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ブログ:Onevoice

中嶋 健吉 の投稿

ソニー

中嶋 健吉

2020/07/16 07:35

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ソニーの株価が堅調です。2011年7月以来の高値を更新、8000円台を回復しており、時価総額も6か月ぶりの10兆円回復です。人気の復活を印象付けています。前回高値の2001年7月は、ITバブルのピークになる2000年3月の史上最高値16950円からの調整下落の局面にある為、その水準との比較にはあまり意味がないのですが。


1998年3月期、ソニーは営業利益として史上最高の5257億円を計上します。これを好感し株価はその年の7月に、当時の最高値6745円を付けます。しかしそれ以降の営業利益鈍化傾向を嫌気し、10月には3615円までの急落を演じます。ただそこを起点とした株価は、ITバブルの波に乗り前記した2000年3月の16950円まで一気に駆け上ります。業績がピークアウトした後の株価急騰です。バブルが付けた株価と言わざるを得ません。株価はその後業績の低迷と伴に長い調整局面に入ることになります。


2018年3月期、ソニーは営業利益7349億円を計上します。これで1998年3月期の過去最高益5257億円を一気に抜き去ることになります。その後も営業利益の更新が続き、それに呼応した株価も8000円台まで水準を切り上げてきているのです。


ソニーの復活はその劇的な業態変更にあることは周知の事実です。以前は営業利益のほとんどを、エレキ・エレクトロ二クス部門で稼いでいましたが、現在は10%程度に低下、一方映画・ゲーム・音楽で営業利益の半分を計上しているのです。さらに注目されるのは、3年前は赤字だったCMOS半導体を使った画像センサー部門が営業利益の26%まで拡大しているのです。ソニーの営業利益率は10%で、日立8%、パナソニック5%を大きく上回っています。一方画像センサー部門の営業利益率は21%と、断トツの収益力を誇っているのです。


画像センサーでのソニーの世界シェアーは50%、その7割はスマホ向けです。 

しかしこれからの注目点は自動車向けの拡大です。自動運転には映像を瞬時に把握、解析する高度な映像センサーが必要です。その為車一台当たり十数個必要ともいわれます。ソニーはこの分野ではアメリカ、イスラエルの企業に後れを取り、10%台のシェアーに留まっているのですが、この半導体の良し悪しは重大な事故に繋がる為、実績のあるメーカーに優位に働くといわれます。新高値更新への助走が始まったと言えそうです。

(中嶋)

大きな政府

中嶋 健吉

2020/07/09 07:34

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【英国】
ジョンソン首相の発言。「英国を長期繁栄の道に戻す計画(ビッグ・プラン)を表明。病院、学校、住宅、道路、鉄道、ブロードバンド等、今こそインフラに投資する時として、数百億ポンド規模の財政出動を計画。  

【米国】
トランプ政権で1兆ドルのインフラ投資を計画考慮中。下院民主党は1.5兆ドル規模のインフラ投資を提示。

【フランス】
6月28日の統一地方選挙において、主要都市でヨーロッパ・エコロジー緑の党に敗北。即座に翌29日にはマクロン大統領が、150億ユーロ(1.8兆円)規模の環境対策を発表。ボルヌス環境相も航空会社支援の条件として、自動車、鉄道を使えば2~3時間で行ける近距離路線から航空会社は撤退する様に、環境の観点から要請しています。

【ドイツ】
3月に、今までの財政均衡政策を転換する、1560億ユーロ(18.7兆円)の国債発行を伴う大規模な経済対策を実施。更に6月には追加の国債発行を認め、1300億ユーロ(15.6兆円)の追加の経済対策を発表しています。この中には消費税減税、子育て家庭への現金給付などが含まれており、その変貌ぶりが注目されました。メルケル首相が異例の手段として反対していた、コロナ復興に向けた7500億ユーロ(約90兆円)規模の共同基金の創設にも賛成に転じたのです。これはEU各国が資金を出し合い、コロナ被害の大きな国に返済不要な補助金として配る仕組みです。まさに大きな政府への変貌です。

