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ブログ:Onevoice

中嶋 健吉 の投稿

一般的な日本の企業の人事政策は、通年一括採用、そして社内教育を通じて従業員の同質性に重きを置いてきました。その運営を潤滑に行う為、年功序列の賃金体系が成立する、世界的にも類を見ない独自なものを作り上げてきたのです。しかし少子高齢化、人口減少が常態化した日本に於いて、企業が生産性を維持しながら利益を確保する為には、働き手の多様性を高める必要性に直面しているのです。年齢、性別、国籍、人種に囚われず、多様な人材を活用した企業の生産性が、そうでない企業を上回っているとの各種の結果が相次いで発表され、この流れを後押ししているのです。


では具体的に、多様な人材の働く企業とはどのようなものでしょうか。一つの参考例として、私の最後の職場となった山一證券のロンドン現地法人を思い起こしてみます。総従業員数は約400名弱、そのうち本社派遣の社員は約30数名程度、他はすべて現地採用になります。人事部長(女性)から,現地社員は約22の国籍から成ると報告を受け、その多様性に、正直驚いたものです。採用はそれぞれの部門長が、事業計画に沿って行います。提示する給与も部門長の責任です。人事部はその契約の内容など法的な手続き、年金など制度上の仕組みなど、採用に伴い発生する2次業務を担当します。証券会社ですので給与、特にボーナスの支給等も、営業担当であればその稼ぎ高が反映されます。実際はもっとドロドロとしたやり取りが従業員とあるのですが、趣旨から離れますので割愛します。


人材の多様性を突き詰めると、日本的な人事部の存在の可否に至ります。ゼネラリストではなく、スペシャリストがそれぞれ多様化した各分野で必要とされるなら、その人材の採用は、各分野の専門家が自ら面接し、スクリーニングするしかないのでしょう。また採用後に発生する、従業員の厚生問題も外注が可能かもしれません。人事部の役割とは?多様性を追求する企業は、まずこの位置づけを明確化することから始まるのかもしれません。 

(中嶋)

卵の話

中嶋 健吉

2019/08/15 07:33

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卵は好物の一つです。幸い家内も劣らず卵好きの為、夕食のメニューで悩んだ折にも、卵料理であればお互い納得できるメリットがあります。ところがこれに反して息子は大の卵嫌いで、彼によれば小さい頃から卵を食べ続け、特に無理やり食べさせられた記憶が邪魔しているとか。家内ともども無理強いした記憶はないのですが、卵好きからは食べない選択は無い、との無言の圧力を掛けていたのかもしれません。


子供の頃の1950年代、卵は極めて貴重品でした。今でも鮮明に覚えているのは、母親が親戚の病院見舞いのお土産に、モミ殻を敷いた箱に卵を並べ、割れないようにして静々と差し出した光景です。今に引き直すと、高級マンゴーを土産にする感じでしょうか。その当時は極めて貴重品だったのです。肉食が一般的ではなかった江戸時代以前では、卵は貴重なタンパク源で、特に病人の栄養源だったのでしょう。そうした歴史的な背景もあり、日本人の卵好きは我が家だけの事では無いようです。国際鶏卵委員会が発表した2017年の年次統計では、年間一人当たりの鶏卵消費量の第⒈位はメキシコの363個、2位は日本の333個、3位中国(307個)、4位ロシア(305個)と堂々の2位です。


卵料理は各国独自のものがあるのですが、唯一日本が独自性を持つのが「卵掛けご飯」に代表される「生食」の文化です。私の知る限り卵を生で料理に使うのは、フランス料理のステーキタルタル(タータンステーキ)位でしょうか。生肉に香辛料で味付けし食するのですが、そのつなぎに生卵の黄味を使うものです。話は少しそれますが、初めてパリに赴任した最初の夕食接待で、タルタルを知らないまま適当にソースと訳し、出てきた料理にびっくり且つ大恥をかいた経験があります。


