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中嶋 健吉 の投稿

先週の続編です。 奇しくも本日の日経新聞でこの問題を大々的に取り上げていました。 報酬額の中央値で比較すると米CEOの報酬は日本のほぼ6倍になるようです。 2016年の報告ではその格差が10倍ですので、縮小したものの依然大きな格差が有ります。  一般的にアメリカのCEOの報酬は、業績・株価に連動して、株式で支払われる比率が全体の90%、固定部分が10%程度と言われています。 一方日本の場合、業績連動部分が52%、固定部分が48%とほぼ半々です。 2016年では固定60%、比例40%程度でした 比例部分が増えたとしてもその差は依然大きなものが有ります。  少し古いのですがその2016年の数字ですが、売上1兆円以上の米CEOの報酬総額は約11.5億円、日本は1.3億円でした。 しかし固定部分だけを取り上げると、米CEOは1.1億円、日本は7800万円になり、格差は大きく縮小します。  更に米国に比べ日本のCEOは、株価や業績が不振でも報酬が減る恐れが少ないと言えます。 反対に業績、株価を上げようとの意欲が米国に比べ少なくなる恐れがあります。


報酬連動型に関しては、目先の数字を追いかける為、経営が近視眼的になるとの指摘もありますが、今の経営はコーポレートガバナンスコード、社外取締役の導入でそれなりの管理監視体制作りが始まっています。 その過程で起こった日産の問題はむしろこの重要性を喚起したのではないでしょうか。


一方CEO、役員の報酬が少ないと、地位に長く留まり、時間で報酬を稼ごうとのインセンティブが働くことも問題になるでしょう。 今はまさに本人、社員、株主、社会が納得する、日本のCEOの報酬水準を探る時期に来ていると言えます。  最後に嘘のような、本当にあった話です。


 大手企業(銀行だったかもしれませんが)のCEOが重要なパートナーの外国のCEOを空港に迎え、関係を一層深める為、そのまま自宅に招待しもてなしました。 相手も非常に喜んだのですが、最後に一言 「運転手の家はよく分かったので、早く君の家に行こう」 

(中嶋)

CEOの報酬

中嶋 健吉

2018/12/06 08:06

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日産ゴーン会長の報酬問題に次いで、官民ファンド「産業革新投資機構 JIC」経営陣の高額報酬がマスコミを賑わしています。 ゴーン問題はその額もさることながら、法的な正当性が問われている訳ですが、JICは純粋にその金額そのものが問題視されています。 マスコミ報道によれば、社長の田中氏以下4人にそれぞれ5500万円、最大で1億円を支払うというものです。国の資金を使う組織ということで、官僚トップの事務次官給与(約2300万円)、日銀総裁(約3500万円)が比較の対象として示され、高すぎるとの根拠になっているようです。


田中氏は元三菱UFJフィナンシャル副社長、その他のメンバーも高い専門性とキャリアを誇り自らも投資ファンドに関わった人材です。提示された金額ですら、今までの彼らの報酬を下回っている可能性があります。なぜこの様に日本ではCEOの報酬が議論の対象になるのか、丁度この問題に関し、2012年6月27日当ブログに投稿した自分なりの考えを改めて以下に示します。


2012年6月27日

年棒格差


日産カルロス・ゴーン社長の年俸が10億円の大台にあと一歩に迫り、マスコミに大きく取り上げられています。当然日本の社長の中では断トツの最高額の年棒です。彼の年棒は就任時から既に群を抜いており、その額が正当かどうか、常にマスコミに話題を提供してきました。一般的に日本の社長の年棒は新入社員の約10倍前後、それに比較して欧米では100倍の格差は当たり前、金額にして数10億円の年棒も珍しくありません。アメリカでは公的資金の助けを受け業績を回復させたCEOが、数10億円の)年棒を手にしたことから、非難を浴びていますがこれなどは例外でしょう。


