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岩本 秀雄 の投稿

  4日発表のADP雇用者数が市場予想を下回る弱い内容だったことから、多少の警戒感もあった米労働省11月雇用統計。6日に発表されたその数字は非農業部門の雇用者数が前月比26万6000人の増加と、前月の増加幅(15万6000人)や市場予想(18万~19万人)を上回る極めて力強い数字となりました。

26万人台の増加は今年1月(31万1000人増加)以来10か月ぶり高水準。自動車大手GMのストライキが解除されたため、その従業員4万6000人が職場に戻った効果もありますが、それを差し引いても20万人以上の増加です。

平均時給は前年同月比3.1%増(10月は3.2%増)。引き続き3%台の伸び率を維持しています。若干、前月に比べた伸び率が低下していますが、これは賃金の低いヘルスケアや娯楽部門の雇用が相対的に多かったため、と説明されています。

家計調査に基づく失業率は3.5%(10月3.6%)に低下。約半世紀ぶりの低水準が続きました。

労働市場に減速感は見られず、極めて好調。市場に台頭した“米景気減速論”を一蹴する内容となりました。ミシガン大学消費者態度指数が好内容だったこともあり、株式市場は好感高。ダウ平均は前日比337ドル(1.22%)高い2万8015ドルと3日続伸。11月27日に記録した最高値2万8164ドルに、あと145ドルと迫っています。S&P500種は0.91%高、ナスダック総合も1%高と3指数そろって上昇。10年債金利が0.22%上昇し、OPECプラスの会合が減産幅拡大を決議したこともあってWTI先物は1.3%上昇しています。

ただ、今回の好調な経済統計、米中貿易交渉への影響は微妙です。「貿易交渉が経済に悪影響を与えている」との、この間の政策批判に対する反批判になるものですから、トランプ大統領にとっては厄介な「同意」とりまとめへの緊急性が低下してくる、そして強気の交渉姿勢に再び転じる可能性さえあるのではないでしょうか。

その点、6日のテレビインタビューで答えたクドローNEC(国家経済会議)委員長の発言が極めて示唆的です。「我々は日々、24時間体制でお互いに協議を続けている」はともかく、「まだ署名の準備をするまでに至っていない」とし、「15日は極めて重要な日」との認識を語っています。それに付け加え「合意がまとまらなければ、関税発動されるだけ」「任意の期限などあるわけはない」と、トランプ大統領による3日の発言と同じようなことを言っています。

 6日の株価上昇の背景には、中国政府からの「米国産の大豆や牛肉に対する追加関税の免除を続ける」というメッセージを好感した(つまり、協議進展を期待した)との見方もありますが、過剰な期待は落とし穴を用意することがあるので注意しましょう。要するに、米中については、15日までに双方から何らかの合意話が出てこない限り、信用しないことです。

とはいえ、米国経済の強さが明らかになったことは日本株にとっても悪くない話でしょう。日経平均先物は2万3530円(CME、円建て)の戻り。先週月曜日に記録した2万3529円の年初来高値(ザラバ高値は11月26日の2万3608円)更新が視野に入ってきました。7日は日本各地で今年一番の寒さ。これも、相場にとっては吉兆でしょう。冬の時期には水銀柱が下がれば下がるほど、熱くなるのが相場。そろそろ“年末ラリー”の掛け声が聞かれるかもしれません。(いわもと)
  今日から師走相場。睦月相場とか、如月相場という言葉はほとんど聞かないが(米国にはジャニュアリー・エフェクト=1月効果という言葉があるけど)、この12月だけは冠がつけられる-。これは投資家の間に年末高期待が強いからでしょうか。「掉尾の一進」とか、「株を枕に…」などという言葉も一脈通じた投資家心理を表しているのかもしれません。

  ただ、そうした期待心理を受けて12月が鉄板のパフォーマンスかというと、そうでもありません。

1993年以降の四半世紀でみると、日経平均の月別平均騰落率が高いのは11月(69%)、4月(65%)。それに続くのが12月と6月(ともに62%)です。街(兜町)の旦那衆がご祝儀買いを入れるから高い、といったイメージもあるのですが。例えば取引所再開の1949年から1969年までの20年間でみても9回は月間騰落がマイナスでした(戦前の取引は記録がないので分かりません)。

特に、昨年は一時2万円割れ、下落率が10.45%という散々な師走相場でした。この下落率10.45%というのは、1959年(▲10.45%)以降に記録がありません。1953年の10.66%が最悪な記録ですから、日経平均(当時は東証修正平均)がまだ1000円にも届かない、揺籃期以来の暴落相場だったのです。

まあ、あんなことは2年連読して起こらないだろうと、期待する人にはちょっとした気休めになるかもしれないデータがあるので紹介しましょう。

9月、10月、11月と3か月連続してプラスだった年は12月も連続してプラスになりやすいようです。9~11月連続高というのは1949年~2018年で13回ありましたが、そのうち12月がマイナスだったのは1959年、1980年の2回しかありません。勝率85%。今年も9~11月は3か月連続してプラスでした。この勢いが12月まで持続すれば…どうでしょうか。

米中協議の行方が気になりますが、一方では米国の年末商戦が順調な立ち上がり。月初めの今週は日米ともに経済の足元を見る週でもあります。(いわもと)
 日経新聞社の調査によると、安倍内閣の支持率が50%に低下したそうです。前回10月調査からみると、7ポイントの低下。それはそうでしょう。首相主催の「桜を見る会」に関する情けない状況。あの問題に対する首相の説明に「納得できない」と答えた人が69%と7割に近く、「納得できる」との答えは2割にも届かなかったということです。

 

