、ロシア産豚肉が豚コレラに感染していたのです。中国政府はロシアからの輸入を公式には認めていませんが、中国で豚コレラが確認されたのが2018年8月であったのが、どうやら裏付けになりそうです。実は2017年にロシアで豚コレラが大流行しているのです。当然厳しい検疫体制が敷かれているのですが、陸地で国境を接しているため密輸で簡単に入ってきます。


2018年8月に初めて確認された豚コレラですが、今や中国全土に広がっているといわれています。その対策のため総飼育数7億頭の三分の一に当たる1.5億頭から2億頭の殺処分が今年中に必要と言われています。こうした動きを受けて、豚肉価格が3月ごろから上昇し始めています。前年比30数パーセントの上昇で、年後半にさらに加速するとみられています。豚コレラは一度流行すると殺処分以外に対応策がない為、収束するまで数年は必要といわれ、この対応を間違うと1989年の悪夢の再来も現実味を帯びてきます。

(中嶋)