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中嶋 健吉 の投稿

東京証券取引所が10日、2019年(1月4日―12月30日)の投資部門別売買動向(東京、名古屋2市場、1部、2部、新興市場の合計)を発表しています。

以下に先物市場を加えた数字を確認しておきます。

(△買い越し、▼売り越し)

 現物先物合計
外国人▼7953億円

△3兆3173億円

△2兆5220億円

個人(現物)▼5兆1160億円▼3092億円▼5兆4252億円
個人(信用)△8031億円  
個人計▼4兆3129億円▼3092億円▼4兆6221億円
 
事業法人△4兆1870億円▼180億円△4兆1690億円
信託銀行▼189億円▼1兆1723億円▼1兆1912億円
投資信託▼1兆1609億円▼1兆5766億円▼2兆7375億円
生損保▼3980億円▼1295億円▼5275億円
銀行▼6861億円△1166億円▼5695億円


外国人は現物を年間では▼7953億円売り越していますが、10月―12月では △2兆3000億円の買い越し、先物も△1兆6120億円の買い越しで、合計4兆円弱の大幅な買い越しになっています。10月4日の日経平均21276円を底に窓を開けて急伸した上昇は、現物―先物両建てで大幅に買い越した外国人買いが最大の立役者と言えます。外国人は依然として日本株を8%近くアンダーウエイトしており、長期投資家の参入が待たれます。


事業法人は2018年も現物を△2.5兆円買い越しており、2019年は更に60%近く増加した△4兆1870億円と、自社株買いの拡大を裏付ける数字を示しています。


投信は2018年には△1.4兆円の買い越しでしたが、2019年は現物先物とも▼1兆円を超える大幅な売り越しになっています。ダブルインバースなどヘッジを意図した弱気投信の買いが増えている為ですが、裏を返せば株価が堅調に上昇したと言えます。


生損保、銀行も売り越し額は極めて限定的になっています。市場へのマイナスインパクトは小さいと言えます。


結局大幅売り越しの個人がどのタイミングで姿勢を変えるか、2020年を見る上でのポイントになりそうです。

(中嶋)

年始早々お屠蘇気分を吹き飛ばす事案です。多くの識者がその行方に関して希望的観測を加えコメントしていますが、結末は誰にも分らないのが実情でしょう。こうした「まさか」の国際紛争が発生した場合、特に今回は石油産油国が絡んでいるだけに、まずは石油価格が急騰、金の上昇、株式市場の急落、そして円の急伸と、広範囲に影響を及ぼすのが普通です。


特に8日の東京株式市場では、イランが報復攻撃に出たことが伝えられた寄り付きから売り先行になり、日経平均株価が一時▼600円以上下落するなどネガティブな反応が出ています。売買代金も2.5兆円と膨らんでいますが、驚くべきは先物の取引枚数です。日経平均型で13.9万枚、TOPIX型で9.8万枚に急増しています。現物の売買代金2.5兆円をベースにした,通常の先物の売買枚数のほぼ3倍近い急増です。結論として先物を使ったアルゴが働いたと言えます。現物の売りは限定的とみられます。


為替も紛争発生後に、一時108円を割ったものの、8日のイランの報復攻撃に対しての反応は限定的で,108円台を維持しています。これまでは紛争の拡大では真っ先に買われる円だけに、この動きは意外です。従来は、ウルトラ低金利でコストの安い円を売り資金を調達、ほかの高金利通貨を買う、所謂円キャリートレードが行われたものです。しかし今や円金利は、特に欧州通貨を下回る水準です。こうしたキャリートレードが難しい局面かもしれません。又インフレも世界的にほぼ同じ水準になっており、金利格差も取りにくいと言えます。


原油価格はさすがに急伸して、WTI原油価格は1月6日に瞬間64.72ドルまで上昇しています。それでも昨年4月23日の66.6ドルを超えていません。この日はトランプ大統領が日本、中国、インド、韓国、トルコに対しイラン産原油の輸入禁止措置を伝えてきた為、市場が混乱した日に当たります。


こうしてみていくと、今回の市場の反応は今のところ限定的と言えます。双方とも本格戦争は回避したいとの意図が明確です。一般的に言えることですが、本当に相手を倒す戦争を仕掛けるのなら、無言で行動を起こすもので、事前に反撃する、どこそこを攻撃するなどとは言わないものです。ここは特に、トランプ大統領の大人の判断に期待したいものです。 

(中嶋)

2019年は株式に比べ、債券投資への優位が明確にになった年と言えます。方向性が見えない米中貿易摩擦、世界を覆う経済後退懸念が、投資家心理を極端に憶病に導き、債券投資に走らせたと言えます。JPモルガンの試算では2019年通年で、世界の債券ファンドに約8000億㌦(約86兆円)の資金流入が成され、一方株式ファンドは約2000億㌦(約21.5兆円)の資金流出に見舞われます。債券市場では既に10年債の利回りがゼロ、及びマイナスに低下していた為、より高い利回りを求め年限の長い長期債に資金が集中する事になります。8月15日には米国30年債の「利回りが2%を下回ります。その当時の3ヵ月物短期債の利回りが1.9%前後ですので、異常な事態と言えます。更に其の前日の14日には、2年債の利回りが10年債を下回る、所謂逆転現象が起こっており、不況入りのシグナルと見た株式市場は、▼800ドル以上の下落となります。結局この8月が債券優位のピークだったかもしれません。