同じ失敗では、アラブから顧客のディナーにすき焼きを供したことです。私どもには香しい醤油の煮た匂いも彼等には不興で、且つ生卵で食すことにメガトン級の驚きを与えた事です。彼らの住環境から生食はあり得ないことなのです。卵に付いたサルモネラ菌は食中毒の一番の原因で、イギリス駐在中も日本の貧乏学生が、イギリスの卵を使った掛けご飯で、食中毒に罹ったとの話をよく聞きました。日本とフランスが、食文化の先頭を切っている隠れた事実かもしれません。そういえば暫く卵掛けご飯を食していませんでした。 

(中嶋)

ゴルフから遠ざかり10年以上になるでしょうか。その為全英女子オープンにも、さほど関心がありませんでした。しかし渋野日向子が42年ぶりの全英メジャー制覇の報道に、多分と思いながらゴルフコースを確認したところ、やはりウォバーンゴルフコースと分かり、思わす頷いた次第です。


嘘のような話ですが、山一ロンドン現法社長を務めていた1995年から山一が廃業する1997年末までの2年半、ウォバーンゴルフのメンバーだったのです。 

山一ロンドンの数代前の副社長が、卓越した英語力を駆使し当時すでに全英女子オープンを定期的に開催し、名門コースの評判をとっていたウォバーンの法人会員権を取得してくれたのです。当時は唯一の日本人のメンバーと聞いていました。しかしその後は、近隣に工場団地が出来、誘致した日本企業が優先的に会員権を取れたと聞いています。


まさにTVで見た通りの林間コースです。結局プレイしたのは10回程度でしょうか。ロンドンの北西80キロに位置し遠いと感じていたようです。日本では近い部類に入るのでしょうが、ロンドンでは近場に数多くゴルフ場がある為遠いと感じるのです。コースとしてはさほどアップ・ダウンはないのですが、林間コース特有の、各コースは大きな木々で囲まれており圧迫感があります。特に腕の悪い私を苦しめたのが、パー4でも400ヤードを優に超える長いミドルコースとの記憶があります。又ホール番号は忘れたのですが打ち下ろしの短い、グリーンが砲台になったショートでもかなりの数のボールをロストしたものです。もっとも日本の著名女子プロも、ここで大たたきしたと後日聞きましたが。結局難しいコースを敬遠しただけかもしれません。


懐かしさから、ロンドンから持ち帰った備品を改めたところ、ウォバーンの会員に配布されるゴルフバッグにつけるタグが出てきました。赤い円形の下を膨らました、涙型のプラスチック製で、日本のゴルフ場のものに較べ決して重厚ではありません。しかし金の縁取りでウォバーンの名前が刻まれており、やはり懐かしさがこみ上げます。しかし同時に出てきたスコアー表が懐かしさを吹き飛ばしてしまいましたが。今回は取り止めもない「プチ・昔話」で失礼しました。 

(中嶋)

ウナギ

中嶋 健吉

2019/08/01 07:32

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7月27日は土用の丑の日、恒例のウナギを食する日として定着しています。 

何故?という疑問には諸説ありますが、江戸時代の著名蘭学者「平賀源内」の発案が有力なようです。 夏場の暑い時期に、濃い味のウナギが売れないとの相談を受けた源内が、丑の日(うしの日)には「う」で始まる食品を食べれば縁起が良くなるとの宣伝を伝授したとか。


個人的にはウナギは好物の一つです。 今は亡き山一証券が八重洲にあったことから、近場の京橋竹葉亭には懐に余裕がある場合、ほぼ昼食に通ったものです。 しかし本当に嵌ったのは、日本橋高島屋の特別食堂でウナギを食してからです。 後からこの世界では著名な麻布飯倉の名店、「野田岩」の出店であると知ったのですが。 名店といってもデパート内ですので、使うのは気の合う友達との昼食会に限定していました。 野田岩は2013年放送のNHK「プロフェショナル 仕事の流儀」で取り上げられたのは御存じのところです。 しかし鰻の名店と言われる店は日本の各所にあり、それぞれ熱狂的な支持者に支えられているものです。 家内は九州宮崎市の出身ですが、郊外にやはり名店と言われる店があり、帰郷の際には必ず食することを旨としています。 毎回納得の味です。


