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ブログ:Onevoice

鈴木 一之 の投稿

世界は新型コロナウイルスの感染拡大を恐れて、息をするのもためらう状況が続いています。

イギリスではマスクの着用を義務づけるかどうかでジョンソン首相が決断を迫られています。そんなにたいそうな判断が必要なのかと、日本人の私は首をかしげてしまうのですが、自由を愛する欧米人にとって義務化となると想像以上に苦痛なのでしょう。

自宅にこもってばかりもいられず、そうかと言って経済を再開すればあちこちで感染が広がり、鬱々とした気分は当分晴れそうにありません。

世界中が完全なまでに同調してうつむきかげんの日常生活を余儀なくされています。スカッとする話が非常に少ない世の中で、数少ない痛快なニュースがイーロン・マスク氏にまつわる最近の動静です。

毀誉褒貶の激しいイーロン・マスク氏ですが、このところ目を見張るような快進撃が続いています。今年5月に宇宙開発を手がけるスペースX社の宇宙船「クルードラゴン」が有人飛行を成功させました。米国からの有人宇宙飛行としては2011年以来、9年ぶりの快挙です。

それどころか、国際宇宙ステーションへのドッキングまで実現させたました。民間企業の有人宇宙船が国際宇宙ステーションにドッキングするなんて、夢のまた夢と考えられていましたが、それが全人類の見ている前で成功したのです。コロナ危機下でなければたいへんな騒ぎになったことでしょう。

さらに「テスラ」の快進撃です。いまや世界最大の電気自動車メーカーとなったテスラ製EVが、コロナ危機を追い風に売り上げを急増させています。世界中のガソリン車がサプライチェーンの寸断、工場休止、消費者の所得減に直面して極度の不振に直面している一方で、テスラだけが別世界にいるようです。

コロナ危機の反作用で中国やインド、東南アジアの道路の渋滞や工場稼働が抑制され、大気汚染が消えて、期せずして人類は青空を取り戻しました。この状態を維持して温暖化ガスをなくすには、やはり電気自動車しかないと世界中が本気で考えた末の結果だということです。

テスラの株価はコロナ危機下で逆に急上昇し、史上最高値を更新し続けています。電気自動車に多用される銅市況も上昇しています。株式市場ではテスラ株がS&P500に指数採用されるとの見方がもっぱらで、イーロン・マスク氏の評価は大ほら吹きから、希代のベンチャー経営者に急上昇しました。

そのマスク氏は7月9日に上海で開催された世界人工知能大会にビデオ経由で出席し、自動運転の未来に対して「近いうちにレベル5が実現する」との見通しを披露しました。

レベル5と言えば完全自動運転です。この段階に至れば高齢問題、地方の過疎問題、コンパクトシティ、買い物難民、人手不足、宅配クライシス、生産性向上、など日本が抱えるあらゆる問題・課題が解決にめどが立ちます。

民間企業による有人宇宙飛行がこれほどあっさりと実現してしまう世の中です。自動運転のレベル5の時代もあっという間にやってきてしまいそうです。うつむきかげんのこの時代、私たちの目の前では実はおそるべき変化が起こっているのかもしれません。今は沈黙している自動車業界やその周辺企業に目を凝らしておくべきです。
(スズカズ)



もう30年以上も前になりますが、熊本県人吉を訪れたことがあります。当時は日本中を旅して歩くことに熱中していた時期で、電車とバスを使って源氏と平家の古戦場を中心に、ずいぶんと遠くまで出かけたものでした。

人吉は平家の落武者伝説の残る山深い渓谷です。熊本市内の居酒屋で隣り合った地元の人に「これからどこに行くの?」と尋ねられて、「人吉に行ってみようと思います」と答えると、地元の人たちでさえ「おお~」と驚きの声を発するほど、秘境と呼んでもよい奥まった地域です。

目指したのは人吉の奥、五家荘です。長い時間、電車に揺られて山の斜面をのぼってゆきます。線路のすぐ脇を流れる急流が球磨川です。「球磨焼酎」の球磨、熊本の「熊」の語源ともなった球磨地方です。季節はちょうど今ごろ、夏の入り口だったと覚えています。緑が実に豊かで目に飛び込んでくる景色のすべてが緑いろに染まっていました。

