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ブログ:Onevoice

鈴木 一之 の投稿

危機の時にはヒーローが現れます。大坂なおみ選手が全米オープンで2年ぶりの優勝を成し遂げました。22才。本人は望まないかもしれませんが、ミレニアル世代のオピニオンリーダーになりつつあります。ヒーローでなくヒロインです。

記者会見で語られる深い思考のあとに湧き出てくるような自然体のコメントに、日本人はもちろんですが世界中が驚かされます。

質問者:7枚のマスクであなたはどんなメッセージを伝えようとしているのですか?

大坂選手:質問を返すようですが、あなたはどんなメッセージとして受け止めましたか?

優勝したら過去の偉大な名選手と同じように、コートの上に寝そべって空を見上げたい。そうしたら素晴らしい光景だった。選手としてよりもひとりの人間として成長したい。

2年前に初めてメジャー大会で優勝した時のコメントも非凡なもので、その時も世界が感動し世界中のメディアが一斉に取り上げました。あれから2年。さらに深度が増しているように感じました。私ごときの月並みな説明などまったく必要ありません。

コロナ危機の自粛期間で試合が開催されなかった時に猛練習に励んだそうです。メンタルを鍛え、フットワークを鍛え、そうして再び4大メジャーを制覇しました。

一切の説明は不要ですが、ここから何か私も学ばなくてはなりません。危機は突如としてやってきます。危機を危機で終わらせるか、次の飛躍のバネにするかは本人次第です。おそらく上場企業の中にも同じように、危機からの脱出に全力で取り組んでいるところもあるに違いありません。

スリム化、筋力強化、体質改善に成功したところから、突如として輝く人物や企業が出現します。今はまだそれらは水面下にあるに違いありませんが、そこから次のヒーローが誕生します。コロナ危機を奇貨として新しい主役の登場を待ち望みます。
(スズカズ)
ベラルーシで激しいで激しい反政府デモが起きています。もう4週間にわたって、首都ミンスクを中心に10万人規模の大群衆が怒りの声を挙げています。

前大統領でいまもその座に座っているルカシェンコ大統領の選挙不正を糾弾するデモです。男性も女性も、学生も青年もお年寄りも、ものすごい数の民衆が現状を変えようとエネルギーをひとつにぶつけています。

逮捕されて拷問されるかもしれないのに広場に繰り出します。へたしたら二度と帰ってこれないかもしれないのに、その恐怖を抱えながらデモに参加しています。「世界で唯一残った独裁者」とも呼ばれるルカシェンコ大統領の背後には、ロシアそしてプーチン大統領が控えていることが後景にあります。

香港。中国政府に対する抗議デモがもう1年近く続いています。もともとは刑事事件の容疑者を中国本土に引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」の改正案に対する反対の抗議活動でしたが、今年に入って成立した「国家安全維持法」に対する抗議に変わりました。

さらに新型コロナウイルスを理由に、本来は先週に予定されていた立法会選挙(議会選挙に当たる)が1年延期されたことが香港市民の怒りを倍加させています。中国本土には共産党に君臨する習近平主席が控えています。

リオデジャネイロ、シドニーと並ぶ「世界3大美港」に数えられる、繊細で美しい香港の街並みが激しい混乱に見舞われています。一時は市街戦の様相を呈するまでに、抗議参加者と警察当局とのバトルが激しくぶつかりました。コロナ危機で一時的に沈静化していましたが、それが再び激化しつつあります。

タイではタブーとされる王室への批判が公然と行われるようになりました。ここでも若者が街頭に大勢繰り出して指を3本、頭上に高く掲げています。政権批判が王室への批判にまで発展するほど、民衆の不満が蓄積しています。

アメリカでは「ブラック・ライブズ・マター」の抗議活動が一向に収まりません。もはやこれは完全に市街戦です。今年に入ってミネソタ州ミネアポリスのジョージ・フォード氏(5月)と、ウィスコシン州ケノーシャでのジェイコブ・ブレイク氏(8月)で、さほど意味のない警察の暴力が死傷事件にまで発展しました。

アメリカの人種問題は建国の歴史の中で長く蓄積されており、それだけに複雑です。単一民族の日本人にはとうてい理解できないほどです。それでも人々は立ち上がっています。世界中で立ち上がっています。