仮に数億円であれば、日本ではとんでもない額でも、アメリカでは間違いなく受け入れられたでしょう。こうした年棒の格差は成果主義が徹底した欧米ではそれほど議論になりません。当然スポーツ、芸能の世界でも欧米の水準は極めて高いものが有りますが、一方この分野で世界的に活躍する日本のプレイヤーの年棒は当然日本よりはるかに高いのですが、全く問題になりません。こうして考えると、同じように世界的に活躍する日本の多々ある企業のCEOの年棒だけが、何故いつも議論の対象になるのか興味のあるところです。ここからは個人的な経験に基づく独断と偏見で話を進めます。


欧米は狩猟民族、日本は農耕民族であるとの見解を良く聞きます。私の理解は、動き回り、直観的な防衛本能を持つ動物を捕獲するには、それなりの経験、知恵を集約し動物を捕獲する仕掛けが必要です。その仕掛けの善し悪しで彼らの生活が決まるわけですから、当然獲物が沢山取れる仕掛けを作れる指導者の下に人は集まります。その仕掛を作った指導者は当然の権利として、獲物の一番美味しいところを腹いっぱい食べ、そして残りを配下の者に配ります。残りものでも、その指導者につかなければ食料にありつけないわけですから、指導者の取り分に文句を付ける配下は殆どいません。欧米の企業では部門長が代わると、その配下もその部門長についていく事が良くあります。多分こうした発想が有るからでしょう。一方日本の農耕民族的文化に関しては、目上の人間の経験と知識を尊重しつつも、後は天候と、人的な労働の多寡が収穫を決めます、従って収穫の配分に大きな格差は付け難く、又それを認めない社会風土も長い歴史の中で作られた可能性は否定出来ません。従って日本的価値観で欧米との年棒格差を論じても多分議論がかみ合わない可能性が有ります。


(中嶋)


今月7日の当ブログで「外国人投資家VS国内投資家」でコメントしていますが今回はそれを補足するものです。  11月22日付ゴールドマン・サックスのレポートでは日本株の変動要因として、外国人投資家の株式先物売買を上げています。 事実次の数字に有る様に、2018年年初からの外国人の先物の売買が、市場の大きな攪乱要因であったことが分かります。


*2018年1月~11月16日(年初から) 

 現物   ▼4兆1920億円売り越し

 先物   ▼6兆7696億円売り越し


*2018年4月~11月16日(今期から) 

 現物   ▼1兆6827億円売り越し

 先物   ▼  6143億円売り越し


年初から先物は▼6兆円以上の売り越しですが、今期の4月以降は▼6100億円前後に止まっています。 つまり1-3月の3ヵ月にその大半の▼6兆1553億円の大量の売り越しが出たことになります。 その結果、日経平均は24.120円(1月23日)の高値から、20.347円(3月26日)の安値迄、幅にして▼3773円、率にして▼15.6%の大きな調整を余儀なくされます。 

では10月の下落はどうでしょうか


*2018年10月12日~11月16日 (6週間) 

 現物   ▼  7251億円(15.7%)売り越し

 先物   ▼3兆8681億円(84.3%)売り越し 

 合計   ▼4兆5932億円(100%)


先物の今期の売り越しは、▼6143億円に過ぎませんが、10月以降の6週間に限れば、なんと▼3兆8000億円以上の売り越しで外国人売り全体の実に85%を占めています。 15%の現物を遥かに凌駕しているのが見て取れます。 更に今回は1ヶ月足らずで▼3.8兆円の売り越しで、年初の3ヵ月合計の▼6.7兆円の売り越しを大きく上回っています。 こうして先物主導で売られたことから先物に比べ現物株の値段が割高になり、割高な現物を売る為、裁定買残が解消2016年以来の1兆円の水準まで減少しており、これ以上の解消に伴う売り圧力は限定的になっています。


一方、現物株の売り越しが限定的であった背景には、外国人の日本株のポジションが既に▼8%近いアンダーウエイトになっている事が挙げられます。 この水準はリーマンショック後の2009年に並ぶものです。  外国人売りの実態はこのように先物主導のヘッジ系ファンドの売りが中心であるという事実は認識しておきたいものです。 現物に関しては、あまりにも軽いポジションから 