 産経新聞だったか、「時季はずれの花見をいつまでやっているのだ」(これはもちろん、与野党ともに、です)という内容のコラム記事がありましたが、まさに同感。今回のGSOMIA失効問題はもちろん、香港、アジア、中東、欧州と世界の政治情勢は大きく揺れ動こうとしている。そんななか、わが国の立ち位置をどう見定めていくか、かじ取りが最も重要視される局面にあって、わが国の政治はいったい何をしようとしているのか。また、この秋の自然災害に遭遇した被災地のいちはやい復旧・復興、老朽化した社会インフラの再構築への道筋が求められているこの時期に、アベノミクスは何ができるのか。眼前の課題を放り出してほとんど生産的でないやり取りに時間を費やす、そんな情けない国会の姿を国民は見たくないはずです。

 アベノミクスをよりどころにしてきた株式市場にとってもこの支持率低下は警戒すべき状況です。ただ、まだ50%台の水準。ここは原点に立ち返り、政策面からの切り返しが安倍首相には求められるのではないでしょうか。

 

 いよいよ11月最終週。米国は感謝祭ウィークとなります。この週の米国株式は歴史的にみても上昇確率が極めて高い時期。「セル・イン・メイ。…そして、感謝祭までには戻ってきなさい」と語り継がれてきた、クリスマスラリーへ向けての相場転換点にも相当します。

 

先週からの報道を振り返ると、米中協議はどうやら第1段階の部分合意が成立しそうな状況です。香港の選挙後の動向も気になりますが、民主的な政治プロセスの成果は民主的な過程を経て運用されていくことを求めるでしょう。心理的にも一段落するようであれば、それがまた投資マインドの復活を促すことになりそうです。株価もこの間の調整を経て過熱感が解消されつつあります。(いわもと)
 先週火曜日の米国市場でダウ平均が「前日比変わらず」となりました。これは2014年4月11日以来、5年ぶりの珍事、です。14日も1.63ドル(0.00%)安となったし、「この極端な煮詰まりは、悪いことが起こる前兆、つまり凶兆ではないか…」と思ったりしましたが、どうやらそうではないようです。

この、14年4月11日のケースでは、その後1年間でダウ平均が19.9%上昇したほか、過去10年間でダウの値動きが最も小さかった5期間の、その後のパフォーマンスを見ると、5回中4回が12か月後に上昇していたそうです。「この実績に賭けてみる価値はありそうだ」とデータを調べたバロンズ誌は踏み込んでいます。確かに、15日のダウ平均は222ドル高。凶兆ではなく、吉兆だったのかもしれません。

週末の222ドル高はクドローNEC委員長による米中協議に関する14日の楽観的な発言が好感されたことが大きいようですが、16日にもムニューシン財務長官とライトハイザー通商代表部代表が劉鶴副首相と電話会談を行った模様です。「建設的な協議」が行われた模様ですから、まぁ、悪いことにはならないのだろうと思われます。

一方、今朝の日経新聞は「米議会上院が『香港人権法案』を早ければ18日にも可決する可能性」と報じています。香港で人権侵害があれば、米国が香港に対して認めている貿易や金融などの特権を剥奪でき、関与した中国や香港の当局者を制裁することを認めるという内容の法案のため、可決されれば中国側の反発は必至。現在進行中の貿易交渉への影響も懸念されているようです。

いずれにしても米中。今週は特に重要な経済統計の発表やイベントがなく、決算発表も一巡して手掛かりとなりやすい時期ですから、勢い米中協議への関心が高まることになるのでしょう。(いわもと)
「サウジアラムコ株、ESG視点で投資できない理由」という記事をロイターが流していました。化石燃料を輩出し環境破壊の元凶のような存在だから、「環境」(E)面からみて投資にふさわしくない、というのは分かりますが、どうもそれだけではないようです。筆者によると、反体制派記者が殺害されたり、活動家が不当に逮捕されたり、女性が様々な差別をうけたりというサウジの政治体制が「社会」(S)的な面でふさわしくない。現在でもサウジ政府の予算の「資金面でのエンジン」になっており、IPO後も少なくとも発行株式の95%をサウジ政府が保有し続ける、ということは「企業統治」(G)の面からも問題あり-ということらしい。2番目の政治体制の問題までサウジアラムコ会社の責任にされてしまうのは可哀そうな気もするけど、そもそも「ESG」投資とは、ということを分かりやすく説明されたようで、何となく合点がいく記事でした。

 要するに、責任ある機関投資家は買わない方がいいですよ、ということらしいのですが、実際には1~3%がサウジ国内の投資家(ムハンマド皇太子の息がかかった人、競合する王族)が購入するのでしょうし、残りは中国系資金が応募するようなので、IPOの成否にはESGも関係なし、ということになりそうです。「最高級の軽質油、世界最低ランクの算出コストだから、環境面ではむしろ他を圧するものがある」との理屈もあるようです。でも、それで、過去最大級のIPOということとなると、何だろうな…という気もします。

 ともかく、日経新聞の記事によると、来週から公開価格決定のためのブックビルディング(需要積み上げ)が始まり、12月中旬ごろには上場が実現する模様。最大500億ドル規模の資金調達になりそうだ、との観測です。サウジ証券取引所の上場株式は「MSCI新興国」指数に採用されているため、先行きは国際的なインデックスファンドの組み入れ対象にもなり、グローバル運用にも影響が出ます。そうなると、今度こそ「ESG視点でどうか…」という問題で機関投資家が頭を悩ますことになるでしょう。

 ま、11月にはアリババ株が香港にも上場するそうですから、超大型IPOがしばらく話題を集めそう。これが、上げ潮の世界株式市場にとっても追い風になりますか。あれ、わが国では…?(イワモト)