日本。史上最長に及ぶ長期政権がようやく終わり、新しい政権が誕生しようとしていますが、そこには高揚感も臨場感もなにもありません。事務的な手続きが淡々と進められて、大多数の国民はただ眺めているだけです。民意が反映しているとはとても思えません。お願いですから一刻も早く衆院解散、総選挙を実施してください。心からお願いします。
(スズカズ)



数々の史上最高記録となった今年の猛暑も、ふと気がつくとセミの声は聞こえなくなっています。夏はあっという間にどこかに過ぎ去り、8年間の安倍政権も蜃気楼のようにあとかたもなく消えてゆきます。

この政権にふさわしい幕切れと言えばその通りですが、広げるだけ広げた大風呂敷の後始末はどうするのでしょう。

消えているのはお店も同じです。東京駅前の八重洲口。カラオケチェーン店やスペイン風バルに混じって、古くからの居酒屋、小料理屋が数多く営業しています。そのチェーン店ではないお店がひとつ、またひとつと閉店しています。空き店舗が急速に目につくようになりました。

これがコロナウイルスの感染拡大による閉店なのか、あるいは大規模な再開発計画の一環なのか、それはわかりません。しかしたいへんな勢いでお店が閉められているのは紛れもない事実です。八重洲に限らず、人形町や東銀座も似たような状況です。

日本の生産性の低さは中小・零細企業が多すぎるからだと、経営学者からは盛んに指摘されてきました。大企業に集約されればもっと経営効率は上がるそうです。

おそらくそれは事実なのでしょう。マネジメントの行き届いたチェーン店が増えれば、資金も人材も効率は高まります。しかしこと居酒屋に限れば、私はチェーン店には行きたくはありませんし、ほとんど行ったこともありません。乗降客の少ない駅前にぽつんとたたずむ焼き鳥屋さんの方がよほど好きです。

ただ、そういう焼き鳥屋さんの経営はどこも同じで、コロナウイルスの影響をまともに受けて厳しいものです。半年間、持続化給付金などの公的な財政援助を頼りにしがみついてきましたが、そのようなお店の中から徐々に力尽きるお店も出てきているようです。これを「効率性による淘汰」と言ってしまえばそうなのですが、味わいのあるお店が減っている事実は変わりません。

代わって大手資本による買収も活発に始まっています。昨日はマザーズに上場するバイセルテクノロジーズ(7685)がストップ高まで買われました。ブランド品買取のダイヤコーポレーション(未上場)を16億円で買収と発表したことが手がかりです。

バイセルテクノロジーズもマザーズに上場して日が浅く、営業利益は7億円に過ぎません。それでも上場企業の中では小さくても、あまた存在する未上場の中小・零細企業から見れば巨大資本と映ります。

お店をたたみ事業活動を断念する小規模な企業と、それらを買収しながらコロナ禍で着々と勢力を拡大する上場企業。動きの少ない日本でも新陳代謝は着実に進んでいます。そんなことを居酒屋のカウンターでひとり、じっくりと考えてみたい今年の秋です。
(スズカズ)




週明け、NY株式市場では株価の上昇が止まりません。Nasdaqは連日のように最高値を更新し、S&P500も遅れて最高値に到達しました。NYダウ工業株も2月24日以来の高値となっています。

するとここでNY証券取引所から驚くべき発表がありました。8月31日付でNYダウ工業株指数を構成する30銘柄のうち、3銘柄を一度に入れ替えるということです。

採用:セールスフォース、ハネウェル、アムジェン
除外:エクソンモービル、レイセオン、ファイザー

ファイザーにはアムジェン、レイセオンにはハネウェルが、それぞれ同じ範疇の中での入れ替え対象となっています。順当と言えば順当ですが、意外なのはエクソンモービルに対してセールスフォースの充当です。企業の規模の違いもさることながら、かなり思い切った組み合わせです。

アメリカ建国の立志伝中の人物、ロックフェラーの伝統を受け継ぐエクソンモービルも、脱化石燃料の世界的な流れとESG投資が全盛を迎える運用サイドからの要求には逆らえません。セールスフォースはクラウドサービス領域でアマゾン、マイクロソフトと激しい競争を繰り広げています。

今回の採用銘柄の入れ替えは、500ドルを超えたアップルが株式分割を行うことに沿った措置です。日本のような「みなし額面」は用いずに、アップル以外の銘柄を大胆に入れ替えます。時間をかけてあれこれ思惑を招くようなことはしません。スパっとタイミングよく入れ替えます。