買い増しの期待すら感じるのですが。

(中嶋)

日産問題

中嶋 健吉

2018/11/22 08:04

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今週はこの問題を避けては通れないでしょう。 検察の取り調べに対し、ゴーン氏がどのように対峙しているのか全く分からない中で、既にこの問題の背景及びゴーン氏個人の資質に関し、推測に基づく解説が各種出ています。 コメントは極めて厳しいもので、ゴーン氏の実績のみならず人格まで否定するものが多くなっているのは残念です。 日産、ルノー、三菱自動車3社の頂点に立ち、実業界からも高い評価を得ていた彼に、いったい何が足りなかったのでしょうか?  そのように自問したところやはりある言葉に思い至ります。


経済小説の執筆を通じ、城山三郎氏は数多くの財界人と接し会話を重ねています。 そうした交流を通じ城山氏は、上に立つ指導者には3つの共通点が有る事に気付きます。 言い換えればどれか一つが欠けても指導者としては不適格と看破しているのです。 


  1. いつも活き活きしているか?
    活動的なゴーン氏です。 正にこれを具現化しています 

  2. いつもあるべき目標に向っているか?
    日産再建のプロセスを見ても問題ありません。 

  3. 卑しくないか?
    残念ながら、今回の問題の核心であり彼が躓いたところです。 


「卑しくないか?」の解釈は皆それぞれあるはずですが、単純化すれば「卑しい上司」を尊敬し、付いて行けるかと自問すればおのずと答えは出てくるのでは。

(中嶋)

アメリカ中間選挙後の世界の株価は、不安定な展開から抜け出せず、方向感を失ったかに見えます。 選挙の結果は、上院は共和党が過半を維持、下院は民主党が過半数を奪い返し、いわゆる「ねじれ」現象が起こった事から、株式市場の不振の原因をここに求める意見もあります。 しかし大和証券のレポートを参照しますと、1930年以降2014年まで22回の中間選挙で、上下院で過半数を維持していた共和党が、そのまま維持できたのは1930年、2002年の2回のみで極めて稀、それ以外は捻じれるか、殆どのケース上下院とも民主党が制していました。  それでも安定した政治情勢が続いたのは、政権(大統領)が共和、民主で分けあってバランスを取ってきたからでしょう。  こうしたこともあり、各種投資家が挙げている、中間選挙後のアメリカの株価動向のアノマニーは共通したものになっています。


  • S&Pキャピタ社
    1944年〜2014年の中間選挙後の株価は、その選挙結果に関係なくS&P500 は平均15%の上昇を記録。

  • MFSインベストメントMGR(投信会社)
    1961年〜2010年の期間でも、捻じれに関係なく株価は常にプラスを維持。

  • サントラスト・プライベート・ウェルズ社
    1934年以降S&P500 は中間選挙当日から年末まで平均+3.1%、1年後には +15.2%の上昇を記録。下落したのは1938年の一回のみ。


押しなべて中間選挙後の株価はほぼ上昇するアノマニーを指摘しています。


木曜日の朝NY市場の概況を解説頂いている堀古氏によると、トランプ大統領は選挙公約のほぼ全てを実行しているとの事です。 その中でいまだ論議が続いているのが、今年2月にトランプ政権が発表した「今後10年間で1.5兆ドル規模の社会インフラ投資」です。 連邦政府の支出は2000億ドルで残りの1.3兆ドルは、州・地方政府そして民間資金に頼る事に特徴があります。 今までは財政拡大に慎重な共和党が後ろ向きだったのですが、財投拡大に積極的な民主党が予算先議権を持つ下院を制したことから一気に進む可能性があります。  事実選挙後すぐに、トランプ氏と下院民主党の重鎮ペロシ氏との間で、社会インフラ投資拡大に向け共同歩調をとる方向を確認しているようです。 株式市場には順風の風になります。

(中嶋)