運用最大手の米ブラックロック社の資産は、9月末で前年比842億㌦増加していますが、債券への流入は350億㌦(前年比▼68%減)、株式は492億㌦(∔68%増)と、株式への回帰を思わせる数字になっています。アメリカでは2009年以降家計、投信、年金など主な投資主体は、其の余資を総て債券投資に向けたと言われています。一方株は一貫して売り越しており、2009年以降家計の売り越しは▼4000億㌦(43兆円)、年金で▼1.5兆㌦(162兆円)に上っています。こうした売りを吸収したのが企業の自社株買いです。この間4兆㌦以上の自社株買いが実施されており、米国市場の新値更新を呼び込んでいます。一貫して売り越した家計ですが、資金はMMF(マネーマーケットファンド)に滞留しています。その額3,5兆㌦(380兆円)と巨額で、株式投資への待機資金と考えてよいでしょう。日本のMMFが12兆円強程度ですのでその額の大きさが分かります。


また欧州では1~2年のうちに、4000~5000億ユーロ(50~60兆円)の国債が償還になります。3~4%の高い利回りを誇るお宝の国債です。再投資の対象となる欧州国債の6割は、マイナス金利の状態です。株式を無視しての再投資は成立しないのでは無いでしょうか。欧米とも2020年はどのタイミングで株式に資金を振り向けるか、難しい選択を迫られる年になりそうです。 

(中嶋)


10月09日のブログの続編になります。ESGとはE=環境、S=社会、G=企業統治を意味し、環境や社会への配慮、企業統治が優れた企業を選び、投資する手法を指します。15日に第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)が終了、温暖化防止への具体的なルール、義務化制定は持ち越しとなったものの、2020年からは温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」が、待ったなしで本格始動します。


ESGは企業価値の向上を長期に渡り重視する為、長期的に生き残る企業を探す取り組みと位置づけられています。つまり一過性のものではなく、長期投資の重要なテーマと言えます。そして機関投資家はこの原則に沿った責任ある投資行動が求められます。国連の責任投資原則に署名した機関投資家の運用資産残高は80兆㌦(約8700兆円)を超え、そのうちESGに基づく投資マネーは世界で約31兆㌦(約3370兆円2018年)と試算されています。内訳は:


欧州  14兆㌦  +17% 前年比 

米国  12兆㌦  +38%  “

日本   2兆㌦  +4.6倍  “


絶対額では欧米が先行していますが、伸び率では日本が追い上げています。

クイック社の記事では、先行する欧州の英シュローダー投資顧問は、運用資産63兆円の総てをESG投資に転換すると表明、フランスのアムンディ社も2021年までに運用資産190兆円の総てをESGに統合するとしています。


日本に於いても金融庁の方針として、機関投資家が守るべき現行の投資指針(スチュワード・シップ・コード)を2020年春に改定し、ESG投資を重視する内容を初めて明記する方針を示しています。更に世界の取引所がESGマネーの取り込みに躍起になっており、上場企業に対しESG情報の開示を義務付けるほか、ESG関連の金融商品の取り扱いの拡充する動きを強めています。


2020年の干支は子(ねずみ)。子は「繁栄」を指し、新しい生命が種の中に芽生え始めるとか。ちなみにねずみ年の株式市場は平均23.8%上昇、十二支では2番目の高いパーフォーマンスを示しています。

(中嶋)

世界景気回復期待が背景にあるのか、このところ株式市場、特に日本株に対する強気レポートが目立ちます。以下に簡単に纏めておきます。 

【メリルリンチ機関投資家サーベイ 】

日本株をオーバーウエイトにするから、アンダーウエイトを差し引いた値は、プラス1ポイントに。10月から5ポイント上昇しプラス圏になったことから日本株を持たないリスクを感じ始めることに。


【ティ・ロウ-プライス 資産1兆ドルを超える大手運用会社 】

コーポレートガバナンスの改善、自社株買い株主還元の拡充など、日本株は充分期待できると、11月19日の記者会見の席上で発表。


【大和証券 】

11月22日のレポートで、日本株を割安と見る海外機関投資家は、7月から大きく上昇。向こう6か月の日経平均を23000円~24000円とみる投資家は内外とも最多だが、しかしそれ以上とみる海外投資家は、国内を上回っている。海外投資家のほうが強気にみていると言える。


【ドイツコメルツ銀行 】

11月にユーロ圏の株、債券の比率を引き下げ、一方日本株の比率を引き上げた。

必ずしも日本株に強気ではないが、世界経済の回復、その結果の金利の上昇の両面で一番恩恵を受けるのは日本株との見方。


【英国HSBC証券 】

日本株は異常なディスカウントだとして、12月5日のレポートで日本株の比率を大きく引き上げた。


それぞれの見方の背景には、世界経済の回復の兆しがあります。それを明確に示したのが、11月の「グローバル製造業PMI」です。50.3と7ヵ月ぶりに節目の50を回復、7月の49.4をボトムに4ヵ月連続で改善しています。

サブ項目でも、生産50.3⇒50.9、新規受注50⇒50.4、雇用49.2⇒50.0など

全ての項目で50を回復しています。国別でも米国、中国、ユーロ圏、日本といずれも改善を示しています。グローバルPMIは、世界株式(MSCIワールドインデックス)特に日本株との連動性が高いことが知られているのです。

(中嶋)