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ブログ:Onevoice

鈴木 一之 の投稿

連日の熱戦が続いた高校野球も、いよいよ明日は決勝戦です。履正社(大阪)vs星稜(石川)どちらも勝てば初優勝です。果たして栄冠はどちらに輝くのでしょうか。

今年のお盆休みは台風10号が上陸し、帰省や帰京の便が大幅に乱れたので、外出せずに自宅で高校野球をテレビ観戦した人も多かったようです。例年になく甲子園の話題で盛り上がっているような気もします。

高校野球が終わると急に秋めいて、夏の終わりを意識させられます。なんとなくさびしいですね。急に空が高く感じられるようになり、大気も少しずつ乾いてきて、朝晩の虫の音が大きく聞こえてきます。桜並木を歩くと落ち葉が増えてきたことにも気づかさせられます。夏の間に読もうと思っていた積ん読の一角が気になります。

夏がれの時期は明けたはずなのに、株式市場はいまひとつ勢いが戻ってきません。東証1部の売買代金は昨日まで5日続けて1兆5000億円台をうろうろしています。マーケットの気迷いがはっきりと投影されています。

マネーだけが冷え冷えとしている状況も無理はありません。先進国では市場で取引される長期金利が次々とマイナス圏に落ち込んで、短期金利を下回る逆転現象を引き起こしています。少しでも金利を求めて運用資金はREITを買い上がっていますが、一方で株式市場ではキヤノン、JT、オリックスなど配当利回りが5%を超えても売られ続ける銘柄が続出しています。

異常と言えばこれほどの異常もそう見られるものではありませんが、それでも流れは止まりません。この先にはいったいどのような結末が待っているのでしょうか。

ユニゾHD(3258)に対する敵対的TOBの動きもそうです。筆頭株主のエイチ・アイ・エス(9603)が仕掛けたTOBは、ユニゾ側が「白馬の騎士」としてフォートレス・インベストメントの資本力を打ち出して対抗してきました。投資会社のエリオット・マネジメントと、いちごアセットマネジメントも大量保有報告書に名を連ねてきました。

不動産業界の名門・ユニゾの株価はTOBの第一報が報じられて以来、明示されているTOB価格を常に上回って推移しています。この点だけを見ても、今回の事例は解決までに相当な駆け引きと時間がかかることを暗示しているように見られます。投資ファンドが乗り出してすでに相当の金額が投じられているだけに、果たしてどのような結末を迎えるのでしょうか。

前例のないことばかりが起こる世の中となってしまいました。しかしその環境下でも人間というものは、実現益にしろ栄冠にしろ、希望にしろ、いつも何かを求めて動きまわっているものです。慰めにもなりませんが敗者にこそ美しさがあります。明日の決勝戦は録画してテレビ観戦する予定です。
(スズカズ)
夏は旅の季節です。旅に出るならひとり旅です。夏ほどひとり旅にふさわしい季節はありません。勝手にそう決めています。

高校生のころ、京都にひとりで出かけました。当時はまだ運行していた東海道線の鈍行(夜行)で、始発の新宿駅のホームに並び、大垣を経由して一晩かけてたどり着きました。冷房などまだ普及しておらず、車中は蒸し暑くて眠れないので、となりのおじいさんや大学生らしき男女二人連れと夜を徹して話をしてました。

夜が明けると停車時間の長い駅のホームで顔を洗い、朝食を買い込みます。そうしてたどり着いた京都でした。鴨川のほとりや三年坂をとぼとぼ歩いたこと、蒸し暑い夜に大文字焼きを仰ぎ見たことを思い出します。甲子園にも寄って無料の外野スタンドから同世代の野球も観戦しました。まだ志望校を決めていなかったので、その足で神戸にも大学の見学に行きました。