その時も降り続いた雨を集めて、球磨川は濁流となって流れていました。人跡未踏と言ってもよいほどの急な斜面が続き、電車も車も人もその地を訪れるにはかなり難儀します。こういう人を寄せ付けない厳しい土地でなければ、落武者は追手から逃れて生き延びることはできなかったのかと、源氏による平家残党の探索の激しさに思いを馳せました。

険しさの裏返しで、人吉は水がとてもきれいです。湧水が至るところに沸いています。人吉に限らず熊本は県のあらゆる場所で美しい水が流れています。水のよい土地は農作物が豊かです。大自然の脅威は美しさと表裏一体を成しており、土地の産物は素朴で土の匂いがします。人はただ自然の造り出す美に見とれ、自然の恩恵を受けるとともに、自然の脅威の前には沈黙するしかありません。

今回の大雨でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。
(スズカズ)


7月になりました。暑さはこれからが本番ですが、雨もまた例年になく強まりそうです。キャッシュレス決済の5%還元は終わり、レジ袋は有料化されます。水蒸気たっぷりのこの季節、マスク族には厳しい夏になりそうです。

新型コロナウイルスの感染第2波が世界各国に忍び寄っています。ウイルス封じ込めの優等生とされていたドイツで集団感染が発生したことがショックを投げかけています。ドイツ政府は躊躇なくその都市のロックダウンに踏み切りました。

大勢で集まって騒ぐことが好きな米国の西海岸やフロリダ、あるいはイタリアやスペインのビーチでの話ではありません。ドイツの西部、ノルトライン・ウェストファーレン州の食肉処理工場です。ウイルスはどこにでも潜んでいます。地上から消滅したわけではありません。

食肉工場が封鎖されてしまったので、そこに納入する酪農家にとってはたいへんな苦難が降りかかっています。計画的に育ててきた豚や牛がどんどん育成されて畜舎があふれかえっています。エサ代は高騰し、しかし売り上げは入ってきません。近隣の処理工場は通常の仕入れルートだけで手いっぱいで、野菜や花きと違って道ばたで売るわけにもいかず、ここにも緻密なサプライチェーンが築き上げられていることが図らずも浮かび上がります。

コロナ危機がかつてのリーマン危機やアジア通貨危機と決定的に異なっている点は、人の命がかかっているということです。「百年に一度」のリーマン危機では大量の失業者が発生し、世界経済はそこから何年にもわたって厳しい縮小を余儀なくされました。現在もまだ傷跡を引きずっている部分があります。しかし人の命が脅かされることは直接はありませんでした。

今回のコロナ危機はその点においてまるで状況が異なります。何十万人もの人が亡くなっています。日本はこれまでのところは世界との比較で死亡例は抑制されていますが、単に偶然が重なっただけの部分も多く、決して感染抑制に成功しているわけではありません。突如としてコロナウイルスが欧米型のように強毒化することも起こり得るわけです。

延期されていたフランスの統一地方選挙でマクロン大統領の政権与党が敗北し、「緑の党」が大躍進を遂げました。極右でもない、極左でもない、環境政策を第一義に掲げる緑の党が勝利を収めるところに世界の直面する状況がうかがえます。

七月文月。七夕。夏休み。水蒸気の多いみずみずしい季節です。コロナ禍を脇に置いて、環境問題が再び前面に出てくるような気もいたします。
(スズカズ)
現在の日本は「課題満載国家」です。世界最高と言われる超高齢社会の現状は言うまでもなく、国家財政のひっ迫、女性の社会進出度、待機児童数、社会のあらゆるバリア、国会議員のレベル・能力、都市への集中、地方創生の現状、農業の未来、学校でのいじめ、会社でのいじめ、不登校、貧困、自殺。

身の回りをぐるりと見わたすだけで、現代ニッポンの抱える課題がいくらでも目に飛び込んできます。そこにコロナ危機が重なってますます息苦しく、行き場がなくなる人が増えています。

地球規模で自宅待機を余儀なくされたこの3か月間は、インターネットの利便性を痛感させられた3か月でもありました。オンラインでの買い物はもちろん、職場、学校、医療などの日常生活はますます、急速にネット上に移動しています。

もはやインターネットに接続する生活が当たり前のものとして定着しています。空気のようにネット接続が存在します。しかしそうなると今度は、ネットにつながっていないと生活が日常的に成り立たないことになります。