失業者、低所得者、高齢者など社会的弱者の救済は、政府主導の対策がなければ成立しないことが明らかになり、又その対策の優劣が政権批判に直結しその存続を左右する事が分かったのです。株主資本主義的な、限定的な人が恩恵を受けるシステムから、大きな政府が作る福祉国家への変貌が急がれます。それを維持する新たな経済システムの基本コンセプトがESGになるのでしょう。
(中嶋)
香港が揺れています。1日から施行された「香港国家安全維持法」は、反政府行動を犯罪行為とみなし、最大で終身刑を科す苛烈なものです。反政府行動とは、国家転覆をはかるテロ行為だけではなく、香港への制裁を外国勢力に要求した場合でも、外国勢力と結託したとして処罰の対象になるのです。反政府行動の認定ですが、「特定の状況」のもと国家の安全に危害を加える行為としており、間違いなく抗議デモはその対象になるようです。又特定の状況とはきわめてあいまいな表現で、当局が恣意的に運用する可能性が指摘されているのです。適用は永住者だけではなく非永住者もその対象であり、報道機関関係者、NGO関係者に緊張が走っています。


日経新聞によると、2019年の香港の金融都市としての位置付けは、ニュージーランド、シンガポールに次いで3位だったのが、この3月には6位に順位を下げています。金融都市としての条件は、そのインフラの充実、発言と行動が規制されない自由で安全な社会環境です。そして金融事業に従事する外国人にとって、何よりもその家族と子供の安全が必要です。今回の法律が、その外国人非居住者の行動と発言に、大きな制約を与えることは違いないでしょう。トランプ政権はこうした動きに対し制裁措置を発動していますが、究極の措置として香港ドルと米ドルのペッグ制停止に踏み込むかがポイントのようです。そうなれば香港の金融都市としてのメリットは完全に失なわれることになります。


更に日経新聞の指摘では、こうした香港の敵失で東京がその重要性を増しているとしています。安全性、社会インフラ、住環境が充実しており、そして何よりも小池都政下で金融都市を目指す明確な指針が示されています。2021年にはそのシンボルとして高層ハイテクビル「カブトONE」も立ち上がります。東京の金融都市としての評価はアジアでは香港に変わり6位から3位に上昇しているのです。


一方日経も指摘する様に、金融都市を支える高額な報酬を謳歌する金融人にとって、最大の関心は税金でしょう。最大のライバルシンガポールに対し常に問題になるのが、その倍近い所得税と住民税の高さです。小池都政は金融特区の住民税減税を考えているようですが、まずはこうしたことを地道に積み上げていくことが必要になるのでしょう。


更に世界の高額所得者が永住し易い都市もひとつの条件でしょう。しかしここでも税金の問題が立ちはだかります。所得税以上に彼等の関心は相続税です。日本は世界的にも数少ない相続税の存在する国です。外国人であれ日本に10年以上(かっては5年以上)居住して死亡した場合、日本の財産だけではなく海外に持つ財産も相続税課税の対象になるというものです。結局彼らが日本に持つ財産は非居住者として投資する不動産だけになっているのが現状です。こうした税の問題の解決には国民的なコンセンサスが必要ですが、財産形成のための金融資産の構築には税制の支援が必要で、今や日本人共通の関心事でもあるのです。金融都市東京確立のためにはまず広く税の論議から入る必要がありそうです。

(中嶋)

中国の黄昏

中嶋 健吉

2020/06/25 07:32

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親友の一尾氏が面白い指摘をしていたので、その内容簡単に紹介したいと思います。

歴史を振り返り中国王朝が滅びた経緯をみると三大要因に行きつくとしています。


それは:

  • 疫病
  • 天災
  • 蝗害(こうがい)


疫病:言うまでもなく新コロナ問題です。


中国を発生源とする声を、否定する意見は極めて少なく感染の収束とともにその責任追及と補償問題が、世界規模で巻き起こる可能性があります。その天文学的な保証金額をめぐり、関係国との攻防が始まり中国外交の足を縛る可能性がありそうです。