最近は思い出すことも少なくなりましたが、その時の経験はよき思い出とともに何かしら身についているように思います。そう思いたいものです。

中でも一番重要なものが、不安への対処法です。旅には不安がつきものです。道に迷う不安、今日の宿が確保できるかどうかの不安、安い宿が見つかるか、おカネを盗られないか、食あたりにならないか、悪い人につからまらないか、とにかく朝から晩まで不安だらけです。

その不安を乗り越えてでも見たいもの、行きたい場所に出かける誘惑が旅の魅力でもあります。宿の手配、穴場の探索、地図の入手ひとつをとっても、インターネットがくまなく普及した現代と比べると当時は格段に不便でした。世の中はそれだけ便利になったということです。

不安や不便をなくすために世の中はどんどん便利さを増して、そうなると今度は別の不安や不便が生まれてきて、また新たな対処法が考え出されて、と際限なく繰り返されます。テクノロジーによって便利になることはけっこうなのですが、不便さもまた楽しいものです。夏は旅の季節です。久しぶりにあてもなく、ひとり旅に出かけてみましょうか。
(スズカズ)
8月に入って連日の猛暑です。梅雨が長引いて7月までは低温、日照不足を嘆いていたのが信じられないほど、頭上にはいつもの夏空が広がっています。

東京オリンピック・パラリンピックまであと1年を切りました。来年の今ごろは日本中が世界各国からの観光客でごったがえしていることでしょう。繁華街の夜などは選手や大会役員、観光客を交えて連日のように大騒ぎになっているかもしれません。選手よりも観光客の人々の暑さ対策は大丈夫なのか、老婆心ながら心配してしまいます。

すでに東京のホテルは大会期間中の予約は満杯だそうで、かなりの高額を覚悟しないと今からでは手配できないとか。自動車はオリンピック専用車線を設けることになるのでいいのですが、各会場に向かう電車やバスは一部路線でパニックになることは避けられないということです。

都心部に本社のある大企業は、2週間の大会期間に合わせて社員に夏休みを取得することを推奨することになるようで、テレワークよりもその方が混雑緩和には効果的だとか。プラス、マイナスどちらの面でも商売に影響の出るお店が出てくることになります。

オリンピックに先駆けて、ラグビーW杯が今年9月より開催されます。この日曜日にトップリーグの準決勝2試合が横浜と大阪で行われましたが、ラグビー人気の高まりもあって横浜のニッパツ三ツ沢球技場はかなりの混雑でした。

W杯開催に力を入れている自治体は、アンバサダーが訪れて出場国の国歌を覚えて歌ったり、すでにあちらこちらで静かに盛り上がりを見せています。今月末ごろからは出場国の代表チームが来日するので、また盛り上がってくることでしょう。

少子高齢化が世界最速のペースで進む日本では、国家財政の面でも年金や介護保険の面でも、本当にたいへんなのは「東京五輪が終わった後」と言われています。でも前もってわかっていることであれば何かしらの準備もできます。世紀の祭典に浮かれてばかりもいられませんが、同じ阿呆なら踊らにゃソンソン。できることはできるだけやってみて、あとは阿呆と言われるほど楽観的に生きたいものです。
(スズカズ)
先週の当欄で企業の設備投資について記しました。設備投資こそが企業の成長を支えるものである、というきわめて教科書的なあぶなげない内容なのです。しかし実際に経営者が設備投資を行うとなると、そのタイミングほどむずかしいものはない、というものです。

しかし、やるべき人はやっています。世界中がFOMCで10年ぶりの利下げが実施されるのか、されないのか、そればかり気にしているこの7月末に、ソフトバンクGがインドネシアの配車サービス大手「グラブ」に20億ドル投資すると発表しました。

「グラブ」と言えば、アジアのウーバーです。事業の中心はインドネシアですが、すでに東南アジア8カ国に進出しており、ウーバーのような配車サービスだけでなく、それを生かした宅配、電子マネー、動画配信も行っています。教育や医療への進出も計画しており、アジアで最も利用されている生活アプリのひとつです。

