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岩本 秀雄 の投稿

(第八十二)高下の本は作の善悪の事
作の善悪、高下の本なり。
其の年々、九州、上方、当地、近国並びに古米等多少の考え、第一なり。
三位の伝といえども高下を知る術にあらず


 江戸時代における相場師として著名な本間宗久がその唯一の著書とされる『宗久翁秘録』の中で書いています。
作柄の良し悪しがコメ相場の基本であって、その年の九州、上方、当地や近隣諸国の作況や古米在庫の多寡を分析することが重要である。(相場秘伝である)「三位の伝」といえども相場の高安を判断することはできない-という意味でしょう。

「もうはまだなり、まだはもうなり」、「休むも相場」、「二日待つべし」、「天井売らず、底買わず」、「豊作に売りなし」など、株式市場でも折に触れて引用される言葉が満載の古典的な相場戦術の宝典、相場格言の珠玉とされるのが同書です。株式投資家にとっても貴重な教訓が織り込まれた指南書としてこれまでもずっと読み継がれてきた著作ですが、そもそもはコメ相場に関わるものです。季節の推移による相場変動やそれに伴う売買戦術などコメ相場に特有な言葉が頻出します。そのため、株式投資家が読んでも、案外と参考にならない部分も多いです。

冒頭の一節も「作柄の良し悪しが相場の基本である。コメ産地各地の作況を分析し、古米の在庫状などを分析することが第一である」と、コメの需給分析の重要性を語っています。テクニカルでなく、作況分析…ということ。

ただ、これって「作の善悪」を「業績の善悪」に置き換えれば、そっくりそのまま「株式の本(質)」を解説したことにもなるのではないか、と気づきました。

ざっくりいうと、作=業績=ファンダメンタルズが投資の基本であるということ。現代にも通用する投資の原理を250年ほど前(昨年は宗久生誕300年でした)に語った言葉ではないか、ということです。この『秘録』は技術論や精神論の指南が多く、それで相場参考書として読まれてきたのですが、案外、こうした本質論的な部分もあるのが面白いところです。
さて、同書の第27節には、「正二売買退屈、四五六崩しの事」とありました。「正月、二月の相場は動きが少なくて退屈だが、三月は強い、崩れるとしても四月以降」との解説がありました。1月、2月に大きな動きがないのは江戸時代のコメ相場の習性だったのでしょう。色々なところで言及があります。確かに、冷え込んで相場も動きにくい季節なのかもしれません。
しかし、今の株式市場なら、「高下の本」となるであろう決算発表が今週も目白押し。発表がピークを迎えます。それで相場が動くようなら、興味もいっぱい。しかも今日から立春。季節はここから春に向かう時期なのです。(イワモト)

 大坂なおみさん。全豪オープン初優勝、世界ランキング第一位、おめでとう。テニスの知識も技量も持たないオジサンの、にわかファンですが、感動しました。とても素晴らしい試合を見させていただきました。ありがとう。そして、朝日新聞の「天声人語」が取り上げていましたが、「インナーピース」という言葉がキーワードのようです。心を平穏な状態に保つこと、“平常心”がとても大切なのだということがあなたの、今回の試合中の様子からもわかりました。日ごろから、メンタルな部分の振れを抑制したり、落ちた気持ちを切り替えたりすること。それは体力や技術の向上だけでなく、勝負の結果を分ける重要な要素になる…と考えていくと、投資の世界でも同じことではないか、と思えます。想定外の急落局面でも慌てず、動揺せず、冷静に行動する…(ちょっと我田引水ですが)「インナーピース」です。

 玉鷲関。34歳2カ月での初優勝は史上2番目の高齢記録なのだとか。とはいっても、まだ34歳なのだから、これからも十分に頑張れます。とにかく、初優勝おめでとう。稀勢の里の引退という残念な話題が印象的な初場所だったけど、モンゴル人力士の、また違った、素敵な一面がみられてよかった。

 それにしても、嵐の「活動休止」がNHKのトップニュースとは…。

 米国からは「政府機関閉鎖の一時解除」のニュース。30日から米中貿易協議。今週は企業の決算発表が前半のヤマ場。そして、2月3日が節分。その昔、「節分天井」ならぬ「節分底彼岸天井」なる言葉がはやったことがありました。もう少しメリハリの効いた相場が戻ってきてほしいものです。(いわもと)

 先週の日本電産の減額修正が意外な先触れとなってしまいましたが、いよいよ決算発表シーズンがやってきます。

東証のHPをみると、本日21日は植松商会、大和オフィスの2社、22日は東京製鉄、スーパーツール、両毛システムなど7社、金曜日の25日にはジャフコ、未来工業、三晃金属、SOSEIなど42社が決算発表を予定しています。
 その先では、28日34社、29日67社、30日17社、31日380社、2月1日138社が予定していますから、1月末の31日(木)が前半の大きなヤマ場ということがわかります。そこでは、コマツ、ファナック、村田製作所、日東電工、任天堂、富士通、東京エレクトロン、日立ハイテク、JAL、KDDIなど注目企業の名前がズラリ並んでいます。

後半のピークは2月8日(金)の474社ですが、3連休明けの12~14日に連日250~300社近い会社が予定しています。こちらは経団連型企業や新興・小型企業の発表が例年、多くなっています(社数は全市場・全決算期ベース。3月決算会社だけではありません)。つまり、ここから4週間が企業業績見極めに大事な時期となってきます。