天災:中国メディアによると6月16日以降、中国南部、中部と北西部で豪雨が24時間にわたって断続的に降り続いています。


22日昼には、四川省重慶市水利当局が「最高級水位の洪水紅色警報」は発令しているのです。これは1940年以降初めての事で既に24の省で850万人は被災しており、更に198本の川が危険水位を超え、洪水が発生しているとしています。特に危機感を呼んでいるのが、世界最大の四川省の「三峡ダム」です。既にダム水位が危険水位の144.99mを2m上回っていると伝えられています。仮に決壊するようなことがあれば、最下流の上海まで飲みこむとの指摘もあります。中国水利省の葉建春次官は、さかのぼる11日の記者会見で「中国は全面的に洪水期に入った。148本の河川で警戒水位を超え洪水が発生している」と明らかにしています。



蝗害:現在アフリカ⇒中東⇒インドで猛威を振るっている、サバクトビバッタとは違う発生が起こっているようです。中国北部は総じて気温が高くなっており、吉林・黒竜江省でイナゴが異常発生しているのです。パール・バックの名作「大地」でもイナゴの大量発生による農民の苦境が描かれています。


この3大要因は、共産党政権が意図的にコントロール出来ない天災だけに、その対応を間違えば大衆の不満が一気に表面化する可能性があります。米中問題に注目が集まりますが、共産党政権がそれ以上に神経質になる案件であることはまちがいありません。

(中嶋)

17日の日経新聞記事によると、安倍首相は銀行間の振込手数料が高過ぎる為「下げたい」として、具体的な検討指示を出したと報じています。銀行を経由して振り込みを行う場合、振り込む人は銀行に手数料を支払います。通常は3万円未満の取引で200円前後。3万円以上で300~400円に設定されている様です。更に振り込みを行う銀行は、受け取る銀行に手数料を払います。いわゆる銀行間手数料です。3万円未満で一件当たり117円、以上で162円に設定されています。この様に両サイドの銀行に手数料が落ちる構図になっているのです。しかし金額の小さいほど負担が大きく、不利になる割高感は常に指摘されていました。


1973年に日本で初めて、「全銀システム」が稼働します。銀行の中核サービスである決済を、全銀間で自動的に行う世界に誇るシステムです。本人の知らないうちに引き落としが行われるのですが、これは銀行に対し絶対的な信頼がなければ成立しません。


中小銀行が頻繁に倒産する米国では、銀行に対する信頼が薄く、個人の支払いの決済は個人小切手が主流になど、日本とは大きく異なります。このシステムが始まった頃、日本の銀行は当局の保護政策下にあり、充分な利益が保証されていました。したがってこの自動引き落としの決済サービスにも、あくまで銀行のサービスの一環として課金されなかったようです。


しかしこの緻密で膨大なデータ処理を行うシステムの維持には、膨大な費用が掛かります。その費用をある程度相殺する形で、振り込み手数料が使われた様です。この振り込み手数料ですが、実は海外では徴収しないところが殆どです。そのコストを他の手数料で顧客に転嫁しているからです。その典型的なケースが、日本では無料の「口座維持管理手数料」です。更に各種金融サービスなどにあまねく手数料を課しており、欧州の銀行では業務粗利益の約40%近くが手数料収入といわれています。また米国でもリーマンショック後手数料ビジネスを強化、人員の20%以上をIT人材で固め、ハイテク化した金融サービスを提供し多様な手数料を徴収しています。一方日本は10%程度に留まっています。世界的な低金利下は銀行経営には同じ条件です。しかし欧米の銀行が総じて高い利益率を誇っているのは、正にこの手数料収入の差と言えます。


政府が振込手数料の引き下げを進めた場合、銀行としての対抗措置はATMの削減、通帳の有料化等既に一部始まっていますが、最終的には口座手数料の徴収の有無に行きつくのでしょう。サービスには対価を支払う、当たり前の時代が始まります。仮想通貨、ネット銀行など時代はリアルから無人化の方向に動いていますが、どのような形であれ最終的には決済で取引は終了する訳で日本の誇る全銀システムの評価に揺るぎはありません。アイデアと、このシステムがある限り、新しい時代に日本の銀行は適応できると思うのですが。

(中嶋)