グラブは今後、配車サービスにホテルの予約などを組み合わせて、インドネシアの世界遺産「ボロブドゥール」などの観光サービスにも展開してゆく予定だそうです。企業の評価額としては140億ドルを超え、すでに「ユニコーン」の枠組みを大幅に超過達成しています。

孫正義社長は「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の10兆円の資金を早くも使い切り、さっそく第2号ファンドを立ち上げました。アップルやマイクロソフトなどIT業界の巨人たちが資金を拠出する予定で、資金の向かう投資先が注目されます。

その孫社長に対して日本経済新聞が単独インタビューを行い、7月28日(日)の朝刊に大きく掲載されました。孫社長はAIに対して並々ならぬ関心を示しており、すでにAIは研究段階を終えて世の中で広く活用される時期に入ったと見ています。

その上で、これからの10年間でAIによって最も変化が起こる事業として「企業のビジネスモデル、医療、交通」の3つを挙げました。現在の情報革命はこれから300年は続くと見ており、「ビジョン・ファンド」はその先頭ランナーとしての企業の筆頭株主になるよう出資を計画しています。

さらに「ビジョン・ファンド」に組み入れた企業の中でのシナジー効果を狙い、成長の鈍った会社は新しく見い出された成長企業と入れ替えられる方針です。設備投資にも様々なアプローチがあります。二の足を踏む企業もあれば、果敢に挑戦する企業もあります。ここには間違いなく次の飛躍を狙った激烈な競争と成長企業があふれかえっています。
(スズカズ)
投資はむずかしいものです。株式投資ももちろんですが、なんと言ってもたいへんなのは会社経営における設備投資です。

人間の幸不幸は、多分に景気の浮き沈みに翻弄されるところがあります。世界の文学史上に燦然と輝く名作、傑作は、大きな不況のどん底や谷間で書かれることが多いとか。好況よりも不況でこそ人間の醜い部分や、美しい本性が発現されるものなのかもしれません。

その好不況の波は、ひとえに企業活動によってもたらされます。企業の活動が活発なら工場が建ち生産が増え、失業者は減り人々のふところが潤い、結婚が盛んになって住宅もたくさん建ちます。商人の行き来も活発になり日用品から次第にはゴージャスな高額品にまで人々の関心が向かいます。

その過程で企業の活動はますます活気を帯び、そうなると当然のことながら、企業はもっとたくさんの商品を作って売り上げを増やそうと考えます。そのためには工場をさらに建てて、新たな従業員を雇い入れようとします。こうしてスパイラル的に好況が次の好況を呼び込んでゆきます。

一連の流れの中で最も重要なカギとなるのが、企業の設備投資です。ここでは「工場を建てる」というところから始まっていますが、それが次なる人々のアクションを呼び起こして、次から次へと好景気の連鎖が広がってゆきます。

どんな大きな川でも、人里はなれた山奥にある源流は一滴の雨水から始まります。小さな一滴の雨水がたくさん集まって大河となって海に注ぎ込むように、好景気のいちばん最初の最初は、ある企業の設備投資から始まるものです。

売り上げを増やして社員や家族、世の中に幸せをもたらすものが企業の設備投資だとすれば、逆に企業を破滅に導くのも設備投資です。読み違いから借金が膨らみ、期限までに返済できずに事業に行き詰まります。設備投資による幸せと不幸せは紙一重のところにあります。どちらに転んでもおかしくはありません。

それだけにどの企業でも、設備の増強には細心の注意を払います。よその企業が工場を建てるらしい、という情報には、他社の新製品の開発状況と同じくらいに敏感です。誰かが先陣を切って設備投資を行えば、それがきっかけとなってライバル企業がわれもわれもと後に続くことになります。

先週の木曜日、半導体ファウンドリーの世界トップ企業、台湾のTSMCが大規模な設備投資を行うと発表しました。これが呼び水となるか否か、全世界が注視しています。米中貿易紛争の激化で止まっていた時計の針が動き始めた瞬間です。次はいったい何が起こるのでしょうか。
(スズカズ)