 ハイテク企業、輸出企業にとって米中貿易摩擦問題がどんな影を落としているか、通期の企業業績見通しがどう、どの程度修正されるかに関心が向かうことでしょう。日本電産の減額修正に対し、同社株は急落して始まったものの、大幅に下げ幅を縮小して終わっていました。これをもって「減額修正織り込み済み」との見方が広がっていますが、一時とはいえ、同社株が昨年来安値を更新した事実を見逃してはいけないでしょう。危機に遭遇した際の永守会長の経営手腕への期待が逆バネになったようですが、それは特殊・日本電産への人気です。どの銘柄も同様に評価されるかというと、疑問があるでしょう。

 それと、2月決算銘柄の決算発表を見ると、消費関連など内需系銘柄も意外に苦戦していることがわかります。注目すべきは輸出株だけではないと思います。

 外部環境の緊張緩和を受けて米国株中心に戻り相場に入った株式市場。しばらくは悲観相場からの揺り戻しが期待できそうです。下げ過程でボラティリティの高さを見せつけた相場は時に、逆の方向でも高ボラを演じることがあります。それで、先週までは半信半疑だった市場ムードが変わってくるようだと、案外な戻り相場につながるかもしれません。ただ、そのスケール、幅を決めるのはやはり決算発表の中身、ということは間違いありません。
(いわもと)

「雨降って亥固まる年」。『日経ヴェリタス』今週号による2019年相場想定です。「亥固まる」は亥年に関わる相場格言ですが、この「固まる」という言葉がなかなか説明しにくい。「中段底を固める年」などと言ってみたりしましたが、どうもチャート用語っぽくて、しっくりこないなぁ、と思っていましたが、確かに「雨降って」と振ってやれば、ストンと落ちる。なかなかうまい言い回しではないか、と感心した次第です。もちろん、その雨がどこで降り止むか(もう止んでしまったならいい…)が問題ですが、それはこの言い回しとは別な話でしょう。

 その『ヴェリタス』が2019年の相場アンケートを行っていたので一部を紹介しましょう。日経本紙元旦号の著名経営者に対する株式アンケートは優等生的中庸さが目立って、あまり参考にならないけれど、こちらはストラテジストなど市場関係者による専門家アンケートだから、けっこう真剣。回答者76名のうち、日経平均の予想年間高値が最も高かったのはマネックス証券のチーフ・ストラテジスト、広木隆さんでした。2万8500円(達成時期は12月)との予想。それに続くのが、いちよし証券投資調査部課長・宇田川克己さんの2万7000円。その他、2万6000円を予想する岩井コスモ証券投資調査部長・有沢正一さん、ケイアセット代表・平野憲一さんなど、2万5000円以上の高値を予想する方が11名。その達成時期はほとんどが6~12月の年後半となっています(ま、当たり前でしょう)。

逆に、安値予想ではミョウジョウアセット・マネジメント代表取締役・菊池真さんの1万4000円を筆頭に、松井証券シニアマーケットアナリスト・窪田朋一郎さんの1万5000円など、けっこうシビアな数字が目につきます。相場の下振れを警戒する昨年末の地合いがそのまま反映されたようなアンケート結果となったようです(昨年12月27日前後が締め切り、とか)。

さて、復活したパウエル・プットが年末年始の相場波乱を収束に導くかどうか。本日からは北京で米中貿易交渉次官級化協議が始まり、貿易戦争激化回避への動きも期待されます。今週は雨の様子を見る週になるのでしょうか。

 けさは七草粥を食べましたか。芹(せり)、薺(なずな)、御形(おぎょう)、繁縷(はこべ)、仏座(ほとけのざ)、菘(すずな)、蘿蔔(すずしろ)-これが七草。このうち、芹はその独特の香りが体温を上げ、発汗を促す作用があり、風邪予防に効くそうです。そもそも芹→競り→トレードですから、珍重すべき食材です。(いわもと)

日立の難路

岩本 秀雄

2018/12/17 08:06

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 日立が英国で進めてきた原発開発計画がどうやら頓挫しそう。総額3兆円のうち、国内出資分3000億円の調達が難航しているため、「計画を凍結する方向で調整している」と共同通信が報じています。日経新聞は「出資交渉が難航」と表現はやや弱めですが、同様なニュアンス記事となっています。1月には安倍首相の英国訪問が予定されているため、それまでに巻き返しがあるかどうか、最終的には政府判断になってくるかもしれません。
先週も民放のニュース番組で「断念も視野に入れて調整」と報道され、株価も反発した経緯があるため、今回の共同電がダメ押しになるか注目されます。
 この原発計画から徹底した場合、日立が被る損失は最大で2700億円。すでに、この数字は夏に発表されていますから、マーケットは覚悟しているはず。先週はスイスABB社から電力送配電事業を8000億円で買収という同社にとっては過去最大規模のM&Aを発表してもマーケットからはほとんど無視されたような状態でしたし、現状、PBRが0.91倍(三菱電機は1.18倍)とライバルに比べて株価は低評価を受けています。これも「原発リスクが原因」との見方が一般的。ウミを出し切ることが真っ当な評価を受けるための第一歩となるはずです。
 一方、原発輸出がことごとく頓挫しているのはアベノミクスの成長戦略の頓挫をも意味します。偶然でしょうが、日経・テレ東による世論調査では安倍内閣の支持率が47%、不支持率が44%と接近(共同通信調べでは逆転)してきました。内閣支持率の低下は株価にもよくありません。
 今週の最大イベントはやはりソフトバンク株の上場。ここを通過して年末高、というシナリオは果たして…。それよりも、先週末のNY株急反落をどう消化するか、週明けから難路が続きます。(いわもと)