それぞれの事情でネット接続がむずかしい家庭も当然ですが存在します。しかしそれはつい忘れられてしまいます。

一人暮らしの高齢世帯は実際には数多く、その声はなかなか外部には届きません。ITリテラシーと言われても、この10年間でようやくガラケーに慣れたばかりです。特別定額給付金の10万円の支給では、行政サイドの不手際は目を覆うばかりですが、申請する側の責任として「マイナンバーを取得してネットで申請する」という作業は、ご高齢の方にはけっこうたいへんです。簡単に処理できる人もいますが、そうでない人の方が圧倒的多数です。(そこには詐欺も入り込んでいます。)

ネットの操作に慣れているとされる若者世代も、状況は似たようなところがあります。学校に通えない間に導入が進んだオンライン授業は、学校によって導入レベルにはっきりと差があります。私立と公立、公立の中でも成績上位校と中低位校でかなり開きがあります。アンケート調査では高校生の6割が「他校との差」、「勉強時間の差」が出じると受け止めています。

進学校の生徒は放っておいても自分でどんどん勉強します。学校に行こうが行くまいが、あまり関係ありません。しかしそれは全体から見ればごく少数派で、大多数の生徒は中間試験、期末試験があるから勉強します。私もそうでした。勉強は本音の部分ではつらいものであって、ある程度の強制力をもって行われるのが変わらぬ現状です。

人類の直面する2つの大きな課題、「地球環境」と「格差の拡大」に関して。前者はコロナ危機でごく一時的に緩和しました。しかし後者はコロナ危機でかえって助長されています。社会の中で弱い立場の人たちがどんどん脱落しかねない方向に世の中は進んでいます。コロナ後の世の中はネット万能社会で、それは格差をますます助長する世界なのだと、おぼろげながら恐ろしさを感じています。
(スズカズ)


「人口に膾炙する」という言葉があります。「ジンコウニ カイシャスル」。「膾 (なます)」 を「炙 (あぶる)」 と書きますので、誰の口にもおいしく感じられるという意味で、人々の話題にのぼって広く知れ渡る、もてはやされるという意味です。

さしずめ今の世の中で言えば、「コロナ危機」とか「アフター・コロナ」という用語です。雑誌やネット上には「コロナ危機」、「アフター・ウィズコロナ」の文字があふれています。編集上のタイムラグがあるので、おそらく書籍の世界ではここからコロナショックに関連する単行本が山ほど出てくることでしょう。あるいはすでにそれは始まっているのかもしれません。

本屋の店頭に単行本が平積みになると、それが世の中のピークです。少し前に「ビットコイン」や「ブロックチェーン」を解説する本があふれましたが、それがひとまずブームのピークでした。そうして本当に忘れ去られていったテーマもありますし、その後も長く世の中に定着したトレンドもあります。一概には言えません。

すでに多くの方が指摘しているように、新型コロナウイルスは世の中の変化のスピードを10倍くらいに加速させました。近未来に起こるはずだったことが、DVDの映画を早送りしたかのように、あっという間に前倒しで実現しました。オンライン学習、オンライン診療、ペーパーレス、脱印鑑、(結論は出ませんでしたが)9月入学。家事分担。仕事帰りに軽く一杯、という日本のカイシャライフの常識も見直しに向かいつつあります。

リモートワークは強制的に取り入れられ、この便利さを知ってしまったら、以前のスタイルに戻すのはたいへんです。企業サイドは社員の交通費や光熱費、ビルの賃貸料がカットできて、経費削減につながる効果をもたらしました。売り上げの落ち込みは確かに深刻ですが、一方では不要な業務を減らすこともできて、業績の落ち込みが意外と少なく済んだ企業も(大きな声では言えませんが)少なくありません。もちろんすべての企業がそうではありません。

「アフター・コロナ」、「コロナ危機」はもはや特別なことではありません。これこそが日常です。「新常態」と言われますが、ここからも「新」の文字がはずれるでしょう。「人口に膾炙する」とそれがピークですが、ここから始まることも数えきれないほどあるのだと思います。私自身が変わらなければなりません。まずは「膾炙」の漢字を書けるようにしないと。。。
(スズカズ)