こういうところにも米国株式市場のダイナミズムを感じます。FRBの金融政策の発動にも同じことを思います。株価がちょっと上昇すると「バブルか否か」的な論議が浮上しますが、それとはまた少し違ったところで米国の資本市場を取り巻く制度の厚みを感じます。
(スズカズ)
お盆休みが明けて週明けの月曜日。普段なら海辺で日焼けして、軽いやけどを負ったような赤らんだお肌で出社するのがいつもの光景です。

今やリモートワークの世の中なので、自宅でパソコンに向かい続けます。観光地で買った会社の人たちへのおみやげを手にして出社することもなくなりました。「萩の月」と「白い恋人たち」が好きでした。夏の風物詩がひとつずつ失われてゆくのはさびしいものです。

今週の月曜日。朝一番に日本の4-6月期GDPが発表されました。前期比マイナス7.8%、年率に換算すると▲27.8%も減少しました。リーマン・ショック直後に記録した2009年1-3月期の年率▲17.8%を大幅に更新して、戦後最大の落ち込みということです。

そういうフレーズをニュースを通じて聞かされ続けると、人々はその気になってしまいます。実際には「戦後最大の落ち込み」と言われてもあまりピンときません。もちろんアパレルや飲食店、旅行関連、航空会社、介護施設の関係諸氏にとっては、きわめて厳しい状況にあるのは間違いありません。それでもあえて言わせていただければ、私たちの身の回りで起きていることは「大不況」とは異なると思います。

今回のGDPの内訳は、寄与度で見ると個人消費が前期比▲8.2%も減少しました。5%から8%に消費税を引き上げた影響で2014年4-6月期に▲4.8%も下落したケースを下回り、個人消費の寄与度としては過去最悪となりました。

通常は「個人消費」はこのような落ち込みはしないものです。日本の消費はGDPの6割を占めていて、景気がよくても悪くてもそれほど増減するものではありません。それなりに安定しているもので、ゼロになったりすることなどありえません。

GDPを本当に増減させるのは、企業の設備投資です。設備投資は大幅に伸びた翌年に、いきなりゼロになることもあります。上にも下にもGDPのブレ幅を大きくします。

今回は設備投資の寄与度は▲1.5%でした。大きいと言えば大きいのですが、今回のような戦後最悪の落ち込みの主因というほどではありません。第4次産業革命、デジタルトランスフォーメーションの実現が目の前に迫っており、企業は設備投資の手を緩めるわけにはいきません。

今回のGDPの大幅な落ち込みは、ひとえに消費の落ち込みであって、それはコロナウイルスの拡大を防ぐための政府の緊急事態宣言によるものです。4月に宣言を発し、個人の外出と店舗での営業を全国レベルでストップさせたことが主因です。

その後、再び感染拡大の第2波が襲いかかっていますが、4月までのパニック的な社会の動揺は食い止められています。その間にワクチンの開発にめどがつけば、時間稼ぎとしては有効な手立てとなります。

緊急事態宣言は医療崩壊を引き起こさないために、その時点ではそれが次善の策でした。それは動かしがたい事実です。隔離政策によって感染の拡大をくい止めて、その間に医療体制を整えることが急務でした。事実、先進各国ともほぼ同じような政策を導入して、一時的にでもウイルスの封じ込めに成功しました。

もはや都市全体の機能を止めるような、完全なるロックダウンに踏み切る国はなくなりました。おそらく今後もないでしょう。ロックダウンを発動すれば経済は止まり、倒産と失業者は増大します。経済を止めずにウイルスの感染拡大だけを止める、それがいま最も求められています。

3期連続で低下したGDPは、4期目にはだいたいプラスに浮上します。リーマン・ショックの直後は4四半期連続が起こりましたが、その後は6期連続でプラスとなりました。その間に日経平均は7000円から11,000円まで上昇しています。

「GAFA」に代表されるデータエコノミーの勝者は、GDPにカウントされにくい無形資産(データ)をフル活用して価値を生み出しています。GDPに代わる富の指標はありませんが、しかしGDPにとらわれ過ぎるのも考えものです。

たかがGDP、されどGDP。お花見の4月~GWの5月~梅雨の6月ごろのデータです。今は猛暑、そして秋の空。近々訪れるはずの転換点に目を凝らしておきたいものです。
(スズカズ)