好物のウナギですが、食べきれなかった思い出もあります。 1972年頃アムステルダムを訪ね、昼食にウナギの唐揚げを注文した時のことです。 骨ごと輪切りにされ、油で揚がられたウナギが山積で出てきました。 積みあがった上部から骨に気を付けながら食したのですが、数個が限界でした。 ウナギの油と、揚げ物の油が交じり合い、下積みのウナギは油に浮いている状態です。 心から蒲焼の技法を教えたいと思ったものです。


ウナギ資源の枯渇が叫ばれています。 日本ウナギは絶滅危惧種に指定されており、完全養殖に期待が集まります。 完全養殖とは人工ふ化させた稚魚を親へと育て、その親に産卵させ命のサイクルを作ることです。 2010年に研究所内での完全ふ化に、初めて成功したのは日本です。  更に今年に入り人工ふ化した稚魚を、普通のウナギと同じ生け簀で育てることに成功しています。  ただコストが天然の10倍以上かかるのが現状です。  更に安価で安定供給できる目安は、年間最低でも1億匹が必要との試算もあり、課題を残しています。 しかし同じような問題を抱えていたマグロの完全養殖も、今や商業ベースに乗っています。 更に謎といわれた日本うなぎの生息地が、日本から2500キロも離れた南洋の海底にそびえる海山の近くだと特定されたたことも、自然資源の保護に大いに役立つのでしょう。


今年の丑の日のウナギは少し奮発したこともあり極めて満足するお味でした。

(中嶋)

韓国に対する日本の輸出規制が、WTOで議論されることになりました。 今回はあくまでも理事会における議論であり、何らかの対策を決定する訳ではありません。問題は理事会の雰囲気を読み取り、韓国がWTO紛争処理上級委員会に提訴するかどうかの点です。 


上級委員会は7名で構成されています。しかし既に4名が任期満了で退任しており、補充の委員の再任や新委員の任命は、アメリカが拒否しているため、いまだ決まっていません。更に残りの3委員は米国、インド、中国から成りますが、米国、インドの委員の任期は2019年12月10日迄です。アメリカが拒否の姿勢を貫く事は確実ですので、それ以降は委員1名となり実質的に機能放棄の状態になります。


2001年12月、中国は悲願のWTO加盟に成功します。これを契機に安い労働コストで外資を誘致し、原材料、部品を加工し輸出する「世界の工場」の地位を確立します。中国は鉄鋼などの基幹産業、ハイテク企業の育成を急ぐ為、国家が莫大な補助金を与えた事は良く知られています。WTOのルールではこうした補助金は報告する義務があるのですが、中国はここまで一切義務を履行していません。更にこの様な義務違反に対し、何らの罰則規定もないのです。それどころか、日本の東北地域の魚介類に対する、韓国の輸入禁止措置を認めた決定、アメリカの中国製太陽光パネルに対する相殺関税を、中国政府の補助金の存在を認めながら、それでも不当とした決定など、不可解な事例が相次いでいます。


自由貿易促進を唱えるWTOですが、内実は中国や一部の国の国益を代弁するだけの機関になっているのです。これは国連や他の国際機関にも顕著に表れています。アメリカがWTOの改革を唱え、委員の選任を拒む理由がここにあります。日本もアメリカの動きに同調し、改革を後押しする方針です。日本の規制強化に対し声高にWTO提訴を唱える韓国ですが、魚介類の輸入を阻止した成功体験が仇にならなければいいのですが。 

(中嶋)